イラストで見るEBPTの実践
第3回 「ガイドラインに従ってもEBPTにならないの?!」

弘前大学大学院 保健学研究科
対馬栄輝

イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
櫛原拓朗

1. 臨床で起こった問題と情報収集

新人理学療法士が先輩と患者の治療方針について相談している場面
新人PT:
退院後の理学療法を希望している患者さんを担当しています。大腿骨転子部骨折の患者さんで、80歳女性、高血圧症は合併していますが、認知症はありません。理学療法に対する意欲はありますし、理解力も良好です。現在は杖歩行を練習していますので、恐らく杖歩行が自立して退院に至ると思います。本人は、筋力低下やバランスの不良を訴えていて、退院後も継続した理学療法を希望しています。
患者さんには、退院後の理学療法は効果が少ないかもしれないので行わなくても良いと説明したのですが、納得いかないようで、困っています。
先輩PT:
何か根拠となる資料を検索してみましたか?
新人PT:
はい。大学時代に使った教科書を確認してみました。しかし、大腿骨転子部骨折患者に対する退院後の理学療法を述べたものは見つけられませんでした。職場にある学術雑誌も探したのですが、なかなか見つかりませんでした。そうしたことから、余り必要がないのではと思ったのですが…。
先輩PT:
教科書は手っ取り早くて良いですが、基本的にはPEDroPubMedなどを検索してみたらどうですか?EBPTチュートリアルには、調べ方まで詳しく載っていますので、勉強してみたら良いと思います。
新人PT:
確かにそうですね、勉強してみます。しかし、PEDroやPubMedというのは英語論文ばかりですので、私はあまり英語が得意ではありませんし、なかなか簡単にできないと思っていたのです。
先輩PT:
誰でも最初はそうですから、英語にも徐々に慣れていきましょう。ところで、臨床指針(診療ガイドライン、または単にガイドライン)は知っていますか?ガイドラインですと、日本語のものがありますし、インターネットを使って簡単に調べることができます。そこに何か解決策があるかもしれません。試してみて下さい。
新人PT:
わかりました。後で調べてみたいと思います。

第3回「ガイドラインに従ってもEBPTにならないの?!」 目次

2011年04月28日掲載

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