EBMからEBPTへ

Evidence-based Physical Therapy:根拠に基づく理学療法

EBMの概念に基づいてEBPTの概念的定義を考えると、「EBPTとは、個々の患者に関する臨床問題や疑問点に対して、(1)臨床研究による実証報告としての科学的根拠、(2)理学療法士の臨床能力、(3)施設の設備や機器の状況、(4)患者の意向や価値観を統合した最適な臨床判断を行うことによって、質の高い理学療法を実践するための一連の行動様式」と位置づけることができます。
わが国の理学療法領域では、科学的効果判定の追究をはじめ、理学療法の科学性の確立に積極的に取り組んできていますが、現在のEBMの限界や理学療法特有の問題などから、EBMをそのままEBPTとして導入し実践するには課題も多く、研究の蓄積が臨床に十分生かされていない面があります。
EBPTは、個々の患者により良い理学療法を提供するために具体的な行動や判断の基準を示した実践的な方法です。今後は、臨床において実践を通して一つ一つの課題を検討していくことによりEBPTの内容も進歩し、理学療法の科学性を向上させることが望まれます。
EBPTの実践によって、中立的かつ科学的な根拠と患者の意向や価値観を尊重した質の高い理学療法を展開することが可能になると考えます。

2009年05月01日掲載

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