理学療法の臨床に役立つ学術情報を日本語で読む。
【論文の概要】背景 足部の回内運動は3平面上の複雑な運動であり、その運動は地面からの衝撃吸収や歩行時に身体に伝わる衝撃を減衰させるなど非常に重要な役割をはたす。しかし、足部の過度な回内は足底腱膜炎やアキレス腱炎、後脛骨筋の機能異常など様々な障…
【論文の概要】背景 足部形態は、下肢の筋骨格系の状態の長期的変化に影響を及ぼすと考えられ、下肢の力学的アライメントや動的な機能を変化させうる。とりわけ、内側型膝OA患者で非手術例に対する治療的介入として、足部装具や履き物での調整が行われる。しか…
【論文の概要】背景立ち上がり動作を用いたテストは、最初は下肢筋力測定に有効な評価指標として紹介された。5回反復立ち上がりテスト(5回反復STSテスト)は、当初、虚弱高齢者の死亡率と能力障害の身体機能評価法として使用された経緯がある。同様に、高齢者…
【論文の概要】背景筋強直性ジストロフィーは多様な表現型を有する常染色体優性多臓器性疾患である。筋強直性ジストロフィー1型(スタイナート病;DM1)は最も頻度が高い成人発症型の筋ジストロフィーであり、有病率は1/20,000である。DM1の原因は、ミオトニン…
【論文の概要】背景多発性筋炎と皮膚筋炎は、慢性の骨格筋の近位筋優位の筋力低下と単核炎症細胞の浸潤を特徴とする自己免疫性疾患である。これまで、筋炎患者は筋肉の炎症の増悪と疾患の再燃の恐れがあるため物理的な活動を控えるように勧められていたが、最近…
【論文の概要】背景腰痛は社会経済的負担が高く、健康管理も困難とする。動作を困難にし、QOLを下げ、働く能力を奪い、精神的苦痛を与え、健康管理費用を増加させることが報告されている。腰痛の原因のひとつに椎間板変性があり、MRIで確認することが可能である…
【論文の概要】背景最高酸素摂取量の測定による運動耐容能の評価は、心疾患患者の重要な予後予測因子である。近年、高負荷と中等度負荷を繰り返すインターバルトレーニングが最高酸素摂取量、左室機能の改善に有効であることが報告されている。しかし、最高心拍…
【論文の概要】背景2型糖尿病は、脳や心臓のような臓器を栄養する大血管、そして網膜や腎臓に分布する細小血管に障害をもたらす危険因子である。そして本症は、高血圧、高脂血症、肥満、不活動、そして喫煙といった心血管疾患の危険因子としばしば関連している…
【論文の概要】背景最近の調査結果は実行系機能が高齢者の歩行、特に複雑で挑戦的な状況下での歩行調整に重要な役割を持っていることを示唆している。そして実行系機能の低下は転倒リスクの一因となる。そのため実行系機能と転倒についての関連を明らかにする必…
【論文の概要】背景脳卒中の治療ガイドラインは、標準的な評価指標にて評価を行うことを推奨している。また、ガイドラインに提示されている評価法は、歩行機能のさまざまな側面を検出できるようにデザインされており、信頼性や妥当性、反応性などが確認されてい…
【論文の概要】背景静止立位時の指尖接触によって姿勢動揺が改善することがよく知られている。止血ターニケットによる虚血は、ヒトの立位や歩行時の感覚入力を部分的にブロックするために一般的に使用された。そこで、止血ターニケットを上腕部に巻くことによっ…
【論文の概要】背景変形性関節症(以下、OA)は生体力学的な異常により発症する場合が多い。特に膝OAでは、異常な関節負担が症状の発生や進行のリスクになることが報告されており、歩行中の膝関節負担を軽減する戦略に関心が集まっている。膝の負担を示す一般的…
【論文の概要】背景がん患者に対する運動療法についてシステマティックレビューおよびメタ分析によって倦怠感の軽減、身体機能の改善やQOLの向上など一定の効果が示されている。しかし、病状がより進行したがん患者に対する検討は行われていない。目的進行性の…
【論文の概要】背景Q角は大腿四頭筋の作用線と膝蓋腱の方向の二線からなる角で、膝関節のアライメント異常の指標となる。Q角の異常は膝伸展力の発揮を阻害すると考えられている。また、男性で15°、女性で20°を超えたQ角は、膝蓋大腿関節痛、膝蓋軟骨軟化症や膝…
【論文の概要】背景糖尿病性神経障害は、糖尿病患者における足部の潰瘍や下肢切断の主要な原因となっている。実際に、糖尿病患者の約15%は足部潰瘍に罹患しており、非外傷性下肢切断の約50%以上は糖尿病に由来している。このことからも、早期から糖尿病性神経…
【論文の概要】背景パーキンソン病(PD)は神経難病の中では有病率が高い。臨床的には、安静時振戦、固縮、動作緩慢によって評価される進行性疾患であり、姿勢の不安定性と歩行障害が発生し、転倒傾向は増大する。これらの身体状況は、QOLを悪化させる。PDはか…
【論文の概要】背景立位姿勢制御時には下肢の筋活動に伴って身体の細かな変動がおこる。静止立位における主要な筋活動は足関節底屈筋群に起こり、前後方向の身体動揺に関連している。一方、足底内在筋の弱化がバランス障害の一要因として報告されていることから…
【論文の概要】背景姿勢制御は、日常生活動作に必要とされる運動技能を高める基本的能力であり、初期の運動発達のための重要な因子である。支持基底面上に身体分節を制御することは、変化する環境と課題要求に適応可能な正確で信頼性のある知覚と運動を必要とす…
【論文の概要】背景成人の末期腎不全や腎移植後の患者は血行動態の異常や体液異常等により心肺機能が低下し、最大酸素摂取量の低下をきたしやすい。小児慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)患者では、成人CKD患者に比べると心疾患イベントの発生は稀では…
【論文の概要】背景ニューロトロフィン類は脊髄の修復を促す物質である。脊髄損傷後の運動回復のために、多くの研究は体外からニューロトロフィン類を中枢神経系に投与している。しかし、こうした方法は神経系自身がこのホルモン様物質を作れることを無視してい…
【論文の概要】背景脳卒中は、多くの国で死亡や障害のおもな原因となっている。脳卒中患者の生活を支えるシステムは、国によって異なるものの、介護に要する費用が高額なのは共通している。したがって、科学的根拠(EBM)に基づく治療ならびに費用対効果の高い…
【論文の概要】背景余暇の身体活動が健康増進に効果があることは周知の事実である。しかし、一般に推薦されている1週間150分の運動量より少ない運動量において長寿効果があるかどうかは不明である。我々は、台湾において身体活動量における健康への影響を評価…
【論文の概要】背景高強度かつ非習慣的な遠心性運動では筋損傷が発生する。典型的な症状の一つとして遅発性筋痛(DOMS: Delayed-onset muscle soreness)が知られている。動作時や触診時の疼痛がDOMSの主症状であり,筋損傷に由来するその他の症状としては筋の…
【論文の概要】背景長年、幼児の歩行の発達変化の主な指標として、歩幅(連続的なステップ間距離)が用いられている。この研究は各研究者によって調査結果は一致しており、初期歩行者は歩幅が著しく短く(~12㎝)、歩隔(~15㎝)よりも短い。歩幅は独歩から最…