イラストで見るEBPTの実践
第6回 「中枢神経疾患治療に新しい風を送ろう」

社会医療法人財団慈泉会相澤病院 リハセラピスト部門
大塚 功

イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
しもはたふゆ

4. 脳卒中理学療法のエビデンスの臨床適用

脳卒中理学療法のエビデンスの臨床適用
新人PT:
脳卒中理学療法のエビデンスを当院の臨床へ適用できるか検討してみたところ、当院の理学療法機器または設備を用いて実施可能か?の点で、当院にはバイオフィードバックや機能的電気刺激(FES)、BWSTTはないため実施できません。私が実践可能なプログラムは、課題指向型アプローチと下肢装具を用いた歩行練習です。
先輩PT:
PTプログラムが具体的になってきましたね。
当院にFESはありませんが、低周波治療器がありますので治療的電気刺激(TES)として実施することも検討ができますね。それから体重免荷装置はありませんが、トレッドミルならあります。実は体重を免荷しないトレッドミル歩行トレーニングを推奨している論文もありますよ。
新人PT:
わかりました。そうすると、今後の理学療法プログラムの追加も検討できそうです。1日あたり4単位の中で組み込んでみようと思います。それから、ガイドラインでも今回のシステマティックレビューでも高頻度のトレーニングを推奨しています。○○さんもリハビリテーションに意欲的ですから、私がお休みの日も、可能な限り出勤するスタッフに代行での理学療法を実施してもらえるようお願いしていきます。
先輩PT:
それがいいですね。
あと、カナダのWestern Ontario大学のTeasell先生らが作成している「Evidence-Based Review of Stroke Rehabilitation」というレビューがあります。その日本語版を畿央大学の松尾篤先生を中心としたチームが翻訳を行い公開しています。これも非常に有用な情報源になりますよ。
あとは、「イラストで見るEBPTの実践」にあるチェックポイントに基づいて適用を検討してみましょう。
新人PT:
はい。
初回チームカンファレンスでは医師より、歩行自立を目標に理学療法を進めるよう指示があり、PTプログラムも承諾済みです。患者さんへはリハビリテーション総合実施計画書で説明し、同意を得ています。あとは自分の臨床能力として実施可能かですが・・・。ちょっと自信が・・・。
先輩PT:
大丈夫ですよ、私がOJT(On-the-Job Training)しますから。脳卒中リハビリテーションはチームでの関わりが重要になりますから、主治医、看護師、OT、ST、MSWとも協力し合いながら進めてくださいね。
新人PT:
はい、わかりました。カンファレンスでの情報や、ケースタディで出されたチームスタッフの意見を取り入れて進めていきます。
いろいろとご指導ありがとうございました。

第6回 「中枢神経疾患治療に新しい風を送ろう」 目次

2011年12月08日掲載

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