第5回日本予防理学療法学会学術大会を振り返って

第53回日本理学療法学術大会

2018年10月20、21日に分科学会として、単独運営で開催する初めての学会を北九州国際会議場にて開催されました。開催期間の2日間とも晴天に恵まれた良い気候で盛会となりました。


廣滋大会長のご挨拶からはじまり、島添準備委員長による開会宣言が行われました。
 

特別講演では、医薬基盤・健康・栄養研究所 身体活動研究部 部長 宮地 元彦先生に「運動器の機能低下予防のための運動」をご講演頂き、我々理学療法士が指導する運動についてのエビデンスをご教授頂きました。
 

特別講演2においては、筑波大学大学院 人間総合科学研究科 山田運営幹事に「フレイルとサルコペニアに対する栄養・運動の効果」についてご講演頂き、フレイルの基礎知識や実践されておられる内容について解説頂きました。


海外招待講演では、マラヤ大学 医学部 教授/学部長のWah Yun LOW先生に「PHYSICAL INACTIVITY AND NON-COMMUNICABLE DISEASES(NCDs): PREVENTIVE STRATEGIES」をお話し頂きました。座長の大渕代表運営幹事にはスライド毎に同時通訳を頂き、聴講者も戸惑いなく貴重な講演を拝聴できました。NCDsは日本においても重要な問題であり、生活習慣病に対する世界の動向を知ることができました。
 

シンポジウムにおいては、「予防理学療法領域における産業・栄養・嚥下部門の活動から相互作用を見出す」と題して、各代表運営幹事より学会・部門の問題点や今後の展望についてお話頂きました。司会を務められた浦邉運営幹事には各シンポジストへこれらの将来展望を質問頂きました。
 

パネルディスカッション1では、「勤労者世代を対象とした予防領域での他職種共同参画の模索と将来展望」と題して、予防・産業・栄養嚥下の各スペシャリストによる実践内容と分科学会に対する期待と展望をご指南頂きました。


パネルディスカッション2では、「日本の予防理学療法領域が行うべき研究課題とその展望」を地域活動・内部障害・運動器の各有識者である3名に予防理学療法領域に関する研究の可能性と限界、将来展望についてディスカッション頂きました。


市民公開講座においては26名の一般市民のご参加を頂き、福岡大学大学院スポーツ健康科学研究科の檜垣 靖樹先生に「地域社会で行う健康増進・疾病予防としてのスロージョギング」ついて実技を交えご講演頂き、我々のみならず市民の方々も真剣にお聞き頂きました。


専門領域の分科学会ということもあって、一般演題発表では口述(89演題)・ポスター演題(119演題)ともに活発な質疑が行われていました。
 

昨年度の優秀演題表彰には、土井剛彦氏(中央右)と新井智之氏(中央左)が授賞されました。プレゼンターは廣滋大会長(左)、島田裕之氏(右)。

第52回大会
優秀賞
「軽度認知機能障害と歩行速度低下により認知症の発症リスクは増加するか?」
土井 剛彦 氏

集会長賞
「地域在住中高年者の2年後のロコモ移行に関わる要因の検討」
新井 智之 氏


今後の予防理学療法の発展と関連する部門との相互作用を連想させる大変興味のある学会となりました。次年度、次々年度の学会予定もされておりますので、ご興味や自分の研究や臨床現場でも発表できる場であることをご理解頂ければ幸いです。
 
(文責)日本予防理学療法学会運営幹事 西川正一郎