COVID-19に関する情報(心の健康予防)3

3,患者、介護者等のこころの健康予防のためのQ&A
 
 当ページは、日本予防理学療法学会の有志の理学療法士が中心となり、リハビリテーション患者、介護者等のこころの健康を保つための情報提供を目的として開設されました。
 心の健康を保つために必要な情報をQ&A方式で記載しましたので、下記の気になるQをクリックしてご参考くださいませ。
 ※下記Q&Aは、執筆者間で検討して抜粋したものです。作成にあたり、できる限り根拠に基づいて回答できるよう努めておりますが、実際に参考にする場合は個人の環境にあわせて適宜対応をお願いいたします。また、参考にした文献やサイト等は明記しておりますので、併せてご参考くださいますようお願いいたします。
 


Q1:感染予防のため面会禁止となっています。患者さんが外部の方と会えず気持ちが落ち込んでいる場合の対応を事例をまじえて教えてください。
 
A:会って話す機会を持つことは難しいですが、電話、Eメール、ソーシャルメディア、ビデオ会議などにより大切な人と定期的に連絡をとる機会を作ると良いと思います1)。不安な気持ちなどを大切な人たちと共有してみてください。
 また、対面での面会が難しいなか、オンラインでの面会を開始している施設等があります。厚生労働省より、「高齢者施設等におけるオンラインでの面会の実施について」(令和2年5月15日付事務連絡)(介護保険最新情報Vol.834)2)として、利用者側、ご家族等側での注意点や具体例を交えて記載していますのでご参考ください。
 総合病院3)や福祉施設4)で働く公認心理師が患者さんや利用者さんに対して行っていることをまとめているサイトもありますので、ご活用下さい。
 
文献
1)Mental Health Considerations during COVID-19 Outbreak(原文: https://www.who.int/publications-detail/mental-health-and-psychosocial-considerations-during-the-covid-19-outbreak).COVID19医療翻訳チーム(COVID19-JPN.COM)日本語訳「WHO_COVID-19アウトブレイク中のメンタルヘルスに関する注意点」.(2020年5月19日引用)
2)厚生労働省ホームページ 「高齢者施設等におけるオンラインでの面会の実施について」(令和2年5月15日付事務連絡)(介護保険最新情報Vol.834).https://www.mhlw.go.jp/content/000631026.pdf(2020年5月19日引用)
3)総合病院で働く公認心理師のしていること.
  http://cocoro-job.jp/psychologist/2206/(2020年5月22日引用)
4)福祉施設で働く公認心理師のしていること.
 http://cocoro-job.jp/psychologist/2327/(2020年5月22日引用)

 

Q2:自宅で親を介護しているのですが、デイサービスやデイケアを中止してから、親があまり動いておらず心配です。何かいい運動などはありませんか?
 
A:通っていたデイサービスやデイケアの方に相談すると、行っていた運動などを教えてもらえるかもしれません。是非電話をしてみましょう。直接職員さんから親御さんに伝えてもらうことで、やる気も違うかもしれません。
 また、自粛をふまえて、ソーシャルディスタンス(人と2Mほどの距離)や3密(密閉空間、密集場所、密接場所)を避けられれば、一緒に近所を散歩することから始めても良いかもしれません。加えて、運動を強制しすぎることはおすすめできませんが、自宅でできる体操をチラシや動画などで紹介しているサイトがありますので、下記もご参考ください。

〇日本理学療法士協会では、外出できない時に体力を落とさないためのリハビリテーションについてPDFで紹介しています1)
http://www.japanpt.or.jp/info/20200305_01.html

〇東京都理学療法士協会では、自宅でできるリハビリテーションを動画で紹介しています2)。⇒http://www.pttokyo.net/info/jitaku

〇厚生労働省では、全国の体操動画やリーフレットを紹介しています3)。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00001.html

 さらに、お一人で運動を行うのが難しい方、介助が必要だったり寝たきりの方もいらっしゃると思います。そのような場合には、日中横になる時間をできるだけ少なくし、まずは起きて座ることだけでもしてみましょう。
 
文献
1)公益社団法人日本理学療法士協会ホームページ 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛による生活不活発病の予防について.http://www.japanpt.or.jp/info/20200305_01.html(2020年5月22日引用)
2)公益社団法人東京都理学療法士協会ホームページ 自宅でできるリハビリ.http://www.pttokyo.net/info/jitaku(2020年5月22日引用)
3)厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ) - 全国の体操動画やリーフレットの紹介.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00001.html(2020年5月22日引用)

 

Q3:自宅で介護をしています。自分が感染してしまった場合、どのような対応をすれば良いか教えてください。
 
A:介護を引き継げる家族、親類がいる場合もいない場合も、あると思います。介護する方や支援する方は、事前に関係してる医療・福祉機関、自治体など、また日頃から携わっている専門職へ相談しておくことを勧めています。また、どのような場合であっても、救急や医療・福祉関係者などが確認できるように、介護を受けている方の引継ぎシートを作成しておくことが推奨されています。以下のホームページ内の「緊急情報サイト」をご参考下さい。
http://carersjapan.jimdofree.com/
在宅療養児介護者の COVID-19 感染判明時等の支援について 1)
 
文献
1)在宅療養児介護者の COVID-19 感染判明時等の支援について 2020 年 4 月 7 日 公益社団法人日本小児科学会 小児医療委員会.(2020年5月22日引用)

 

Q4:感染してしまい、入院(隔離、自宅待機)しています。とても不安です。どのように過ごしたら良いか教えてください。
 
A:隔離されたときに不安や恐怖、怒りなどの反応が生じるのはとても自然なことです。心の健康を保つために自分自身の体調を客観的に、落ち着いて評価することやいつも通り過ごすなどがおすすめです。最悪の事態をずっと考え続けることや新型コロナウイルスに関する情報やニュースをずっと読み続けるのはやめましょう。 情報過多は、必要以上に不安や心配な気持ちを引き起こすかもしれません。日本赤十字社では隔離や自宅待機により行動制限されている方々へ「感染症流行期にこころの健康を保つために1)」で、おすすめすることと、避けることを記載しておりますので、ご参考ください。
 
文献
1)日本赤十字社ホームページ「感染症流行期にこころの健康を保つために~隔離や自宅待機により行動が制限されている方々へ~」(2020年5月22日引用)
 


Q5:感染してしまい、入院による隔離やホテルでの生活、自宅待機となり以前のようによく眠れなくなりました。環境が変わったり、いろいろと考えてしまい、昼夜逆転したり、浅い眠りで熟睡できません。どのような睡眠改善方法がありますか。
 
A:眠れない原因はいろいろとあります。 環境がかわると、いろいろな原因のために「眠れない」ということを体験します。 「眠かわい=睡眠薬が必要」というわけではありません。原因に応じた対応が大切です。 身体的な川では 咳や痰・息苦しさ・だるさ・痛みなど。心理的な原因では病気に関するショックや不安・家族の心配・仕事のことなどがあります。

快適な睡眠を送る方法としては1)
①朝の光と朝食が 1 日のからだのリズムを作ります
・決まった時間に起きましょう
・光を浴びることで目覚めがスッキリ
・朝食をしっかり食べましょう
②わずかな昼寝で午後も元気に
・ 午後 3 時までの 15 分程度の昼寝がベスト
・午後 3 時以降の昼寝は夜の睡眠の妨げに 快適な眠りは工夫次第
③快適な眠りは工夫次第
・就寝4時間前のカフェイン摂取は控えましょう
・就寝前のテレビやスマートフォンは控えましょう
④リラックスが快眠の手助け
・ 軽いストレッチをしたり,深呼吸をしたり自分に合ったリラックス法を
・就寝時間にこだわりすぎない

 
以上の方法でも眠れないときは、専門医と相談してお薬による調整も選択肢です1)
 
 文献
1)京都府立医科大学附属病院 精神科・心療内科 新型コロナウイルス感染症で入院された方へ~眠れない・気持ちがつらいときは~(2020年5月22日引用)

 

 Q6:限られた空間での生活で、毎日が落ち着きません。これからのことが心配で心が落ち着きません。何か心の落ち着くを取り戻したり、安らぐ方法はありませんか。
 
A:安らぐ方法1)としては
①こころの中を整理しましょう
・疑問や心配事・不安に思っていることを紙に書き出す
・今考えるべきこと、後で考えるべきことをわける
・正しい情報を見極める
 ②考え方を工夫してみましょう
・今心配していることが実際にどれくらいの可能性で起こるか冷静に考える
・家族、友人、他の患者の言葉を思い出す
・同じ状況におかれた家族や友人にどのように声をかけるか考える
・「元気なときの自分ならどう考えるのだろう?」と問いかける
③人と話してみましょう
 ・ 身近な信頼できる人に話を聞いてもらう、愚痴をこぼす (電話の他に、顔が見えるスマートフォンやタブレット端末がおすすめです)
④いつもとは違う対処方法を探してみましょう
・できるだけ頭を自由にして思いつくまま対処法を考えてみる
・過去のつらい状況を乗り越えるのに役立った方法を思い出す
・経験者や他の患者さんがおこなっている工夫を試してみる
⑤心をリラックスさせる方法を身に付けましょう
・ストレッチ、呼吸法など 体を少し動かしてみましょう
 
文献
1)京都府立医科大学附属病院 精神科・心療内科 新型コロナウイルス感染症で入院された方へ~眠れない・気持ちがつらいときは~(2020年5月22日引用)