理事長挨拶

 この度,一般社団法人 日本呼吸理学療法学会の理事長を拝命することになりました兵庫医療大学の玉木 彰と申します。我々の念願であった学会の法人化を達成し,その初代理事長に就任したことを大変名誉に思っていると同時に,改めて責任の重さを痛感しているところでございます。
 さて本学会の前身は日本理学療法士協会内に作られた内部障害研究部会の呼吸班に遡ります。わが国の呼吸理学療法の啓蒙と発展に長年寄与してこられた先輩方を中心に組織された呼吸班はその後,2013年からは日本理学療法士協会の機関である日本理学療法士学会の分科学会の1つである日本呼吸理学療法学会として活動をして参りました。分科学会となってからは学術大会の開催や,呼吸理学療法の標準化を目指した取り組みを中心に行い,そして昨年からは特に新型コロナウィルス関連で世界各国から日々発信される様々な情報をいち早く会員だけでなく一般の方にも周知することを目的に,本学会のホームページ上に数多くの情報を公開してきました。そして本年4月1日付けで法人格を取得し,新たに一般社団法人 日本呼吸理学療法学会として活動を始めたところでございます。このように学会を法人化するということは,これまでの任意団体とは異なり,社会的信用を得ると同時に法人としての大きな責任が伴ってくるということになります。つまり本学会はこれまで以上に社会貢献に繋がる事業に対しても積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
 また本学会は近い将来,学術研究団体への登録を目指しています。そのため学術・研究活動については学会主導で取り組み,より質の高い研究成果を世界に向けて発信していくことも重要なミッションであると考えています。
 呼吸理学療法に関する研究は,これまでそれぞれの施設が独自に症例を蓄積し,データを分析して論文化や学会発表などを行うという形が多かったかと思います。しかしこれからはエビデンスの構築ためのビッグテータの集積が必要であり,そのため本学会が主導でレジストリー研究に積極的に取り組み,診療報酬の加点に繋がるような成果を公表できるよう尽力したいと考えております。
 以上のことから,本学会としては今後3年間で以下のアクションプランを掲げ,取り組んで行く所存です。
1)呼吸理学療法の標準的評価を確立する
2)ガイドラインを基準に呼吸理学療法プログラムを標準化する
3)COPDに関する多施設共同によるレジストリー研究を実施する
4)COVD-19感染後患者の呼吸リハビリテーションに関するレジストリー研究を実施する
5) 日本呼吸理学療法学会誌(学術誌)を発行する
6)専門A会員を500名以上に増やす
7)他の専門学会との積極的な交流と共同研究を実施する
 
 わが国は世界に類を見ない程の高齢化が進行しており,国民の死亡原因では肺炎,誤嚥性肺炎が上位を占めており,さらに男性においてはCOPDが死亡原因の第8位となっています。今後も加速的に進行する高齢化に対し,呼吸理学療法は呼吸障害の予防や治療に大きく貢献できると思われ,その重要性は益々高まるものと予想されます。このような国民の期待に応えるためにも,本学会が法人格を持つ学術研究団体として成長し,他の学術研究団体からも認められるような学会になれるよう尽力して参りたいと思っております。
会員の皆様におかれましても,どうぞ温かい御指導,御鞭撻の程,何卒宜しくお願い申し上げます。
 

2021年5月吉日
 一般社団法人 日本呼吸理学療法学会
理事長 玉木 彰

一般社団法人     日本呼吸理学療法学会 理事長 玉木 彰

一般社団法人     日本呼吸理学療法学会 理事長 玉木 彰