4の運動療法と12の薬物療法を含むメタ解析16本を抽出し、対象者数は305の無作為化比較試験に参加した339,274例であった。死亡率の副次的アウトカムは、冠動脈疾患の再発予防、脳卒中のリハビリテーション、心不全の治療、糖尿病の予防の4条件とした。 症例について、冠動脈疾患群では60-100%が急性心筋梗塞患者であり、脳卒中患者では重症度は大きく異なり、発症150日までとした。心不全患者ではNYHA class Ⅱ-Ⅳ、糖尿病患者は耐糖能異常および肥満等の心血管疾患のリスクがある患者であった。 それぞれに対する運動療法は、冠動脈疾患の再発予防(包括的な心臓リハビリテーション)、脳卒中のリハビリテーション(入院、外来、地域、自宅での筋力や呼吸循環系トレーニング)、心不全の治療(有酸素運動とレジスタンス運動の複合)、糖尿病の予防(生活習慣改善への多因子介入としての身体活動量向上)であった。 運動療法の効果には、14,716例の対象者に対する運動療法の介入を受けた57の無作為化比較試験を分析した。 冠動脈疾患の再発予防と糖尿病の予防においては、運動療法と薬物療法の間に統計学的な有意差は認められなかった。脳卒中患者に対する身体活動による介入は、薬物療法よりも効果的であった(オッズ比;運動療法vs.抗凝固薬 0.09, 95%信頼区間0.01~0.70, 運動療法vs.抗血小板薬0.10、95%信頼区間0.01~0.62)。心不全患者に対しては利尿薬がより効果的であった(運動療法vs.利尿薬4.11, 95%信頼区間1.17~24.76)が、運動療法とACE阻害薬、ベータ遮断薬とは有意差は認められなかった。直接比較と間接比較間の非一貫性の差は認められなかった 。