年齢 | 60歳代 |
性別 | 男性 |
診断名 | 脳梗塞(左中大脳動脈) 右片麻痺 |
現病歴 | 自宅にて意識消失し、急性期病院に緊急搬送。脳梗塞の診断にて保存加療。38病日リハビリ目的に当院回復期病棟に入院。 |
既往歴 | 特になし |
身体機能 | ||
運動麻痺 | Brunnstrom stage(Brs) | 上肢-Ⅲ、手指-Ⅲ、下肢-Ⅲ |
感覚 | 表在・深部感覚ともに中等度鈍麻 | |
バランス能力 | 片脚立位時間 | 右:不可、左:2.2秒 |
Berg Balance Scale(BBS) | 31点 | |
歩行能力 | 10m歩行時間 | 22.8秒(四点杖、プラスチック短下肢装具使用、見守り) |
高次脳機能 | ||
認知機能 | Mini-Mental State Examination | 27点 |
注意機能 | Trail Making Test part-A(TMT-A) | 122.3秒 |
Patient (患者) | 脳卒中患者 |
Intervention (介入) | Slingを用いた運動療法 |
Comparison(比較) | 通常運動療法 |
Outcome (効果) | バランス能力、歩行能力 |
検索式 | PubMedにて検索式「((stroke) AND balance) AND sling」で検索した。その結果、9件が抽出された。本患者のPICOに近い下記の論文を採用した。 |
論文タイトル | Effect of sling exercise on postural sway in post-stroke patients |
著者 | Lee JY, Kim SY, Yu JS, Kim DG, Kang EK. |
雑誌名 | Journal of physical therapy science 2017 Aug;29(8):1368-1371 |
目的 | 脳卒中後の患者に対するsling exerciseがバランス能力の改善に効果があるのかを検討すること |
研究デザイン | Randomized controlled trial |
対象 | 脳卒中後の患者(発症後6ヶ月~1年)18名 |
介入 | sling exercise 6週間、3回/週、30分/回 (背臥位:背部筋と股関節伸展筋促通運動、背部筋とハムストリングスの促通運動、側臥位:背部筋と股関節内転筋促通運動、背部筋と股関節外転運動、腹臥位:肘指示での体幹筋促通運動) |
主要評価項目 | 重心動揺、Modified Barthel index(MBI)、BBS、10m歩行 |
結果 | Sling Exercise群は、重心動揺の改善、歩行速度の改善を認めた。 |
結論 | Sling Exerciseは、通常運動療法と比べ、脳卒中患者のバランス能力を改善させる。 |
具体的な介入方針 | 理学療法介入は、週7回各60分実施し、介入4週間後に再度評価を行った。介入の際、週7回の内、5回各30分はSlingを用いた運動療法を実施した(背臥位:背部筋と股関節伸展筋促通運動、背部筋とハムストリングスの促通運動、側臥位:背部筋と股関節内転筋促通運動、背部筋と股関節外転筋促通運動、腹臥位:肘指示での体幹筋促通運動)。Slingを用いた運動療法実施後、患者より希望があり、担当PT出勤日にはSlingを用いた運動療法を実施した。 |
注意事項 | 代償運動による姿勢の崩れ、息を止めることや筋の過剰収縮 |
介入前 | 介入後(4週後) | |
Brs | 上肢-Ⅲ、手指-Ⅲ、下肢-Ⅲ | 上肢-Ⅲ、手指-Ⅳ、下肢-Ⅳ |
片脚立位 | 不可/2.2秒 | 3.5秒/18.0秒 |
BBS | 31点 | 50点 |
10m歩行 | 22.8秒 (四点杖/プラスチック短下肢装具) |
9.2秒 (T字杖/プラスチック短下肢装具) |
2020年05月01日掲載