本研究は横断的調査とした。対象は19人(男性;11人、女性;8人)、年齢;71±7.3歳,体重;83.5±11.8kg、 身長;168.8±9.3cm、BMI:29.2±2.4であった。総て人工関節置換術後(8人がTKA、11人がUKA)で、膝OAの手術は、診断から12-14ヶ月の期間に同じ整形外科医が行い、プロトコルも同様であった。除外基準は、全身疾患のコントロールができていない者、重篤な膝関節疾患、歩行に影響を与えると考えられる中枢疾患や整形外科疾患を有する者とした。評価は、米国膝学会膝スコアを用い、反対側の膝関節には疼痛がなく全可動域が確保されていることを確認した。米国膝学会膝スコアは、臨床的なものと疼痛に関するもので構成され、0-100点で表される。臨床部門は50点で可動域や筋力やstability、疼痛は、疼痛の程度であり50点満点で表す。術側の大腿四頭筋の筋力は整形外科医がOxford muscle grading scaleを用いた。
歩行課題は、裸足、快適速度で10mとし、初期接地時における矢状面上の股関節、膝関節、足関節の運動学的・運動力学的データを記録した。使用機器は6台のカメラ(サンプリング数50Hz)付きの三次元動作解析装置VICON512;Oxford Metricsを使用し、25mmの反射マーカを15個貼付した。床反力はKistler force plate(400Hz)で計測した。データ処理は、初期接地を10-20msの間と定義し、関節角度・モーメントはPlug-in-gaitモデルを用いて算出、床反力・モーメントは体重で正規化した。VICONから歩行速度、ケイデンス、歩幅、step time、単脚・両脚支持時間を術側・非術側ともに求めた。
統計解析は、対応のあるt検定を術側と非術側で比較した(床反力とそれに関連する股関節、膝関節、足関節角度・モーメントと時間・空間的パラメータ;歩幅、step time、単脚・両脚支持時間)。有意水準はp<0.05とした。