理事長挨拶

 糖尿病患者に対して理学療法士は、血糖コントロールのための運動療法指導を担うことだけでなく、近年、高齢患者や運動器に影響を与える合併症を有する患者に対して、身体機能を適切に評価し歩行・移動能力を維持させることが求められるようになりました。理学療法研究においても、その考え方の拡大によって評価指標も幅が広がってきたといえます。理学療法士が糖尿病患者に関わる場面も多様化してきています。教育入院や外来患者が対象だけでなく、患者会での活動や各地域における糖尿病対策推進事業および糖尿病重症化予防プログラムで活動する理学療法士も増えてきています。このように理学療法士の糖尿病患者の診かたおよび関わる場面が広がりつつあり、研究の方法も進化させる必要があります。
 日本糖尿病理学療法学会では、職能に資するエビデンス研究や大規模データベース構築の研究推進事業、糖尿病足病変に関わる理学療法研修事業(足病変予防、足潰瘍治療)、地域における糖尿病対策事業等について、日本糖尿病学会との連携のもとに活動を展開しています。2019年の第6回日本糖尿病理学療法学会学術大会において、当学会は「沖縄表明2019」と題して「糖尿病理学療法の定義」を発表しました。これを機に、糖尿病理学療法という言葉が理学療法士だけでなく他職種にも理解を得て浸透していくよう活動していきたいと考えます。
 当学会は糖尿病に関する基礎研究・臨床研究、メタボリックシンドローム、肥満や糖尿病の予防、腎臓病や肝臓病を有する患者、足病変を有する患者、透析患者等、糖尿病患者に関する健康問題全般を広く扱っていきます。会員の皆様のご協力をお願い申し上げます。
 

2019年11月
日本糖尿病理学療法学会
理事長 井垣 誠
 
 

日本糖尿病理学療法学会<br>理事長 井垣 誠

日本糖尿病理学療法学会
理事長 井垣 誠