股関節可動域 | 右 | 左 |
股関節SLR | 70 | 60 |
屈曲 | 95 (Pain) | 105 |
伸展 (膝伸展) | -5 | 5 |
外展 | 10 | 25 |
内転 | 10 | 10 |
外旋 | 35 (Pain) | 40 |
内旋 | 0 | 25 |
膝屈曲 | 155 (Pain) | 155 |
伸展 | 0 | 0 |
足関節背屈 | 10 | 20 |
検索式 | PEDroのAdvanced searchにてキーワード「THA、treadmill」、Body Part:thigth or hip、Subdiscipline:orthopeadics、Method:clinical trial、Return:10で検索した結果、5件ヒット。本症例のPICOに近く、介入の参考となる文献と判断し、下記の論文を選択した。 |
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論文タイトル | Treadmill Training With Partial Body-Weight Support After Total Hip Arthroplasty: A Randomized Controlled Trial |
著 者 | Hesse S, Werner C, et al |
雑誌名 | Archives of Physical Medicine and Rehabilitation 2003; Dec; 84(12):1767-1773 |
目 的 | THA術後患者に対し、床上歩行訓練と部分免荷トレッドミル歩行訓練ではどちらが歩行改善に有用か調査する。 |
研究デザイン | Randomized controlled trial(RCT) |
対 象 | THAを実施した812人の中から以下の基準を満たした80人の患者を対象とした。 ①75歳以下であること。 ②股関節症か股関節骨折により初回片側のTHAを施行していること。 ③クリンクベルリン病院での2週間のリハビリテーションに参加する意欲のあるもの。 ④セメントおよびセメントレスの人工股関節置換術であること。 ⑤85%以上の荷重が可能であり、杖を用いた交互歩行が可能であること。 ⑥歩行に影響を及ぼすような整形外科疾患、神経疾患がないこと。 ⑦6か月以内に深部静脈血栓症の既往がないこと、また心疾患の既往がないこと。 参加者にはみな書面にて研究に対する同意を得て、地方の倫理委員会にて承認を得た。 割り付け:患者は介入開始30分前に集められ、80人を無作為抽出し治療群と対照群をそれぞれ40人ずつ割り付けた。 |
介 入 | 術後約3週の患者に対し、連続10日に渡り45分間の個別的治療を実施。治療群は介入1日~5日(1セッション)に25分の部分免荷トレッドミル歩行(0.5-1.0m/sの至適速度)と20分の理学療法を実施し、6日~10日(2セッション)に35分のトレッドミル歩行(1日~5日の25%増の速度)と10分の理学療法を実施した。部分免荷はハーネスによりサポートし、セッションを通して免荷量を15%に設定した。対照群は毎日45分の理学療法を実施した。 |
主要評価項目 | 主要なアウトカムはハリスヒップスコア(Harris hip score)とし、そのほか股関節伸展可動域、歩行速度、歩行左右対称性(患側立脚期 / 健側立脚期をウルトラフレックスシステムにて計測)、股関節外転筋力(Medical Research Council scale:MRC)、股関節外転筋の筋電図とした。 統計処理:治療前、治療終了時(10日後)、3か月後、12か月後の各グループ間で、反復測定分散分析を用い、ハリスヒップスコアに関しては有意水準を5%以下、他の項目に関してはボンフェローニ法を用いて補正し、有意水準を1%以下として比較した。 |
結 果 | 対照群の外転筋の筋電図結果を除いて、両群とも治療前から治療終了時まではすべての評価項目において改善が見られた。ハリスヒップスコアは対照群より治療群で13.6ポイント高く、3か月後で8.9ポイント、12か月で16.6ポイント有意に高かった(P<.05)。特にトレッドミルグループの痛みと最大歩行距離の項目において大きく対照群より高かった(下位項目の統計学的処理はなし)。股関節伸展においては、治療群の股関節伸展制限が対称群より約6.8°有意に小さく(P<.01)、歩行の左右対称性においては約10%有意に大きかった(P<.01)。股関節外転筋力は治療群4.24、対照群3.73と治療群が有意に大きかった(P<.01)。中殿筋の筋活動は、介入終了時治療群で41.5%有意に大きかった(P<.01)。歩行速度に有意差はなかった。 |
術後6日 (介入前) |
術後14日 (退院日) |
術後3ヶ月 | |
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ハリスヒップスコア(100) | 45.6 | 56.8 | 92.9 |
ハリスヒップスコア下位項目 | |||
疼痛(44) | 20 | 20 | 40 |
破行(11) | 5 | 8 | 8 |
補助具(11) | 5 | 7 | 11 |
歩行距離(11) | 2 | 2 | 11 |
階段昇降(4) | 0 | 2 | 4 |
フットケア(4) | 2 | 4 | 4 |
坐位(5) | 3 | 5 | 5 |
公共機関の利用(1) | 0 | 0 | 1 |
変形による制限および欠如(4) | 4 | 4 | 4 |
可動域(5)※ | 4.6 | 4.8 | 4.9 |
股関節伸展可動域(°) | 0 | 0 | 0 |
歩行速度(m/sec) | 0.81(T-cane) | 1.01(T-cane) | 1.28(支持なし) |
股関節外転筋力(MMT) | 2 | 3 | 5 |
2013年09月06日掲載