地域在住脳卒中患者の歩行能力においては、従来はPerryら(1995)の報告をもとにした歩行速度による分類;屋内歩行(home, <0.40m/秒)、限られた屋外歩行(limited community, 0.40-0.80m/秒)、制限なしの屋外歩行(full community, >0.80m/秒)のカテゴリーが広く用いられていた。一方で、このカテゴリーは実際の患者とは乖離があるとの意見もあった。本研究では、1日の平均歩数をもとに、地域在住脳卒中患者の歩行能力を屋内歩行(home, 100~2499歩/日)、大幅に限られた屋外歩行(most limited community, 2500-4999歩/日)、少し限られた屋外歩行(least limited community, 5000-7499歩/日)、制限なしの屋外歩行(full community, >7500歩/日)の4つのカテゴリーに分類した。カテゴリーの予測因子を探るために、年齢や性別、歩行速度、耐久性、下肢運動機能、バランス能力などの評価項目を独立因子とし、多変量解析を実施した。 概要で述べた結果に加え、快適歩行速度0.49m/秒が屋外歩行可能のカットオフ値であり、0.93m/秒が屋外歩行の制限の有無のカットオフ値であることが明らかとなった。著者らは、従来の歩行速度による分類は、地域在住脳卒中患者の歩行能力を過大評価している可能性があることを示唆している。