検索式 | PubMedで検索。キーワードは “cerebral palsy, motor function, electrical stimulation ” とした。 |
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論文タイトル | Electrical stimulation in cerebral palsy: a review of effects on strength and motor function |
著 者 | Claire Kerr, Brona McDowell, Suzanne McDonough |
雑誌名 | Developmental Medicine & Child Neurology.2004;46:205-213 |
目 的 | 脳性麻痺の領域において、電気刺激療法は受動的で非侵襲的かつ自宅で実施できる治療であるという点において、現実的な治療手段として進歩を続けている。ここでは、主に体力・運動機能向上に役立つ電気刺激療法の側面に焦点を当てている。 この総説は、脳性麻痺児の筋力強化や運動機能改善のための電気刺激療法の効果に関する先行研究の結果と質を調査することを目的としている。 |
研究デザイン | A structured review この総説の著者はMELINE、CINAHL、AMED、PEDroのデータベースを利用して、“電気刺激”、“脳性麻痺”という語をキーワードとして調査を実施した。 短報、総説記事、論評や要約は除いた。また電気刺激が主たる介入ではないもの、参加者が脳性麻痺と診断を受けていないもの、筋力や筋パフォーマンスの改善が主たる介入によりもたらされた結果でないものも除外した。 結果として、該当したものが18本あり、6本はRCT、4本は非コントロールの同一集団研究、8本はケーススタディだった。これらのうち12本は神経筋電気刺激(NeuroMuscular Electrical Stimulation: NMES)介入に関するもので、6本はThreshold Electrical Stimulation(TES)による介入についてのものだった。TESは筋収縮閾値に満たない刺激強度を用いたものであり、NMESよりも刺激強度が低く、自宅で睡眠中に実施可能な低出力の電気刺激療法である。TESの有効性に関しては、Papeらが最初に報告し、筋収縮閾値以下の持続的電気刺激が刺激ホルモン分泌亢進を促し、血流量増加を生じ、筋容積の増大に結びつくと提唱している。 この総説においては、論文の質を判断するために、The American Academy for Cerebral Palsy and Developmental Medicine (AACPDM)が作成した以下のⅠ~Ⅴに分類された厳密なエビデンスの段階付けシステムを採用している。 Ⅰ - Randomized controlled trial. Ⅱ - Non-randomized controlled ・Prospective cohort study・concurrent control group. Ⅲ - Case-control study・Cohort study with historical control group. Ⅳ - Before and after case series without control group. Ⅴ - Descriptive case series/case reports. Anecdotes. Expert opinion. Theories based on physiology, bench, or animal research. Common sense/first principles. |
対 象 | 脳性麻痺児 |
介 入 | 神経筋電気刺激(NMES)、Threshold Electrical Stimulation(TES) |
主要評価項目 | 関節可動域評価、筋力評価、歩行分析、粗大運動能力尺度(Gross Motor Function Measure: GMFM)等の運動機能評価など |
結 果 | 論文の質の判定に関して、AACPDMの基準を採用した。エビデンスレベルⅠは6本(内訳:NMESが3本、TESが3本)。Ⅱは0本。Ⅲは1本(NMES)。Ⅳは3本(内訳:NMESが2本、TESが1本)、レベルⅤが8つ(内訳:NMESが6本、TESが2本)であった。 |
結 論 | NMES の方がTESよりもその使用を支持するエビデンスが多くあるようにみえる。しかし、高いエビデンスレベルに該当した文献でも慎重な解釈が必要である。全般的にこれらの物理療法に対する根拠を十分に示すための統計学的検討が不十分である。 電気刺激療法の適用を明確に推奨するためには、より質の高い研究デザインやフォローアップ、サンプル数の増加、均質的な患者群を用いた研究などがさらに必要である。また、障害や年齢による違いなど、対象者の特徴によって適応すべき電気刺激療法の選択基準などは確立されていないのが現状である。 |
※上記の総説で扱われたエビデンスレベルがⅠの論文のうち、Hazlewoodらによる研究内容が臨床適用に値すると判断し、次のステップ3以降は、以下のHazlewoodらの文献を取り上げて検討を行った結果を示すことにした。 Hazlewood ME et al.: The use of therapeutec electrical stimulation in the treatment of hemiplegic cerebral palsy. Developmental Medicine & Child Neurology.1994; 36(8): 661–673. |
2013年06月04日掲載