肥満(BMI30以上)が56.52%、高血圧症が72.53%と高い割合を占め、認知・身体機能面での危険性をもった属性であることがわかった。また、女性の肥満率が男性よりも有意に高く、その他の社会統計や健康特色には男女間の有意差はみられなかった。一日10,000歩以上の活動性の高い人は全体の12%しかおらず、中強度の活動が一日30分以上ある人は対象者におらず、一回の歩行が10分以上もしくは1000歩以上の活動性の高い人も対象者にはいなかった。またこれらの結果に男女差はみられなかった。しかし、活動性の低い人や運動に関連したカロリー消費の少ない人の割合は、男性と比較し女性の割合が有意に多かった。また、海馬・視床体積や頭蓋内体積は男性に比較し、女性が有意に小さい結果となった。一日の総歩数、一日の総歩数時間、一日の総仕事量はBMIと高い相関が女性のみみられた。
頭蓋内体積、年齢、教育歴、BMI、心血管疾患、MMSE、一日の歩数量が女性で海馬領域体積の大きさと強く相関がみられた。特に女性で、年齢が高くなると脳の領域(海馬や視床)の容量は小さくなり、運動量が多いと海馬の体積も大きいことが今回の結果から得られた。
また、筆者らは日常生活活動量と記憶機能(RAVLTを使用)の相関を調べたが、両者に有意な相関はみられなかった。