年齢 | 70歳代 |
性別 | 女性 |
診断名 | パーキンソン病 |
現病歴 | 無動で発症し、2010年パーキンソン病と診断され内服治療を行っていた。2015年から側弯が顕著となった。リハビリテーション目的で当センターに入院となった。 |
既往歴 | 50歳ごろから高血圧のため内服治療。 |
入院時理学療法評価 | |
Hoehn & Yahr stage | 3 |
Unified Parkinson's disease Rating Scale (UPDRS) partⅢ 合計得点 | 40 |
10m快適歩行速度 | 8.1秒 |
歩数 | 19歩 |
6分間歩行試験 | 400m |
Berg Balance Scale(BBS) | 50点 |
片脚立位保持時間 | 右6秒/左5秒 |
Functional Reach Test(FRT) | 20.0㎝ |
FIM合計 | 102 |
FIM運動項目 | 71 |
Patient (患者) | 特発性パーキンソン病患者 |
Intervention (介入) | 服薬治療と理学療法の併用 |
Comparison (比較) | 服薬治療のみ |
Outcome (効果) | 歩行能力、UPDRS part Ⅲ、バランス機能の改善 |
検索式 | 検索データベース:PubMed 検索用語:"Parkinson's disease" AND rehabilitation AND "Randomized Controlled Trail" |
論文タイトル | Efficacy of a Physical Therapy Program in Patients With Parkinson's disease: A Randomized Controlled Trail. |
著者 | Ellis T, de Goede CJ, Feldman RG, Wolters EC, Kwakkel G, Wagenaar RC |
書誌情報 | Arch Phys Med Rehabil. 2005 Apr; 86(4): 626-32. |
目的 | 入院による短期間の理学療法介入がパーキンソン病患者の身体機能や歩行能力に効果的かを調査する |
研究デザイン | ランダム化比較試験(クロスオーバー試験) |
対象 | 特発性パーキンソン病(PD)患者68名 Group A:35名 Group B:33名 包括基準:1) 安定した服薬使用 2) Hoehn & Yahr stage Ⅱ~Ⅲ 3) Unified Parkinson's disease Rating Scale(UPDRS)の振戦、筋強剛、動作緩慢のいずれかの項目について最低1肢以上が1点以上 4) 独歩可能 5) 35歳~75歳 6) Mini-Mental State Examination scoreが24点以上で認知障害がない 7) 深刻な神経学的、整形外科的、心肺的疾病を有さない 8) 過去2か月、理学療法を受けていない |
介入 | Group A: 服薬治療に加えて1日に1.5時間以上の理学療法を週2回、6週間実施。6週間終了時点で評価、その後6週間は服薬治療のみの介入を行い、開始から12週の時点で評価を実施。 Group B: 通常の服薬治療のみを6週間実施して、その後、理学療法と服薬治療を6週間実施。評価は、6週後と12週後に実施。 Group A,Bともに開始から24週後にフォローアップ評価を実施。 理学療法はウォームアップ、ストレッチ、筋力強化、機能練習、歩行練習、バランス練習、リラクゼーションなどで構成された。 |
主要評価項目 | Sickness Impact Profile(SIP-68)、UPDRS、快適歩行速度 |
結果 | 6週後の群間比較:SIP mobility(p=0.01)、快適歩行速度(p=0.01)、UPDRS ADLスコア(p=0.01)、UPDRS合計得点(p=0.007)で有意差あり。 3ヵ月後とベースラインを比較し、快適歩行速度とUPDRS ADLスコア・合計得点で有意差がみられた。 |
結論 | PD患者は薬剤治療に加えて理学療法介入を行うことにより、短期的には快適歩行速度、モビリティに関与したQOL、ADLの改善に有効である可能性がある。長期的には快適歩行速度、UPDRS ADLスコア、UPDRS合計得点の改善に有効である可能性がある。 |
具体的な介入方針 | 全身の柔軟性・可動域維持のためにセルフストレッチ指導を行う。歩行能力維持のため、トレッドミル歩行や屋外歩行などを行う。転倒防止のため、重心移動練習などによる安定性限界の拡大や、方向転換といったバランス練習を行う。 |
注意事項 | 姿勢保持障害があり、在宅生活でも転倒歴がある。安全を確保した上で理学療法介入を行う必要がある。 |
4週間後理学療法評価 | |
Hoehn & Yahr stage | 3 |
Unified Parkinson's disease Rating Scale (UPDRS) partⅢ 合計得点 | 32 |
10m快適歩行速度 | 9.0秒 |
歩数 | 19歩 |
6分間歩行試験 | 480m |
Berg Balance Scale(BBS) | 56点 |
片脚立位保持時間 | 右20秒/左12秒 |
Functional Reach Test(FRT) | 25.0㎝ |
FIM合計 | 106 |
FIM運動項目 | 73 |
2021年01月04日掲載