理学療法の臨床に役立つ学術情報を日本語で読む。
【論文の概要】背景 筋筋膜性疼痛症候群(MPS)は疼痛、筋スパズム、知覚過敏、動作制限、筋力低下を特徴とした疾患である。加えてMPSでは高感度のポイント(トリガーポイント)がみられ、これらのトリガーポイントや筋硬結は、ストレッチ、リラクゼーション、表…
【論文の概要】背景 変形性股関節症(股OA)患者に対する人工股関節全置換術(THA)は疼痛の軽減、股関節の可動域の改善、筋力や安定性の改善のために一般的に施行される手術である。THA術前の身体機能、疼痛、内科的合併症など種々の要因が術後の活動能力や歩行…
【論文の概要】背景・目的 認知症は、認知機能面だけではなく、身体機能面も衰退がみられる疾患である。身体活動(Physical activity)は、認知症患者さんの認知面や身体機能面をプラスに向上させる治療法として好意的に捉えられているが、現状ではまだ有効な指…
【論文の概要】背景 腰痛に関するシステマティックレビューでは、理学療法の効果は限定的と報告されている。この原因の1つとして、腰痛に対する理学療法の効果を検討した研究では、様々な特性をもつ症例を1つの集団として分析していることが指摘されている。…
【論文の概要】背景 日常生活では、身体と自己意識は空間の一つの位置に統一されている。身体は常にあり、知覚の分離した対象ではないため、身体自己意識はどの感覚機能が手がかりになっているのかについて、経験に基づく研究では証明が難しい。しかし、体外離…
【論文の概要】背景 過去の研究において、空間無視に対する治療法は複数報告されている。その中に、カロリック前庭刺激(Rode,Perenin,Honore&Boisson,1998)は、線分二等分を含む複数の無視症状を変化させるという報告がある。カロリック前庭刺激は前庭系を賦…
【論文の概要】はじめに 加齢により動作のばらつきが増加することは知られている。特に、高齢者の歩行におけるばらつきの増加は転倒や移動能力障害などと関連性がある。運動時の加齢変化や運動機能のばらつきに関する報告は多数あるにもかかわらず、そのメカニ…
【論文の概要】背景 初期接地時の膝関節にかかる接触力の増加は変形性膝関節症(以下、膝OA)を進展させるものである。先行研究では、初期接地時の下肢は衝撃が生じながら運動連鎖が働くとされ、過度の衝撃力は膝OA等の病態や原因として示されている。また、人…
【論文の概要】背景 立ち座りの運動は、子どもの発達を診ていく上で重要な指標の一つであり、日常生活の自立や移動能力の発達において最も重要な要素の一つである。立ち座りのテストは、過去に機能的な下肢筋力の評価として行われてきた。繰り返しの立ち座りの…
【論文の概要】背景 股関節・膝関節置換術後の入院期間は近年短縮されてきているが、これには回復期施設への転院数の増加が関係している。自宅に退院するか回復期施設へ転院するかの判断は、術後の経過が一様でないにも関わらず、術後早期に決定することが求め…
【論文の概要】背景 慢性心不全(CHF)患者に対する運動療法は、持続的で中等度の強度での有酸素運動が中心であるとされてきた。近年、心疾患患者に対するより高強度でのインターバルトレーニング(HIIE)が、持続的有酸素運動よりも効果的であると報告されてい…
【論文の概要】背景 脳血管障害患者において、体幹を制御する能力は安定したバランス能力を獲得するための基盤となる。フィジオボールでのエクササイズは、姿勢の動揺によって姿勢保持のために筋が応答し、台座上でのエクササイズよりも体幹筋が潜在的に活性化…
【論文の概要】背景 脳卒中患者の下肢に対するリハビリテーションに使われるバーチャルリアリティ(VR)による介入を確認し、その根底にある訓練メカニズムを社会的認知理論(SCT)や運動学習理論(MLT)の枠組みを使って説明することを目的とする。 それぞれの…
【論文の概要】背景 Lateropulsionは、Davisによって最初に報告され、あらゆる姿勢において麻痺側に傾倒し、姿勢の他動的な修正に対し抵抗する現象である。またLateropulsionのない患者と比較して、退院時の機能水準がより低く、入院期間が長期化することが報…
【論文の概要】背景 変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は世界中で重要な健康問題とされており、60歳以上の男性10%、女性18%以上が罹患している。縦断研究によると膝損傷(例、半月板損傷やACL損傷)を経験した12-20歳の人々は、変形性膝関節症(以下、膝OA)…
【論文の概要】背景 現在、6分間歩行テスト(6MWT)は脳卒中患者の歩行持久力の測定として広く用いられている。また、脳卒中患者の歩行における麻痺側足底屈筋力の重要性は広く立証されているが、麻痺側足背屈筋の関与は報告されていない。目的 本研究の目的…
【論文の概要】背景 脊椎マニピュレーションは、腰痛患者に対する有効な治療法であるとされているが、その理論とメカニズムについては議論の最中である。一般的に、徒手療法士は腰痛患者に対して脊椎のどの部位にマニピュレーションを施行するべきかを重要視し…
【論文の概要】背景 筋疲労は身体運動中に生じる最大随意力の低下を引き起こす。長時間の運動後に生じる筋疲労や中枢性疲労,神経筋機能の変質に関する研究は多く行われているが,筋疲労が一致タイミング反応(coincident timing response)の調整や運動イメー…
【論文の概要】背景 サルの聴視覚ミラーニューロンの発見は、ヒトの運動前野が行為の観察だけでなく行為に関連した音を聴いた時にも関与するという仮説の基になった。しかし、“行為-聴覚”の根底にある脳全体の構造と機能は十分解明されていない。目的 本研究…
【論文の概要】背景 運動学習において、注意の方向性はパフォーマンスの獲得に重要な役割を持つことが知られている。Durhamらは、上肢のリハビリテーション中に理学療法士の教示やフィードバックを観察し、リハビリ対象者にどのように注意を向けさせているかを…
【論文の概要】背景 頸椎に対する徒手療法は機械的な頸部痛や付随する頭痛に対し実施されている。その際、頭部や頸部を様々な肢位に固定するため、一時的に脳への血流が損なわれる可能性がある。また、血流量の変化が血管壁へのメカニカルストレスを増大させ、…
【論文の概要】背景 内側広筋および股関節外転筋群は膝蓋骨トラッキングにおいて重要な役割を担っている。先行研究において内側広筋と外側広筋は膝蓋骨を安定させる作用を有している理由から、内側広筋と外側広筋の筋力強化を目的に屈曲角度の少ないスクワット…
【論文の概要】背景 扁平足は、柔軟性のないものと、柔軟性のあるものに分けることができる。柔軟性のある扁平足では、症状を認める扁平足(SFF)、症状を認めない扁平足(ASFF)に分けることができる。柔軟性のない扁平足では治療の必要性が唱えられている。…
【論文の概要】背景 変形性膝関節症(膝OA)は、65歳以上の高齢者の約30%に発症し、膝OAの87%は両側に発症する。高齢者の日常生活は、膝OAによってしばしば制限される。人工膝関節置換術(TKA)は、重度膝OAの効果的な治療として一般的な手術方法であり、TKAに…