本研究の目的は、急性期高齢入院患者に対して、Ontario Modified STRATIFY (OM)(St Thomas's Risk Assessment Tool in Falling Elderly Inpatients)とThe Northern Hospital Modified STRATIFY (TNH) 及びSTRATIFYを使用し、転倒予防における妥当性を検討することである。対象者は65歳以上の217名であり、前向きに3つの転倒リスクの評価を行い、その後の入院中の転倒の有無を調査している。転倒は20名で発生しており、転倒者と非転倒者の特性では、入院期間と過去の転倒歴、向精神薬の使用において有意差が認められた。各評価の予測精度は、感度においてOMが80.0(95%信頼区間(CI)58.4〜91.9%)、TNHが85(CI 64.0〜94.8%)、STRATIFYが80.0(CI 58.4〜91.0%)であり有意差は認められなかった。特異度は、STRATIFYが61.4(CI 54.5〜67.9%)とOMの37.1(CI 30.6〜44.0%)およびTNHの51.3(CI 44.3〜58.2%)よりも有意に高値であった。正確性は、OMが41.0(CI 34.7~47.7%)とSTRATIFYの63.1(CI 56.5〜69.3%)およびTNHの54.4(CI 47.8〜61.0)よりも有意に低値であった。感度は良好であったが特異度は低値であり、今回の評価では急性期病棟における転倒予測には限界がある。