脳卒中後における在宅および地域での歩行活動の予測

Fulk GD, He Y, Boyne P, Dunning K. Predicting Home and Community Walking Activity Poststroke. Stroke. 2017;48:406-411. DOI: 10.1161/STROKEAHA.116.015309.

PubMed PMID:28057807

  • No.2106_02
  • 執筆担当:
    順天堂大学 保健医療学部 理学療法学科
    髙橋 容子
  • 掲載:2021年6月11日

【論文の概要】

 地域に在住している脳卒中患者の歩行能力を予測する因子を検討した。441名の脳卒中患者を対象とし、活動量計で記録した1日の平均歩数をもとに、全対象者を屋内歩行(100~2499歩/日)、大幅に限られた屋外歩行(2500~4999歩/日)、少し限られた屋外歩行(5000~7499歩/日)、制限なしの屋外歩行(7500歩以上/日)の4つのカテゴリーに分類した。カテゴリーを予測する独立変数として、快適および最大歩行速度、6分間歩行試験、Berg Balance Scale(BBS)、Fugl-Meyer assessment 下肢項目(FMA下肢)、Stroke Impact Scaleを検討した。その結果、6分間歩行試験、FMA下肢、BBSの組み合わせが、屋外歩行が可能になるか、または屋外歩行における制限の有無を予測する最大の因子であることが明らかとなった。

【解説】

 地域在住脳卒中患者の歩行能力においては、従来はPerryら(1995)の報告をもとにした歩行速度による分類;屋内歩行(home, <0.40m/秒)、限られた屋外歩行(limited community, 0.40-0.80m/秒)、制限なしの屋外歩行(full community, >0.80m/秒)のカテゴリーが広く用いられていた。一方で、このカテゴリーは実際の患者とは乖離があるとの意見もあった。本研究では、1日の平均歩数をもとに、地域在住脳卒中患者の歩行能力を屋内歩行(home, 100~2499歩/日)、大幅に限られた屋外歩行(most limited community, 2500-4999歩/日)、少し限られた屋外歩行(least limited community, 5000-7499歩/日)、制限なしの屋外歩行(full community, >7500歩/日)の4つのカテゴリーに分類した。カテゴリーの予測因子を探るために、年齢や性別、歩行速度、耐久性、下肢運動機能、バランス能力などの評価項目を独立因子とし、多変量解析を実施した。 概要で述べた結果に加え、快適歩行速度0.49m/秒が屋外歩行可能のカットオフ値であり、0.93m/秒が屋外歩行の制限の有無のカットオフ値であることが明らかとなった。著者らは、従来の歩行速度による分類は、地域在住脳卒中患者の歩行能力を過大評価している可能性があることを示唆している。

【引用・参考文献】

Perry J, Garrett M, Gronley JK, Mulroy SJ. Classification of walking handicap in the stroke population. Stroke. 1995;26:982–989.

2021年06月11日掲載

PAGETOP