臨床判断 clinical decision making
臨床判断とは,理学療法の臨床活動において,評価や治療の方法などを選択することをいいます.従来の臨床判断は,教科書を参照しながら病態生理から類推して治療方針を作成したり,権威者の意見や先輩の指導,あるいは自分の経験則や得手不得手などに基づいて行われてきた傾向があると思います.しかし,このような臨床判断過程には,不確実性・偶然性・経験則によるバイアスによって,適切でない偏った臨床判断に至る可能性を含む場合があります.一方で,患者中心の医療を実践・提供することを目的とするEBPTでは,質の高い臨床試験の結果を科学的な根拠として臨床判断の材料としますが,それはあくまで一つの要素であり,基本的な理論や理学療法士の臨床能力,施設の設備・環境,そして,患者・家族の価値観や意向などの要素も統合することによって,目の前の患者にとって最も有益となる評価や治療方針に関する臨床判断を行うことが大切です.
- EBPT用語集の参考文献はこちらのページ下段に掲載しています。ご参照ください。