今回、Slingを用いた運動療法を脳卒中患者に適用したところ、バランス能力や歩行能力に改善を認めました。採用論文で使用しているGood Balance System (metitur LTD.)によるCOP(center of pressure)を評価したバランス能力の評価はできず、詳細な点について比較はできませんでした。また、採用論文と本症例では、同じ脳卒中患者とはいえ、介入時期が異なり、また、介入の頻度、期間も異なっていました。回復期における自然経過も踏まえると採用論文と同様にSlingを用いた運動療法の効果によって改善したと判断することは難しいかと考えます。しかし、Slingを用いた運動療法は、患者に有害事象[→イベントを参照]をあたえず、適切な負荷を患者本人も自覚しながら実施でき、その結果、バランス能力や、歩行能力の改善を認めました。そのため、本症例に対し、Slingを用いた運動療法を行ったことは有意義であったと考えます。