本研究の目的は、25ヶ国の低所得・中所得国(Low - and Middle - Income Countries:LMICs)における13歳から15歳までの学生のスポーツ外傷・傷害について検討することである。Global School-based Student Health Survey(GSHS)に参加した46,922名のデータを対象に、過去1年間の外傷・障害受傷率や分類について分析した。GSHSでは1日以上学校や通常の生活を行うことが困難、または医学的な治療を必要としたものを外傷・障害と定義しており、複数回受傷した経験のある学生は最も重症度の高い外傷・障害のみを回答している。結果、過去1年間に何らかの外傷・障害を有した学生は、男子15~71%、女子8~70%であった。その内、スポーツに関連する外傷・障害の割合は男子25~60%(中央値35%)、女子12~56%(中央値24%)であり、受傷要因としてスポーツが多かった。その分類は骨折及び脱臼が多く、男子13~62%(中央値28%)、女子10~86%(中央値25%)であった。思春期における年間のスポーツ外傷・障害の受傷率は国によって異なるが、LMICsにおいても多く認められることが示された。