ICU患者の25~57%にICUAWが生じ、かつ、ICU入室から数日で生じることが報告されている1), 2)。CIMはICUAWの主要な原因であり、重度の筋萎縮に加えて、骨格筋においてミオシンの選択的な減少、ナトリウムチャネルの機能障害に起因する膜の興奮性の低下を引き起こし、筋機能の低下を引き起こす3)。本論文において、筋のmechanical silencingが、以上の筋機能障害を引き起こす因子であることが示された。また、早期リハビリ介入の中で他動的な機械的負荷を加えることが、CIMによる筋機能の低下を減少させる手段として有望であることが示された。しかしながら他動的な機械的負荷は、重度の筋萎縮を防止することはできなかった。加えて、本論文では1日10時間の介入を行っているが、実際の病院施設において、このようなmechanical silencingを十分に減少させることが可能な介入を施行することは難しく、患者、医療スタッフ、施設環境における問題により早期からリハビリ介入を行うことができない場合も考えられる。今後、CIMのさらなる病態解明に加えて、ICUでの早期リハビリテーションの重要性の理解の普及、CIMに対する有効な治療法の確立に対しさらなる検討が必要である。