第7回学術大会 特別講演Ⅰ

明るい未来を拓くリハビリテーション栄養

若林 秀隆
東京女子医科大学病院リハビリテーション科教授・診療部長

略 歴
平成7年 横浜市立大学医学部卒業
平成28年 東京慈恵会医科大学大学院医学研究科臨床疫学研究部修了

資 格
日本リハビリテーション栄養学会:リハ栄養指導士
日本静脈経腸栄養学会:指導医

活 動
日本リハビリテーション栄養学会:理事長、国際委員長、編集委員
日本リハビリテーション病院・施設協会:理事、医科歯科連携推進委員会委員長
日本サルコペニア・フレイル学会:理事、広報委員会委員長、編集委員

論 文
Shamoto H, Koyama T, Momosaki R, Maeda K, Wakabayashi H. The effects of promoting oral intake using the Kuchi-kara Taberu index, a comprehensive feeding assistant tool, in older pneumonia patients: a cluster randomized controlled trial. BMC Geriatrics. 20(1):36.
Nishioka S, Wakabayashi H, Maeda K, Shamoto H, Taketani Y, Kayashita J, Momosaki R. Body mass index and recovery of activities of daily living in older patients with femoral fracture: an analysis of a national inpatient database in Japan. Arch Gerontol Geriatr. 2020. doi: 10.1016/j.archger.2020.104009.

講演要旨
 リハ栄養とは、国際生活機能分類による全人的評価と栄養障害・サルコペニア・栄養摂取の過不足の有無と原因の評価、診断、ゴール設定を行ったうえで、障害者やフレイル高齢者の栄養状態・サルコペニア・栄養素摂取・フレイルを改善し、機能・活動・参加、QOLを最大限高める「リハからみた栄養管理」や「栄養からみたリハ」である。理学療法を要する患者には、低栄養やサルコペニアを認めることが多く、これらが生活機能やQOLを低下させる一因である。一方、低栄養やサルコペニアの入院リハ患者が入院中に栄養改善すると、嚥下機能やADLがより改善する。そのため、リハ栄養の考え方が重要である。理学療法を要する患者にはフレイルやサルコペニアを認めることが多いため、リハ栄養ケアプロセスを使用して、攻めのリハ栄養管理を実践してほしい。リハ栄養ケアプロセスは、以下の5つのステップで構成され、このマネジメントサイクルを回し続けることが重要である。
①リハ栄養アセスメント・診断推論:国際生活機能分類による全人的評価、栄養障害・サルコペニア・栄養素摂取の評価・推論
②リハ栄養診断:栄養障害・サルコペニア・栄養素摂取の過不足と原因
③リハ栄養ゴール設定:仮説思考でリハや栄養管理のSMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)なゴール設定
④リハ栄養介入:「リハからみた栄養管理」や「栄養からみたリハ」の計画・実施
⑤リハ栄養モニタリング:リハ栄養の視点で栄養状態やICF、QOLの評価