研究デザイン:
単マスク化無作為化比較試験
対象:
高リスクの腹部大動脈瘤患者20名。取込み基準は、少なくとも2週間の術前期間があり、65歳以上、喫煙歴、COPD、肥満(BMI>27)のリスク因子が1つ以上あること、オランダ語を理解し(訳者註:本研究はオランダで実施された)スパイロメトリーを実施できることである。除外基準は、脳血管障害、術前30日以内の免疫抑制治療、神経筋疾患、肺手術の既往、および術前8週以内の理学療法治療歴である。
手順:
外来から紹介された患者を無作為に介入群10名と対照群10名に割り付けた。両群とも少なくとも手術の2~4週前に研究に参加し、介入群はトレーニングを開始し、対照群は通常のケアを受けた。術後の主要帰結評価である胸部X線写真は、マスク化された医師が評価した。
介入:
介入群は1日6回、週6回の吸気筋トレーニングを、週1回は理学療法士の指導下で、他の5回は非指導下で実施した。吸気筋トレーニングはThresholdを用い、最大吸気筋力の20%から開始し、RPEが5以下になった場合は2cmH²Oずつ負荷量を増加させた。
通常ケア:
両群とも術前の通常ケアとして、横隔膜呼吸、インセンティブスパイロメトリー、咳嗽および強制呼出手技FETを行った。両群とも術後理学療法として、深呼吸、横隔膜呼吸、FETおよび咳嗽を行った。また、両群とも早期離床を促された。
評価:
主要帰結評価として無気肺発生の有無を評価した。介入群では実施可能性評価として有害事象発生の記録を行い、また、退院2週後に患者満足度をアンケート調査した。副次帰結評価として、最大吸気圧MIP、吸気筋持久力、肺活量VCを計測した。吸気筋持久力はThresholdを用いて30%MIPから開始し 2分ごとに10%MIP負荷を増加させ、2分間完遂できた吸気圧(cmH²O)で表わした。