線形混合モデル liner mixed model(LMM)

 線形混合モデルは反復測定分散分析と似たような統計的手法で,複数の条件で反復測定されたデータに対して条件による平均の差を検定するときに適用できます.反復測定分散分析と異なる最大の特徴は,データの中に欠損値が含まれていても問題なく適用できる点です.反復測定分散分析は欠損値があると適用外となります.
 反復測定分散分析と同じように,整形外科疾患の術後患者10名を対象とした例をあげます.術後1週目・2週目・3週目の3つの時期に分けて,術後の膝伸展筋力が時期によって変化する(差がある)かどうかを調べたいとします.ここで, 1週目・2週目・3週目のすべての時期で対象者全10名の膝伸展筋力を測定できた場合には,反復測定分散分析と線形混合モデルのどちらを適用しても構いません.しかし,対象者Aさんがやむを得ない事情により2週目の測定を行えず,データに欠損値が生じてしまったとします.このような場合,もし反復測定分散分析を適用しようとするならば,Aさんのデータは除外しなければいけません.一方,線形混合モデルであれば2週目の測定値が欠損しているAさんのデータを含めたままで適用することができます.
 線形混合モデルは,一般化線形混合モデル(generalized linear mixed model;GLMM),混合効果モデル(mixed effect model),線形混合効果モデル(linear mixed effect model;LME) ,反復測定による混合効果モデル(mixed effect model for repeated measures;MMRM)と呼ばれることもあります.
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