片側検定 one-tailed test

 統計的仮説検定では帰無仮説を設定しますが,対立仮説の状態によって両側検定,片側検定と呼び分けます.
 例を挙げて説明しましょう.例えば,A群とB群の平均の差の検定を行うとします.このとき帰無仮説は“平均Aと平均Bには差がない”と仮定します.統計的仮説検定を行って確率が小さいとき(p<0.05)は,この帰無仮説が否定されますので,“差がある(対立仮説)”と判断します.
 しかし“差がある”という内容には,“平均Aが大きく平均Bが小さいという差”と,“平均Bが大きく平均Aが小さいという差”の2種類が存在します.これら2つの場合を考える差が両側検定となります.しかし“平均Aが大きく平均Bが小さいという差”しか考えない,ときには片側検定を行うことになるのです.
 相関係数の検定でも同様です.“握力と体重に相関がない”と仮定して検定したときに,p<0.05で否定されたとすると,“握力が強くなるほど体重は重い”という相関関係と“握力が強くなるほど体重は軽い”という相関関係の2つがありますが,これらのうち一方しか相関関係が成り立たないと考えて統計的仮説検定を行うのであれば,片側検定となります.ちなみに,差の検定で有意水準5%とするときは“平均Aが大きく平均Bが小さいという差”の1つを,p<0.05として検定するので,両側検定よりも差が出やすい状態になります.
 差があるというときは,平均Aが大きく平均Bが小さいという差か,平均Bが大きく平均Aが小さいという差か,どちらかを確かめたら良い(片側検定)はずです.しかし現状では,原則として両側検定を使用する,という考え方が一般的です.
EBPT用語集の参考文献はこちらのページ下段に掲載しています。ご参照ください。