理学療法の臨床に役立つ学術情報を日本語で読む。
【論文の概要】【解説】 これはアメリカのデラウェア州にあるUniversity of Delaware Physical Therapy Clinicで行われた研究であり、2年間のフォローアップによる無作為化比較試験のプロトコル(途中経過)に関する論文である。この論文が掲載されたジャーナ…
【論文の概要】【解説】 近年、BIAで測定されるPhase Angleは身体的健康(身体機能、栄養状態)の総合的な指標として注目されている。これまでの先行研究では地域高齢者、心疾患患者、透析患者、ICU患者、がん患者などの主に内部障害系の患者を対象とした研究…
【論文の概要】【解説】 脳卒中患者に対するロボットアシスト歩行練習は、対照群と比較して有意な効果を示した報告もある(Review, Bruni et al., 2018)。これらの先行研究の結果をもとに、本研究では脳卒中後の亜急性期の時期に焦点を当てている。主要アウト…
【論文の概要】【解説】 頚椎症性神経根症は、頚椎椎間板変性や骨棘形成などにより神経根の炎症やインピンジメント、またはその両方が原因となる1)。また、患者は頚部の痛みを伴う場合と伴わない場合があるが、上肢への放散痛が認められる1)。近年では、頚部痛…
【論文の概要】【解説】 レット症候群は稀な進行性の神経発達性障害で,主に女児でみられる.レット症候群は1966年に初めて紹介され,1999年に原因遺伝子が判明した.生後約6~18ヶ月間は正常に段階的な発達を示すが,手の動き,コミュニケーション能力などの獲…
【論文の概要】【解説】 本研究の限界としてRCTとしては対象者の半数がdrop outしている点やAAN制御の詳細が記載されていないなどの問題はあるが、慢性期脳卒中に対するRAGTの報告はいまだに限られており、非麻痺側の制御に着目した新たな知見を提供している。…
【論文の概要】【解説】 脳卒中リハビリテーションにおいて、TENSは痙縮やバランス機能の回復を促進することが示されており1)、足関節へのTENSとtask-related training(課題関連トレーニング)の組み合わせが、脳卒中患者の歩行速度および持久力を有意に改…
【論文の概要】【解説】 人工膝関節置換術前のリハビリテーションは術前の運動機能を改善し、その結果術後の運動機能の向上を図るために実施される。しかしながら近年のシステマティックレビューでは術前のリハビリテーションが術後の痛みや運動機能、筋力など…
【論文の概要】【解説】 心不全患者において患者教育、健康的な生活への行動変容、運動療法などを含む包括的心臓リハビリテーション(CR)が推奨されている(クラスI、エビデンスレベルA)1-4)。しかしながら、介護者の不足、待機リストの長期化、通院手段、パ…
【論文の概要】【解説】 オーバーヘッドアスリートにとって,肩や肘の故障はパフォーマンス低下に加え,長期の競技離脱を余儀なくされる場合も少なくない.近年は,プロ選手だけでなく,より若いカテゴリーの選手においても障害が増え,手術に至るケースも増加…
【論文の概要】【解説】 Osseointegrati)on現象は、骨とチタンが拒否反応なく結合する現象であり、osseo-integrationは造語で、ギリシャ語のosseo(骨)と英語のintegration(統合、融合)を組み合わせている。歯科治療で普及しているデンタルインプラント治…
【論文の概要】【解説】 身体活動は循環器疾患、糖尿病などの非感染性疾患(生活習慣病)や高齢期のフレイルの予防に有効である。そのため、様々な理学療法の場面で、対象者の身体活動を高める支援が求められる。理学療法士は対象者が主体的に活動的な生活を継…
【論文の概要】【解説】 歩行能力の改善は、理学療法介入を行う上での主要な介入目標の1つである1)。歩行速度の評価は、信頼性2)、妥当性3)、反応性4)、解釈可能性2,4)に優れた評価手法であり、生活範囲の一部を反映する指標として用いられている5,6)。しかし…
【論文の概要】【解説】 エルゴメーターを用いたトレーニングは、古くから実施されてきたが、整形疾患や呼吸器疾患の心肺機能の改善を目的とすることが多かった。しかし、エルゴメーターなどによる有酸素運動が神経回復を促すという基礎研究の知見1)が増えて…
【論文の概要】【解説】 これはトルコのHacettepe Universityで行われた研究であり、2年間のフォローアップによる無作為化比較試験である。この論文が掲載されたジャーナルの2019年インパクトファクター(Journal Citation Reports)は2.276であり、2020年7月7…
【論文の概要】【解説】 バランスと筋厚の関係に着目して解説する。この論文では、体幹に横隔膜を含み、超音波にて体幹と下肢筋厚を計測し、姿勢動揺や安定性限界との関係について検討されている。高齢者は若年者と比較すると、より多くの姿勢動揺を示し、また…
【論文の概要】【解説】 Mini-BESTestはBalance Evaluation Systems Test(BESTest)の短縮版で、動的バランスに特化して開発されたバランス指標であり、0点から28点でスコア付けされる1)。脳卒中患者、パーキンソン病患者等、神経疾患患者を中心にその信頼性…
【論文の概要】【解説】 10代(adolescents)は身体面や認知面、心理面において急激な成長を経験する時期である1)。暦年齢と骨年齢について男子小中高生を対象に検討した結果、11歳から14歳は成長度に個人差が大きく、身長の増加量は暦年齢ではばらつきが大き…
【論文の概要】【解説】 レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかけて行う運動の総称1)で、抵抗をかける手段としては、トレーニングマシンなどの機器を用いたもの、ダンベル、ゴムチューブなどの道具を用いたもの、スクワットや踵上げなど自重…
【論文の概要】【解説】 近年、高齢ドライバーによる交通事故が多く報道され、高齢者の運転と免許返納が高い関心を集めている。我々理学療法士は、高齢者や脳卒中患者のリハビリテーションに関わる上で、自宅復帰後の運転継続の問題に直面することも多い。脳卒…
【論文の概要】【解説】 動作を物理的・心理的に遮るものがない研究室あるいはリハビリテーション室レベルでの歩行と、実際の生活の場での歩行は質的にも量的にも異なることはほとんどの理学療法士が認識し、臨床では実生活の場で動作を評価することも多い。し…
【論文の概要】【解説】 寒冷療法はスポーツ現場において外傷発生後の応急処置や運動後の疲労回復を目的として広く用いられており、トレーニング負荷や疲労と傷害・疾病の発生との関係を調査したシステマティックレビューでは、選手はトレーニング負荷の集中す…
【論文の概要】【解説】 中枢神経システムは、脊髄インターニューロンにある筋シナジーシステムを用いて、多くの筋活動の選択肢を単純化していると考えられている1)。いくつかの筋活動の組み合わせが1つの筋シナジーとして機能し、複数の筋シナジー活動が重な…
【論文の概要】【解説】 本論文は行動介入戦略が身体活動を増加させるだけでなく、座っている時間を減らす、ということが長期的に維持可能であるかについて調査したものである。 近年、短時間の運動を数回繰り返す、いわゆる細切れ運動の効用が示されるように…
【論文の概要】【解説】 殿筋は、股関節の安定化に役立ち、股関節機能の維持に重要である。小殿筋の筋線維は大腿骨頸部と平行に走行しており、骨頭を求心位に保持させ、股関節の安定性に寄与していると考えられる1)。さらに小殿筋は、歩行時に殿筋群の中で最…
【論文の概要】【解説】 ACL損傷はスポーツ選手に多い膝関節の障害であり、その発生頻度は男性より女性で3〜5倍多い1)。約70%が非接触型損傷であり2)、スポーツ動作時の動的アライメントの改善を図る予防的介入が注目されている。ACL損傷予防プログラムとして…
【論文の概要】【解説】 健康的な生活習慣や遺伝的リスクが認知症発症に関連することは、以前から報告されていた。しかし、これらの相互関係をビックデータにより、検証された研究はなかった。そこで、この研究ではUK Biobankのビックデータで、健康的な生活習…
【論文の概要】【解説】 THAの日常生活機能における治療効果は歩行機能、スポーツ活動レベルや心肺機能、満足度、健康関連QOL尺度などの様々な指標で認められている。THA後の股関節機能には脚長とオフセットが深く関与しており、THAはそれらを最適化することを…
【論文の概要】【解説】 成長期スポーツ外傷・障害に対する理学療法の最終目標は(再発)予防であり、そのためにはvan Mechelenらの外傷予防の実践モデル1)が示すように、第1段階として問題特定のための発生率や重症度を示す必要がある。高所得国における思春…
【論文の概要】【解説】 近年、糖尿病を改善させ心血管疾患リスクを低下させるための方法として習慣的な運動が推奨されており、有酸素運動とレジスタンス運動の併用はそれぞれの運動単独よりも効果的に糖尿病を改善させることも報告されている1)。また、厚生…
【論文の概要】【解説】 Sit-to-Walk(Rise-to-Walkと表記されることもある)は椅子座位姿勢からの目標地点まで歩くことが要求される課題であり、立ち上がりと歩行(開始)の2つの動作要素を含む。STWに関する基礎研究として、Magnanらは課題中のイベントの出…