イラストで見るEBPTの実践
第1回 「EBPT はじめの一歩」

信州大学 医学部 保健学科
木村貞治

イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
櫛原拓朗

1. 新患の初期評価

新人PT:
○○さん、こんにちは。担当理学療法士のAです。よろしくお願いします。
○○さん:
○○です。よろしくお願いします。
新人PT:
それでは、今日は、まず、○○さんの右膝の痛みについてお聴きしたいと思います。○○さんの右膝の痛みが出始めたのは半年前からということでしょうか?
○○さん:
はい。半年前から右膝が痛み始めて、最近では、歩くときや階段の上がり降りのときに痛みを感じるようになってきました。とくに、うちは、道路から玄関まで少し長い階段があるのですが、上がり降りで痛みが出るようになってきたので、買い物に出るのも億劫になってきました。
新人PT:
そうですか、それはつらいですね。
右膝の痛みは、座っているときのように、じっとしているときでも感じますか?
○○さん:
座っているときは痛みを感じません。少し長く歩いたときや階段の上がり降りをしているときだけです。
新人PT:
はい、分かりました。
それでは、次に、右膝の痛みの程度についてお聴きしたいと思いますが、10点をがまんできないような最大の痛みとして、5点が中くらいの痛み、0点が全然痛みがないとしたとき、○○さんが少し長く歩いたときや階段の上がり降りのときに感じる痛みは何点くらいですか?
○○さん:
そうですね。4点から5点くらいですね。
新人PT:
はい、分かりました。
それでは、右膝の状態を検査したいと思いますが、膝を出していただけますか?
○○さん:
はい、分かりました。
新人PT:
右膝が少し腫れているようですね。
右膝の痛みを感じられる場所は、どの辺ですか?
○○さん:
内側のあたりですね。
新人PT:
それでは、次に、両膝の関節の動く範囲や筋肉の力などについて検査したいと思います。
○○さん:
はい、お願いします。
新人PT:
先ほど階段を上がり降りするときに痛いとおっしゃっていましたが、座っているときなど、膝を動かさないでいるときにも痛みはありますか?
○○さん:
動かさないときには痛みはほとんどありません。
新人PT:
それでは、次に膝が動く範囲を検査してみましょう。
仰向けになって、右膝を曲げられるところまで曲げてみてください。
もし、曲げているときに痛みが出れば、その時点ですぐにおっしゃってください。
○○さん:
はい、分かりました。(○○さんがベッドに仰向けになった右膝を曲げる)
新人PT:
それでは、次に膝を曲げたり伸ばしたりする筋肉の力を検査してみましょう。まずは、痛みのない左膝の方から検査していきたいと思います。
それでは、次に右膝を伸ばしてみてください。
新人PT:
それでは、次に歩く状態を検査してみましょう。
ここの歩行路は10mありますが、ここから向こうに見える白い線を越えて壁の方に向かって、最初は普通の速度で歩いていただき、次はできるだけ速く歩くようにしてみてください。
○○さん:
はい、分かりました。(○○さんが歩行路を歩く)
新人PT:
今日の検査は以上で終了です。
次回からは右膝の痛みの治療と右膝の筋肉の力を強くする運動をはじめていきたいと思います。
○○さん:
はい。よろしくお願いします。

第1回 「EBPT はじめの一歩」 目次

2011年04月25日掲載

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