研究デザイン:
単マスク化無作為化比較試験
対象:
1,530名のボランティアがスクリーンテストを受け、基準を満たした179名(女性が100名)が参加した。年齢は18歳から40歳であった。取り組み基準は膝蓋大腿関節障害の診断を受けた後6週以上経過し、過去12カ月の間に足底装具や理学療法の治療を受けていない症例で、1)長時間の座位や膝立ち、スクワット、ホッピング、階段昇降動作の中、少なくとも2つの動作で痛みが生じる、2)膝蓋骨の触診時における痛みに対する過敏さや階段降り時または両足スクワット時に痛みがある、3)過去1週間の中で生じた最大の痛みがVisual alanogue scale(VAS)で30mm以上である症例を対象とした。また、何らかの疾病に付随する膝関節部の障害は除外した。
介入方法:
参加者はランダムに4群に割り付けられ、個々の介入を受ける。1回20~60分の診療を6週間に6回受け、その後、自主トレ-ニングのプログラムを続けるように指示された。介入方法は、①足底装具、②靴の中敷、③理学療法、④足底装具と理学療法の併用の4方法である。足底装具は既製の商品が使用されたが、快適になるよう個々に応じて熱処理やウェッジ、ヒールを付加することは許された。靴の中敷は足底装具と同一の材質で作られた。理学療法は、膝蓋大腿関節障害に有効とされている膝蓋骨モビリゼーションやテーピング、筋電バイオフィードバックを用いた大腿広筋の再教育トレーニング、ストレッチ、家庭での自主トレーニング指導などである。
評価:
ブラインドされた検査者により、開始時と、6週、12週、52週後に評価が行われた。主な評価項目は、全体的な改善度(Likert scaleを用いた5段階評価とVASを使用)、過去1週間における、通常時と最もひどい時における疼痛の程度(VAS:100-0mm)、 Anterior Knee Pain Scale(AKP)、Functional Index Questionnaire(FIQ)である。
統計解析:
Intention to treat(ITT)分析を基本とし、介入による差の判定は相対リスク減少率とNumber Needed to Treat(NNT)を用いた。継続して得られた各測定結果は、初期値を共変量、各介入群を固定因子とする単変量の共分散分析を用いて分析した。