理事長挨拶

日本栄養・嚥下理学療法研究会 理事長    内田学

日本栄養・嚥下理学療法研究会 理事長    内田学


 このたび、日本栄養・嚥下理学療法研究会理事長の重責を理事会のみなさまのご推挙を頂き、務めさせて頂くことになりました。吉田剛前理事長が築き上げてこられた本研究会の土台を更に強固なものにしていき、今後も発展し続けなければならない研究会の運営を仰せつかるには誠に微力でございますが、会員の方々のご助言、ご協力を仰ぎながら責務を全うしていく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私事ではありますが、2019年~2021年度にかけて運営幹事・理事として本研究会の運営に携わらせて頂きました。直近の1年間は分化学会・部門を日本理学療法学会連合へ移行する準備段階にあたり、栄養・嚥下理学療法のこれまでの実績を振り返りながら、今後進むべき方向性と達成すべき課題を明確にしてまいりました。色々な議論を経て、日本栄養・嚥下理学療法研究会は法人学会化に向けた舵取りを理事会にて決議いたしました。今年度は、学会化に向けた事前審査の受審準備を進めて参ります。本研究会の発展の為に法人学会化は悲願でもあります。以下、今後の研究会運営について私見を述べさせていただきます。
 我々理学療法士の専門性は、運動水準に基づく機能維持・改善を目指し国民の保健・医療・福祉に貢献し続ける事であり、対象者の社会的復権を構築する専門家であることは明確です。この運動水準を、日常の行動水準に般化させるために栄養と嚥下は切っても切り離せない関係にあることは当然のことながら、運動療法を展開する上でも全ての理学療法士が意識すべき最重要事項であることを伝えてまいりました。栄養と嚥下の知識は、運動を提供する我々にとって一丁目一番地であり、専門的に介入する事の啓発は以前と比較しても進んでいるように感じます。一方で、診療報酬上の算定が困難、所属先での業務分担により参画の機会に恵まれないという声がある事も現実です。まだまだ啓発は必要であることも理解していますが、今後は、多くの他団体と共存し理学療法士が参画する事で得られる効果を示し、存在意義を追求していくことも必要な仕事であると考えています。それには、多職種連携を軸に据えたあらゆる栄養・嚥下理学療法の効果を科学的に捉え、学際的に示していくことが必要です。これは本当に大切にしている我々の覚悟でもあります。「啓発活動」と「科学の追求」、一つ一つが独立した課題への対応に思えますが、本研究会の存在や会員の皆様方のご尽力により一つの文脈でつなぎ合わせていくことが出来るものと考えております。学術団体としての社会的役割を強く認識し、理事、評議員、専門会員、一般会員の全ての皆様のお力をお借りしながら本学会の発展に寄与していけるよう微力を尽くす所存です。
 末筆ながら、会員の皆さま、ならびに関係するすべての方々に、本研究会の活動と運営へのご協力のお願いをいたしまして、着任の挨拶に代えさせて頂きたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 

2022年5月31日
日本栄養・嚥下理学療法研究会 理事長 内田学