理学療法の臨床に役立つ学術情報を日本語で読む。
【論文の概要】【解説】 サッカー選手における外傷・障害発生の半数以上は下肢損傷と報告され,上肢損傷は13.4%であることが報告されている1).しかし,近年はプレーの高速化やプレッシングやマークが厳しくなりサッカー選手の肩障害が増加していることが報告…
【論文の概要】【解説】 小脳性運動失調症のフレームワークでは、同じ小脳障害でも脳血管障害後遺症と変性疾患では予後が異なるため、結果を解釈する上では注意が必要である。本研究では、小脳変性疾患のみを対象としたものであり、いわゆる脊髄小脳変性症(含…
【論文の概要】【解説】 脳性麻痺児以外にも近年、任天堂のWii Fitを利用したバランス練習の報告1)は多い。これは高齢者の報告だが転倒リスクを軽減させ、有用で費用対効果が高く、時間がかからず、自宅で行うプログラムとしても最適とされる。VRなどの様々な…
【論文の概要】【解説】 近年、がん治療の進歩によりがん患者の予後が改善した一方で、がん治療に伴う心血管障害を招くことが明らかとなっている1)。特にATN系薬剤による心機能障害や次いで生じる運動耐容能低下などの心臓毒性の予防や治療が臨床的課題とされ…
【論文の概要】【解説】 これはアメリカのデラウェア州にあるUniversity of Delaware Physical Therapy Clinicで行われた研究であり、2年間のフォローアップによる無作為化比較試験のプロトコル(途中経過)に関する論文である。この論文が掲載されたジャーナ…
【論文の概要】【解説】 脳卒中患者に対するロボットアシスト歩行練習は、対照群と比較して有意な効果を示した報告もある(Review, Bruni et al., 2018)。これらの先行研究の結果をもとに、本研究では脳卒中後の亜急性期の時期に焦点を当てている。主要アウト…
【論文の概要】【解説】 レット症候群は稀な進行性の神経発達性障害で,主に女児でみられる.レット症候群は1966年に初めて紹介され,1999年に原因遺伝子が判明した.生後約6~18ヶ月間は正常に段階的な発達を示すが,手の動き,コミュニケーション能力などの獲…
【論文の概要】【解説】 本研究の限界としてRCTとしては対象者の半数がdrop outしている点やAAN制御の詳細が記載されていないなどの問題はあるが、慢性期脳卒中に対するRAGTの報告はいまだに限られており、非麻痺側の制御に着目した新たな知見を提供している。…
【論文の概要】【解説】 脳卒中リハビリテーションにおいて、TENSは痙縮やバランス機能の回復を促進することが示されており1)、足関節へのTENSとtask-related training(課題関連トレーニング)の組み合わせが、脳卒中患者の歩行速度および持久力を有意に改…
【論文の概要】【解説】 人工膝関節置換術前のリハビリテーションは術前の運動機能を改善し、その結果術後の運動機能の向上を図るために実施される。しかしながら近年のシステマティックレビューでは術前のリハビリテーションが術後の痛みや運動機能、筋力など…
【論文の概要】【解説】 心不全患者において患者教育、健康的な生活への行動変容、運動療法などを含む包括的心臓リハビリテーション(CR)が推奨されている(クラスI、エビデンスレベルA)1-4)。しかしながら、介護者の不足、待機リストの長期化、通院手段、パ…
【論文の概要】【解説】 エルゴメーターを用いたトレーニングは、古くから実施されてきたが、整形疾患や呼吸器疾患の心肺機能の改善を目的とすることが多かった。しかし、エルゴメーターなどによる有酸素運動が神経回復を促すという基礎研究の知見1)が増えて…
【論文の概要】【解説】 これはトルコのHacettepe Universityで行われた研究であり、2年間のフォローアップによる無作為化比較試験である。この論文が掲載されたジャーナルの2019年インパクトファクター(Journal Citation Reports)は2.276であり、2020年7月7…
【論文の概要】【解説】 レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかけて行う運動の総称1)で、抵抗をかける手段としては、トレーニングマシンなどの機器を用いたもの、ダンベル、ゴムチューブなどの道具を用いたもの、スクワットや踵上げなど自重…
【論文の概要】【解説】 本論文は行動介入戦略が身体活動を増加させるだけでなく、座っている時間を減らす、ということが長期的に維持可能であるかについて調査したものである。 近年、短時間の運動を数回繰り返す、いわゆる細切れ運動の効用が示されるように…
【論文の概要】【解説】 ACL損傷はスポーツ選手に多い膝関節の障害であり、その発生頻度は男性より女性で3〜5倍多い1)。約70%が非接触型損傷であり2)、スポーツ動作時の動的アライメントの改善を図る予防的介入が注目されている。ACL損傷予防プログラムとして…
【論文の概要】【解説】 近年、糖尿病を改善させ心血管疾患リスクを低下させるための方法として習慣的な運動が推奨されており、有酸素運動とレジスタンス運動の併用はそれぞれの運動単独よりも効果的に糖尿病を改善させることも報告されている1)。また、厚生…
【論文の概要】【解説】 PSTやGIRDは、野球やテニスなどのオーバーヘッドスポーツに共通して認められる機能不全である1, 2)。これらの機能不全は、肩峰下インピンジメント3)やinternal impingement4)を引き起こし、肩関節障害を引き起こすリスクの1つと認識さ…
【論文の概要】【解説】 近年、急性ハムストリング損傷のリハビリテーションとして、いくつかのプロトコールが提唱されている。Asklingら1)のL-protocolはハムストリング伸張位での遠心性筋力に重点を置き、復帰期間の短縮と再発予防への有効性を示している。M…
【論文の概要】【解説】【解説】TKA後には膝伸展筋力や歩行能力など,運動機能の低下が著明にみられるため,これらを回復させることは術後の理学療法にとって最大の課題である。このような運動機能の低下は術後早期に著明に生じることから,術後早期の高強度リ…
【論文の概要】【解説】 MI-Eは神経筋疾患患者の気道クリアランス方法としてしばしば用いられており、その有用性は多く報告されている。Chatwin等1)は肺炎を有する神経筋疾患患者に対するMI-Eの使用は排痰に要する時間を有意に減少させると報告しており、さらに…
【論文の概要】【解説】 日本のTHA, TKA, UKAにおける在院日数は諸外国に比べ非常に長く,医療費削減のためにも在院日数の短縮化が求められている。術後早期にリハビリテーションを開始することで運動機能の回復などが早まり,人工関節によるメリットを最大限…
【論文の概要】【解説】 2015年の時点で、全世界には4,700万人の認知症者がいると推計されている1)。超高齢社会である本邦においては、認知症の有病率は2.9%から12.5%と報告によって異なるものの年々上昇している2)。そのため、認知症者の認知機能を維持・…
【論文の概要】【解説】 頸部痛は筋骨格系疾患でよく見られ、加齢に伴い頸部痛の罹患率が増大し、65歳以上では38.7%に至るという報告もある1)。MMTは他のモビライゼーションやマニピュレーション、運動療法とともに機械的な頸部痛症例に適用されているが2)、非…
【論文の概要】【解説】 「筋力増強運動によって脳卒中患者の痙性が高まり、運動機能が低下してしまうのではないか?」という論争が存在した時代もあったが、1990年代に筋力増強運動による痙性に対する悪影響はないという研究が発表され、脳卒中後のリハビリテ…
【論文の概要】【解説】 本邦で毎年実施されている国民健康・栄養調査(2016年)では、70歳以上の肥満者(body mass index ≧ 25 kg/m2)の割合は男性28.6%、女性23.7%であることが示されている1)。肥満に健康障害を伴うことで肥満症と診断されるが、肥満症…
【論文の概要】背景、緒言 重篤なICU患者は、重度の筋萎縮と筋機能の障害が生じる。これはICU関連筋力低下(ICU acquired weakness: ICUAW)といわれ、ICU治療終了後も長期に渡り生じ、その後の合併症の罹患率および医療費の増加をもたらし、患者のQOLを低下さ…
【論文の概要】背景、緒言 慢性期脳卒中患者は退院後もリハビリテーションのトレーニングを継続することで効果が得られる可能性がある。目的 本研究の目的は介護者による自宅での介入(Caregiver-mediated, home-based intervention, CHI)が身体機能や社会参…
【論文の概要】背景、緒言 身体運動は認知機能の低下を遅らせる手段として有効であると報告されている。特に、認知機能の中でも処理速度や遂行機能に運動が有益であるとされている。しかしながら、これらの研究の多くは健常高齢者を対象としており、実際に認知…
【論文の概要】背景、緒言 関節リウマチ(RA)は、滑膜炎症、関節の腫脹および変形に特徴づけられる慢性かつ全身性の免疫疾患である。また、RA患者は心血管疾患(CVD)リスクが高いことが知られている。一方、高強度インターバルトレーニング(HIIT)は心血管…
【論文の概要】背景、緒言 ハムストリングスの柔軟性を高めるために、しばしば静的ストレッチ(SS)が用いられている。ハムストリングスの柔軟性に対するSSの急性または慢性効果はこれまでに多くの報告がある。先行研究では、筋腱複合体(MTU)および受動トル…
【論文の概要】背景、緒言 癌性カへキシアは著しい骨格筋量の減少を伴い、これは運動耐用能や生活の質の低下を招き、死亡率を上昇させる。近年カヘキシア患者において、身体活動性と生命予後には正の相関があることが報告されているが、そのメカニズムは明らか…
【論文の概要】背景 実環境における歩行は活動量計や自己申告によって評価される実際の生活環境における歩行の実態を示し、身体機能の低下や脳卒中の再発の予防に重要であることが報告されている。しかしながら、脳卒中後遺症者においては同年代の健常高齢者と…
【論文の概要】背景 脊髄小脳失調症(SCA)は常染色体優性遺伝の神経変性疾患であり、SCA患者は歩行時や立位時の失調、ジスメトリア、または四肢の失調を含む小脳症候群を示し、転倒リスクを増加させることが報告されている。失調症状を完治させる治療法は確立…
【論文の概要】背景 年間30%の高齢者が転倒し、その20-30%は中等度~重篤な外傷を引き起こす。生活機能低下や要介護状態につながりかねない重要な課題である。近年、転倒予防ための運動プログラムが多く存在するが、重篤な転倒に対する効果を大規模RCTで示さ…
【論文の概要】背景 脳卒中患者に対するリハビリテーションではセラピー時間を増大させることが良好な結果に繋がることが多数報告されている。そのセラピー時間を増大させ、かつスタッフが関わる時間を増大させず可能な1つの方法として、監視下のもとグループ…
【論文の概要】背景と目的 WHOによると認知症は高齢者のADL依存を引き起こす主因であり、公衆衛生において重要視されるべき問題であるとされている。認知機能低下はバランス機能低下に関連し、その影響は認知症のタイプと重症度により異なるとされている。本研…
【論文の概要】背景 骨粗鬆症や閉経後の骨量減少は世界中で大規模な社会的及び経済的負担を招いている。定期的な運動や身体活動はより高い最大骨量(PBM:peak bone mass)を獲得し、PBMの維持や老年期の骨量減少を予防する効果的な介入である。しかしながら、…
【論文の概要】背景 高齢者の脆弱性骨折は、重要な医療社会問題の一つである。たいていの骨折は低バランス能力、転倒、骨強度の低下が組み合わさって生じる。筋機能、動作協調性、骨量を改善し、かつ骨折リスクを減じる介入が必要である。振動トレーニングは筋…
【論文の概要】背景 特発性肺線維症(IPF)は、慢性の進行性疾患で、生命予後が不良である間質性肺疾患である。患者の5~10%は毎年IPFの急性増悪を経験し、死亡率に影響を及ぼす。IPFは、呼吸困難や肺機能、低酸素血症、運動耐容能などの悪化を来たし、QOLも低…
【論文の概要】背景 大規模コホート等において、運動療法や身体活動を増加させることはQOL向上、様々な疾患の予防、さらに死亡リスクを下げることが示されている。また、無作為化比較試験で薬物療法にある程度の死亡抑制効果があると報告されている。しかし、…
【論文の概要】背景 脳卒中後の上肢運動障害に対するCI療法の効果は、多くの臨床研究で検証されており、推奨される上肢運動障害の治療方法のひとつである。しかしながら、在宅でのリハビリテーションでCI療法の効果は明らかにされていない。目的 研究の目的は…
【論文の概要】背景 有酸素運動によって得られる運動耐容能の改善は、酸素供給量の増加と酸素抽出能の増加によって生じる。間質性肺疾患(ILD)患者においても有酸素運動による運動耐容能の増加は報告されているが、その特徴は明らかにされていない。目的 本…
【論文の概要】背景 近年、ワイヤレスセンサーを用いることによって脳卒中患者の活動性を的確に再現性をもって評価できることが報告されている。また、脳卒中患者の歩行能力に関して、SIRROWSトライアルとして、歩行速度に関するフィードバックの提供が有意に…
【論文の概要】背景 パーキンソン病に対する運動療法は運動症状を短期的に改善させることが明らかにされている。これまでの研究からリハビリテーションは疾患の進行を抑制する神経保護作用がある可能性があるが、疾患の重症度が異なっていたり、多様な抗パーキ…
【論文の概要】背景 骨盤底筋トレーニング(PFMT)は腹圧性尿失禁(SUI)を有する女性に対して最も一般的に用いられている理学療法の治療である。目的 尿失禁を有する女性に対するPFMTの効果を無治療群、プラセボもしくはシャム治療群、その他の非活動的なコント…
【論文の概要】背景頸部痛は事務職員にとって健康上の大きな影響を与える問題であり、長期的にみると、患者自身や社会にとって大きな社会的・経済的損失を招くものである。しかし質の高い無作為化比較試験はほとんど報告されておらず、事務職員の頸部痛を予防す…
【論文の概要】背景 肩関節は障害を起こしやすい関節の一つである。肩関節痛の経過は様々であるが,41%の症例では,1年後も何らかの症状が継続すると報告されている。肩関節痛を呈する症例のうち,30-86%に,肩峰下インピンジメント症候群が認められるとされ…
【論文の概要】背景皮膚の触覚刺激は様々な身体の機能に影響を与える。それらは、未熟児の成長を促進する、呼吸と免疫応答が改善する、血圧と脈拍が減少する、副腎皮質のカテコールアミン(アドレナリン)が減少する、脊髄の血流が増加する、分娩時の痛みがコン…
【論文の概要】背景 肩関節痛は最もよくみられる疾患の一つであり,その罹患率は2.4~4.8%と報告されている。また,肩関節痛はインピンジメント症候群に起因するものが多いとされている。インピンジメント症候群に対する介入としては,一般的に抗炎症剤と理学…
【論文の概要】背景・目的 脳卒中片麻痺に対するリハビリテーションアプローチは数多く開発されているが、特に上肢に対するアプローチで十分と思えるものはない。システマティックレビューでは最適な量は示されていないが、治療時間と反復回数が麻痺の回復と関…
【論文の概要】背景・目的 高齢化社会を迎え、転倒に関連する事項が着目されてきている。転倒経験者や転倒に対して恐怖心をもっている高齢者は、再び転倒するリスクが年齢ともに高まる報告も先行研究よりされている。転倒に効果的な運動プログラムが出来れば健…
【論文の概要】背景 肺動脈性肺高血圧症(PAH)は慢性進行性疾患であり、患者は労作性呼吸困難、疲労、不活動性の増加、さらなる症状の悪化を来し、体調不良などの苦しみが続く。近年、十分管理、監視された運動トレーニングプログラムは状態が安定したPAH患者の…
【論文の概要】背景・目的 身体活動(Physical activity)はアルツハイマー病発症リスクを減少させるという報告や、身体活動の高い人は認知機能が正常であるなどの身体活動の有効性を示した疫学調査の報告はたくさんある。また、脳の海馬の萎縮は、記憶障害と認…
【論文の概要】背景 これまでのランダム化比較試験のシステマティックレビューにより、変形性膝関節症(膝OA)に対する運動療法は疼痛や能力障害の改善に有効であることが報告されている。しかし、最も効果的の高い運動療法の種類等は明らかになっていない。その…
【論文の概要】背景 腰痛に関するシステマティックレビューでは、理学療法の効果は限定的と報告されている。この原因の1つとして、腰痛に対する理学療法の効果を検討した研究では、様々な特性をもつ症例を1つの集団として分析していることが指摘されている。…
【論文の概要】背景・目的 認知症は、認知機能面だけではなく、身体機能面も衰退がみられる疾患である。身体活動(Physical activity)は、認知症患者さんの認知面や身体機能面をプラスに向上させる治療法として好意的に捉えられているが、現状ではまだ有効な指…
【論文の概要】背景 脳血管障害患者において、体幹を制御する能力は安定したバランス能力を獲得するための基盤となる。フィジオボールでのエクササイズは、姿勢の動揺によって姿勢保持のために筋が応答し、台座上でのエクササイズよりも体幹筋が潜在的に活性化…
【論文の概要】背景 慢性心不全(CHF)患者に対する運動療法は、持続的で中等度の強度での有酸素運動が中心であるとされてきた。近年、心疾患患者に対するより高強度でのインターバルトレーニング(HIIE)が、持続的有酸素運動よりも効果的であると報告されてい…
【論文の概要】背景 脳卒中患者は固有感覚や筋力、運動制御、関節可動域、感覚、筋緊張、バランスなど様々な障害を呈す。歩行は、脳卒中患者の多数で可能となるが、正常の状態に戻ることは非常に稀である。歩行能力は患者が元の活動レベルに戻れるかどうかを左…
【論文の概要】背景 脳血管障害患者では,座位バランスや体幹の選択的な活動が障害され、体幹の筋力やパフォーマンスも有意に低下することが示されている。最近の縦断的研究では、脳血管障害後の体幹機能障害とバランス、歩行能力的指標との間の明確な関連が示…
【論文の概要】背景 歩行障害のある脳卒中患者に対して、麻痺側前遊脚期(pre-swing)に、機能的電気刺激装置(FES)による足底屈筋への刺激と、遊脚期に足背屈筋に刺激を行うことで、遊脚期の膝屈曲増加やtoe-off時の前方推進力増加に効果があるとされる。ま…
【論文の概要】背景 スタチン系薬剤は、脂質異常症や心血管疾患の治療に対して、一般的に用いられている。スタチン系薬剤が用いられるようになってから死亡率が減少したことからも、健康増進の一方法として推奨されている。健常者および心血管疾患を有しない患…
【論文の概要】背景 経皮的電気神経刺激(Transcutaneou Electrical Nerve Stimulation:以下、TENS)は、痛みに対する物理療法として確立されており、これまで長年にわたり利用され、多くの先行研究があるにも関わらず、TENSの様々な刺激パラメータに関する議…
【論文の概要】背景 アクティブ・ビデオ・ゲーム(以下、AVG)は従来の手で操作するゲームとは違い、腕を振り回したり足を踏み出したりといったような身体の動きを必要とする。歩行可能な脳性麻痺児は、一般的な発達段階の子どもよりも身体的活動が低く、肥満…
【論文の概要】緒言 脳卒中患者は非対称性の姿勢をとり、様々な原因で歩行困難をしいられている。筋力不足や荷重不均衡、感覚障害、痙性などである。そこで、適切な姿勢制御とバランスが脳卒中患者の移動能力改善に重要である。そのため、バランストレーニング…
【論文の概要】背景 足部の回内運動は3平面上の複雑な運動であり、その運動は地面からの衝撃吸収や歩行時に身体に伝わる衝撃を減衰させるなど非常に重要な役割をはたす。しかし、足部の過度な回内は足底腱膜炎やアキレス腱炎、後脛骨筋の機能異常など様々な障…
【論文の概要】背景多発性筋炎と皮膚筋炎は、慢性の骨格筋の近位筋優位の筋力低下と単核炎症細胞の浸潤を特徴とする自己免疫性疾患である。これまで、筋炎患者は筋肉の炎症の増悪と疾患の再燃の恐れがあるため物理的な活動を控えるように勧められていたが、最近…
【論文の概要】背景2型糖尿病は、脳や心臓のような臓器を栄養する大血管、そして網膜や腎臓に分布する細小血管に障害をもたらす危険因子である。そして本症は、高血圧、高脂血症、肥満、不活動、そして喫煙といった心血管疾患の危険因子としばしば関連している…
【論文の概要】背景最高酸素摂取量の測定による運動耐容能の評価は、心疾患患者の重要な予後予測因子である。近年、高負荷と中等度負荷を繰り返すインターバルトレーニングが最高酸素摂取量、左室機能の改善に有効であることが報告されている。しかし、最高心拍…
【論文の概要】背景がん患者に対する運動療法についてシステマティックレビューおよびメタ分析によって倦怠感の軽減、身体機能の改善やQOLの向上など一定の効果が示されている。しかし、病状がより進行したがん患者に対する検討は行われていない。目的進行性の…
【論文の概要】背景ニューロトロフィン類は脊髄の修復を促す物質である。脊髄損傷後の運動回復のために、多くの研究は体外からニューロトロフィン類を中枢神経系に投与している。しかし、こうした方法は神経系自身がこのホルモン様物質を作れることを無視してい…
【論文の概要】背景成人の末期腎不全や腎移植後の患者は血行動態の異常や体液異常等により心肺機能が低下し、最大酸素摂取量の低下をきたしやすい。小児慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)患者では、成人CKD患者に比べると心疾患イベントの発生は稀では…
【論文の概要】背景余暇の身体活動が健康増進に効果があることは周知の事実である。しかし、一般に推薦されている1週間150分の運動量より少ない運動量において長寿効果があるかどうかは不明である。我々は、台湾において身体活動量における健康への影響を評価…
【論文の概要】背景脳卒中は、多くの国で死亡や障害のおもな原因となっている。脳卒中患者の生活を支えるシステムは、国によって異なるものの、介護に要する費用が高額なのは共通している。したがって、科学的根拠(EBM)に基づく治療ならびに費用対効果の高い…
【論文の概要】背景回復期(phaseⅡ)心臓リハビリテーション(以下,心リハ)では,身体機能の維持,二次予防や再入院の防止のために,運動療法,栄養指導,生活指導や冠危険因子是正教育等を多職種で系統的に介入する「疾患管理プログラム」を実施する。しかし…
【論文の概要】背景脳卒中は,成人における身体障害の主な原因であり,治療により機能改善を図ることで患者自身やその家族の経済的負担や苦しみを軽減することができる。このことから,脳卒中医療におけるリハビリテーションは,重要な礎石として認識されている…
【論文の概要】背景PFPSの原因は膝蓋骨のトラッキング不足による膝蓋大腿関節に生じる過度な圧力と考えられている。そのため、多くの介入は膝蓋骨のアライメントと運動の補正を目的としており、具体的には大腿四頭筋、特に内側広筋の筋力増強、ハムストリングや…
【論文の概要】背景閉鎖運動連鎖での運動は、下肢外傷後のリハビリテーションプログラムでは不可欠な部分である。着地やカッティング(方向転換)中の下肢の運動について、性差があることが報告されてきている。しかし、下肢のリハビリテーションとして行われて…
【論文の概要】背景重度なCOPD患者に対する歩行車の使用は、歩行耐久性を改善すると報告[1.-3.]されている。しかし、歩行車使用による心循環器系の反応について検討した報告は少なく、そのメカニズムについてはほとんど検討されていない。目的本研究の目的は、C…
【論文の概要】背景脊髄損傷後の神経因性疼痛は十分に解明されておらず、治療に難渋する。この難治性疼痛のメカニズムの要因の可能性として、運動指令と感覚からのフィードバックの不一致が挙げられている。目的本研究は二つの目的で行なわれている。一つ目は、…
【論文の概要】背景COPD患者は、買い物や家事といった動作を含む日常生活活動においても困難を感じており、しばしばこれらの些細な動作においても日常的に介助者からの支援を受けることを余儀なくされている。先行研究で実施したCOPD患者において掃除や黒板消し…
【論文の概要】背景睡眠時無呼吸(OSA)に対する減量の効果は、これまでいくつかの検討がなされているが[3.-7.]、専門家や政府研究班の推奨する10%の減量が十分であるか否かを立証するには至っておらず、経験上妥当とされているだけで科学的根拠は薄いといわれ…
【論文の概要】研究デザイン比較対照なしの前向きコホート研究背景ACL損傷後、手術をする場合でも、保存的治療をする場合でも、運動療法プログラムは膝機能を早期回復するためには必要なことである。ACL損傷後の早期リハビリテーションプロトコールに関する研究…
【論文の概要】背景非特異的慢性腰痛症患者にエクササイズは有効である。しかしながら、最も効果的なエクササイズは判明していない。目的この研究は慢性腰痛に対するモーターコントロールエクササイズ、スリングエクササイズ、一般的エクササイズの効果を比較し…
【論文の概要】背景COPD患者では、息切れによりADL、QOLが障害される。そのため、COPD患者の息切れがどのような要因で生じるのかを理解することはこれら患者に運動療法や患者指導を行う上で重要である。COPD患者の息切れの要因に関する研究では漸増負荷中の検討…
【論文の概要】背景腰痛症とそれに関連する障害は、西洋の社会での主要な社会的健康問題である。腰痛症は、英国労働者の主な休職原因であり、直接的なヘルスケア・コストは、2,932,000ドルと推定されている。英国のNHSにおける理学療法士は、年間におよそ130万…
【論文の概要】背景正常な刺激の欠如と傷害を受けた神経単位からの過放電、切断後に再び認められる体性感覚の疼痛が幻肢痛発生の原因と考えられている。幻肢痛の治療は非常に困難であるが、治療方法として手術療法、心理療法、鏡や鏡箱による仮想現実を用いた方…
【論文の概要】背景幻肢痛患者やCRPS患者において、感覚識別トレーニングは触覚の鋭敏さを増加し、皮質の再組織化を正常化し、痛みを減少させる。健常者において、刺激されている部位を見ている方が感覚野の反応、触覚の鋭敏さは大きくなる。目的触覚識別トレー…
【論文の概要】背景脳血管障害者では、認知・運動機能に永続的な障害を抱えている。体重免荷トレッドミル歩行(Body weight support Treadmill Training:BWSTT)装置は運動障害を持った患者や心臓血管系の疾患に対する安全かつ有効的な歩行訓練が可能であり、…
【論文の概要】背景膝内反変形を呈する内側型変形性膝関節症(膝OA)患者は、歩行中膝内転モーメントが増加すること、膝内転モーメントとOA重症度、膝内反アライメント、疼痛との間に関連性があることが報告されている。膝OA患者は、歩行中膝内転モーメントを減…
【論文の概要】背景初期の人工股関節置換術(THA)あるいは人工膝関節置換術(TKA)の最適な術後プログラムは明らかとは言えない。自転車エルゴメーターによる運動は、continuous passive motion machine(CPM) と同様に固有感覚や筋の協調性、下肢の循環、罹患…
【論文の概要】背景と目的認知症は高齢者に共通して起こる症候群であり、認知症によって起こる認知機能の障害は、運動能力、ADL、IADLに影響を与える。認知機能低下のある人(Cognitively Impaired:CI)に対して身体的なリハビリテーションプログラムを実施し…
【論文の概要】背景膝蓋大腿痛症候群(patellofemoral pain syndrome:PFPS)に関する報告は多いが、その診断や治療法に関しては不明な点が多い。PFPSに対する運動療法においても、大腿四頭筋を分離せずに筋力強化を図るべきか、あるいは内側広筋斜頭(vastus m…
【論文の概要】背景高齢者にとって、大腿骨骨折は死因や能力障害の高い危険因子である。骨折後、半年で以前の生活レベルに戻れる割合は半分程度であり、その特徴として、健常側下肢に比較して骨折側下肢筋力の低下が挙げられる。この下肢間の機能的差異は、骨折…
【論文の概要】背景・目的最近、家庭で行なわれる課題指向型エクササイズが、脳性麻痺児の基本的運動能力や筋力及び歩行効率を改善する報告[1.]がなされた。その後、諸家[2.-4.]らが、脳性麻痺児や外傷性脳損傷児等の運動障害のある児に対する在宅プログラムに…
【論文の概要】背景・目的慢性腰痛患者の機能回復目的として漸増抵抗運動(progressive resistance exercise:PRE)が用いられている。臨床では脊椎リハビリテーションプログラムの運動を各2セット、2セット目は抵抗量を増加したPREが行われているが、PREの有効…
【論文の概要】背景目的本研究の目的は、膝蓋大腿関節障害の治療における①足底装具、②靴の中敷(対照群)、③理学療法、④足底装具と理学療法の併用の臨床的効果について比較検討することである。仮説:膝蓋大腿関節障害に対する治療として、足底装具の適用は、靴…
【論文の概要】背景下肢の荷重位運動は臨床でよく用いられており、若い運動選手では下肢筋力や神経・筋系制御が改善するという報告はあるが、膝痛のある患者にとっては痛みが増悪することや、腫張や炎症を引き起こす可能性がある。非荷重位運動は、固有感覚の改…
【論文の概要】背景外科手術後の肺合併症は死亡率や入院期間延長の大きな要因である。これに対して理学療法が有効とされており、特に術前から理学療法を実施することで術後肺合併症を低下させることが報告されている。最近では、高リスクの冠動脈バイパス手術患…
【論文の概要】背景姿勢制御は、末梢感覚からの情報を中枢神経系で統合し、適切な運動反応を実行する。様々な環境変化に対して感覚入力が適時変化しているとすれば、それに対する適応能力を向上させる事は高齢者における転倒リスクの減少に重要である。しかし、…
【論文の概要】背景人工股関節全置換術(THA)術後のリハビリテーションは、疼痛や運動機能を改善し、転倒の発生率を低下させることが知られている。退院後に病院などで理学療法士の監視下でリハビリテーションを実施する場合、患者は通院手段を確保する必要が…
【論文の概要】はじめに脳性麻痺片麻痺児は、患側上肢の障害以上に両手の障害を持ち、これらの障害は、彼らの自立を低下させる機能的限界の根底かもしれない。子どもの環境における機能的自立は、協調して両手を使うことを必要とする。我々は片麻痺児の固有の上…
【論文の概要】はじめに前十字靱帯(ACL)再建術後において筋萎縮や筋力低下を最小限に抑えるために、早期から安全で効果的なトレーニング負荷を実施することが重要である。漸増的な遠心性抵抗運動は筋量や筋力を増加させる一つの方法である。筆者らは先行研究…
【論文の概要】Objective下肢の変形性関節症(OA)に対する保存療法として運動療法がよく推奨されているが、それらは主に膝関節についての研究に基づいており、股関節に適用されるエビデンスは乏しい。本研究の目的は、股関節に的を絞った運動療法に関するエビ…
【論文の概要】Background and Purpose脳卒中患者の歩行訓練にトレッドミルを使用することはあるが、体重支持に関係なくトレッドミル歩行は歩行能力を改善するとした根拠に矛盾があるとFoleyら[1.]はレビューをしている。下肢の繰り返し運動である抵抗負荷課題…