イラストで見るEBPTの実践
第2回 「アウトカムってなに?」

2. 機能的帰結と機能的利得

新人理学療法士が患者の歩行速度を測定している場面

◯◯さんの最大歩行速度を測定してみたところ、10mに12秒を要し、歩行速度では0.83m/sでした。1ヶ月前は25秒かかり、0.4m/sでした。1ヶ月間で10mを歩行するのに、13秒速くなりました。このように、ある能力・状態を客観的・定量的に測定することで、その効果が明確になり、患者さんと理学療法士が改善の程度を共有することができ、患者さんの動機付けにも良い効果が期待できます。

このようなアウトカムで、日常的な活動の遂行能力を意味する機能的状態(functional status)を測定する場合を特に機能的帰結(functional outcome)といい、その変化を機能的利得(functional gain)といいます。FIM(Functional Independence Measure)がその指標として、国際的にも広く利用されています。

◯◯さんの歩行能力について、歩行速度を測定しました。速く歩くことができることは、患者さんにとって大切な要素ですが、他にも、歩くときに疼痛や不快がない、歩き方がきれい(歩容)、疲れずに長距離歩くことができる(持久性)、転びそうにならない、歩きながら会話ができる、など他の要素もあります。その患者さんにとって価値の高い要素を選んで測定することが大切です。

第2回「アウトカムってなに?」 目次

2011年04月28日掲載

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