イラストで見るEBPTの実践
第2回 「アウトカムってなに?」

群馬大学 医学部 保健学科
臼田滋

イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
矛崎健仁

1. アウトカムとゲイン

病棟の廊下で患者と新人理学療法士が会話をしている場面

アウトカム(outcome)は、帰結、結果、あるいは転帰の意味で使われます。アウトカムは、病気・障害を発症してから介入を行った、ある時点での状態をいいます。例えば、退院時のアウトカムということです。それに対して、ある期間の間での改善度をみる場合には、ゲイン(gain:利得)といいます。ある時点での状態が良くても、改善の程度が少ない場合と多い場合があり、介入の効果としては、改善の程度が多い方が優れていることになります。そして重要な点は、このアウトカムを客観的、定量的に測定することです。

◯◯さんは、脳卒中発症から2ヶ月が経過した左片麻痺の患者さんで、現在回復期病棟に入院しています。認知機能や運動耐容能には基本的に問題なく、退院後には、屋外歩行や日常生活活動の自立、家事動作も一部実施できることを目標に練習中です。以前は右膝に疼痛を認めていましたが、軽減傾向で、歩行自立度や歩行持久性も向上してきています。しかし、◯◯さん自身は、なんとなくは良くなっているように感じていますが、何がどの位良くなっているのか、はっきりとは認識されていないようです。

第2回「アウトカムってなに?」 目次

2011年04月28日掲載

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