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理学療法学第51巻4号
理学療法学51 巻4号をお届けいたします。本号では研究論文3編,実践報告2編,調査報告1編,企画記事(総説)2 編を掲載しています。
貴重な論文をご執筆いただきました方々,ならびに査読をお引き受けいただいた方々に深く感謝申し上げますとともに,本誌に掲載された内容が,日々の臨床場面に還元されることを願っております。引き続き,「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 高橋 真
理学療法学第51巻4号ダウンロードは こちら 【PDF: 2152KB】
理学療法学51 巻4号をお届けいたします。本号では研究論文3編,実践報告2編,調査報告1編,企画記事(総説)2 編を掲載しています。
貴重な論文をご執筆いただきました方々,ならびに査読をお引き受けいただいた方々に深く感謝申し上げますとともに,本誌に掲載された内容が,日々の臨床場面に還元されることを願っております。引き続き,「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 高橋 真
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- 高濃度水素+酸素ガス吸入が下肢血流動態,筋柔軟性,関節可動域,垂直飛び高に与える影響
- 昭和大学スポーツ運動科学研究所の田村 将希 氏らは,健常成人10名を対象に高濃度水素+酸素ガス吸入とプラセボガス(大気)吸入の効果について,ガス吸入前後で下肢血流動態,筋柔軟性,関節可動域,垂直飛び高を比較検討しました。全ての測定項目で2つの介入に差を認めませんでしたが,吸入前後に変化率では,血流速度が高濃度水素+酸素ガス吸入群でプラセボガス吸入群と比較して,有意に増大することを示しました。
- 腰部脊柱管狭窄症患者に対する筋力強化・有酸素運動の併用による効果
- えにわ病院の石田 和宏 氏らは,腰部脊柱管狭窄症(LSS)患者に対する筋力強化・有酸素運動の併用の有効性について,国内初となる全国規模での多機関共同無作為化比較試験を実施しました。対象患者をストレッチ群32例,ストレッチに加え筋力強化と有酸素運動を行う複合群31例にランダム化割り付けし,2ヶ月間,週1回の通院とホームエクササイズの介入を行いました。メインアウトカムである腰痛・下肢痛・しびれの程度,Oswestry Disability Indexスコア,LSS症状・QOLスケールは両介入間で顕著な差を認めませんでしたが,複合群では下肢痛,筋力,SLR角度の改善が良好であることが示されました。
- 椎間関節自然滑走法(Natural Apophyseal Glides: NAGs)が頚部関節位置覚及び重心動揺に与える影
- 東京都立大学人間健康科学研究科の佐藤 優斗 氏らは,健常成人を対象に,椎間関節自然滑走法(Natural Apophyseal Glides: NAGs)+モーターコントロールエクササイズ(Motor Control Exercise: MCE)の介入によって,関節位置覚が向上することを示し,NAGsは臨床において頚部関節位置覚向上の一助となることが示唆されました。
- 左半側空間無視患者への没入型バーチャルリアリティ評価支援機器の使用経験
- 脳神経センターよしみず病院の宇野 健太郎 氏らは,半側空間無視(USN)を呈する症例に対して,一般的な机上評価とヘッドマウントディスプレイを装着し,没入型バーチャルリアリティ(VR)環境下での評価を比較しました。VR評価では,近位空間から遠位空間に向けて無視面積が拡大する傾向を示し,二次元の評価では見落とされる遠位空間無視の測定が可能であり,USNの評価として有用であることが示唆されました。
- 経頭蓋カラードプラ法による早期立位時の脳血流動態評価を基に安全な早期離床が実施可能であった 急性期くも膜下出血患者 3 例
- 関西電力病院の山本 洋司 氏らは,くも膜下出血患者3例を対象に,早期離床プロトコルに基づく初回立位時に経頭蓋カラードプラ法による60度head up tilt時の脳血流動態を評価し,全例で脳血管攣縮の診断基準を満たさなかったことを示しました。リアルタイムでモニタリングできる脳血流動態評価は,安全な早期離床の一助を担う可能性が示唆されました。
- Mini-Balance Evaluation Systems TestとBrief-Balance Evaluation Systems Testのカットオフ値の調査
- 沼田脳神経外科循環器病院の谷 友太 氏らは,スコーピングレビューの手法で,Mini-Balance Evaluation Systems TestとBrief-Balance Evaluation Systems Testのカットオフ値に関する調査を行いました。両テストともに外部検証は未実施であり,カットオフ値や予測精度にはばらつきがあり,今後,外部検証を行うとともに,循環器疾患などこれまで検討されていない対象者での検証が必要であることが示されました。
- 体性感覚情報処理に基づく脳活動を利用した理学療法の可能性
- 新潟医療福祉大学の小島 翔 氏は,体性感覚情報を用いた理学療法の現状,体性感覚機能の評価方法・脳活動などについて概説し,ご自身の一定時間の触圧覚刺激による介入効果の知見などから,脳卒中患者などの理学療法への応用の可能性について紹介しています。
- 回復期リハビリテーション病棟における運動器疾患に対する自主練習の考え方
- 済生会今治第二病院の池内 貴美 氏らは,回復期リハビリテーション病棟における下肢骨折や関節疾患の手術後の患者に対する自主練習指導の要点を概説し,多職種連携を踏まえた実際の方法や内容について紹介しています。
理学療法学第51巻3号
理学療法学第51巻第3号をお届け致します.本号は研究論文2編,企画記事2編を掲載しています.いずれも臨床における問題解決や,理学療法の発展に繋がる研究のヒントとなる有益な情報を含む,読み応え十分な内容となっています.本号に掲載された論文が,読者の皆さまと理学療法対象者のお役に立ち,還元されることを願っています.
引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
理学療法学 編集委員 小澤淳也
理学療法学第51巻3号ダウンロードは こちら【PDF: 1578KB】
理学療法学第51巻第3号をお届け致します.本号は研究論文2編,企画記事2編を掲載しています.いずれも臨床における問題解決や,理学療法の発展に繋がる研究のヒントとなる有益な情報を含む,読み応え十分な内容となっています.本号に掲載された論文が,読者の皆さまと理学療法対象者のお役に立ち,還元されることを願っています.
引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
理学療法学 編集委員 小澤淳也
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- 心臓外科術後患者における術前身体機能と術後初期経過から100 m歩行自立日を早期に予測する
- 社会医療法人財団石心会埼玉石心会病院の川野拓紀氏らは,心臓外科手術後患者251例における術前身体機能と術後初期の臨床経過を調査し,100 m歩行自立日を予測する重回帰式を見出しました.重回帰式の説明変数にはBody Mass Index (BMI),人工呼吸器装着時間,術後48時間Sequential Organ Failure Assessment score,術後2日目のFunctional Status Score for the Intensive Care Unit,術前Short Physical Performance Batteryが抽出され,重回帰式は中等度の適合率を示しました.今回の回帰モデルを用いることで退院時期の予測や医療資源の調整に役立つことが示唆されました.
- 回復期リハビリテーション病棟に入退棟した低栄養リスクを有する脳卒中患者における栄養状態の推移の実態と日常生活動作改善度への影響
- 鵜飼リハビリテーション病院の石野晶大氏らは,回復期病棟に入退棟した低栄養リスクを有する脳卒中患者において,栄養状態の推移毎にADL改善度に差異が生じたこと,また,栄養状態の推移はADL改善度に関連する因子として抽出されたことを報告しました.回復期リハ病棟入棟期間中に栄養状態が維持もしくは低下した症例は,良好なADLの改善が得られにくく,入棟期間中の栄養状態の向上を図る積極的な栄養管理の重要性が示唆されました.
- 視覚入力を用いた理学療法の可能性
- 東京湾岸リハビリテーション病院の山中英士氏らは,理学療法におけるデバイステクノロジーの活用として,視覚入力を用いた理学療法について,立位・歩行課題におけるバイオフィードバック,ウェアラブルデバイスや脳活動を指標とするバイオフィードバックであるニューロフィードバックについて紹介しています.
- 回復期リハビリテーション病棟における中枢神経疾患に対する自主練習の考え方
- 初台リハビリテーション病院の野口隆太郎氏らは,自主練習の指導・処方における考え方として,筆者が所属する病院の回復期リハビリテーション病棟における中枢神経疾患に対する自主練習の定義,考え方や,24時間の生活の全てを「自主練習=自立支援」と捉えた様々な具体的取り組みについて紹介しています.
理学療法学第51巻2号
理学療法学51巻2号ではシステマティックレビュー1編と総説2編が掲載されました。
これらの論文はいずれも理学療法の臨床実践に直結するテーマであり、明日からの臨床や研究活動に有益となる論文です。理学療法学では、原著論文の他にもシステマティックレビューや症例研究、症例報告、実践報告、調査報告など、幅広い記事を募集しています。理学療法の可能性を社会に示すうえでも、さまざまな領域での臨床実践や研究成果を広く発信していくことが不可欠となります。理学療法学のさらなる発展のためにも読者の皆様からの本誌への引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。
理学療法学 編集委員 牧迫飛雄馬
理学療法学第51巻2号ダウンロードは こちら【PDF: 1373KB】
理学療法学51巻2号ではシステマティックレビュー1編と総説2編が掲載されました。
これらの論文はいずれも理学療法の臨床実践に直結するテーマであり、明日からの臨床や研究活動に有益となる論文です。理学療法学では、原著論文の他にもシステマティックレビューや症例研究、症例報告、実践報告、調査報告など、幅広い記事を募集しています。理学療法の可能性を社会に示すうえでも、さまざまな領域での臨床実践や研究成果を広く発信していくことが不可欠となります。理学療法学のさらなる発展のためにも読者の皆様からの本誌への引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。
理学療法学 編集委員 牧迫飛雄馬
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- 高齢者の歩行時の筋同時収縮活動におけるシステマティックレビュー—
- 西部診療所の木村太祐氏らは、高齢者における歩行時の筋同時収縮活動の特徴に関するシステマティックレビューの成果をまとめています。402件の文献から最終的に10件が採択され、高齢者では下肢の筋同時収縮活動の増加により下肢剛性力を高めて、歩行時の安定性確保を図る適応変化が生じていることを推察しています。高齢者の歩行特性を改めて深く考える重要な知見が報告されています。
- MRIによる筋機能研究に基づいた理学療法の可能性—
- 東京慈恵会医科大学附属病院の木下一雄氏は、MRIを活用した筋機能評価方法とその臨床的活用方法について、先行研究や自験例を紹介しています。MRIを用いた筋機能評価は、骨格筋に対して解像度が高く、非侵襲的かつ多層的に測定が可能であり、骨格筋の形態的および生理的な特性の解明に活用できるとされています。特に、股関節深層筋をはじめ形態的に複雑な頸部筋や体幹筋の機能評価にも有用となることが示されています。
- 急性期病院における変形性関節症に対する自主練習の考え方
- 岐阜大学医学部附属病院の尾藤貴宣氏らは、変形性股関節症と変形性膝関節症の術前から退院後を含めた期間の自主練習について、理学療法の現状や効果を紹介しています。主に筋力増強練習、関節可動域練習、有酸素運動について、具体的な自主練習の方法を紹介すると同時に、患者の自己効力感の向上が鍵となることを示しており、患者のモチベーションを効果的に引き出すことの重要性を述べています。
理学療法学第51巻1号
理学療法学51巻1号では研究論文1編、症例報告1編、総説2編が掲載されました。
これらの論文を通じて、最新の研究や臨床実践が理学療法の進化にどのように寄与しているかを深く理解していただけることと存じます。本誌は読者の皆様とともに歩む仲間であり、ご意見やご提案がありましたら、どうぞお気軽にお知らせください。より良い雑誌を提供するために、読者の皆様の参加が不可欠です。理学療法学の発展と読者の皆様のご健康にとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈りしております。引き続き、本誌へのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法学 編集委員 粕山達也
理学療法学第51巻1号ダウンロードは こちら【PDF: 1925KB】
理学療法学51巻1号では研究論文1編、症例報告1編、総説2編が掲載されました。
これらの論文を通じて、最新の研究や臨床実践が理学療法の進化にどのように寄与しているかを深く理解していただけることと存じます。本誌は読者の皆様とともに歩む仲間であり、ご意見やご提案がありましたら、どうぞお気軽にお知らせください。より良い雑誌を提供するために、読者の皆様の参加が不可欠です。理学療法学の発展と読者の皆様のご健康にとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈りしております。引き続き、本誌へのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法学 編集委員 粕山達也
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- 施設実習とオンラインでの代替実習が混在した評価実習における学生の振り返り内容の差異—計量テキスト分析を用いて—
- 横野論文では、2年次の評価実習において、施設実習者と学内演習者の振り返り内容の差異について計量テキスト分析で調査されています。施設実習者は検査・評価に成長の焦点があり、学内演習者は医療面接・接遇に成長を感じる結果が示されました。施設側と学生側の差異を振り返る貴重な結果を報告しています。
- 重度の感覚性運動失調に対し運動療法を行った1 例—急性自律性感覚性ニューロパチーの症例—
- 柴田論文では、急性自律性感覚性ニューロパチー(AASN)症例に対する運動療法効果(日常生活動作の改善)が示され、本疾患における新しい運動プログラムの確立に向けた貴重な取り組みが報告されています。
- 運動イメージに基づくBrain-machine Interface(BMI)が切り拓く新たな神経理学療法の可能性
- 菅田論文では、運動イメージに基づくBrain-machine Interface(BMI)が脳卒中後遺障害患者の新しいリハビリテーション手法として注目されていることを報告しています。中等度や重度の患者に制約のある現行アプローチに代わり、BMIは脳信号を計測し、コンピュータを介して神経機能を補完します。新たな科学技術の進展により、BMIが脳卒中後の運動機能障害に対する有望なアプローチとして期待されています。
- 急性期病院における中枢神経疾患に対する自主練習の考え方
- 藤澤論文では、急性期病院における中枢神経疾患への自主練習について、初期治療とリスク管理の重要性が示されました。脳卒中患者においては、計画的な立位練習や歩行練習が日常生活動作での独立度向上に寄与することが報告され、臨床上大変有意義な内容がまとめられています。
理学療法学第50巻6号
記録的な暑さが続き,短い秋となってしまいました。その後12月は冷え込んだ日も多くあり,冬らしさを実感しています。読者の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。私は秋・冬の学会シーズンを迎え,発表に向けて少しずつ準備を進めているところです。新型コロナ感染症の流行は続いているものの,対面での研究者間のコミュニケーションが再び活発になってきたことは喜ばしいことだと感じています。 秋・冬の学会シーズンで発表された,あるいは,発表予定の演題を整理して「理学療法学」や「Physical Therapy Research」にご投稿くださることをお願いいたします。自らの研究活動を発展させるよい機会になることと存じます。
理学療法学 編集委員 樋口大輔
理学療法学50巻6号ダウンロードは こちら 【PDF: 1775KB】
理学療法学 編集委員 樋口大輔
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- 腰椎の肢位による横隔膜のMRI上での運動の違い
- 黒石論文では、腰椎角度における横隔膜の運動距離の違いについて健常成人を対象に磁気共鳴画像法を用いて検証しています。安静呼吸、深呼吸いずれにおいても、腰椎前弯位がもっとも横隔膜の運動距離が小さかったことを示しています。
- ロコモティブシンドロームとプレゼンティーズムとの関連:病院職員を対象とした横断研究−
- 岸本論文では、病院職員におけるロコモティブシンドロームとプレゼンティーズムとの関連性を検証しています。自記式質問票ロコモ25(日常生活動作、疼痛やしびれ)とプレゼンティーズムとの間の有意な関連性を示しています。
- 骨転移キャンサーボードの実施により早期の日常生活動作の獲得が可能であった両側大腿骨髄内釘固定術後の一症例
- 藤原論文では、両側大腿骨骨転移に対して両側大腿骨髄内釘固定術を施行された患者に対して,骨転移キャンサーボード(多職種・多診療科連携医療チームによる会議)を実施し、疼痛緩和やそれに伴う身体機能や日常生活活動の改善が得られたことを報告しています。
- 皮膚脆弱性を認める下腿切断に対して早期に練習用仮義足を作製した一例 ~皮膚剪断力軽減目的のダブルインサート法~
- 齊藤論文では、皮膚脆弱性を認める下腿切断の患者に対して、皮膚剪断力の軽減を狙ったコポリマーライナーとPEライトインサートの二重構造からなるダブルインサート用いてソケットに装着する方式を考案し、早期に練習用下腿義足を成功裏に作製することができた経験を報告しています。
- ⽣活期での栄養と理学療法
- 高橋先生には、在宅生活期における高齢者の栄養の問題や、それに対する対応法について解説いただくとともに、栄養理学療法の介入について症例を提示しながらご紹介いただいています。
- テクノロジー社会に向けたこれからの理学療法のニーズ
- 吉田先生には、機械学習や人工知能(AI)に代表される革新的技術のリハビリテーション分野への応用の実情、さらには、革新的技術を活用したプログラムを開発するにあたっての理学療法士の関りやニーズについて解説いただいています。
理学療法学第50巻5号
理学療法学50巻5号をお届けします。今号には,研究論文1編,システマティックレビュー1編,症例報告1編,実践報告1編,調査報告1編,企画記事2編が掲載されており,充実した内容となっています。引き続き,理学療法に関する研究内容を「理学療法学」および「Physical Therapy Research」へ積極的に投稿していただくことをお待ちしております。
理学療法学 編集委員 森下慎一郎
理学療法学50巻5号ダウンロードは こちら 【PDF: 2045KB】
理学療法学 編集委員 森下慎一郎
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- 機械学習を用いた急性期脳卒中患者における退院時ADLに関する因子の検討 ~XGBoostおよびSHAP解析~
- 小林論文では急性期脳卒中患者246名を対象に退院時ADLに関する因子を検討しており,歩行や麻痺側下肢機能,動作能力が寄与すること報告しています。
- 高齢心不全患者に対する運動療法は運動耐容能と下肢筋力の改善に有効である –ランダム化比較試験に対するシステマティックレビューとメタアナリシス−
- 桑原論文は高齢心不全患者に対する運動療法が運動耐容能と下肢筋力の改善に有効か否かをシステマティックレビューとメタアナリシスを通して検証しており,運動耐容能の改善には,複数の運動療法の組み合わせが有効であることを報告しています。
- 慢性めまい症に対して短期集中的な前庭リハビリテーションの有効性が示唆された一症例
- 佐野論文では慢性めまい症に対して,短期間の集中的な前庭リハビリテーションを行うと,バランス機能,移動能力,日常生活動作能力が改善することを報告しています。
- 当院の生体腎移植術における周術期リハビリテーションプログラムの導入
- 小柴論文では腎移植周術期リハビリテーションプログラムの有用性を報告しており,11名中8名は術後7日以内の連続1 km歩行を達成したと報告しています。
- 特異的・非特異的腰痛の患者立脚型アウトカムに関する使用状況と認識についての調査
- 末廣論文では腰痛の患者立脚型アウトカムの使用状況をWebで調査しており,使用率は63.9%であり,さらなる普及のためには,職場での組織的な取り組みや教育の必要性を指摘しています。
- シリーズ「栄養と理学療法のポイントを考える」
連載第5回目 回復期における栄養と理学療法 - 木村先生には回復期病棟での適切な栄養管理と理学療法の重要性について執筆いただいています。
- シリーズ「理学療法を取り巻く社会環境の変化とニーズの再考」
連載第5回目 開発途上国におけるこれからの理学療法のニーズ - 笠井先生には開発途上国における理学療法の支援や今後の展望について,タンザニアの高齢化問題を事例として執筆していただいています。
理学療法学第50巻4号
ここに理学療法学 50 巻 4 号をお届けします。今号には,4 編の原著論文,1 編の症例研究,1 編の症例報 告,さらに 2 編の総説と,合計 8 編の論文が掲載されています。全般的に みた論文の多様性は,まさに理学療法の職域の広さを表していると感じます。引き続き,日常臨床における現象のまとめ,理学療法のための科学的研究の情報を「理学療法学」お よび「Physical Therapy Research」へ積極的に投稿していただくことを楽しみにしております。
理学療法学 編集委員 金子 文成
理学療法学50巻4号ダウンロードは こちら 【PDF:2020KB】
理学療法学 編集委員 金子 文成
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- 回復期脳卒中片麻痺者における歩行補助ロボット使用中の歩行速度の変化とその関連因子
- 本論文では,回復期病棟入院中の脳卒中片麻痺者に対して歩行補助ロボットを使用した歩行練習を実施したときの機能的変化を報告しています。後方視的に単群で解析したものです。麻痺の重症度により使用中の歩行速度の変化が異なっていたと結論づけています。
- 1年後に骨量が低下する地域在住高齢女性の身体・生活機能の特徴
- 本論文は,後ろ向きコホート研究として,1年の間に骨量が低下した在宅高齢女性を対象に身体機能や生活機能を評価したものです。ベースライン時点でBMIが低いことと,「運動器の機能」が低下していることに骨量低下が影響を受けることを報告しています。
- BMI区分別にみた地域在住中高齢者における指輪っかテストの結果と基本チェックリストによるフレイルの関連
- 本研究は,body mass indexに応じて在宅高齢者を分類し指輪っかテスト結果とフレイルとの関連を明らかにするために,無記名式郵送調査を行ったものです。指輪っかテストの結果と肥満の関係が報告されています。
- 骨盤底筋群の随意収縮が子宮動脈の血行動態に与える変化
- こちらの研究は,健常成人女性を対象に骨盤底筋群の随意収縮による子宮動脈の血行動態変化を計測した,観察研究です。骨盤底筋群の随意収縮が子宮動脈の時間平均平均流速を増大することを報告しています。
- 回復期脳卒中患者に対するエクサゲームを併用した理学療法の実行可能性 —ABAシングルケースデザインによる検証—
- 本論文は,ABAシングルケースデザインで,リングフィットアドベンチャーによるエクサゲームを併用した理学療法の実行可能性を検証したものです。80歳代の脳梗塞後一例について報告しています。
- 橋出血により感覚機能と注意機能に低下を認めた症例に対して注意の外的焦点化と
内的焦点化に着目した理学療法を行った経験 - こちらの症例報告は,橋出血により重度の感覚機能と注意機能低下を認めた1例について,注意の内的焦点化と外的焦点化に着目した理学療法について紹介したものです。
- 急性期病院での栄養と理学療法
- 栄養と理学療法のポイントについて,急性期病院での理学療法との関連で解説しています。
- スポーツ領域におけるこれからの理学療法のニーズ
- 理学療法を取り巻く社会環境の変化とニーズの再考として,スポーツ領域について解説しています。
理学療法学第50巻3号
理学療法学50巻3号には研究論文5編(原著論文3編,レビュー1編,症例報告1編),企画記事2編が掲載されています。多くの皆様が、明日からの臨床に、活かせる内容です。編集委員の一人として、本誌が、皆様のお役に立てるよう願っております。引き続き、「理学療法学」、「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 楠本泰士
理学療法学50巻3号ダウンロードは こちら 【PDF:1903KB】
理学療法学50巻3号には研究論文5編(原著論文3編,レビュー1編,症例報告1編),企画記事2編が掲載されています。多くの皆様が、明日からの臨床に、活かせる内容です。編集委員の一人として、本誌が、皆様のお役に立てるよう願っております。引き続き、「理学療法学」、「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 楠本泰士
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- 腰椎固定術後患者の術前体幹筋量は患者報告アウトカムの予測要因になる-骨格筋量指数を含めた調査-
- 岡崎氏は、腰椎固定術後患者の術前の体幹筋量が術後6か月時点での痛みや痛みによるADLの制限を予測しうることを報告しています。
- 新型コロナウイルス感染症患者における体位変換時の肺酸素化能と生存転帰の関連性に関する分析
- 柳田氏は、新型コロナウイルス感染症患者の生存転帰に関係する要因を多変量解析にて分析し、死亡群における体位変換後の肺酸素化能が予測因子となることを明らかにしています。
- 進行性核上性麻痺患者の病棟内歩行自立に関連する因子の検討
- 佐藤氏は、姿勢保持障害が特徴の一つである進行性核上性麻痺患者、86名を分析し、病棟内歩行自立に関連する因子を検討しています。
- 慢性閉塞性肺疾患急性増悪患者の身体活動性を改善するための運動療法およびセルフマネジメント教育の効果:システマティックレビュー&メタアナリシス
- システマティックレビュー・メタアナリシスとして山本氏は、慢性閉塞性肺疾患急性増悪患者の身体活動性を改善するための運動療法とセルフマネジメント教育の効果について調査しています。その中で、運動療法は身体活動量に一定の効果を認めますが、運動療法とセルフマネジメント教育を併用した関りのエビデンスレベルの低さを支持しています。
- 体外式補助人工心臓装着中から心臓移植後まで継続して理学療法介入した拡張型心筋症の乳児症例
- 志真氏は拡張型心筋症の乳児の症例報告を、心臓移植までの理学療法経過とデンバー発達スクリーニング検査での発達月齢の変化を図示し、多くの写真とともに視覚化して報告しています。
- 栄養と運動の併用効果のメカニズム
- 企画記事では、立松氏が栄養療法と運動療法の併用効果のメカニズムについて概説し、日々の適切な評価が最適なプログラム立案に結びつくことを示しています。
- 集学的治療に関するこれからの理学療法のニーズ
- 太田氏は、多分野・多職種による治療介入である集学的治療に関する理学療法のニーズとして、慢性疼痛患者に対する集学的治療の取り組みを紹介しています。
理学療法学第50巻2号
理学療法学50巻2号には研究論文(原著論文)1編、企画記事2編が掲載されています。
さて、新型コロナウィルス感染拡大から3年が経ち、「ウィズコロナ」の政策・対応へと段階的に移行しているとはいえ、会員の皆様におかれましては、未だその対応に大変なご苦労をされておられることと思いますが、本誌が少しでも皆様のお役に立つことを願っております。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 池添 冬芽
理学療法学50巻2号ダウンロードは こちら 【PDF:1477KB】
理学療法学50巻2号には研究論文(原著論文)1編、企画記事2編が掲載されています。
さて、新型コロナウィルス感染拡大から3年が経ち、「ウィズコロナ」の政策・対応へと段階的に移行しているとはいえ、会員の皆様におかれましては、未だその対応に大変なご苦労をされておられることと思いますが、本誌が少しでも皆様のお役に立つことを願っております。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 池添 冬芽
理学療法学50巻2号ダウンロードは こちら 【PDF:1477KB】
- 脳卒中患者における歩行自立判定指標としての杖把持片脚立位時間の妥当性検証
- 立丸論文では、脳卒中患者を対象にT字杖を把持した状態での片脚立位時間を評価し、杖把持麻痺側片脚立位時間が病棟内歩行自立または見守りを判別する上で妥当な評価方法であることを示し、特に杖把持麻痺側片脚立位時間と認知関連行動アセスメント(Cognitive-related Behavioral Assessment;CBA)を組み合わせることで高精度な歩行自立判定指標となることを報告しています。
- 栄養評価としての骨格筋評価
- 本論文では、BMI、低栄養リスク、嚥下能力といった栄養関連指標と骨格筋の筋肉量との関連性や新たなサルコペニア診断基準(IsarcoPRM)を紹介しながら、骨格筋評価はサルコペニア診断だけでなく、栄養管理や理学療法の視点においても重要であることを述べています。
- 産業衛生領域におけるこれからの理学療法のニーズ
- 本論文では、本邦における生産年齢人口減少に対する施策と課題および産業理学療法に対するニーズについて解説されており、さらに産業理学療法の実践例を示しながら産業理学療法を供給するシステムの現状と今後のあり方について言及されています。
理学療法学第50巻1号
理学療法学50巻1号をお届けいたします。本号では研究論文1編,短報1編,総説2編が掲載されました。総説は本巻より,シリーズ「栄養と理学療法のポイントを考える」の第1回の連載が始まりました。また,もう一つのシリーズである「理学療法を取り巻く社会環境の変化とニーズの再考」も連載開始となりました。
2023年に入り,まだまだ現場はCOVID-19の対応に四苦八苦する状況が続いています。一方で,未知のウイルスであったころに比べると対応策への理解が広がり,また学会については対面での開催も増えてまいりました。学術を進めるためには学会発表に加えて,そこからの論文化が重要になると思います。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
最後に,貴重な論文をご執筆いただきました方々,ならびに査読をお引き受けいただいた方々に深く感謝申し上げます。本論文に掲載された内容が日常の臨床場面に還元され,対象者の方々の生活機能,QOL(Quality ofLife)等の向上に寄与することを切に願っております。
理学療法学 編集委員 永井 宏達
理学療法学50巻1号ダウンロードは こちら 【PDF:1538KB】
理学療法学50巻1号をお届けいたします。本号では研究論文1編,短報1編,総説2編が掲載されました。総説は本巻より,シリーズ「栄養と理学療法のポイントを考える」の第1回の連載が始まりました。また,もう一つのシリーズである「理学療法を取り巻く社会環境の変化とニーズの再考」も連載開始となりました。
2023年に入り,まだまだ現場はCOVID-19の対応に四苦八苦する状況が続いています。一方で,未知のウイルスであったころに比べると対応策への理解が広がり,また学会については対面での開催も増えてまいりました。学術を進めるためには学会発表に加えて,そこからの論文化が重要になると思います。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
最後に,貴重な論文をご執筆いただきました方々,ならびに査読をお引き受けいただいた方々に深く感謝申し上げます。本論文に掲載された内容が日常の臨床場面に還元され,対象者の方々の生活機能,QOL(Quality ofLife)等の向上に寄与することを切に願っております。
理学療法学 編集委員 永井 宏達
理学療法学50巻1号ダウンロードは こちら 【PDF:1538KB】
- 内側開大式高位脛骨骨切り術後患者の術後半年の活動性と歩行速度に影響する因子の検討
- 瀧原論文では、内側楔状開大式高位脛骨骨切り術後患者において膝関節伸展筋力が活動性と歩行速度の両方に影響し、また膝関節の症状は活動性、性別は歩行速度に影響することを示しています。
- 歩行可能な脳性麻痺患者の股関節筋解離術後の Edinburgh Visual Gait Scoreの変化
- 脇論文では、股関節筋解離術前後の歩行パターンの変化をEdinburgh Visual Gait Scoreを用いて評価し、股関節筋解離術と術後早期の理学療法介入によって,脳性麻痺患者の歩行パターンが改善することを示しています。
- 栄養と理学療法オーバービュー
- 井上論文(総説)では栄養問題と理学療法の関連について、先行研究や近年のガイドライン等をもとに整理し、栄養問題を有する症例に対する理学療法士の専門的役割についてまとめられています。
- 少子社会におけるこれからの理学療法のニーズ
- 馬屋原論文(総説)では、少子化社会における出生時から就学・学校卒業までの小児期発症疾患患児やその家族から求められる理学療法のニーズについて概説するとともに、これらの課題についても整理されています
理学療法学第49巻6号
理学療法学49巻6号をお届けいたします。本号では研究論文3編、症例研究1編、症例報告1編、講座1編が掲載されました。
本号では基礎研究から臨床研究まで幅広く理学療法学に関する論文が掲載されています。また、臨床実践に生かしやすい講座もあります。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 石垣 智也
理学療法学49巻6号ダウンロードは こちら 【PDF:2245KB】
理学療法学49巻6号をお届けいたします。本号では研究論文3編、症例研究1編、症例報告1編、講座1編が掲載されました。
本号では基礎研究から臨床研究まで幅広く理学療法学に関する論文が掲載されています。また、臨床実践に生かしやすい講座もあります。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
理学療法学 編集委員 石垣 智也
理学療法学49巻6号ダウンロードは こちら 【PDF:2245KB】
- 前十字靭帯損傷モデルマウスの自己治癒過程におけるリハビリテーション介入は靭帯治癒を阻害しない
- 斉藤論文ではマウスを対象とした基礎研究から、自己治癒した膝前十字靭帯損傷に対する運動介入は治癒を阻害せず、治癒・成熟を促進する可能性を示しています。
- 高齢心臓外科手術患者におけるShort Physical Performance Batteryと入院関連能力低下との関連
- 杉浦論文では、高齢心臓外科手術患者における術前Short Physical Performance Batteryは入院関連能力低下の関連因子であり、術後低下が予測されるADLをスクリーニングするツールとして活用できる可能性を示しています。
- 脊髄損傷領域における観察的歩行評価 —Spinal Cord Injury Functional Ambulation Inventory(SCI-FAI)の日本語版作成と信頼性の検討—
- 草野論文では、脊髄損傷患者を対象とした観察的歩行評価であるSpinal Cord Injury Functional Ambulation Inventoryの日本語版を作成し、信頼性ある評価指標であることを示しています。
- 脳卒中片麻痺患者に対する歩行補助ロボットを用いた高速度歩行練習の効果 —シングルケースデザインによる検証—
- 山田論文では、脳卒中患者に対する歩行補助ロボットを用いた高速度歩行練習の効果をシングルケースデザインから検証しており、歩行速度向上に対する有効性を示しています。
- 呼吸理学療法と段階的運動療法の有効性が示唆された重症COVID-19 症例 —集中治療関連筋力低下および運動誘発性低酸素血症への対応—
- 瀬尾論文は重症COVID-19症例に対する呼吸理学療法と段階的運動療法の有効性と課題について報告しています。
理学療法学第49巻5号
理学療法学49 巻5号をお届けいたします。本号では研究論文1編,短報1編,症例報告2編,講座2編が掲載されました。このほかに臨床現場に活用できる内容をまとめた講座もあります。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
『理学療法学』編集委員 高橋 真
理学療法学49巻5号ダウンロードは こちら 【PDF:1830KB】
理学療法学49 巻5号をお届けいたします。本号では研究論文1編,短報1編,症例報告2編,講座2編が掲載されました。このほかに臨床現場に活用できる内容をまとめた講座もあります。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
『理学療法学』編集委員 高橋 真
理学療法学49巻5号ダウンロードは こちら 【PDF:1830KB】
- 新型コロナウイルス感染症の流行に伴う就労者の腰痛変化とプレゼンティーズムとの関連
- 白土論文では,COVID-19の流行は就労者の腰痛を悪化させやすく,腰痛悪化は労働遂行能力の低下に繋がることが示されました。
- 下肢への電気刺激部位の違いが動脈機能に及ぼす影響
- 三浦論文(短報)は,健常成人では下肢電気刺激による動脈スティフネス低下は刺激部位によって異なることを報告しました。
- 下垂足および足底感覚障害を有する脊髄円錐部髄内腫瘍に対し、術後早期からトレッドミル歩行練習を実施した1例
- 深田論文(症例報告)は,脊髄円錐部髄内腫瘍で歩行障害を呈した症例で,術後急性期から装具療法を併用したトレッドミル歩行練習を実施し,術後早期に歩行機能が再獲得できたことを報告しました。
- 脳卒中患者の歩行練習において長下肢装具から短下肢装具への移行に要する日数に関連する因子
- 上野論文(実践報告)では,脳卒中患者で回復期病棟入院時の下肢運動麻痺,Pushingの程度,機能的自立度の運動項目,年齢が長下肢装具での歩行練習期間に関連することを報告しました。
理学療法学第49巻4号
理学療法学49巻4号をお届けいたします。本号では研究論文5編,短報1編,症例報告1編,講座2編が掲載されています。
本号では,中枢疾患や整形疾患,心疾患を対象とした研究,基礎研究,症例報告が掲載されています。さらには,臨床現場に活用できる内容をまとめた講座もあります。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
『理学療法学』編集委員 前田 慶明
理学療法学49巻4号ダウンロードは こちら 【PDF:2141KB】
理学療法学49巻4号をお届けいたします。本号では研究論文5編,短報1編,症例報告1編,講座2編が掲載されています。
本号では,中枢疾患や整形疾患,心疾患を対象とした研究,基礎研究,症例報告が掲載されています。さらには,臨床現場に活用できる内容をまとめた講座もあります。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております。
『理学療法学』編集委員 前田 慶明
理学療法学49巻4号ダウンロードは こちら 【PDF:2141KB】
- 他者との運動実施が高齢者の運動継続に及ぼす影響:基本属性および外向性との交互作用の検証
- 太田論文において他者との運動実施が運動継続に及ぼす影響は限定的であることが報告されました。
- 回復期脳卒中片麻痺患者における病棟歩行自立を判定するための膝伸展筋力カットオフ値の決定
- 松下(武)論文は回復期脳卒中片麻痺患者において,等尺性膝伸展筋力は病棟歩行自立の判断基準となり得ることを報告しました。
- 肩関節周囲炎に起因する臨床症状および活動制限の性差
- 松下(健)論文では,肩関節周囲炎のADL・IADL制限に対しては性別を考慮した評価が必要であることを報告しました。
- 臼蓋形成不全による二次性変形性股関節症患者に対し理学療法を施行した際の経過分析
- 平尾論文では,二次性変形性股関節症患者に対し理学療法を実施した際,3 ヵ月間の疼痛,ADL, 身体機能の経時変化は病期に関わらず改善を示したことを報告しました。
- 後期高齢心疾患患者における30秒椅子立ち上がりテスト(CS30)は基本チェックリスト(KCL)によるフレイル評価と関連する
- 小林論文では,後期高齢心疾患患者におけるCS30の値は,フレイル患者の特徴を表す重要な指標のひとつであることが示唆されました。
- レセルピン投与による線維筋痛症モデルラットにおける骨格筋の組織学的変化
- 宮原論文(短報)では,レセルピン投与による線維筋痛症モデルラットの筋内に生じる組織学的変化について報告しました。
- 脊髄不全損傷後に両下肢の痙縮と歩行障害を呈した症例に対する振動療法を併用した運動療法
- 症例報告として河合論文では,脊髄損傷後の本症例では,振動療法を併用した運動療法が痙縮,関節可動域,歩行能力を改善させるために有益であったことを報告しました。
理学療法学第49巻3号
理学療法学49巻3号をお届けいたします。本号では研究論文4編,症例報告4編,企画記事2編が掲載されています。
本号の掲載論文は臨床研究だけでなく動物実験もあり、また対象も児童から高齢者まで幅広いです。理学療法が私たちの生活の様々な課題解決に寄与することを実感できます。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 原田 和宏
理学療法学49巻3号ダウンロードは こちら 【PDF:2806KB】
理学療法学49巻3号をお届けいたします。本号では研究論文4編,症例報告4編,企画記事2編が掲載されています。
本号の掲載論文は臨床研究だけでなく動物実験もあり、また対象も児童から高齢者まで幅広いです。理学療法が私たちの生活の様々な課題解決に寄与することを実感できます。引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 原田 和宏
理学療法学49巻3号ダウンロードは こちら 【PDF:2806KB】
- 異なる強度の運動が肺気腫モデルマウスの骨格筋に及ぼす影響
- 肺気腫マウスに異なる強度の運動介入を行った結果、中強度の運動で骨格筋のtype II A線維割合が減少して運動耐容能を改善させる可能性が明らかにされました。
- サルコペニアは回復期リハビリテーション病棟での実績指数に影響する
- 回復期リハビリテーション病棟の入棟患者を対象にサルコペニアを有すると日常生活動作能力の改善度を示す実績指数が低くなることが報告されました。
- 地域在住高齢者におけるロコモ度1と身体機能評価の関連性についての検討
- ロコモ度1の地域在住高齢者は非ロコモ群と比べて開眼片脚立位時間が短いことが報告され、カットオフ値が示されました。
- 重度の下肢運動障害をきたした被殻出血患者における運動機能の改善に関与する予測因子
- 重度の下肢運動障害をきたした被殻出血患者における運動機能の改善を予測する重要な因子が皮質脊髄路走行領域の損傷度と座位能力などであることが報告されました。
- 集中的な電動車いす操作練習により心身機能の向上した14歳の重症心身障害児の1症例
- 14歳の重症心身障害児に対して集中的な電動車いす操作練習を6か月間実施して上肢操作、座位バランス,および認知機能が向上したことが示されました。
- 髄芽腫摘出後の5歳児に対する理学療法 -術後に重度の運動麻痺と精神症状を呈した症例の運動機能の変化について-
- 髄芽腫摘出後に重度の運動麻痺,平衡機能障害,精神症状を呈した5歳児に対して理学療法を実施し室内移動と院内移動が自立したことが報告されました。
- ダウン症候群を併存した脳性麻痺を持つ児に対して選択的脊髄後根切断術後に感覚運動経験アプローチを実施した一症例
- ダウン症候群を併存した脳性麻痺痙直型両側性麻痺の男児に対して選択的脊髄後根切断術後の感覚運動経験アプローチを実施し両親の目標設定項目と粗大運動能力の改善につながったことが報告されました。
- 集中的な理学療法により移乗・座位能力が改善した高齢両側短断端大腿切断の1例
- 両側短断端大腿切断の80歳代の女性患者に対して集中的な理学療法により移乗・座位能力の獲得を可能にしたことが報告されました。
理学療法学第49巻2号
理学療法学49巻2号では研究論文5編,症例報告5編,企画記事2編が掲載されており,充実した内容となっています.
本号の掲載論文はすべて臨床に基づいた研究の報告であり,理学療法士にとって有益な内容となっています.本誌が理学療法対象者の方のお役に立ち,還元されることを願っております.引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 久保田 雅史
理学療法学49巻2号ダウンロードは こちら 【PDF:9.1MB】
理学療法学49巻2号では研究論文5編,症例報告5編,企画記事2編が掲載されており,充実した内容となっています.
本号の掲載論文はすべて臨床に基づいた研究の報告であり,理学療法士にとって有益な内容となっています.本誌が理学療法対象者の方のお役に立ち,還元されることを願っております.引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 久保田 雅史
理学療法学49巻2号ダウンロードは こちら 【PDF:9.1MB】
- ★理学療法学第49巻2号
- 重度脳卒中患者の回復期リハビリテーション病棟退院時の日常生活動作の因子と入院時能力との関係性
- 重度脳卒中者の自宅転帰には入院時Functional Movement ScaleとFIM認知項目が関連することが示されました。
- 重症COVID-19患者 の急性期に おける 骨格筋萎縮とその要因の検討
- 重症COVID-19 患者は急性期において骨格筋量が減少し,さらに入院時のBMI とAPACHE Ⅱ score が骨格筋萎縮のリスク因子であることが示唆されました。
- 日本語版高齢者運動セルフエフィカシー尺度の信頼性と妥当性の検証
- 日本語版高齢者運動セルフエフィカシー尺度を翻訳して作成し,内的一貫性と構成概念妥当性が報告されました。
- 男子大学生の強度別身体活動量,血圧および体脂肪率が血管内皮機能に及ぼす影響:パス解析モデルを用いた検討
- 男子大学生の血管内皮機能は,低強度身体活動時間および体脂肪率の多寡が拡張期血圧を介して影響を及ぼすことが示唆されました。
- 地域在住高齢者における骨量および筋量の低下と身体活動との関連性
- 地域在住高齢者における骨量・筋量低下と身体活動との関連性を検討し,骨量・筋量低下を併存している高齢者は,中高強度身体活動時間が減少していることが示唆されました。
- 歩行中の機能的電気刺激療法により痙縮減弱を認めた多発性硬化症の一例
- 多発性硬化症患者に対する前脛骨筋へのFES は,即時的に下腿三頭筋の痙縮を減弱させ,立脚期の反張膝や遊脚期での躓きが減少することで,歩行能力を向上させる可能性があることが示唆されました。
- 首下がり症状を呈した変形性頸椎症症例に対する脊柱アライメントの改善を指向した理学療法介入の効果検討
- 首下がりを呈した変形性頸椎症の2症例に対して,頸部自動伸展機能の改善に加えて,矢状面上における脊柱全体と骨盤帯のバランスが取れた立位姿勢をめざした介入によって立位姿勢及び前方注視障害が改善する可能性が示唆されました。
- 筋筋膜性疼痛症候群に対して運動療法と経皮的電気刺激治療の併用が有効であった進行性卵巣癌の一症例
- 筋筋膜性疼痛症候群を生じた進行性卵巣癌患者に対して,運動療法と経皮的電気刺激治療の併用により,疼痛の緩和,オピオイド鎮痛薬使用量の減量,身体活動・身体機能・QOL の改善が報告されました。
- 歩行獲得に難渋したサイム切断例に対する早期簡易的義足の使用による効果
- サイム切断症例に対して早期から脚長差を補完するために簡易的義足を用いて理学療法を行うことで,脚長差による異常歩行を予防し,円滑に義足歩行へ移行できたことが示されました。
- 二次性サルコペニアを合併したTrousseau症候群に対して栄養療法と運動療法の併用により自宅復帰に至った一例
- 二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して,適切な栄養管理下の運動療法は身体機能の改善に効果的である可能性が示唆されました
理学療法学第49巻1号
理学療法学49巻1号では研究論文(原著)が5編,症例研究1編,短報1編,症例報告1編、実践報告1編,調査報告1編,講座が2編と各種論文の非常に充実した内容となっております.論文という足跡は,まさにコロナ禍においても不断の努力の結果を表す象徴として捉えていただければと思います.一つ一つの論文をじっくりと拝読しますと,実に様々な分野における質の高い論文であることが見て取れます.理学療法の発展は一方向にとどまらず多方向,多方面に向かって大きな進歩を遂げていることを実感いたします.これは,限りなく頼もしい内容であるとともに,それぞれの論文が最終的に理学療法の発展,将来に向かって進むことに大きな期待を感じずにはいられません.
今後も皆様の「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 菅原 憲一
理学療法学49巻1号ダウンロードは こちら 【PDF:7.1MB】
理学療法学49巻1号では研究論文(原著)が5編,症例研究1編,短報1編,症例報告1編、実践報告1編,調査報告1編,講座が2編と各種論文の非常に充実した内容となっております.論文という足跡は,まさにコロナ禍においても不断の努力の結果を表す象徴として捉えていただければと思います.一つ一つの論文をじっくりと拝読しますと,実に様々な分野における質の高い論文であることが見て取れます.理学療法の発展は一方向にとどまらず多方向,多方面に向かって大きな進歩を遂げていることを実感いたします.これは,限りなく頼もしい内容であるとともに,それぞれの論文が最終的に理学療法の発展,将来に向かって進むことに大きな期待を感じずにはいられません.
今後も皆様の「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 菅原 憲一
理学療法学49巻1号ダウンロードは こちら 【PDF:7.1MB】
- ★理学療法学第49巻1号
- 腰椎椎間板ヘルニア患者の罹患側および非罹患側における傍脊柱筋断面積の比較
- 腰椎椎間板ヘルニア患者の傍脊柱筋の筋断面積を測定することにより,罹患高位レベルに隣接する椎体においても多裂筋の萎縮を生じる可能性を示唆している.
- 間質性肺疾患患者における呼吸リハビリテーションが身体活動量に与える影響
- 間質性肺疾患患者の呼吸リハビリテーションが身体活動量に与える影響を検討し,その身体活動量に焦点をあてた介入の必要性を示唆している.
- 高齢急性心不全に対する神経筋電気刺激療法を用いた心臓リハビリテーション早期介入の安全性,有効性についての検討
- 高齢急性心不全患者に対する神経筋電気刺激療法を行うことによる安全性および有効性を検証している.その結果,骨格筋量および筋力低下を安全に抑制する可能性があることを示唆している.
- 痙直型脳性麻痺児者のManual Ability Classification System と年齢を考慮した上肢機能とセルフケアの違い
- 痙直型脳性麻痺児の上肢機能とセルフケアについて上肢操作能力分類システムのレベルにおいて発達経過は健常児と異なり,レベルⅠのCP児でも対象児と比べて上肢機能が劣っている可能性を示唆している
- 子宮頸がん患者に対する同時化学放射線療法中のがんリハビリテーション実施率にかかわる要因の検討
- 子宮頚癌における同時化学放射線療法を実施中に対するがんリハビリテーション実施率とその要因を調査した結果,その実施率は運動機能と筋力に関係していることを示唆している.
- 亜急性期脳卒中者に対するBody Weight Supported Overground Training の効果
- 亜急性期脳卒中者に対するBody Weight Supported Overground Trainingを実施しその効果を検討した結果,その時期の患者において歩行能力,運動学・動力学的指標を改善しうる理学療法戦略であることを示唆している.
- COVID-19 重症患者における年代別の理学療法経過
- COVID-19 重症患者を年代別に分類し,基本属性および理学療法の経過を明らかにすることを目的に行ったものであり,重症患者におけるADLの回復は50-80歳代までは短期的には困難であることを示唆している./dd>
- 長期間の体外式膜型人工肺管理を要した新型コロナウイルス感染症患者3 症例に生じた集中治療後症候群と回復過程
- 長期間のECMO 管理を要したCOVID-19 患者に対してリハビリテーションを行うことで6 ヵ月以降の外来受診の際のPICS(身体機能・認知機能・精神機能)の発症を抑制できた3 症例について報告されている.
- 糖尿病足潰瘍に起因する足部の部分切断患者に対する退院後訪問指導の効果
- 糖尿病足潰瘍による足部の部分切断患者に対する退院後訪問指導を考慮することで,再入院の抑制と退院後の身体機能を維持できる可能性が示唆している.
- 小児がん患者に対するリハビリテーションの実態調査
- 小児がん診療施設における小児がん患者に対するリハビリテーション介入の実態について調査した。その結果,介入に対する問題点を提示するとともに,同分野にかかわるスタッフ間交流や,エビデンス構築に向けた多施設共同研究への発展を提言している.
- シリーズ「自主トレーニング指導・処方における工夫」
連載第 1 回 注意障害・遂行機能障害をもつ片麻痺患者に対する 自主トレ指導のポイントと注意点 - 片麻痺患者の有する注意障害および遂行障害の明確なレビューとともに,検査・評価方法の概要に関する詳細を明確に示されている.その上でアプローチ方法が提示されている.臨床においてもポイントを突いた解説が成されている
- シリーズ「その時バランスをどう見るか」
連載第 4 回 階段昇降バランスの診るべき視点 - 階段昇降に関わる評価バッテリ−の詳細から生体力学的な解説が明示されている.また姿勢制御の幅広い関連要素(生体力学的要因,認知過程,運動戦略など)について解説されている.階段昇降に関する理学療法士の診るべきポイントが詳細にまとめられている.
理学療法学第48巻6号
理学療法学48巻6号では研究論文6編,症例研究1,短報2編,調査報告1編,企画記事2編の合計12編が掲載されております.
本号には多様な臨床研究や実践報告が多く掲載されています.本誌が理学療法対象者の方のお役に立つことを願っております.皆様の「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 対馬栄輝
理学療法学48巻6号ダウンロードはこちら【PDF:13.8MB】
- ★理学療法学第48巻6号
- 変形性膝関節症例における歩行時の膝関節運動学・三次元下肢荷重軸の重症度別評価
清水 健太ほか - 脛骨平面を通過する三次元下肢荷重軸動態と膝関節運動学および冠状面アライメントの関連を見出し,変形性膝関節症進行のメカニズム解明に寄与する可能性を報告しています.
- 運動への手段的および感情的態度と運動行動との関連─セルフ・エフィカシーおよび自己調整による媒介効果の検証─
太田 幸志ほか - 運動への手段的態度と感情的態度について,感情的態度はセルフ・エフィカシーと自己調整を媒介して運動行動に影響したが,手段的態度は両者を媒介して運動行動に影響を与えるか明確にならなかったと報告しています.
- 大腿骨近位部骨折患者における骨格筋量が機能的予後に及ぼす影響
白石 涼ほか - 大腿骨近位部骨折患者の腹部CTによる大腰筋面積で推定した骨格筋量が,機能的予後不良と関連することを報告しています.
- 歩行イメージの時間的・空間的変化が脳活動へ及ぼす影響─microstate segmentation 法を用いて─
西本 和平ら - 歩行イメージを時間的空間的に変化させた際の脳内神経は異なる脳領域が活動し,時間的および空間的特性を考慮する必要性を述べています.
- 間質性肺疾患患者における入院関連能力低下の発生率と臨床的アウトカムへの影響─2 施設共同前向き観察研究─
髙橋 佑太ら - 間質性肺疾患患者では高率に入院関連能力低下(HAD)が生じるため,在院日数を含む臨床的アウトカムに影響を与えることを見出した報告です.
- 被殻出血および視床出血患者の急性期 Computed Tomography画像から深層残差ネットワークにより発症 3 ヵ月後の歩行自立を予測する─後ろ向きコホート研究
中口拓真ら - 被殻・視床出血患者の急性期 CT 画像を用いて,深層残差ネットワークにより発症 3 ヵ月後の歩行自立を予測した報告です.
- 心臓移植患者に対する回復期外来心臓リハビリテーションの補助としての神経筋電気刺激療法の効果─シングルケースデザインを用いた検討─
瀬古 博正 - 心臓移植患者の外来心臓リハビリテーションに神経筋電気刺激療法を加え,身体機能改善に相乗効果があることを見出しています.
- 急性期脳梗塞患者の病棟内歩行自立判定に関連する要因の検討─Berg Balance Scale, Moss Attention Rating Scale, Stop Walking When Talking test による多変量解析─
井上 桂輔 - 急性期脳梗塞患者の注意障害を定量的に示して歩行自立判定を検討したところ,BBS だけでなく,MARS,SWWT を用いることで精度が高まることを報告しています.
- レッドゾーンで新型コロナウイルス感染症患者に対応する理学療法士の心理的ストレスについて
高橋 哲也ら - 急レッドゾーン内で新型コロナウイルス感染症患者を診る理学療法士の心理的ストレスについて,ほぼすべての理学療法士でなんらかの心理的ストレスを抱えていたと報告しています.
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりオンラインで実施した臨床実習の学生満足度と今後の課題
中根 征也ら - 新型コロナウイルス感染症拡大によって,オンラインを活用した学内実習を行ったところ,低学年では,医療面接などを通じて,臨床経験の積み重ねが期待できるが,最終学年では理学療法プログラムの経験などが不十分となり,臨床経験の積み重ねは難しいと述べています.
- シリーズ「加齢に伴う生体の変化とその理解」
連載第5 回 加齢に伴う消化・吸収・排泄機能の変化
万行 里佳 - 加齢による消化、吸収、排泄機能の変化、および、それらの機能低下により高齢者に多く発症する代表的な疾患について概説し,理学療法として施行される骨盤底筋トレーニングについて解説しています.
- シリーズ「その時バランスをどう見るか」
連載第 3 回 方向転換におけるバランスをどう見るか
磯 あすか - 方向転換の方法や要素を提示し,先行研究からバイオメカニクス的観点,転倒予防と外傷・障害予防に関連する因子について述べています.
- 変形性膝関節症例における歩行時の膝関節運動学・三次元下肢荷重軸の重症度別評価
理学療法学第48巻5号
理学療法学48巻5号では研究論文8編,症例報告1編,調査報告1編,企画記事2編が掲載されており,充実した内容となっています.
本号の掲載論文は臨床に基づいた研究の報告であり,対象は小児から高齢者まで幅広く有益な内容となっています.本誌が理学療法対象者の方のお役に立ち,還元されることを願っております.引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 土井剛彦
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- ★理学療法学第48巻5号
- 福山型先天性筋ジストロフィー患者における運動能力の経時的変化
- 安達論文において福山型先天性筋ジストロフィー患者において,粗大運動能力尺度からみた運動能力の経時的変化が,二相性であることが報告されました.
体位の違いが持続発声最終域の腹部体幹筋の筋厚に与える影響-
塙論文では,健常成人を対象に,持続発声による筋厚の変化が検討され,筋厚の評価には,超音波画像診断装置が用いられました.その結果,男女問わず,背臥位,座位,立位において,持続発声による筋厚の増加がみられたと報告されました.
通所リハビリテーションにおける余暇活動の活発さに移動の自立度と手段が及ぼす影響-
山本論文では,通所リハビリテーションの利用者を対象に,移動自立度と認知機能が高いことが活動性と対人関係に関連したと報告されました.
女子体操競技選手における膝前十字靭帯損傷の発生状況-
内之倉論文では,女子体操競技選手を対象に,膝前十字靭帯損傷の発生状況について,ひねり方向とは反対側の受傷が多い事が報告され,競技特性を考慮する重要性が示唆されました.
自宅近隣環境の類型別にみた生活空間の良好な地域高齢者の身体・心理社会的特性に関する検討-
葛迫論文では,通所施設等を利用する高齢者を対象に,Life-space assessmentにて評価された生活空間が関連する身体・心理社会的特性が,自宅近隣環境によって異なる可能性が示唆されました.
人工呼吸器装着患者の退院時における自立歩行の関連因子の検討-
藤原論文では,救命救急病棟における人工呼吸器装着患者を対象に,退院時の自立歩行の可否に関連する因子として,年齢,血清総蛋白値,Intensive Care Unit Mobility Scaleが報告されました.
高齢者大腿骨近位部骨折術後患者における術後2 週時の歩行能力に関連する因子の検討-
市ノ瀬論文では,高齢者大腿骨近位部骨折患者を対象に,術後2 週時の歩行能力の予測因子が検討され,歩行器歩行の可否判別に対し,受傷前のBarthel Index,骨折型,術後3 日間のCumulated Ambulation Scoreが関連することが示されました.
体表上とX 線像上で測定したcarrying angle の比較-
相良論文では,健常成人を対象に,肘関節におけるcarrying angleの測定方法によって得られる値が異なることが示されました.さらに,値に関連する身体特性も測定方法によって異なることが示されました.
心停止蘇生後,急性呼吸窮迫症候群合併例に対して心臓リハビリテーションを行い,社会復帰を遂げた一症例-
須山論文では,心停止蘇生後,急性呼吸窮迫症候群合併例に対する心臓リハビリテーションについて報告がなされ,運動耐容能や身体機能の改善がみられ,社会復帰を果たしたことが報告されました.
産後女性における睡眠障害が慢性腰痛骨盤痛の持続に与える影響-
堀邉論文では,産後にみられる慢性腰痛骨盤痛が持続する要因として,産後の睡眠障害が関連することが示唆されました. また,企画記事において,千代丸先生より歩行におけるバランスについて,斎藤先生より加齢に伴う呼吸・循環・腎臓機能の変化について,大変わかりやすいご解説をいただきました.
理学療法学第48巻4号
理学療法学48巻4号では研究論文5編,症例研究2編,短報1編,症例報告2編,実践報告1編,調査報告1編,企画記事2編が掲載されており,充実した内容となっています.
本号の掲載論文はすべて臨床に基づいた研究の報告であり,理学療法士にとって有益な内容となっています.本誌が理学療法対象者の方のお役に立ち,還元されることを願っております.引き続き「理学療法学」および「Physical Therapy Research」への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 森下慎一郎
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- ★理学療法学第48巻4号
- 人工膝関節置換術前後のリハビリテーションプロトコルの実施状況と内容に関する全国調査
- 飛山論文は人工膝関節置換術前後のリハビリテーションプロトコルの実施状況を調査しており,術前プロトコルの実施割合は45.8%であり,術後の実施割合87.6%に比べて低い値を示したと報告しています.
入院期心不全患者の軽度認知機能障害が ADL 改善効果に及ぼす影響-
横田論文は心不全患者において,軽度認知機能障害患者は非認知機能障害患者と比べると,入院時のBarthel Indexスコアが低下しているが,理学療法により改善することを示しています.
成長期野球選手における上腕骨内側上顆の超音波所見と身体的特性・理学所見の関連性-
深木論文は小学生の軟式野球選手259 名を対象として野球肘検診の結果、上腕骨内側上顆超音波所見は年齢,圧痛,Moving Valgus Testと関連することを報告しています.
要支援・要介護高齢者の身体活動量とアパシーの関連-
武田論文では要支援・要介護高齢者65名を対象に身体活動量とアパシーの関連を調査しており,身体活動量にはアパシーと歩行速度が関連したと報告しています.
腰痛既往を有する一流男子競泳選手の蹴伸び姿勢における体幹アライメントの特徴-
角論文は男子競泳選手において腰痛群の蹴伸び姿勢は非腰痛群と比べると,腰椎が前彎,骨盤が前傾,上胴が後傾,骨盤に対し上胴が伸展位になることを示しています.
慢性期脳卒中患者に対するGait Exercise Assist Robot併用練習の効果−シングルケーススタディABABデザインによる検討-
浅野論文は慢性脳卒中患者に対し歩行練習ロボットを併用した運動療法の効果を調査しており,ロボット併用により,歩行速度や歩容が改善したと報告しています.
小脳性運動失調を伴う脳卒中患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習が歩行能力に及ぼす効果 ―シングルケースデザインによる検討―-
吉川論文では小脳性運動失調を伴う脳卒中患者に対し体重免荷トレッドミル歩行練習を行うと,歩行能力の改善を認めたと報告しています.
病棟看護師の労働生産性に関与するメンタルヘルスと腰痛の関連性 -ワーク・エンゲイジメント,ワーカホリズムと腰痛調査の予備研究--
田上論文は病棟看護師において非特異的腰痛の有無および労働遂行能力は,ワーク・エンゲイジメントと有意に関連すると報告しています.
長期入院中に発達支援的介入を行った屈曲肢異形成症の一例-
内田論文は屈曲肢異形成症例に対し,長期に発達支援的介入を行った結果,寝返りを獲得,座位時間が延長し,認知面の発達も認めたと報告しています.
グルココルチコイド療法に伴うステロイド筋症併発に対し,運動療法により運動耐容能が向上した心臓サルコイドーシス患者の一症例-
金子論文は心臓サルコイドーシス患者においてステロイド筋症により筋力低下を認めたが,運動療法により最高酸素摂取量の向上を認め,運動による心拍応答反応も改善したことを報告しています.
当院回復期リハビリテーション病棟における脳損傷者の移乗・トイレ動作・歩行の自立判定プロセスと自立後の転倒-
星野論文はADL自立後の転倒を脳損傷者で調査しており,転倒者はFIM 運動,Stroke Impairment Assessment Set運動機能面,Berg Balance Scaleが有意に低かったと報告しています.
脳卒中のリハビリテーションに関するYouTube動画の質-
荻原論文はYouTubeで公開された脳卒中のリハビリテーションの動画の質を評価したところ,情報源や治療の選択肢,リスクに関する情報を提供できておらず低品質であったと報告しています.
理学療法学第48巻3号
理学療法学48巻第3号では多彩な内容で4編の研究論文(原著)および1編の短報、3編の症例報告、1編の実践報告、1編の調査報告を掲載しました。
突然ですが先日、私の勤める施設で院内クラスターが発生し、その4日後にはリハビリテーション部から4名が濃厚接触者と認定され、残りのほとんどのスタッフが自宅待機となり、ゴールデンウィークを挟み13日間のリハビリテーション部・ロックダウンを経験しました。これまでコロナ対策としてリハ・クラスターを作らないことを目標としてきましたが、この経験から濃厚接触者にならない理学療法の仕方の重要性を痛感しました。このように感染症対策に心を痛めている中でも本誌の論文の投稿数は減るどころか、増加傾向のようで、会員の方々のコロナ化にも負けない研究意欲の高さに深く敬意を表します。
『理学療法学』編集委員 嶋田 誠一郎
48巻3号ダウンロードはこちら【PDF:14.7MB】
- ★理学療法学第48巻3号
- 高齢女性の下腿のデジタル画像による低骨格筋肉量判定の可能性
- 中口拓真論文は高齢女性の下腿のデジタル画像から低骨格筋指数者を判定できるかの予備的研究であり、その可能性を示したものです。貴志将紀論文は高齢肺炎患者の嚥下能力には大腿四頭筋の筋輝度や皮下脂肪厚が重回帰分析の結果明らかになったとするものです。
高齢肺炎患者の嚥下能力には大腿四頭筋の筋内非収縮組織量が関連する:横断研究-
貴志将紀論文は高齢肺炎患者47名を対象とし、嚥下能力には重回帰分析の結果、大腿四頭筋の筋輝度や皮下脂肪厚が関連することが明らかになったとするものです。
在宅環境での歩行能力評価としての2 ステップテスト ─信頼性・妥当性の検討および歩行自立に関する基準値の作成─-
石垣智也論文では在宅環境での歩行能力評価としての2 ステップテストを実施し訪問リハビリテーション対象者10施設236名からカットオフ値の設定と信頼性と妥当性が得られたことを報告しています。
膝痛患者に対する生物心理社会モデルに基づく自己管理プログラムが身体活動および座位行動に及ぼす影響:予備的研究-
出口直樹論文では膝痛患者に対する生物心理社会モデルに基づく自己管理プログラムを実施した結果、坐位行動時間の減少に有効であったことが示唆されています。
末期変形性股関節症女性患者における尿失禁および骨盤臓器脱の有症率と認識調査- 宮原小百合らの短報では、末期変形性股関節症女性患者における尿失禁および骨盤臓器脱の有症率と認識調査を行い有症率の高さと指導に対する期待の高さを報告しています。
リスク管理を行ったうえでのリハビリテーション介入によりADL 維持向上を図ることができたミトコンドリア病の一症例-
渡辺祐樹らの症例報告は、リスク管理を行ったうえでの理学療法実施により身体機能およびADL・QOL 維持向上を図ることができたミトコンドリア病の一症例の報告です。
段階的な目標設定の共有が視床出血後の依存的行動を変容させた一症例-
大谷武史らの症例報告では、段階的な目標設定ツールを用いた理学療法の共有が視床出血後の依存的行動を変容させた一症例を報告しています。
術後早期に独歩を獲得し得た脊髄後索障害の1 例-
深田亮らの症例報告では、術後早期に独歩を獲得し得た脊髄後索障害の1 例を報告しています。
脊髄損傷者を対象とした体幹機能評価尺度(Trunk Assessment Scale for Spinal Cord Injury:TASS)の開発と信頼性の検証-
佐藤弘樹らの実践報告では脊髄損傷者を対象とした体幹機能評価尺度(Trunk Assessment Scale for Spinal Cord Injury:TASS)を開発し、その信頼性の高さを確認しています。
全国がん診療連携拠点病院でのリンパ浮腫外来における運動療法の実態調査-
石井瞬らの調査報告は全国がん診療連携拠点病院でのリンパ浮腫外来における運動療法の実態調査を行い、リハスタッフの育成、増員が必要と結論付けています。
理学療法学第48巻2号
診療ガイドラインとは,「診療上の重要度の高い医療行為について,エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価,益と害のバランスなどを考量して,患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」として定義されます(Minds).診療ガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため,必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りませんが,臨床における意思決定の際に利用することが推奨されます.ある国では,冠動脈疾患に対するある薬剤(A剤)の使用が診療ガイドラインで強く推奨され始めた翌年以降に,A剤の効果を検証するとして実施された“不必要な臨床試験”が2,000件を超えていたことが明らかにされました(BMJ 2021;372:n48).不必要な臨床試験は,医療資源を浪費し,とくに対照群の設定では,効果的な介入が受けられない患者を設定する懸念があり,患者に害を及ぼす可能性があります.臨床試験を行う際には,“不必要な臨床試験”にしないように,診療ガイドラインを踏まえることが重要です.
さて,理学療法学48巻2号には,厳正なる査読を受けて採択された原著8編と症例報告2編の臨床研究論文,編集委員会の企画による企画記事2編が掲載されています.理学療法学およびPhysical Therapy Research (PTR)へ投稿いただいても,残念ながら不採択となる論文がありますが,不採択となる理由についても丁寧にコメントしておりますので,今後の参考になることは間違いありません.理学療法学およびPhysical Therapy Research (PTR)への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 野村 卓生
48巻2号ダウンロードはこちら【PDF:18.4MB】
診療ガイドラインとは,「診療上の重要度の高い医療行為について,エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価,益と害のバランスなどを考量して,患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」として定義されます(Minds).診療ガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため,必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りませんが,臨床における意思決定の際に利用することが推奨されます.ある国では,冠動脈疾患に対するある薬剤(A剤)の使用が診療ガイドラインで強く推奨され始めた翌年以降に,A剤の効果を検証するとして実施された“不必要な臨床試験”が2,000件を超えていたことが明らかにされました(BMJ 2021;372:n48).不必要な臨床試験は,医療資源を浪費し,とくに対照群の設定では,効果的な介入が受けられない患者を設定する懸念があり,患者に害を及ぼす可能性があります.臨床試験を行う際には,“不必要な臨床試験”にしないように,診療ガイドラインを踏まえることが重要です.
さて,理学療法学48巻2号には,厳正なる査読を受けて採択された原著8編と症例報告2編の臨床研究論文,編集委員会の企画による企画記事2編が掲載されています.理学療法学およびPhysical Therapy Research (PTR)へ投稿いただいても,残念ながら不採択となる論文がありますが,不採択となる理由についても丁寧にコメントしておりますので,今後の参考になることは間違いありません.理学療法学およびPhysical Therapy Research (PTR)への投稿をお待ちしております.
『理学療法学』編集委員 野村 卓生
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- 理学療法学第48巻2号
- 人工膝関節全置換術後の深部静脈血栓症予防に対する当日理学療法(PT ケア)の効果
- 髙橋遼らによる原著論文では,人工膝関節全置換術後の84名を対象にして,性にて層別化したランダム化比較試験により,人工膝関節全置換術の術後当日理学療法が深部静脈血栓症 予防に有効であることを示唆しています.
拡散テンソル画像を用いた急性期脳卒中片麻痺者における皮質網様体路の損傷度と歩行予後との関連-
神将文らによる原著論文では,脳卒中片麻痺者41名を対象にして,初回評価時の脳卒中機能障害評価法の各項目と撮像した拡散テンソル画像パラメータから皮質脊髄路および皮質網様体路損傷の程度を測定し,歩行可能/介助を予測する因子をロジスティック回帰分析にて検討しています.
高齢心臓手術後患者のリハビリテーション遅延が退院1年後の予後に及ぼす影響-
仲井佳祐らによる原著論文では,65 歳以上で待機的に冠動脈バイパス術等を受けたうち58 例(平均年齢73.8 歳)を解析対象者として,術後100 m 歩行自立日数が5 日以内を「早期群」,6 日以上を「遅延群」と分類し周術期,術後データ,退院1 年後の予後を比較検討しています.
心不全患者における退院時日常生活動作の低下の予測-
小岩雄大らによる原著論文では,入院前のADL が自立していた心不全患者96 例を対象として,入院早期のModified functional reach test,座面高30 cm からの立ち上がりの可否,退院時のKatz indexなどを評価し,退院時ADL の低下を予測するモデル式を検討しています.
高齢者肺炎患者に対する入院後48 時間以内の離床は日常生活動作能力に影響を与える- 奥野将太らによる原著論文では,肺炎の病名で入院した65 歳以上の連続症例を対象として,傾向スコアマッチング分析を用いて,早期離床したか否かでADL 能力・退院先・在院日数を比較しています.
外来化学療法中の血液腫瘍患者におけるフレイルに伴う身体機能と生活の質の調査-
尾崎圭一らによる原著論文では,外来化学療法中の血液腫瘍患者33 名に対し,日本版フレイル基準に沿ったフレイル分類を行い,身体機能,身体活動量,QOL,倦怠感の比較検討を行っています.
高齢心不全患者における入院中の手段的日常生活動作の低下に関連する要因-
鬼頭和也らによる本論文は,心不全の診断で入院した485 例を対象とし,手段的日常生活動作の低下を予測する因子を検討した5施設による多施設共同研究です.
訪問リハビリテーション利用者の要介護度変化に対する疾患の影響-
熊井健らによる原著論文では,訪問リハビリテーション利用中の66 名(平均年齢78歳)を対象として,要介護度軽度化および重度化有無で基本情報,併存疾患有無,各疾患種類の群間比較とロジスティック回帰分析を行い,疾患による訪問リハビリテーション実施後の要介護度変化を検討しています.
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の多巣性後天性脱髄性感覚運動型症例に対する運動療法の効果─シングルケースによる検討─-
長岡孝則らによる症例報告論文では,多巣性後天性脱髄性感覚運動型慢性炎症性脱髄性多発神経炎により感覚性運動失調を呈した40歳代女性の症例に対して,バランスおよび歩行機能改善に向けた理学療法の経過を報告しています.
QMG スコアと修正Borg scale を指標として運動療法を行った重症筋無力症クリーゼの経験-
大迫絢佳らによる症例報告論文では,クリーゼを呈した75歳女性の重症筋無力症患者に対し,日々の病態を評価する指標を用いて理学療法を実施し,自宅退院の転帰に至った経過を報告しています.
理学療法学第48巻1号
理学療法学48巻1号をお届けいたします。本誌では研究論文10編、症例報告6編、実践報告1編が掲載されています。
編集後記を書いている今、全国各地でこれまでの報告を上回るCOVID-19新規感染者数が報告され続けています。そして、つい先日、関東圏への緊急事態宣言が発令され、数日後には関西圏で発令される方針が表明されました。この号が皆様のお手元に届く頃には、緊急事態宣言が解除されている頃でしょうか。早く事態が収束することを切に願う毎日です。こんな状況の中でもやれることをしっかりやることが重要であると思います。各種研修会の開催が制限されて、学習環境の確保が以前のようにできなくなったと感じている会員の方が多いかもしれません。そんな中、理学療法学への投稿論文数、掲載論文数は減少するどころか、むしろ増加しております。やるべきことをしっかりと実践されている方が多いのかもしれません。これからも理学療法学ならびにPTRへ優れた論文が多数投稿されることを期待しております。
『理学療法学』編集委員 阿部 浩明
48巻1号ダウンロードはこちら【PDF:21.6MB】
- 理学療法学第48巻1号
- pull-type hand-held dynamometerを用いた簡易的な脚伸展筋力測定法の有用性 -地域在住高齢者を対象とした研究-
- 世古論文では地域在住高齢者を対象としてpull-type hand-held dynamometerを用いた脚伸展筋力測定法の有用性について検証しています。
高齢者における身体機能と身体能力認識が隙間通過時の運動戦略に及ぼす影響-
須藤論文では隙間通過課題を用いて高齢者の身体機能と身体能力認識が運動戦略に与える影響を検討しています。
理学療法士の経験学習プロセスの解明と支援方法の開発にむけた探索的研究 -熟達理学療法士の成長を促す経験とそこから得る知識や教訓等―-
池田論文では熟達理学療法士の経験学習プロセスから成長を促す経験と学習内容について検討されています。
日本人地域在住高齢者の呼吸機能は筋力,移動能力,認知機能と関連する-
前田論文では地域在住高齢者の呼吸機能に対する運動機能,認知機能,体組成との関連性について検討されています。
人工股関節全置換術例の術後3 週における靴下着脱動作獲得に影響を与える要因─決定木分析を用いた検討─- 川端論文では人工股関節全置換術例の術後3 週における靴下着脱動作獲得に影響を与える要因を検討しています。
急性期脳梗塞者の退院時基本動作能力を予測する因子の検討 -多施設共同前向きコホート研究--
佐藤博文論文では急性期脳梗塞者を対象とし,退院時の基本動作能力に影響を与える因子が検討されています。
在宅障害高齢者の生活空間と身体,精神要因との関係 -生活活動範囲に着目して--
佐藤衛論文では在宅障害高齢者の生活活動範囲の差異に影響を及ぼす身体,精神要因について検討されています。
地域在住自立高齢者における中高強度身体活動と転倒の関連性はバランス機能に影響される-
松﨑論文では地域在住自立高齢者を対象にバランス機能で層別し,客観的に評価した中高強度身体活動と2 年後の転倒発生リスクの関連性について検討されています。
変形性股関節症患者における動的脊椎アライメントの検討 〜立位および四つ這い位での脊椎可動域に着目して〜-
友成論文では末期変形性股関節症患者の脊椎アライメントおよび脊椎可動域について検討されています。
高齢心不全患者の自宅退院の予測因子についての検討-
横田論文では60 歳以上の高齢心不全患者における自宅退院の予測因子についてリハビリテーション開始時および退院時のパラメータから検討されています。
- 両膝痛に対して膝タナ障害と診断された20代男性 ―生物心理社会モデルによる評価と痛みの神経生理学的教育を中心とした理学療法の実施―
-
田中論文では両側膝タナ障害と診断された対象者に対して, 心理社会的要因に対する痛みの神経生理学的教育を中心とした介入と経過を報告しています。
長期人工呼吸管理中に受動的な立位練習施行により筋力低下予防に寄与したと考えられた腎移植後ニューモシスチス肺炎の一症例-
内尾論文では離床に難渋した腎移植後ニューモシスチス肺炎の症例に対し,人工呼吸器管理中からTilt Table を用いた受動立位練習を施行し,経過を報告しています。
後天性免疫不全症候群に伴い全身性筋力低下および低栄養状態を呈した患者に対する理学療法経験-
宮城論文では後天性免疫不全症候群を呈し,治療中に全身性筋力低下を生じた症例に対する理学療法経験について報告されています。
右小脳・脳幹梗塞による中枢性めまいと両側前庭障害を合併した症例に対する前庭リハビリテーション-
萩原論文では右小脳・脳幹梗塞による中枢性めまいと両側前庭障害を合併した症例に対する前庭リハビリテーションの効果が検討されています。
体外式膜型人工肺管理下で理学療法を実施した新型コロナウイルス感染症による重症肺炎の1 症例-
伊藤論文ではCOVID-19による重症肺炎にて体外式膜型人工肺療法が導入された症例に対する理学療法経過が報告されています。
TAFRO症候群患者に対する理学療法経験-
本間論文ではTAFRO 症候群患者に対して,運動様式と負荷について着目した理学療法を実施した経過が報告されています。
災害時の野外病院におけるリハビリテーション ~ モザンビーク共和国での国際緊急援助隊医療チームの活動を通して ~-
水家論文ではモザンビーク共和国での災害時の緊急医療支援におけるリハビリテーションの経験を報告しています。
理学療法学第47巻6号
第47巻6号には,9編の研究論文(原著),2編の短報,2編の症例報告,1編の実践報告が掲載されています。
本号では14編の論文が掲載され,神経系,運動器系,心肺系に加えて精神疾患や重症熱傷など様々であり,理学療法の対象が広がり,学術的にも深化していると感じます。
COVID-19感染者数が急激に増え第3波が押し寄せてきています。医療機関で働かれている会員の皆様には心から敬意を表します。また,養成校で教育研究活動に従事されてる会員の皆様も教育活動では多大な影響を被っていることと思います。非常にご苦労されていると推察しますが,この異常な環境であっても十分な教育効果を維持されることを願っています。
『理学療法学』編集委員 大西 秀明
第47巻6号には,9編の研究論文(原著),2編の短報,2編の症例報告,1編の実践報告が掲載されています。
本号では14編の論文が掲載され,神経系,運動器系,心肺系に加えて精神疾患や重症熱傷など様々であり,理学療法の対象が広がり,学術的にも深化していると感じます。
COVID-19感染者数が急激に増え第3波が押し寄せてきています。医療機関で働かれている会員の皆様には心から敬意を表します。また,養成校で教育研究活動に従事されてる会員の皆様も教育活動では多大な影響を被っていることと思います。非常にご苦労されていると推察しますが,この異常な環境であっても十分な教育効果を維持されることを願っています。
『理学療法学』編集委員 大西 秀明
- 理学療法学第47巻6号
- 急性期脳卒中患者におけるMini-Balance Evaluation Systems Testの尺度特性の検討
- 武田論文は,Mini-Balance Evaluation Systems Testが急性期脳卒中患者のバランス評価尺度として妥当であることを報告しています。
地域在住要介護男性高齢者における身体各部位筋量と身体機能との特徴-
福尾論文は,地域在住の要介護男性高齢者は下腿筋量が低下していることを報告しています。
急性期虚血性脳梗塞患者における初回端坐位時の血圧変動と神経症状増悪との関連-
中島論文は,急性期虚血性脳梗塞患者の初回端座位時の血圧低下は入院7日以内の神経症状憎悪と関連することを報告しています。
人工膝関節全置換術後患者の階段降段動作では同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できていない-
古本論文は,人工膝関節全置換術患者の階降段動作を解析し,遠心性膝関節伸展モーメントが低値を示すことを報告しています。
入院高齢心不全患者における早期レジスタンストレーニングの安全性と身体機能への効果: ランダム化比較試験- 猪熊論文は,高齢心不全患者に対するレジスタントトレーニングの安全性と効果を報告しています。
慢性閉塞性肺疾患患者に対する吸気筋トレーニングが身体活動量に与える効果-多施設による無作為化比較対照試験--
大倉論文は,慢性閉塞性肺疾患患者に対する3ヶ月の呼吸筋トレーニングの効果を報告しています。
5つの運動機能領域から見た健常児の歩行特性-3 歳から 10 歳児と成人との比較-
萬井論文は,3から10歳の健常児の歩行特性を明らかにしています。
成長期男子サッカー選手の発育時期における下肢筋群の柔軟性および関節弛緩性の特徴-
倉坪論文は,成長期(中学1年生)の男子サッカー選手の下肢筋群の柔軟性と関節弛緩性の特徴を報告しています。
スポーツによる脊髄完全損傷者上肢筋機能地図の拡張-
中西論文は,脊髄損傷者がスポーツ活動を継続することによって活動特異的に脳機能地図が拡張していることを証明しています。
腱板断裂患者に対する患者立脚評価を用いた治療方針の予測-
河上論文は,299名の腱板断裂患者に対する患者立脚評価を用いた治療方針予測の可能性について報告しています。
- 肺炎を罹患した当院精神科病棟入院患者の死亡転帰に関連する因子の検討
-
神田論文は,肺炎を罹患した精神科病棟入院患者の死亡転帰に関連する因子を報告しています。
Bennett lesionに起因する棘上筋のinternal impingementが症状の原因と思われた社会人野球投手に対する治療経験-
中辻論文は,棘上筋のinternal impingementが原因と思われる1症例に対する動作指導の効果ついての症例報告です。
全身の重症熱傷受傷後に早期から理学療法を施行した2歳児例-
野々垣論文は,2歳児の全身重症熱傷受傷後の早期理学療法の効果についての症例報告です。
脳卒中患者に対する発症後48時間以内の起立と定義した早期離床導入の効果 ―テント上病変ならびに保存的治療例を対象とした検討―-
山本論文は,脳卒中患者に対する48時間以内の早期離床(起立動作)の有効性と安全性を報告しています。
理学療法学第47巻5号
理学療法学47巻5号には企画記事2編のほか、研究論文8編、症例研究1編、短報1編、症例報告1編、実践報告1編が掲載されており、非常に充実した内容となっています。
さて、新型コロナウィルス感染拡大はいまだ収束の気配がみえず、会員の皆様におかれましても、その対応に大変なご苦労をされておられることと思いますが、この未曾有のコロナ禍の中で、『理学療法学』が少しでも皆様のお役に立つことができれば幸いです。
『理学療法学』編集委員 池添 冬芽
理学療法学47巻5号には企画記事2編のほか、研究論文8編、症例研究1編、短報1編、症例報告1編、実践報告1編が掲載されており、非常に充実した内容となっています。
さて、新型コロナウィルス感染拡大はいまだ収束の気配がみえず、会員の皆様におかれましても、その対応に大変なご苦労をされておられることと思いますが、この未曾有のコロナ禍の中で、『理学療法学』が少しでも皆様のお役に立つことができれば幸いです。
『理学療法学』編集委員 池添 冬芽
- 理学療法学第47巻5号
- アンドロゲン低下による骨盤底筋の萎縮と全身性運動効果の基礎的検証
- 吉岡論文ではアンドロゲン低下モデルマウスを用いて、アンドロゲン低下による骨盤底筋の萎縮に対する全身性自発運動の影響を明らかにしています。
回復期病棟入院患者における,退院後の運動についての心理様相と運動時間との関連-
福元論文では回復期病棟入院患者を対象に調査した退院後の運動に関する心理様相は、実際の退院後の運動時間と関連していたことを報告しています。
人工膝関節全置換術患者の両下肢間協調性について-
和中論文では人工膝関節全置換術患者の歩行中の両下肢間協調性をPhase coordination index(PCI) を用いて評価し、PCIに影響する要因は術前と術後で異なることを示しています。
長期人工呼吸器管理患者における肺コンプライアンスの関連因子について-
小ノ澤論文では長期人工呼吸器管理患者における肺コンプライアンスはBMIの影響を大きく受け、肺コンプライアンスの低下は換気効率に影響を与えることを示唆しています。
地域在住前期高齢者に対する運動プログラムの転倒予防に焦点をあてた費用対効果分析- 加藤論文では地域在住前期高齢者に対する運動プログラムによる転倒予防の費用対効果は良好である可能性をシミュレーション分析によって示唆しています。
夜間痛を有する肩関節疾患保存治療例に対する理学療法効果と関節注射による影響-
伊藤創論文では肩関節疾患保存治療例に対する理学療法は関節可動域や疼痛、睡眠障害の改善に有効であり、特に夜間痛がある群で改善度が高かったことを示しています。
運動恐怖を有する腰痛有訴者における重量物持ち上げ動作時の運動学的分析-
藤井論文では運動に対する恐怖心がある腰痛有訴者は、運動恐怖のない腰痛有訴者や腰痛のない者と比較して重量物を挙上する際の体幹伸展速度が低下していることを明らかにしています。
高齢者における歩行器・歩行車を使用した際の歩行分析─膝関節内反モーメントからみる力学的関節負担の検討─-
伊藤将円論文では健常高齢者を対象に歩行時の膝関節内反モーメントを測定し、椅子付き歩行車や前腕支持台付き歩行車の使用によって力学的関節負担が軽減することを示しています。
外来での定期的な自主トレーニング指導を実施し,身体機能と手段的日常生活動作が改善した乳がん多発脳転移の一症例-
草場論文では外来でのリハビリテーションによって身体機能および手段的日常生活動作が改善した乳がん多発脳転移症例を報告しています。
転倒リスク因子としての足底触覚閾値の有用性-
佐藤論文では高齢者の転倒リスク予測として足底触覚閾値の評価が有用である可能性を示唆しています。
腹部大動脈瘤破裂術後に腹部コンパートメント症候群を合併した症例に対する理学療法-
石原論文は腹部大動脈瘤破裂術後に腹部コンパートメント症候群を合併した症例に理学療法を実施した症例報告です。
COVID-19 による入院患者2 例への理学療法介入報告-
浅野論文はCOVID-19により入院した高齢者と若年者2例に対する理学療法の実践報告であり、運動機能や認知・精神機能に対する理学療法の効果について示唆しています。
理学療法学第47巻4号
理学療法学はオンライン(J-Stage)と冊子体の2つの媒体で発行しています。でも、編集後記が読めるのは冊子体のここだけ!ということで、本号に掲載された9編の論文の切り口をご紹介いたします。
完全に電子ジャーナルに移行している英文誌PTRの第23巻1号では14編の論文が公開されています。こちらも力作ぞろいです。ぜひチェックしてみて下さい。
『理学療法学』編集委員 佐藤 春彦
理学療法学はオンライン(J-Stage)と冊子体の2つの媒体で発行しています。でも、編集後記が読めるのは冊子体のここだけ!ということで、本号に掲載された9編の論文の切り口をご紹介いたします。
完全に電子ジャーナルに移行している英文誌PTRの第23巻1号では14編の論文が公開されています。こちらも力作ぞろいです。ぜひチェックしてみて下さい。
『理学療法学』編集委員 佐藤 春彦
- 理学療法学第47巻4号
- 退院後の高齢骨折受傷者における転倒恐怖感に影響する要因の検討
-
佐藤論文では骨折退院後の高齢者に対して、廊下に障害物がある、トイレ出入り口に段差がある、などの住環境リスクが高いと転倒への恐れを抱くことを示しています。部屋を片付けるだけで、歩く自信がつくかも。
- 腹圧上昇肢位が若年未経産婦における骨盤底筋と体幹・下肢筋群の共同収縮に与える影響
- 高橋論文は、腹圧性尿失禁メカニズムの解明がテーマです。尿道の閉鎖には、骨盤底筋と内腹斜筋など体幹筋の共同収縮が大事なのですね。
- 先天性心疾患術後遠隔期の学童期から青年期の患者における健康関連QOLと運動耐容能および身体活動状況の関係
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藤田論文では、先天性心疾患手術を経た児童・生徒に、自身の健康観を尋ねています。術後5年以上が経過しても、運動耐用能の低さも相まって、体調・元気さに自信が持ちきれないようです。
- 成人脊柱変形における重心動揺計を用いた立位バランスの検討
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櫻井論文では前傾姿勢となった脊柱変形を有する女性の静止立位重心動揺を見ています。重心が偏移するだけでなく、動揺量も大きくなるとは意外です。
- 高校野球選手における肩痛発症に関わる因子の縦断的検討
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十文字論文では投球障害肩がテーマです。対象が高校野球の強豪校の選手、前向き調査です。これだけで興味をそそられます。
- 腰部脊柱管狭窄症手術後の患者立脚型アウトカムと運動機能の変化
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竹中論文では腰部脊柱管狭窄症術後患者の運動機能と患者自身の評価を半年にわたって経時的に調査した結果を目標値として示しています。患者は動けるようになってから腰の機能改善を実感する傾向があることも面白いです。
- 急性期脳卒中患者の自宅退院と回復期病院転院に影響する病前生活情報ならびに初回機能評価項目の検討 -多施設間共同研究-
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長谷川論文では急性期脳卒中患者の理学療法初回の各種評価結果から、転帰は自宅か転院か?の予測を試みています。Pusher現象の有無は転帰を左右する、確かにそうかも。
- わが国の統合失調症患者に対する運動介入効果に関する文献的考察
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細井論文では、日本理学療法士学会・精神心理領域理学療法部門の事業の一環として企画されたシステマティックレビューです。運動介入が精神症状に寄与する報告が多く、この分野へさらに理学療法士が携わり、心身両面からのリハビリテーションを統合失調症患者に提供できる体制の構築が必要であると結ばれています。
- 地域理学療法における評価指標の使用状況と臨床で必要とされる評価指標の条件に関する調査報告
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合田論文では地域理学療法の実践者200名近くに対してどんな評価指標を使っているかアンケート調査を実施しました。第1位は・・・、本文を読んでのお楽しみ。実践のための必要条件は「短時間で実施できる」が1位でした。
理学療法学第47巻3号
理学療法学第47 巻3 号をお届けいたします。本号は企画記事を含め,原著論文5 編,短報1 編,症例報告3 編を掲載しています。
さて,私たちは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という脅威に直面し,入院患者や在宅障害者への適切な理学療法だけでなく,医療従事者として感染管理の能力を求められています。感染防止のために日々最善を尽くされている会員皆様に謝意を表します。最後に,お亡くなりになられた方々へのご冥福と,回復途上の方々の1 日も早いご回復をお祈り申し上げます。
『理学療法学』編集委員 樋口 由美
理学療法学第47 巻3 号をお届けいたします。本号は企画記事を含め,原著論文5 編,短報1 編,症例報告3 編を掲載しています。
さて,私たちは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という脅威に直面し,入院患者や在宅障害者への適切な理学療法だけでなく,医療従事者として感染管理の能力を求められています。感染防止のために日々最善を尽くされている会員皆様に謝意を表します。最後に,お亡くなりになられた方々へのご冥福と,回復途上の方々の1 日も早いご回復をお祈り申し上げます。
『理学療法学』編集委員 樋口 由美
- 理学療法学第47巻3号
- 維持血液透析患者の栄養状態と身体機能の性別と年代別にみた代表値
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原論文は維持血液透析患者670 例のデータから栄養状態,身体機能の年代別代表値ならびにカットオフ値を明らかにした研究です。
- 脊髄小脳変性症におけるMini-Balance Evaluation System Test を用いた歩行自立度の判別精度の検討
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太田論文は脊髄小脳変性症患者30 名を対象に,2 種のバランス評価指標(Mini-BESTest,BBS)による歩行自立度の判別精度を明らかにしています。
- リバース型人工肩関節置換術後の肩甲骨機能と術前因子の関連性
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リバース型人工肩関節置換術後の肩関節機能に関する論文が2 編掲載され,前田論文は術後6 ヵ月以上の28 名を対象に肩甲骨機能に及ぼす術前因子を明らかにしました。
- リバース型人工肩関節置換術後症例の肩関節周囲筋の筋電図学的分析 ─健常肩との比較─
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中野論文は健常肩との比較から術後の肩関節機能について筋電図学的に分析した研究です。
- 胃癌開腹術後の合併症予測因子としての6 分間歩行距離の有用性
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藏合論文は胃癌開腹術後の合併症リスク因子として,術前6 分間歩行距離の低下を示唆しました。
- N式幼児運動イメージテストと乳幼児発達スケール(KIDS)の関連
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儀間論文は3 ~ 6 歳の幼児と養育者42 組を対象にN 式幼児運動イメージテストと乳幼児発達スケールの関連を分析した短報です。
- 外的刺激を用いた理学療法介入が有効であった随意運動機能と歩行能力に乖離がみられた前頭葉内側面損傷の1 例
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渡邉論文は随意運動機能と歩行能力に乖離がみられた前頭葉内側面損傷症例に対し,外的刺激を用いた理学療法により屋内歩行自立を獲得した症例報告です。
- 症候性側弯症に対して体幹装具と座位荷重バランス練習を併用した2 症例の報告
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三鴨論文は症候性側弯症に対して動的脊柱装具療法と座位バランス練習を実施し,Cobb 角等の改善に至った2 症例を報告しました。
- 高度内反を伴う大腿骨遠位偽関節に対する膝関節固定術後の一症例
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河原論文は片側膝関節固定術後症例の長期的な理学療法と,患者の新たな運動パターンの習熟過程を報告しています。
理学療法学第47巻2号
本号は研究論文8 編,短報2 編,症例報告1 編,企画記事1 編が掲載されており,充実した内容となっています。2020 年1 月から新型コロナウイルスの感染が日本のみでなく世界中で拡大しております。新型コロナウイルスにおいて亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに,被患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。被患された方々の1 日も早い回復と,困難な状況にある皆さまが1 日でも早く日常を取り戻されることを心よりお祈り申し上げます。
『理学療法学』編集委員 森下 慎一郎
本号は研究論文8 編,短報2 編,症例報告1 編,企画記事1 編が掲載されており,充実した内容となっています。2020 年1 月から新型コロナウイルスの感染が日本のみでなく世界中で拡大しております。新型コロナウイルスにおいて亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに,被患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。被患された方々の1 日も早い回復と,困難な状況にある皆さまが1 日でも早く日常を取り戻されることを心よりお祈り申し上げます。
『理学療法学』編集委員 森下 慎一郎
- 理学療法学第47巻2号
- 投球動作中のステップ側膝関節動作と肘関節外反トルクの関係性
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中学生投手20 名の投球動作時のステップ脚膝関節動作と肘外反トルクとの関係を調べ,Foot Contact 以降に膝の縦割れが生じていることで,肘関節に過度な負荷が加わっていることを報告しています。
- Branch Atheromatous Disease の急性期運動機能予後に関連する要因の検討
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Branch Atheromatous Disease 症例の運動機能予後にはリハビリ開始時のFugl-Meyer Assessment が関連しており,カットオフ値は上肢18 点,下肢19 点になると報告しています。
- 人工膝関節全置換術後患者の階段昇段と降段における矢状面膝関節運動力学動態と大腿四頭筋の筋活動の特性
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術後1 年経過した人工膝関節全置換術患者の階段昇降時において大腿四頭筋が強く収縮し,昇段では関節負荷と求心性パワーが低下し,降段では遠心性パワーが低下する特性があることを示しています。
- 術後急性期の人工股関節全置換術後患者に対する4 日間の大腿四頭筋への電気刺激療法の有効性
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人工股関節全置換術後急性期患者における4 日間の大腿四頭筋へ電気刺激療法の有効性を調べており,膝伸展筋力と歩行速度の回復および歩行時痛の軽減に有効であることを報告しています。
- 大学野球選手の投球側肩関節における上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離と外旋角度との関係
- ─投球レイトコッキング相の肩関節肢位を模したMRI 研究─
大学野球選手11 名を対象にMRI 撮像を用いて,投球側肩関節を調査しています。投球側肩関節の外旋角度の増大に伴い,上腕骨頭と肩甲骨関節窩後縁が接近することを報告しています。
- 地域在住高齢者における腰痛および膝痛と身体機能との関連
─急性および慢性疼痛が歩行速度や握力に及ぼす影響─ -
65 歳以上の地域在住高齢者735 名を対象に,慢性疼痛の有無は歩行速度低下と関連することを示しています。
- 頸椎変性疾患患者に対する理学療法の効果
─ McKenzie 法,頸部深層筋エクササイズおよび物理療法の効果─ -
頸椎変性疾患患者においてMcKenzie 法,頸部深層筋エクササイズは多面的な改善が得られる可能性を示しています。
- COPD 急性増悪患者の栄養状態が退院時における自立歩行の可否に与える影響
-
COPD 急性増悪患者において低栄養の有無とエネルギー充足率は,退院時の自立歩行の可否に影響することを示しています。
- 血球減少を伴う悪性リンパ腫患者における運動療法の実行可能性について
─後方視的観察研究による予備的検討─ -
悪性リンパ腫患者の白血球数および血小板数を調査し,理学療法の実行可能性および安全性を示しています。
- 痙直型脳性麻痺患者におけるTrunk Impairment Scale の信頼性と妥当性
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痙直型脳性麻痺患者における体幹機能検査としての日本語版Trunk Impairment Scale の信頼性と構成概念妥当性について述べています。
- 運動療法と患者教育指導を組み合わせたリハビリテーション介入により 脳卒中片麻痺後の肩関節痛が改善した一症例
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脳卒中片麻痺後の肩関節痛に対し,運動療法と患者教育指導を実施し,疼痛が改善したことを示しています。
- 【理学療法トピックス】シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」連載第6回目「糖尿病・健康寿命延伸における運動の意義と理学療法士への期待」
-
糖尿病・健康寿命延伸における運動の意義と理学療法士への期待について執筆いただいています。
理学療法学第47巻1号
「理学療法学」47巻第1号をお届けいたします。本号では研究論文4篇,短報2篇,症例報告4篇,調査報告1篇,企画記事2篇と充実した内容が掲載されています。
本号の掲載論文は理学療法の基礎から臨床まで幅広い領域の内容であり,いずれも臨床と研究のおける有用性と発展性に優れています。特に,研究デザインやアウトカムの設定,解析の方法など,研究方法論を実践的に学ぶ上でも大変参考になる内容でると言えます。企画記事としては,シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」の連載6回目と,新たな連載シリーズとして始まった「理学療法評価・効果判定のためのアウトカム指標」が掲載されています。いずれも最新知識がわかりやすく,かつ実践的にまとめられており,診療や研究に役立つ内容となっております。
これら本号の掲載論文がさまざまな場面で読者の皆様のお役に立ち,多くの理学療法対象者の方々に還元されることを心から願っております。今後も本誌が,理学療法学の発展に貢献する一助としての役割を果たしていくためにも,引き続き読者の皆様の投稿をお待ちしております。
『理学療法学』編集委員 神津 玲
「理学療法学」47巻第1号をお届けいたします。本号では研究論文4篇,短報2篇,症例報告4篇,調査報告1篇,企画記事2篇と充実した内容が掲載されています。
本号の掲載論文は理学療法の基礎から臨床まで幅広い領域の内容であり,いずれも臨床と研究のおける有用性と発展性に優れています。特に,研究デザインやアウトカムの設定,解析の方法など,研究方法論を実践的に学ぶ上でも大変参考になる内容でると言えます。企画記事としては,シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」の連載6回目と,新たな連載シリーズとして始まった「理学療法評価・効果判定のためのアウトカム指標」が掲載されています。いずれも最新知識がわかりやすく,かつ実践的にまとめられており,診療や研究に役立つ内容となっております。
これら本号の掲載論文がさまざまな場面で読者の皆様のお役に立ち,多くの理学療法対象者の方々に還元されることを心から願っております。今後も本誌が,理学療法学の発展に貢献する一助としての役割を果たしていくためにも,引き続き読者の皆様の投稿をお待ちしております。
『理学療法学』編集委員 神津 玲
- 理学療法学第47巻1号
- CT を用いた手関節リバース・ダーツスロー・モーションの3 次元動態解析 ─橈骨手根関節と手根中央関節の回転角度と運動方向の検討─
粕渕論文は手関節をリバース・ダーツスロー・モーション方向に動かした際の3次元動態をCTにて解析し,橈骨手根関節の可動域の改善を目的としたリハビリテーションに応用できる可能性を示しました。
大腿骨近位部骨折術後症例に対する神経筋電気刺激療法の効果
徳田論文は,大腿骨近位部骨折術後症例に,手術翌日から神経筋電気刺激療法を併用した膝伸展筋力増強運動の効果を検討した介入研究です。その結果,日常生活動作や歩行の早期獲得に寄与し,退院時歩行能力を向上させることを証明しました。
模擬的円背姿勢が呼吸機能と随意的咳嗽力に与える影響
武田論文では,健常者を対象とした模擬的円背姿勢が呼吸機能と随意的咳嗽力に与える影響について,円背が中等度以上になると両者を低下させるという結果を得ています。
一過性の上肢の有酸素性運動および骨格筋電気刺激の併用が血管内皮機能に及ぼす影響
石川論文では,一過性の上肢クランク運動と下肢への骨格筋電気刺激の併用が血管内皮機能に及ぼす影響を検討,その機能を向上させることを報告しています。
急性期脳卒中患者におけるFunctional Assessment for Control of Trunk(FACT)の反応性および臨床的に意義のある最小変化量の検討
菅論文では,急性期脳卒中患者におけるFunctional Assessment for Control of Trunk(FACT)の反応性と,臨床的に意義のある最小変化量(MCID)について,他の体幹評価指標と比較し,日常生活活動の改善の有無を外的指標としたMCID はFACT が4 点とその予測能の高さを示しています。
医療・介護関連肺炎患者の再入院に影響を及ぼす因子の検討
福田論文は,医療・介護関連肺炎によって再入院する患者の特徴とその影響因子を検討し,年齢,退院時FIM 運動項目合計,血清アルブミン,入院から離床までの日数,対面伝達が有意な因子として抽出されたことを明らかにしています。
免荷式歩行器を使用し運動失調の軽減が得られたオリーブ核損傷者
佐藤論文ではオリーブ核損傷患者に対して,免荷式歩行器を用いた理学療法が,運動失調および運動調整の困難さを軽減させる可能性を示しています。
運動療法を気管挿管中に施行し,人工呼吸管理から離脱,抜管できたネマリン・ミオパチーの一例
野々垣論文は,肺炎後に集中治療室関連筋力低下にて人工呼吸管理が長期化した幼乳児重症型ネマリン・ミオパチー児に対して挿管下に運動療法を施行,人工呼吸管理からの離脱と抜管に成功した症例を報告しています。
長母趾屈筋の損傷でClaw toe 変形が後遺し,Forefoot rocker 機能が破綻した歩行障害に対する理学療法の経験
深田論文は,長母指屈筋損傷で母趾と示趾にClaw toe 変形をきたし,Forefoot rocker 機能が破綻した歩行障害に対する理学療法の効果を報告しています。
粗大運動能力尺度を用いて痙縮治療の適応と理学療法の効果を判断し日常生活での歩行能力を獲得した脳性麻痺児の1 症例
阿部論文では,ボツリヌストキシンA療法の途中から粗大運動能力尺度で評価を行い,その後に整形外科手術と術後理学療法を行うことで術後1 年で日常生活での歩行能力を獲得した脳性麻痺児を紹介しています。
小児期発症脊髄性筋萎縮症患者における電動車椅子の実態調査
長谷川論文は,小児期発症脊髄性筋萎縮症患者における電動車椅子の使用状況に関する実態調査であり,本来学齢期以上が対象とされる電動車椅子を7 歳未満から使用している現状を明らかにした貴重な報告です。
理学療法学第46巻6号
理学療法学46巻6号には、研究論文6編,短報が1編,症例報告が2編、企画記事が2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 久保田 雅史
理学療法学46巻6号には、研究論文6編,短報が1編,症例報告が2編、企画記事が2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 久保田 雅史
- 理学療法学第46巻6号
- 姿位の違いによる全身振動刺激が閉経後の女性の骨密度に与える影響
閉経後女性を対象として異なる姿勢で全身振動刺激を加えた結果、腰椎および大腿骨頸部骨密度は姿位の違いによって効果が異なる可能性があると報告しています.
地域在住男性高齢者におけるフレイルと身体各部位筋量との関連性
65 歳以上の男性高齢者を対象としてフレイルと身体各部位筋量の関連を検討した結果、筋量の低下は下肢・体幹には認められず,特定の部位,すなわち上腕前部に生じることを報告しています。
地域在住高齢者女性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子
-「本態性肩こり」における頸胸椎アライメント,頸部屈筋群持久力,頸部機能に着目して-
高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子について検討し、頸部屈筋群持久力が本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子となることや、本態性の慢性肩こり有訴は頸部機能に影響を与える要因となることを報告しています。
人工膝関節置換術後早期の自動膝関節可動域は自立歩行獲得期間や在院日数に影響する
TKA 術後患者を対象として、術後早期膝関節可動域と自立歩行獲得期間および在院日数の関連を検討し、術後早期の自動膝関節可動域の拡大が自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性があることを報告しています。
産後の無月経と腰痛骨盤痛の関係
腰痛骨盤痛を有する妊娠中の女性を対象として産後の月経再開の有無と腰痛骨盤痛の関連を検討し,月経非再開群で有病率が有意に高かったことを報告しています。
地域高齢者におけるフレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性について
-横断的観察研究による実態調査-
要介護認定者を除外した日常生活自立している高齢者を対象として、フレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性を検討し、フレイル予防には運動習慣とともに運動自己効力感を高める心理的,教育的なサポートが重要であると報告しています。
実習指導者1名に対し学生2名を配置した検査実習における学生の共同学習に影響を与える要因の検討
実習指導者1 名に対し学生2 名を配置した2 年次検査実習を終えた学生を対象として、学生間の共同学習に影響を及ぼす要因を検討したところ、共同学習を円滑にするためには対人対応に関する学生自身の自己評価や,学生間における自己評価の差に着目する必要があることを報告しています。
慢性閉塞性肺疾患増悪入院患者に対する非侵襲的陽圧換気療法を用いた理学療法介入
-超音波画像診断装置を用いた横隔膜移動距離に着目して-
慢性閉塞性肺疾患増悪患者に運動時の非侵襲的陽圧換気療法を併用し、運動時間や横隔膜移動距離の改善を認めるなど離床促進に有効であると報告しています。
CKDを合併した心不全カヘキシアに対して栄養療法と運動療法の併用が著効した一例
慢性腎臓病を合併した心不全カヘキシア症例に対して、分岐鎖アミノ酸を含むたんぱく質量を増やした栄養療法とレジスタンストレーニングを中心とした運動療法を併用し、体重および6 分間歩行距離が増加したことを報告しています。
【理学療法トピックス】シリーズ『糖尿病重症化と理学療法』 連載第5回目『包括的高度慢性下肢虚血(CLTⅠ)の重症化予防における理学療法』
血行再建術後に理学療法を行ううえでの注意点や当該診療への理学療法のかかわりの実態を提示していただきました。そしてCLTI の治療が一旦完結した症例や,発症リスクが高い症例の足部の異変を理学療法場面で早期に発見し,重症化を予防していくことが重要な役割であることを示していただきました.
【講座】シリーズ「英語論文の執筆、投稿、受理を目指して」連載第3回
非常に具体的で、執筆意欲の沸く内容となっております。
理学療法学第46巻5号
理学療法学46巻5号には、研究論文7編,短報2編,企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 菅原 憲一
理学療法学46巻5号には、研究論文7編,短報2編,企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 菅原 憲一
- 理学療法学第46巻5号
- 訪問リハビリテーション従事者に対するアセスメント能力の向上を目的とした介入の長期効果
訪問リハビリテーション従事者を対象として利用者の病状変化にきづくために必要なアセスメント能力の向上を目的とした介入を行った結果,その気づきの経験が増加するとともに,長期的な効果も期待できるということを報告しています.
人工心肺非使用冠動脈バイパス術後の中等度貧血が退院時身体機能低下に及ぼす影響
人工心肺非使用冠動脈バイパス術後患者135例を対象とした検討において中等度の貧血を呈する症例では,術後リハビリテーションが遅延し,退院時身体機能が低下するリスクが高いということを報告しています.
回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中患者における身体活動量 ―生活活動度計を用いた定量的評価
回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者169例を対象として身体活動量を生活活動度計により定量的評価を行い,退院時にその活動量は増加するものの,歩行自立に至らない患者においては立位歩行時間が短く,活動量の確保を必要とすることを報告されています.
急性期脳卒中患者における麻痺側膝伸展筋力を用いた歩行自立の判断
急性期脳卒中患者の麻痺側膝伸展筋力が歩行自立度を判別する因子となるかを検討し,ロジステック回帰分析(対象177名)の結果、麻痺側膝伸展筋力が有意にその判断基準となることを報告しています.
膝関節角度と膝関節伸展筋力の変化による膝蓋骨後方傾斜への影響: エコーを用いた検証
健常成人を対象として膝関節角度と膝伸展筋力の変化による膝蓋骨後方傾斜への影響をエコーを用いて検討し,屈曲60度での最大伸展筋力時にもっとも膝蓋骨後方傾斜が強まることを報告しています.
立位大腿拳上動作における体幹・骨盤・大腿リズムの加齢変化
立位での大腿挙上運動における体幹・骨盤運動の三次元動作解析を行い,当該運動における体幹・骨盤・大腿リズムが存在していること,また加齢の影響があることを報告しています.
高齢在宅パーキンソン病患者の生活空間に関連する因子の検討
高齢在宅パーキンソン病患者を対象に生活空間の評価とその関連因子を検討した結果,当該患者の活動支援には軸症状に対する理学療法と,運動能力に見合った心理的支援が必要であることを報告しています.
回復期リハビリテーション病棟入院時の栄養状態の実態と関連要因の検討
回復期病棟入院時の栄養状態の実態と関連要因について検討した結果,低栄養状態にある場合,歩行自立度と舌圧の関連があることを報告しています.
多施設共同研究による大腿骨近位部骨折を受傷した精神疾患患者の理学療法終了時FIM運動項目得点に影響する因子の検討
精神疾患を合併した大腿骨近位部骨折患者においては,PT開始時のFIMがPT終了時の運動項目得点に影響することを報告しています.
【理学療法トピックス】シリーズ『糖尿病重症化と理学療法』連載第4回目 糖尿病足病変の重症化予防における理学療法
下肢慢性創傷に対して理学療法の教育啓発が重要であることが明確に提示していただきました.
【講座】シリーズ「英語論文の執筆,投稿,受理を目指して」連載第2回
“英語力が絶対ではない”、“ゴールではない”、“佐藤先生からご執筆をいただきました.前回のPaul Andrew先生の論文を踏まえ日本人の立場から英語で論文を仕上げるまでの過程をご説明いただきました.
理学療法学第46巻4号
理学療法学46巻4号には、研究論文5編、症例報告1編、実践報告2編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 中山 恭秀
理学療法学46巻4号には、研究論文5編、症例報告1編、実践報告2編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 中山 恭秀
- 理学療法学第46巻4号
- 消化器がん患者の術後合併症発症に対する運動器関連要因の影響力
周術期消化器がん患者119例を対象に運動器関連要因の影響を調査し、骨格筋指数がC反応性蛋白に、6分間歩行試験がC反応性蛋白と術中の出血量を介して間接的に術後合併症に影響することを明らかにしています。
児童におけるしゃがみ動作の可不可および関節間協調性に関連する要因
小学生47名を対象に、疼痛や傷害などの身体構造がしゃがみ動作の可不可に反映し、算出した動作中の膝関節と股関節の関節間協調性(度)には発達による変化が現れることを報告しています。
Half sitting での体幹前傾による下肢筋力トレーニングの運動力学的および筋電図学的検証
前後に開脚して片足の殿部を着座するHalf Sittingが両足をそろえて行うスクワットと比べて、荷重位での膝関節の運動を生じず、内反ストレスを抑制しつつ内側広筋と半腱様筋の活動が高まることから、術後リハビリテーションにおいてCKCトレーニングの導入に適しているとした報告をしています。
慢性めまいに対する理学療法士による個別リハビリテーションの効果
理学療法士による慢性めまいへの個別リハビリテーション効果をコホート研究のデザインを用いて検証し、目白式前庭リハビリテーションプログラムの介入効果を示しています。
慢性閉塞性肺疾患患者の生存転帰に関連する身体活動量および基準値の検討
慢性閉鎖性肺疾患患者の生存転機に関連する身体活動量及び基準値を25例の患者を対象にして後方視的に調査し、歩行時間や起立回数が生存との関連があることを示しています。
全人工膝関節置換術後のアロディニアと灼熱痛に対し,触覚と温度覚の識別課題により症状の軽減が認められた症例
これまでに報告が少ない理学療法として、全人工膝関節置換術後のアロディニアと灼熱痛に対して触覚と温度覚の識別課題が症状を軽減させたとしています。
災害時リハビリテーション支援活動の課題
災害時リハビリテーション支援活動の課題というタイトルで、東日本大震災と熊本自身の3つの異なるフェーズの支援活動について紹介しており、災害に対する理学療法の役割についてリアルな提言をしています。
高齢者の介護予防を目的としたアクティブ・ ラーニング型健康教育の地域実践
地域在住の高齢者対象にした住民主体で実践できる介入として、アクティブ・ラーニング型健康教育介入の有効性を示しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」連載第3回 透析療法期における理学療法
糖尿病重症化予防と理学療法の3回目です。「透析療法期における理学療法」をご執筆いただき、透析患者の理学療法に関する疫学的視点を示していただきました。
【講座】シリーズ「英語論文の執筆,投稿,受理を目指して」連載第1回 なぜ英語で論文を書くのか:5つの動機
“英語力が絶対ではない”、“ゴールではない”、“理学療法の発展のため”など、英語で論文を書きたいと思っている読者の背中を押してくれる内容になっています。
理学療法学第46巻3号
理学療法学46巻3号には、研究論文2編、短報2編、症例報告1編、実践報告2編、調査報告1編と企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 建内 宏重
理学療法学46巻3号には、研究論文2編、短報2編、症例報告1編、実践報告2編、調査報告1編と企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 建内 宏重
- 理学療法学第46巻3号
- 生体電気インピーダンス法によるPhase angle と高齢者の身体活動レベルの関連
高齢者の身体活動レベルと生体電気インピーダンス法による評価との関連性を調べ、身体活動レベルが高いほど細胞の生理的機能レベルが高いことを報告しています。
大腿骨転子部骨折例における骨折型および小転子骨片転位の有無が術後4 週の短期的な運動機能に与える影響
大腿骨転子部骨折における骨折型や小転子骨片転位が臨床症状や運動機能に及ぼす影響を調査し、不安定型骨折例や小転子骨片転位例では、術後4週での症状や運動機能が不良となりやすいことを報告しています。
健常女性における片脚スクワット動作時の膝関節外反と姿勢の関係
健常者を対象として片脚スクワット動作時の膝外反角度と関連する要因を分析し、立位での足部の角度やスクワット動作中の骨盤角度や股・膝モーメントが膝外反角度と関連することを報告しています。
痙直型脳性麻痺者における足関節等尺性背屈時のH 波の特徴
痙直型脳性麻痺者では健常者と比べて等尺性足関節背屈時のヒラメ筋の相反抑制が生じない場合が多いことを報告しています。
習慣性胸鎖関節前方亜脱臼に対する保存療法の治療経験
習慣性胸鎖関節前方亜脱臼の症例に対して、肩甲胸郭関節のモビライゼーションや前鋸筋・大胸筋のエクササイズなどの運動療法と日常生活動作指導を行い、良好な成果を得たことを報告しています。
骨転移診療に対する職種別の意識調査─メディカルスタッフ間の相違─
がんの骨転移に伴う病的骨折などの骨関連事象に関わるスタッフの意識調査を通じて、医師と他職種との間で認識の違いがあることを指摘しています。
回復期リハビリテーション病棟における脳卒中片麻痺患者の歩行自立までの期間予測─重回帰式の構築と交差妥当性の検討─
脳卒中片麻痺患者の病棟歩行自立までの期間は、入棟時の下肢麻痺グレードやFIM運動項目から予測可能であることを示しています。
リハビリテーション分野のWeb サイトにおける医療広告ガイドラインの遵守割合─東京都23 区内の病院を対象とした記述的研究─
リハビリテーションが関係する医療機関のウェブサイトを調査し、医療広告ガイドラインを十分に遵守していないものが多いことを指摘しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」連載第2 回 糖尿病腎症の重症化予防における理学療法
糖尿病腎症における運動療法の考え方、理学療法士の関わりとその可能性などについて包括的に解説して頂きました。
【講座】シリーズ「ロコモティブシンドロームと理学療法」連載第5 回 術直後からのリハビリテーションは成人脊柱変形手術成績をより改善する
特に成人脊柱変形症の特徴や手術、術後リハビリテーションについて、わかりやすくご説明頂きました。
理学療法学第46巻2号
理学療法学46巻2号には、研究論文4編、症例報告2編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 橋立 博幸
理学療法学46巻2号には、研究論文4編、症例報告2編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 橋立 博幸
- 理学療法学第46巻2号
- 癌性悪液質に伴う骨格筋タンパク質代謝制御機構の変化と運動介入効果
悪液質誘導モデルのマウスにおいて有酸素運動に模した運動介入が悪液質に伴う骨格筋萎縮に予防的効果があることを示し、その作用機序をタンパク質代謝制御機構に基づいて明らかとしています。
突発性肺線維症患者における身体活動量と通常歩行速度の関連性
特発性肺線維症者における身体活動量の関連因子を分析し、歩行速度や歩行距離が重要な因子であったことから歩行評価の重要性を示唆しています。
極低出生体重児における1歳6ヵ月・3歳時の問診評価と6歳児発達の関連
極低出生体重児において6歳時の発達状況とフォローアップの問診評価との関連を検討し、養育者に対する健診での問診評価が発達支援のための有用な情報になることを説明しています。
定期的な運動による効果の実感を認識する日常生活場面および身体部位
在宅での定期的な運動を実施している要支援・要介護者において運動効果の身体的実感の有無を調査し、運動効果の実感が在宅運動の自己効力感や運動継続に関連する重要な要因であることを示しています。
延髄外側梗塞によりしびれが出現した症例における感覚運動イメージニューロフィードバックシステムの効果
延髄外側梗塞の症例において新たに開発した運動イメージのフィードバックを行う機器を用いた運動介入の効果を検討し、新たなニューロリハビリテーションの方法を提唱しています。
Treatment Based Classificationに基づいた頸部痛に対する多面的な介入
頸部痛の症例において臨床推理のアルゴリズムに基づいた治療的介入の効果を検討し、原因を明確に特定しにくい頸部痛に対する治療方略を提示しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「糖尿病重症化予防と理学療法」連載第1回 糖尿病の重症化予防における理学療法の可能性
行政による糖尿病重症化予防対策と理学療法士が寄与できる関わりや役割について要点をとらえたご解説をいただきました。
【講座】シリーズ「ロコモティブシンドロームと理学療法」連載第4回 ロコモティブシンドロームと大腿骨近位部骨折
転倒・骨折の原因となるロコモティブシンドロームの予防、大腿骨近位部骨折後のリハビリテーション、そして再骨折予防まで幅広く概説していただきました。
理学療法学第46巻1号
理学療法学46巻1号には、研究論文5編、症例報告2編、調査報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 嶋田 誠一郎
理学療法学46巻1号には、研究論文5編、症例報告2編、調査報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 嶋田 誠一郎
- 理学療法学第46巻1号
- 脳血管障害者の嚥下障害に関連する運動要因の検討
脳血管障害者の嚥下障害に関連する運動要因として舌骨上筋群の筋力、頸部伸展可動域、脊柱後弯度であることを明らかにし、嚥下障害に対する理学療法の関与の可能性を示したものです。
急性心不全患者の退院時の歩行能力と30 秒椅子立ち上がりテストの関係
急性心不全患者の退院時の歩行能力の可否と介入時30秒椅子立ち上がりテストおよび退院時30 秒椅子立ち上がりテストの関連を示したものです。
X 線透視画像および三次元コンピュータモデルを用いた肩関節肩甲骨面外転における肩甲上腕関節の生体内回旋動態解析
X 線透視画像および三次元コンピュータモデルを用いて肩関節肩甲骨面外転における肩甲上腕関節の生体内回旋を動態解析したものです。
健常高齢者および若年者の歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性
健常高齢者および若年者の歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性を調査したものです。
低速度レジスタンス運動時の筋内活動分布の解析
低速度低強度レジスタンス運動時の筋活動動態を解析したものです。
倒立振子モデルの形成をめざした下肢装具を用いた歩行トレーニングの実践により歩行能力が向上した片麻痺を呈した2 症例
倒立振子モデルの形成をめざした下肢装具を用いた歩行トレーニングの実践により歩行能力が向上した片麻痺を呈した2 症例を提示したものです。
食道がん術後患者に生じた身体活動量低下を月一回の外来フォローにより改善できた1 例
食道がん術後に生じた身体活動量低下を月一回の外来フォローにより改善できた症例を示してあり、成功例として参考になるものです。
市中肺炎患者の介入時の30 秒椅子立ち上がりテストと退院時の歩行自立の可不可に関する検討4
市中肺炎患者において退院時の歩行自立の可不可の予測指標としての介入時の 30 秒椅子立ち上がりテストと有用性を示した調査報告を掲載しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「基礎研究の動向と臨床への応用」中枢神経障害に関する基礎的研究の動向と臨床への応用
中枢神経障害に関する基礎的研究の動向と臨床への応用についてこれから基礎研究を志す人たちへの参考となるだけでなく、臨床を行っている理学療法士へも示唆に富む内容です。
【講座】シリーズ「ロコモティブシンドロームと理学療法」変形性膝関節症に対する最新の外科的治療
変形性膝関節症に対する最新のスタンダードな手術の概要を大変わかりやすく解説いただいております。
理学療法学第45巻6号
理学療法学45巻6号には、研究論文3編、短報1編、症例報告4編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 榊間 春利
理学療法学45巻6号には、研究論文3編、短報1編、症例報告4編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 榊間 春利
- 理学療法学第45巻6号
- 修正1ヵ月における超低出生体重児と正期産児の上肢自発運動の比較
本研究は、超低出生体重児の自動運動の特徴と新生児枕の使用による即時的な影響を調べ、その特徴として非対称性を明らかにし、新生児枕の使用により非対称性が軽減できることを報告しています。
うっ血性心不全患者の再入院に関連する因子
本研究は、入院時に心臓リハを施行し自宅退院となった心不全患者の再入院に関連する因子を検討し、基礎疾患に虚血を有していること、また入院期および退院後の要因が影響していることを明らかにしています。
身体疾患を合併する精神疾患患者の自宅退院に関連する因子の検討
本研究は、統合失調症や気分障害患者を対象として、自宅退院が可能となる患者の特徴を種々の要因から検討し、理学療法終了時のADLや精神機能が高いこと、発症時に自宅で生活し、同居家族がいることが抽出されたことを報告しています。
管理職の臨床指導時に生じる怒りの一次感情と性格特性の調査
本研究は、理学療法士の管理職を対象として臨床指導場面における怒りの生じる指導場面について調査し、期待と現実のズレを感じた時に怒りを生じる傾向があることを報告しています。
動画を用いた階段昇降に対する介助方法の指導が復学支援に寄与した進行癌対麻痺患児の一例
本症例報告では、進行癌対麻痺児に対する動画を用いた介助指導や病棟スタッフ、学校教員との連携により復学が可能になった事例について報告しています。
皮質網様体路の残存が確認された歩行不能な脳卒中重度片麻痺者に対する長下肢装具を用いた前型歩行練習と歩行および下肢近位筋の回復経過
本症例報告では、画像所見から患者の病態を的確に評価し、長下肢装具を用いた歩行練習を行った結果、歩行能力が改善した重度片麻痺患者について報告しています。
急性大動脈解離術後にICU 関連筋力低下を呈した全身性エリテマトーデス患者に対する理学療法の経験
本症例報告では、心臓外科術後にICU関連筋力低下を呈したSLE患者に対する理学療法経過について報告し、早期離床や安全に理学療法を施行するための他職種連携の重要性を示しています。
油圧制動付短下肢装具を用いた歩行練習を継続し歩容の異常と歩行速度の改善に至った重度の運動失調を呈した頭部外傷後遺症例
本症例報告では、重度の運動失調を呈した頭部外傷患者に対する油圧制動付短下肢装具を用いた歩行練習の有効性について報告しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「基礎研究の動向と臨床への応用」変形性関節症に関する基礎的研究の動向と臨床への応用
変形性関節症は理学療法士が臨床で関わることの多い疾患であり、本稿では変形性膝関節症の基礎研究と臨床応用について概説しています。
【講座】シリーズ「ロコモティブシンドロームと理学療法」サルコペニアおよびフレイル
本稿ではサルコペニアとロコモティブシンドロームの病態の相違点を概説し、予防・介入方法について紹介しています。
理学療法学第45巻5号
理学療法学第45巻5号には、研究論文4編、システマティックレビュー1編、症例報告1編、そして企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 阿部 浩明
理学療法学第45巻5号には、研究論文4編、システマティックレビュー1編、症例報告1編、そして企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 阿部 浩明
- 理学療法学第45巻5号
- 腰部疾患手術後の遺残下肢症状に対する電気療法の継続効果
腰部疾患手術後の遺残下肢症状に対する中周波電気治療器を使用した電気療法の継続効果を検討し、入院中に電気療法を継続した群は、退院時の症状の回復が良好であったことを報告しています。
地域在住高齢者における主観的年齢と運動機能、フレイルおよび個人レベルのソーシャル・キャピタル強度との関係
地域在住高齢者において実年齢より若いと感じる大きさに焦点を当てた研究をおこない、実年齢と主観的年齢のギャップの大きさの評価は高齢者の健康度を反映している可能性があることを報告しています。
若年健常者における聴覚刺激がクエン酸誘発性咳嗽反射閾値および咳衝動に及ぼす影響の検討
若年健常人15名を対象として、聴覚刺激がクエン酸誘発性咳嗽反射閾値および咳衝動に及ぼす影響を検討し、聴覚刺激を加えることによって誘発性咳嗽反射閾値および咳衝動が低下することから、今後、有用な咳嗽ケア手段になりえる可能性があることを報告しています。
重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後は関連する
重症虚血肢に対しバイパス手術後のリハを実施した患者を対象として、術前ADL が低い症例は長期予後が不良であったが、術前ADLが低い患者でも、リハを実施することにより退院時ADLが改善した場合には、長期予後が良好であったことを報告しています。
膝痛に対する機能障害に基づく分類システムによる運動器理学療法に関する文献的考察
本論文はシステマティックレビューで、膝痛に対する機能障害に基づく分類システムによる運動器理学療法に関する文献的考察がなされ、該当文献は8本の英語文献のみであり、分類システムの信頼性と妥当性については未だ十分とは言い難く、今後の研究と臨床実践の必要性が示されています。
実大型の幻肢を獲得し義手へ投射することで、義手操作性の向上が得られた一例
幻肢を義手に投射することで、身体化に成功し、義手操作性・ADL が向上し、QOL の向上を認めた可能性が考えられた事例を報告しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「基礎研究の動向と臨床への応用」サルコペニア研究の現状と臨床への応用
サルコペニアのメカニズムに関する研究が幅広く概説され、その予防改善についても言及されています。本領域について勉強を始めたい方には是非お勧めしたい内容となっています。
【講座】シリーズ「ロコモティブシンドロームと理学療法」ロコモの簡易測定法とその頻度
ロコモの簡易測定方とその頻度について解説されています。ロコモ度1に該当する割合は男女ともに60歳以上で65%以上に、さらに70歳以上では80%以上に、そして80歳以上では90%以上になり、高齢者の要介護予防に理学療法士が関わっていくことの必要があると感じる内容です。
理学療法学第45巻4号
理学療法学第45巻4号には、研究論文4編、短報2編、実践報告1編、調査報告1編、そして企画記事3編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 対馬 栄輝
理学療法学第45巻4号には、研究論文4編、短報2編、実践報告1編、調査報告1編、そして企画記事3編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 対馬 栄輝
- 理学療法学第45巻4号
- フレイル予防に向けたアクティブ・ラーニング型健康教育介入の効果
アクティブ・ラーニング型教育介入は意欲向上、ライフスタイル変容、および身体機能改善に有効であり、フレイル予防に寄与することを示しています。
被殻出血患者における各脳領域の損傷度による歩行自立度の予後予測
急性期の脳領域の損傷度から回復期リハビリテーション病棟退院時の歩行自立度を予測したところ、内包後脚前部と中部の損傷度、出血量から予測可能であることを示しています。
麻痺側立脚期の膝関節の動きによる片麻痺者の歩行パターン別の時間因子の分析
片麻痺者の麻痺側膝関節の動きによる歩行パターン分類を基に、運動学・運動力学的要因を分析したところ、前遊脚期時間に差がみられ、運動学・運動力学的要因もパターンで異なることを明らかにしています。
入院がん患者に対するCancer Functional Assessment Set(cFAS)の Barthel Index との併存的妥当性および内容的妥当性に関する検証
cFASの有用性を示すために、Barthel Indexとの併存的妥当性と内容的妥当性についての検証を試みたところ、cFAS はがん患者のADL 能力を反映しており、全身状態が良好の場合から不良の場合において的確に心身機能とADL 能力を評価できることが示されています。
急性期脳血管障害患者における歩行予後予測モデルの交差妥当性
先行研究で考案した急性期脳血管障害患者における歩行予後予測モデルの交差妥当性を検証したところ、交差妥当性は高く臨床応用が可能であると述べています。
幼児期における運動の協調性と感覚異常の関連性の検討
幼児の運動の協調性と感覚との関連性の一端を明らかにする研究で、過去から現在で表在感覚の一部に問題を示す児童は児童期に運動の協調性が低い傾向がみられたと報告しています。
脳卒中片麻痺患者におけるReachable Workspace 評価の併存的妥当性について
簡便に動作計測が可能なKinect を用いて脳卒中片麻痺患者のリーチ可能なワークスペースを評価し、麻痺側上肢の近位運動機能を定量的に評価する指標として妥当であると述べています。
総合事業等で参加を評価するために必要な項目の検討
総合事業等で参加を評価するために必要な項目を、国際生活機能分類より選定したところ、34 コードは他者とのかかわりにおいて成立する項目が多く見られたと示しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「臨床研究入門」臨床でのデータ収集 疫学的研究の進め方
理学療法学における疫学の必要性や機能を理解したうえで、臨床において疫学研究を実践してゆくために必要最小限の方法論を概説しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「基礎研究の動向と臨床への応用」関節可動域制限に対する基礎研究の動向と臨床への応用
骨格筋の変化に由来した筋性拘縮に焦点をあて、事件例の研究成果を中心に発生機序を整理するとともに、エビデンスに基づいて治療戦略の開発を進めている基礎研究を紹介しています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」 動物に対する理学療法の現状と展望
動物に対する理学療法の歴史や、資格、対象疾患、教育、研究などの現状について国内外の情報をもとに概説しています。
理学療法学第45巻3号
理学療法学第45巻3号には、研究論文5編、症例報告2編、実践報告1編、そして企画記事1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 野村 卓生
理学療法学第45巻3号には、研究論文5編、症例報告2編、実践報告1編、そして企画記事1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 野村 卓生
- 理学療法学第45巻3号
- 継ぎ足歩行テストの構成概念妥当性 ─新しい妥当性観にもとづく妥当化─
著者が開発し信頼性を明らかにしている「継ぎ足歩行テスト(長さ5m)」の更なる有用性を健常者で検証しています。より運動能力の高い高齢者のバランス能力や将来の転倒を予測できる可能性に言及しています。
術前腰部脊柱管狭窄症患者における痛みの破局的思考の関連因子についての横断研究
手術前の腰部脊柱管狭窄症患者では、痛みの破局的思考が高値であり、痛みの破局的思考が重度な患者では、歩行速度や連続歩行距離が有意に低下することを明らかにしています。
非特異的腰痛者におけるサイドブリッジ時の体幹深部筋疲労解析
成人男性を対象に非特異的腰痛群では対照群と比較し、体幹筋等尺性持久力低下を認め、サイドブリッジ持力テストにおける体幹深部筋の易疲労を生じることをMRIのT2マップ・T2強調像を用いて明らかにしています。
変形性膝関節症患者における呼吸機能と姿勢との関連
変形性膝関節症患者における呼吸機能の低下と姿勢の関係を明らかにしたユニークな研究です。変形性膝関節症患者の呼吸機能の低下には、膝関節屈曲位が有意に関連することを提唱しています。
ストレッチング体操が植込み型除細動器あるいは両心室ペーシング機能つき植込み型除細動器を装着した運動習慣のない慢性心不全患者の血管内皮機能と運動耐容能に与える影響
植込み型除細動器あるいは両心室ペーシング機能つき植込み型除細動器を装着した慢性心不全患者に対するストレッチング体操の安全性、体操による血管内皮機能と運動耐容改善への効果を明らかにしています。
脳卒中発症後6 ヵ月経過し歩行に全介助を要した状態から長下肢装具を用いた歩行練習を実施し監視歩行を獲得した重度片麻痺を呈した症例
発症から6カ月が経過した時点で歩行が全介助であった重度片麻痺症例に対して、長下肢装具を用いた積極的な歩行練習により、歩行が獲得されたことを紹介しています。改めて装具の重要性が認識される症例報告です。
恒久的ペースメーカーの感度調整を行うことで,自転車エルゴメータでの心肺運動負荷試験で運動処方が行えた一例
変性不全を伴う肥大型心筋症の70歳、男性患者の臨床経験を紹介しています。恒久的ペースメーカーを調整することで適切な心拍応答が獲得でき、リハビリテーションを実施できた症例報告です。
回復期脳卒中片麻痺患者に対する部分免荷型トレッドミル歩行練習の即時効果 ─非免荷型トレッドミル歩行練習との比較─
片麻痺患者10名に対して、全荷重でのトレッドミル歩行練習と比較した部分免荷型トレッドミル歩行練習(BWSTT)の即時的効果を検討しています。歩行速度、歩幅や歩行率などの即時的な改善はBWSTTのみに認められるのが特徴です。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」 がんリハビリテーションのエビデンスと展望
がんリハビリテーションにおける現状のエビデンスの概要がまとめられ,日本理学療法士学会がん理学療法部門の代表運営幹事の立場から、本領域のこれからの展望について述べられています。
理学療法学第45巻2号
理学療法学第45巻2号には、研究論文5編、短報1編、症例報告1編、実践報告1編、そして企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 高橋 哲也
理学療法学第45巻2号には、研究論文5編、短報1編、症例報告1編、実践報告1編、そして企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 高橋 哲也
- 理学療法学第45巻2号
- 健常成人男性における非荷重位および荷重位での中殿筋前・中・後部線維の作用比較
この論文では健常成人男性を対象に、非荷重位および荷重位での運動方向による、股関節中間位での中殿筋前・中・後部線維の筋活動の表面筋電図を使用して評価し、比較しています。
中学野球選手におけるステップ脚膝関節及び股関節の力学的仕事量と方関節トルクの関係
本研究では投球中の球速比肩関節トルクが高値を示すものはFC以降の下肢関節動作の制御や下肢関節での力学的エネルギーを算出する能力が低い投球動作を行っていることから、膝関節や股関節の力学的仕事量は低値を示すという仮説に基づき、ステップ脚膝関節や股関節の力学的仕事量と肩関節トルクの関係を調査している。
胸骨正中切開により心臓外科術後の脊柱アライメント・可動性の変化
これまで胸骨正中切開術の脊柱への影響を調査した研究は皆無で、軟部組織や周辺の筋を含めた生体での可動域調査は行われていませんでした。この論文では、胸骨正中切開術前後の脊柱アライメント・可動性の変化を調査して、胸骨正中切開術の脊柱への影響を調査しています。
超早期離床が可能であった肺炎高齢者の特徴と背景因子
肺炎高齢者の適切な早期離床を検討するために、24時間以内の超早期離床が可能であった患者の特徴や背景因子を分析しています。
新生児に対するリハビリテーションスタッフによる介入の実態調査
本邦では、新生児特定集中治療室で行われているリハビリテーションの実態を調査した文献は乏しく、実態は不明な点が多い状態でした。本論文では、近畿圏内の総合周産期医療センター15施設と地域周産期母子医療センター47施設で行われているリハビリテーションの実態を調査し、新生児科の需要と、リハビリテーション科の供給について、現状と課題を調査しています。
リハビリテーションに特化したデイケアを利用した脳卒中者における利用終了利用の検討
この研究では、脳卒中患者がリハビリテーション特化型の通所リハビリテーションの終了理由を調査し、デイケアの役割や利用の在り方を検討しています。リハビリテーション特化型の通所リハビリテーションの終了理由は利用機関により異なり、リハビリテーション特化型の通所リハビリテーションの役割が脳卒中の心身機能や生活環境の変化に関連して増えるとまとめられています。
複合性局所疼痛症候群による萬栄的な足部の疼痛と歩行障害に対して超音波療法が著効した一症例
この症例報告では、複合性局所疼痛症候群による慢性的な足部の疼痛を訴える患者に対する理学療法について報告しています。特に本症例の疼痛は足部の循環障害により生じていると考えられたため、超音波療法を行ったところ即時的な疼痛消失効果を認められたことを報告しています。
重症呼吸不全患者に対する体外式膜型人工呼吸中に行った理学療法が身体機能の維持に寄与したと考えられる2名
本論文は、体外型膜型人工心肺中(ECMO)のリハビリテーションにはエビデンスがないため、今回経験した2例について、ECMO管理がデモ早期から積極的にリハビリテーションを行うことで身体機能の維持につながることを紹介した論文です。
【理学療法トピックス】シリーズ「臨床研究入門」 理学療法における多施設共同研究の進め方
臨床研究とは、「医療における疾病の予防方法、診断方法および治療方法の改善、疾病原因および病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、人を対象とするもの」とされています。近年、理学療法領域においても、根拠に基づく理学療法が求められており、より質の高い臨床研究のため、十分なサンプルサイズを確保することができ、統計学的な検出力が高くなる多施設共同研究が企画、運営されるようになってきています。本論文では、多施設共同研究の進め方について、構想から企画、運営ならびに情報公開までの一連のプロセスについて概説しています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」 学校保健・特別支援教育分野における理学療法の現状と展望
学校保健・特別支援教育分野における理学療法の現状と展望について、教育的リハビリテーションにおける教育的理学療法支援としての学校保健と特別支援教育の2つの分野からそれぞれ支援モデルを提案し、またその現状と課題について述べられています。特に、学校保健分野では運動器検診の支援モデルの活用について、特別支援教育分野ではその方向性を明確にし、また本協会当部門の事業計画について記述されています。さらに両分野において、統一されたアウトカムによって、効果を検証していくために、統一されたアウトカムの必要性が述べられています。
理学療法学第45巻1号
理学療法学第45巻1号には、研究論文4編、症例報告1編、調査報告1編、そして企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 古名 丈人
理学療法学第45巻1号には、研究論文4編、症例報告1編、調査報告1編、そして企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 古名 丈人
- 理学療法学第45巻1号
- 胸腔鏡下肺切除術後患者における身体活動量の推移とその関連因子
胸腔鏡下肺切除術後周術期患者の身体活動量を調査し、術後2ヵ月で歩数、中等度活動量が術前レベルに改善すること、そしてその回復率には術前の労作時のSpO2低下が関わることを明らかにしました。
脳卒中患者における障害の重症度と低栄養が歩行自立再獲得日数に及ぼす影響-共分散構造分析による検証-
脳卒中患者の重症度と栄養状態、身体機能について共分散構造分析を用いて検証し、75歳以上の後期高齢脳卒中患者では低栄養が歩行自立再獲得日数を遅延させる要因となることを報告しました。
日本人乳がん腋窩郭清術後患者のリンパ浮腫発症率と運動開始時期の関連-術後翌日と8日目の比較-
乳がん患者を対象に、術後7日間の上肢挙上制限は1年後のリンパ浮腫発症率には影響しないことを示す一方で、早期の肩関節運動プログラムは肩関節機能の早期改善に有益であることを示唆しました。
前十字靭帯再建術前後における片脚スクワット下降相での膝関節屈伸モーメントの変化4
ACL再建術前および術後9週時の片脚スクワットを運動学的に解析し、術前後に関わらず患側膝関節屈伸モーメント変化量は小さいままであり、体幹・骨盤前傾や股関節および足関節で代償していること示しました。
視床下核出血後のヘミバリズムに対して経頭蓋直流電気刺激を試みた一例
非侵襲的に大脳皮質の可塑的変化を生じさせるtDCSを視床下核出血後にヘミバリズムを呈した一症例へ2週間適用し、ヘミバリズムが軽減するだけでなく、動作場面においても改善が見られることを示しました。
千葉県の理学療法士における診療ガイドラインの利用および重要性の認識に関連する因子-質問紙調査法を用いた横断研究-
診療ガイドラインの利用とその重要度の認識に関連する因子についてロジスティック回帰分析を用いて解析しました。診療ガイドラインの利用や重要性について認識することは、EBPの必要性や実践に関わる必要な行動であることを報告しました。
【理学療法トピックス】シリーズ「臨床研究入門」 臨床でのデータ収集(1):運動学的研究をあきらめない
運動学的研究において臨床で使える機器、計測方法、解析例について丁寧に解説しています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」 組織力を向上させるための理学療法管理
昨今のリハスタッフ増員に伴い必須となる部門管理について、組織力向上の観点から理学療法管理について解説しています。
理学療法学第44巻6号
理学療法学第44巻6号には研究論文6編、症例報告1編、調査研究1編、企画記事1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 坂本 美喜
理学療法学第44巻6号には研究論文6編、症例報告1編、調査研究1編、企画記事1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 坂本 美喜
- エッセンスを読む
- 保存期慢性腎臓患者における筋力値および健常者平均値との比較
保存期慢性腎臓病患者291例を対象に、筋力を測定し筋力年齢比を算出されています。そして握力は健常者平均値の70~80%、膝伸展筋力は85~90%程度に低下する可能性を報告しています。
人工股関節全置換術術後急性期患者におけるベッドからの起き上がり方法の違いが動作時の股関節角度、時間、疼痛、困難感に与える影響
THA術後急性期患者18名を対象に、ベッドからの起き上がり方法の違いが動作時の股関節角度や動作時間、疼痛および困難感に与える影響について調査されています。その結果、術側方向への起き上がり方法は、非術側方向に比べて動作時の術後股関節の最大内転角度が低値を示すことを報告されています。
急性期脳卒中患者の基本的姿勢における呼吸代謝に関する検討
急性期脳卒中患者31名を対象に、臥位やヘッドアップ、端座位、立位等の姿勢における呼吸代謝について検討され、立位姿勢において身体負荷が高い可能性を示唆されております。
冠動脈疾患急性治療後の糖代謝異常患者におけるIL-6の運動時急性応答
冠動脈疾患急性治療後の糖代謝異常患者13例を対象に、IL-6の運動時急性応答と血糖変動、骨格筋指数との関連を調査され、単回の有酸素運動でもIL-6の分泌増加が骨格筋でのグルコース取り込み促進に関連し、分泌されるIL-6量には筋肉量が関連することを示唆されています。
日本語版Anterior Cruciate Ligament-Return to Sport after Injury(ACL-RSI)scaleの開発
ACL再建術後患者の心理的要因を評価する質問紙票であるAnterior Cruciate Ligament-Return to Sports after Injury (ACL-RSI) scale の日本語版ACL-RSI scaleを作成し、表面的妥当性と内的整合性を検討されています。その結果、実用性の高い質問紙票であることを示唆されています。
慢性の非特異的腰痛患者に対する4種のストレッチングの介入効果-初回評価におけるdirectional preferenceによるサブグループ化の検討-
慢性非特異的腰痛患者を対象に、「短時間でよい反応が得られる運動方向;DP」という指標に着目して4種のストレッチングを実施された結果、DPの有無にかかわらずストレッチにより疼痛や身体機能、精神機能のすべてに有効性を認め、ストレッチングの成果にDPの有無は関与しない可能性を示唆されています。
長期外来リハビリテーションにより就労に至った被殻出血の一例
就労支援をおこなった慢性期の脳卒中片麻痺患者を報告されています。
リハビリテーション分野における自費診療を行っている病院・施設のWebサイトの質の評価
リハビリテーション分野において自費診療を行っている病院施設のWebサイトの質を評価し、これらのWebサイトでは誇大に広告されている可能性があり、情報提供者は治療の利害情報の正確な提供が必要であると述べられています。
【理学療法トピックス】シリーズ「臨床研究入門」 研究デザインと統計解析の基礎
研究デザインと統計解析に関して解説していただきました。研究を計画するうえで必須の知識が、わかりやすく解説されております。
理学療法学第44巻5号
理学療法学第44巻5号には研究論文4編、短報2編、症例報告1編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 大西 秀明
理学療法学第44巻5号には研究論文4編、短報2編、症例報告1編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 大西 秀明
- エッセンスを読む
- 在宅脳卒中者における生活空間の関連因子 ―活動範囲別の検討―
在宅脳卒中者143名を対象として、Life-space assessment (LSA)の得点がModified fall efficacy scaleやBarthel indexと中等度の相関があることを報告しています。
ランニングにおける下腿と後足部間の協調性パターン
ランニング動作中の下腿と後足部間の協調パターンを詳細に解析し、立脚期において「下腿外旋と後足部回内」および「下腿内旋と後足部回外」の協調性パターンがあることを報告しています。
脳卒中後のpusher syndrome の重症度およびその改善経過とsubject visual verticality の偏倚との関連
脳卒中後のpusher syndromeの改善とsubject visual vertical(SVV)とは関連しない可能性が高いことを報告しています。
中高年女性における腹圧性尿失禁症状とインナーユニット機能との関係性
尿失禁経験を有する中高年女性は、腹横筋と骨盤底筋群の同時収縮時において腹横筋・多裂筋の収縮や骨盤底挙上量が不十分であることを報告しています。
通所リハビリテーションにおける運動機能に対する介入効果に 1 年間の生活空間の変化が及ぼす影響(短報)
通所リハビリテーション利用者を対象に、Life-space assessment (LSA)と種々の運動機能を経時的に計測し、LSAが低下する群ではTUGが低下していることを報告しています。
延髄外側梗塞患者における自覚的視性垂直位と静止立位バランスおよび歩行非対称性の関連(短報)
延髄外側梗塞患者におけるsubject visual vertical(SVV)は開眼立位バランスとは関連しないが、閉眼立位バランスおよび歩行の非対称性と関連していることを報告しています。
下腿骨幹部骨折後に生じた足関節背屈可動域制限に対し超音波検査に基づき運動療法を進めた一例(症例報告)
下腿骨折後の足関節背屈可動域制限に対して、超音波検査結果に基づいた理学療法を実施し、超音波検査装置の理学療法への有効活用を報告しています。
脳卒中後に嚥下障がいを呈した2 症例に対する体幹および 頸部筋・喉頭周囲筋への運動療法の経験(実践報告)
脳卒中後の嚥下障がい者に対して、体幹および頚部筋・喉頭周囲筋への運動療法を実施し、嚥下障がいが改善したことを報告しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「臨床研究入門」 理学療法学領域における研究倫理
「理学療法学領域における研究倫理」が掲載されています。研究を始めるにあたり、また、既に研究を遂行している場合においても、是非一読して頂きたい記事です。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」 産業保健分野における理学療法の現状と展望
「産業保健分野における理学療法の現状と展望」が掲載されています。産業保健分野における理学療法の現状と課題、および将来展望について解説されています。
理学療法学第44巻4号
理学療法学第44巻4号には研究論文6編、短報2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 野村 卓生
理学療法学第44巻4号には研究論文6編、短報2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 野村 卓生
- エッセンスを読む
- 維持透析患者の運動能力低下に至る要因と転倒との関連性
維持透析患者329 例に対し、背景因子の調査、身体機能と運動能力の測定を横断的に実施し、パス解析にて運動能力低下に至るモデルの適合度を検証しています。
人工膝関節置換術における早期退院プログラムと標準的な入院プログラムにおける術後運動機能の回復の差─非劣性試験デザインを用いた検討─
非劣性の検証により、TKA 後の早期退院プログラムは標準的な入院期間のプログラムに対して、術後運動機能の回復は劣らないことを報告しています。
健常成人女性の月経痛に対する経皮的電気刺激治療の効果4
健常成人女性22 名の4 回の月経周期を対象に、非介入期とTENS を施行する介入期における痛みの程度を検討し、TENSが月経痛軽減に有効であることを報告しています。
在宅脊髄損傷者の褥瘡発生危険因子の検討─アンケート調査を用いた後ろ向き研究─
在宅脊髄損傷者310 名の退院後の褥瘡発生の有無を調査し、在宅脊髄損傷者の褥瘡発生危険因子を明らかにしています。
保存的頸部郭清術後の頭頸部がん患者の自宅退院後における上肢機能障害の経時的変化
保存的頸部郭清術後の頭頸部がん患者18 名の自宅退院後における上肢機能障害の経時的変化を報告しています。
慢性腎臓病患者における運動機能はeGFRcys と eGFRcreat の差と関連する
保存期CKD 患者116 名の推算糸球体濾過量の差(eGFRcys-eGFRcreat)が筋量および運動機能と関連するかを検討しています。
手術前の社会的自己効力感が頭頸部がん男性患者の入院中の栄養状態と身体機能、Quality of Life に与える影響
頭頸部がん男性患者31名を対象に手術前の社会的自己効力感が、入院中における栄養状態と身体機能、Quality of Lifeに影響を与えるかを検討しています。
他者に運動技術を教授することによる即時的な運動学習効果
経験した運動スキルを他者に教授することの即時的な運動学習効果を若年成人23名を対象に検討しています。
【理学療法トピックス】シリーズ「臨床研究入門」 臨床研究をはじめるにあたって
理学療法トピックス シリーズ「臨床研究入門」の連載第1回目です。臨床研究の進め方が著者の経験をふまえて解説されています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」 物理療法の将来展望とエビデンスの活かし方
シリーズ「エビデンスに基づく理学療法の確立をめざして─各部門からの提言─」の連載第1回目です。物理療法部門からの提言です。
理学療法学第44巻3号
第44巻3号には、研究論文3編、短報3編、症例報告2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 佐藤 春彦
第44巻3号には、研究論文3編、短報3編、症例報告2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 佐藤 春彦
- エッセンスを読む
- 頭頸部がん患者における術後補助療法実施が体格,運動機能,生活の質の術後経過に及ぼす影響:術後1 年間の前向き観察研究
がんとの戦いは長期戦です。頭頚部がん患者の体格や運動機能低下を最小限に抑え、QOLを維持するにはどうしたらよいか。その一助とすべく、がん患者の術後1年の経過を報告しています。
脳卒中者におけるBalance Evaluation Systems Test(BESTest) のセクションの歩行能力との関連性
バランスの構成要素が全て詰まったバランステストで脳卒中者の歩行能力に何が欠けているかを調べてみたら、関連が強かったのは、筋骨格要素と感覚要素でした。
地域在住日本人高齢者に適したShort Physical Performance Battery の算出方法の修正
海外発のパフォーマンステスト、日本人だと満点ばかりという問題がありました。その点を解消すべく、歩行速度や椅子立ち座り時間など、日本人に合わせた得点基準を示しています。
脳卒中後の中等度および重度片麻痺者における歩行速度と下肢伸展筋力の関係
下肢筋力と歩行能力の密接な関わりは従来から言われていますが、分離運動が困難な重度片麻痺者では、筋力測定の困難さから十分検討されていませんでした。そこで、エルゴメーターのペダル駆動による筋力計測に着眼。速度増加の鍵は麻痺側の筋力アップです。
幼児版運動イメージ評価尺度の開発:信頼性・妥当性の検討
「足を閉じて気をつけ」「左足を左に小さく開いて」という指示に対してうまく動けない幼児は、運動イメージができていないかもしれません。写真を使ってイメージを取り出すアイデアで評価を試みます。
Walking Stroop Carpet による転倒リスク評価の有用性
Walking Stroop Carpet(赤・青・黄・緑という文字を異なる色で印刷、並べられた敷物)というユニークなマットを歩かせる二重課題は、転倒リスクの評価に使えそうです。転倒経験者はミスもするし、時間もかかっていました。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症患者に生じた多発性単神経炎とステロイドミオパチーに対する理学療法
筋疾患に対する筋力強化には賛否両論があり、病期も含め、慎重な対応が必要です。臨床検査データを見つめて理学療法を進めた症例報告です。
大腿神経麻痺に伴う大腿四頭筋の筋出力低下に対するロボットスーツHAL® 単関節タイプおよび随意運動介助型電気刺激装置IVES® の有効性
ロボットスーツHALは歩かせるためだけにはあらず。単関節タイプもあります。電気刺激療法も併用した神経筋再教育を行った症例報告です。
【理学療法トピックス】シリーズ「PAD/CLIに対する運動療法の最前線」
間歇性跛行が問題となる末梢動脈疾患についての解説記事です。創傷治癒に対する取り組みも紹介されています。
【理学療法トピックス】シリーズ「経頭蓋静磁場刺激による中枢神経系の調節とその応用」
中枢神経機能計測シリーズ:経頭蓋静磁場刺激 磁気刺激ではありません。静磁場刺激です。頭部に磁石を貼り付け、じっとしておくことで、運動野の興奮性が一時的抑制される、「非侵襲で安全な大脳皮質抑制法」の解析記事です。
理学療法学第44巻2号
第44巻2号には、研究論文8編、企画記事2編と研究助成報告書6件が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 齋木 しゅう子
第44巻2号には、研究論文8編、企画記事2編と研究助成報告書6件が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 齋木 しゅう子
- エッセンスを読む
- 低負荷・低速度でのエクササイズが棘下筋に与える影響─エクササイズ前後の筋断面積の比較による検討─
健常男性10名を対象として、負荷と運動速度を0.5kg・5秒条件、0.5kg・1秒条件、2.5kg・1秒条件の3条件それぞれで実施し、運動の即時的変化を超音波画像診断装置と表面筋電図を用いて測定し、0.5 kg・5秒条件と2.5 kg・1秒条件で筋断面積が有意に増加したとしています。大きな負荷を与えることなく低負荷であっても低速度での運動であれば、棘下筋に対しストレスを与える事ができ、トレーニング効果が得られる可能性を示しています。
膝立ちからの一歩踏み出し動作のメカニズム
健常成人11名を対象に、バイオメカニカルデータや表面筋電図の定量的解析から、膝立ち位(kneeling)からのstep動作を分析しています。本研究ではstep脚は右脚でありkneeling からstep 動作時、足圧中心(COP)の右前方移動、重心(COG)の左後方移動からはじまり、その後COGを取り囲む様にCOPの移動軌跡が確認された。そして左長内転筋と右中殿筋の2筋が足圧中心移動開始前に活動を開始しており、本動作を遂行するうえで重要となることを示唆しています。
投球時に加わる肩離開力、前方関節間力および上方関節間力に影響を与える因子の検討
中・高校の野球選手(投手)81名を対象に、コッキンゴグ相からボール・リリースにかけて肩の関節角度や関節トルク、肩甲帯や骨盤回旋角度より肩関節離開力、前後および上下方向の力学的ストレスに影響する因子について検討し、力学的ストレスの加わる方向により影響する因子が異なることを示しています。
夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴
肩関節周囲炎に続発する夜間痛発症機序について、肩関節周囲炎100 例を対象に夜間痛の有無、超音波画像を用い炎症期を認める群と拘縮を認める群に分け病期的特徴について比較検討しています。夜間痛の発症が炎症を起因とした場合は、肩関節可動域の回旋域が比較的保たれ、拘縮を起因とした場合は、肩関節の回旋可動域が減少することが確認されたとしています。
極低出生体重児におけるFidgety movements 評価と四肢自発運動特性
極低出生体重児77例を対象にFMs の観察評定方法で3 群(normal,absent,abnormal)に分類し、Fidgety movements期(修正49~60週時点)の自発運動をビデオ撮影し、動画から抽出した四肢座標データからFMs期における観察評価と四肢運動指標の関連を検討しています。四肢運動軌跡の湾曲度合いを示す平均曲率は、下肢では群間で有意な差をみとめ、下肢の平均曲率は、FMsの微細な運動特徴である四肢末梢の円運動をとらえ、FMsの微細な運動特徴を捉える有効な指標となり得るとしています。
ストレッチング方法の違いにより大腿二頭筋の伸長部位を変化させることができるか?─せん断波エラストグラフィー機能を用いた検討─
超音波診断装置に装備されているせん断波エラストグラフィー機能を用いて、股関節屈曲位での膝関節伸展方向へのストレッチング(KE)、膝関節伸展位での股関節屈曲方向へのストレッチング(SLR)、安静状態の3条件で大腿二頭筋の近位・中間・遠位部の弾性率を15名の若年男性を対象として測定し、ストレッチング方法の違いが大腿二頭筋の伸長程度や伸長部位に及ぼす影響を検討しています。ストレッチングにより弾性率は有意に高値を示したが、方法の違いによる弾性率の差は認められなかった。2種類のストレッチング方法は大腿二頭筋を伸長するが、伸長程度や伸長部位に差はないとしています。
動的バランス評価指標modified index of postural stability(MIPS)の再現性と有用性について
若年健常者80名を対象にし、姿勢安定度評価指標(index of postural stability:IPS)、閉眼、軟面上(ラバー利用)修正IPS(modified index of postural stability:MIPS)を測定し、MIPSの有用性を検討しています。MIPSは、動的バランス能力における臨床応用可能な評価指標であり、幅広い対象者の動的バランス評価に有効な手段となり得るとしています。
嚥下機能低下を呈した要介護認定高齢者に対する呼吸トレーニングが呼吸機能、嚥下機能、QOL に与える効果
通所リハビリテーションを利用している65歳以上の要介護認定高齢者31名を対象とし呼吸筋強化トレーニング、咳嗽練習、胸郭ストレッチとホームエクササイズの呼吸トレーニングを2ヵ月行い、理学療法前後、follow-up 1ヵ月後、6ヵ月後と呼吸トレーニングにおける短期および長期的な効果を検証しています。理学療法開始1ヶ月後は測定指標に改善が確認され、終了6ヶ月では呼吸機能は、低下していた。呼吸トレーニング導入により、要介護認定高齢者の呼吸機能や嚥下障害、QOL の改善が可能であったとしています 。
【理学療法トピックス】「内部障害に対する運動療法の最前線」
企画記事「慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に対する運動療法の最前線」
透析治療に至る前の保存期のCKD患者の現状や身体機能面をとらえ、運動療法のエビデンスや運動療法の進め方について、他職種との連携の重要性をふまえ解説されています。
【理学療法トピックス】「中枢神経機能の計測と調整」
企画記事「経頭蓋直流電流刺激を利用した中枢神経興奮性の修飾とその臨床応用」
経頭蓋直流電流刺激(tDCS)について、歴史的背景、tDCSによる運動機能の変化や臨床応用に関する数々の文献を簡潔明瞭にまとめ、今後のtDCSをはじめとする非侵襲的脳刺激法の可能性を解説されています。
理学療法学第44巻1号
第44巻1号には、研究論文5編、短報1編、調査報告1編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 前島 洋
第44巻1号には、研究論文5編、短報1編、調査報告1編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 前島 洋
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- 回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者のADL 回復に関連する要因─後ろ向きコホート研究─
回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者657人を対象にFIM利得に影響を与える因子についてロジスティック回帰分析を行い、理学療法、作業療法の総単位数がADL回復に重要な因子であることを報告しています。
ノルディック・ウォーキングが高齢者の歩行に与える影響
高齢者を対象にノルディック・ウォーキングと通常歩行の違いについて、三次元動作解析装置・床反力計を用いた歩行分析を行い、高齢者におけるノルディック・ウォーキングは前額面上において安定性の高い歩行であることを報告しています。
ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状の変化および神経精神症状の2 日間評定の信頼性・妥当性の検証
ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状をNeuropsychiatric Inventory重症度2日間評価版を用いて精査し、同評定の信頼性・妥当性を示すとともにショートステイ後には神経精神症状が改善する可能性を報告しています。
軽症から中等症までのパーキンソン病患者におけるバランス障害の関連因子の検討
パーキンソン病患者のバランス障害因子を検討するため、32名のパーキンソン病患者を対象にBerg Balance Scale(BBS)総得点に与える因子について重回帰分析を行い、握力と姿勢異常がバランス障害に関与する因子であることを報告しています。
糖尿病多発神経障害が前方および後方歩行に及ぼす影響
糖尿病患者68名を対象に前方・後方の歩行分析を行い、糖尿病多発神経障害群では後方歩行において歩行時間の延長と歩数の増加が認められ、特異的に後方歩行が障害されることを報告しています。
健常若年男性における腰部多裂筋横断面積の腰椎各レベルでの左右差
超音波画像診断装置を用いて腰部多裂筋の構造を55名において精査し、第5・4腰椎レベルの多裂筋は利き手側でより横断面積が大きく、両側ともに下位腰椎ほど大きくなることを報告しています。
ローラーを用いた上肢トレーニングが脳卒中片麻痺患者の肩関節運動に及ぼす影響
脳卒中片麻痺患者を対象に坐位においてローラーを前方へ回転させる上肢トレーニングの効果について検討し、肩関節可動域改善、肩関節痛改善への効果を報告しています。
中高年者を対象とした国際生活機能分類の参加に該当する項目の重要度についての調査
中高齢者324名を対象にICFの参加に該当するコードについて23の質問項目を作成し、各項目の重要度についてアンケート調査を行っています。その結果、重要度の低い項目や性差、年齢等の背景因子により重要度が異なることが報告されています。
【理学療法トピックス】「内部障害に対する運動療法の最前線」
企画記事「血液透析患者に対する運動療法の最前線」
血液透析患者の運動耐容能低下の実際とその要因に関する基礎的内容から、運動耐容能の評価と運動処方の実践について幅広く丁寧に解説頂いています。
【理学療法トピックス】「中枢神経機能の計測と調整」
企画記事「経頭蓋磁気刺激を利用した中枢神経機能の評価とその応用」
経頭蓋磁気刺激の原理、臨床における測定の実際とその解釈、実践例について丁寧に解説頂いています。
理学療法学第43巻6号
第43巻6号には、研究論文(原著)8篇、短報1篇、企画記事2篇が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 神津 玲
第43巻6号には、研究論文(原著)8篇、短報1篇、企画記事2篇が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 神津 玲
- エッセンスを読む
- 福山型先天性筋ジストロフィーにおけるGross Motor Function Measureの信頼性と妥当性
本論文では福山型先天性筋ジストロフィー38名に対して、Gross Motor Function Measure(GMFM)の信頼性と妥当性を検証しています。その結果、GMFMは粗大運動機能評価尺度として高い信頼性と妥当性が得られたことが示されました。
正常歩行における下腿座標系上の円弧状圧中心軌跡正常歩行における下腿座標系上の円弧状圧中心軌跡正常歩行における下腿座標系上の円弧状圧中心軌跡
下腿座標系を利用した歩行時の足圧中心軌跡を健常者10名で検討した研究報告です。その軌跡は、比較的一定した円弧形状を示すことを明らかにしています。
中高齢女性における軽度骨盤臓器脱に対する骨盤底筋体操の試み
軽度骨盤臓器脱患者に対する骨盤底筋体操の効果を検討した介入研究です。Stage Ⅱの骨盤臓器脱患者17名に対して16週間の骨盤底筋体操を施行し、最大収縮時膣圧の増大と前膣壁の挙上を認め、関連症状の改善とQOLの向上といった良好な成績が得られました。
人工膝関節全置換術患者の早期退院後のセルフチェックシートを用いた疼痛管理は術後早期の疼痛および関節可動域増悪の防止に有効である
55名の人工膝関節全置換術患者をセルフチェックシート介入群28名、対照群27名に無作為に割付け、その有用性を検討した論文です。介入群で術後2週目の歩行時痛、階段昇降時痛、膝関節屈強可動域の有意な改善が得られ、セルフチェックシートを用いた疼痛管理の有用性を示しています。
頭皮-皮質間距離が経頭蓋磁気刺激法による下肢一次運動野の運動誘発電位に及ぼす影響
健常者10名を対象に、頭皮-皮質間距離が経頭蓋磁気刺激による下肢一次運動野の運動誘発電位(MEP)への影響を検討した研究です。その結果、MEP測定は、頭皮-皮質間距離の影響を有意に受けることが明らかになりました。
脳卒中片麻痺患者に対する下肢ボツリヌス療法が歩行時の筋活動および歩行の時間・距離因子に及ぼす影響
下肢の痙縮を伴う発症後6ヶ月以上経過した慢性期脳卒中片麻痺患者15名に対し、 A型ボツリヌス毒素製剤の投与が歩行状態に及ぼす影響を分析した論文です。投与2週後に 10m歩行時の筋電図による下肢筋活動は変化したものの、歩行速度、歩行周期、歩幅といった指標の有意な改善は得られなかったと報告しています。
人工股関節全置換術後の漸減的な補高挿入は自覚的脚長差の軽減に有用か?―被験者間マルチベースラインデザインを私用した検討―
人工股関節全置換術後6名に対する漸減的な補高挿入が自覚的脚長差感(PLLD)の軽減に及ぼすか否かを検討した研究です。ABデザインによる検討で、A群では通常の理学療法単独、B群はPLLD値と同一の厚さの補高を挿入する歩行練習を併用した理学療法を実施し、補高使用の有用性を示しました。
脳卒中急性期における麻痺側および非麻痺側下肢筋力と歩行速度の関連
脳卒中患者118名における急性期の麻痺側と非麻痺側の下肢筋力と歩行速度との関連を評価しています。発症後30日以内の麻痺側および非麻痺側の等尺性膝伸展筋力値を測定し、麻痺側下肢筋力は歩行速度が高い群ほど強く、歩行能力と有意に関連することを明らかにしました。
訪問リハビリテーション利用者の要介護度変化とその要因
訪問リハビリテーションの利用開始から1年間以上訪問リハビリテーションを継続している510名の利用者を対象に、要介護度の変化とその要因を調査しています。要介護度変化の関連要因として、軽度化には年齢と早期訪問リハビリテーションの導入が、重症化には年齢が関連する事を明らかにしています。
【理学療法トピックス】「内部障害に対する運動療法の最前線」
シリーズ連載第3回は、「糖尿病に対する運動療法の最前線」です。運動療法の必要性やその作用機序について基本的知識から最近の研究報告も紹介されています。具体的な運動療法の実施についてわかりやすくまとめていただいております 。
【理学療法トピックス】「中枢神経機能の計測と調整」
シリーズの連載第3回として、「脳磁図(MEG)を利用した脳機能計測とその応用」が掲載されています。脳機能計測の基礎をわかりやすく示していただくとともに、その応用に関しても解説していただきました。
理学療法学第43巻5号
第43巻5号には、原著論文7編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 榊間 春利
第43巻5号には、原著論文7編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 榊間 春利
- エッセンスを読む
- 脳室周囲白質軟化症および知的障害児の行動特徴 ―CBCLを用いた検討―
脳室周囲白質軟化症(PVL)児の行動特徴を明らかにすることを目的にPVL児15名の行動特徴を子どもの行動調査票(CBCL)を用いて評価し、知的障害児15名、健常児14名の行動と比較した。さらに子どもの行動特徴と母親の養育態度との関連についても調査した。その結果、PVL児は依存分離尺度の得点が高く、内在化問題行動が外在化問題行動より高いという特徴を示し、PVL児の内向尺度が高くなる傾向は母親の養育態度とは関係がないことが示唆された。
背臥位における呼吸介助が局所換気運動に及ぼす影響
健常男性7名を対象に、背臥位での安静呼吸、上部胸郭介助呼吸、下部胸郭介助呼吸における上部胸郭、下部胸郭、腹部の換気運動に及ぼす影響を換気力学的に検討した結果、上部介助、下部介助は圧迫部位の換気運動を増加させた。下部介助では、呼気中にもかかわらず上部胸郭は拡張しており、この要因として介助による腹腔内圧の上昇が考えられた。
漸増負荷下における自転車エルゴメータ駆動時の外側広筋と大腿直筋の筋活動変曲点と換気性作業閾値の時間的関係 ―若年者と高齢者における検討―
健常若年男性と地域在住高齢男性各10名における自転車エルゴメータ駆動時の外側広筋(VL)と大腿直筋(RF)の筋活動変曲点(EMGT)と換気性作業閾値(VT point)の時間的関係について検討した。若年者ではVL、RFいずれのEMGTもVT pointより遅れて出現し、一方で、高齢者はVLのEMGTの出現はVT point到達時間より有意に早く、EMGTを境に回帰直線の傾きが有意に低下した。
高校野球選手における小胸筋に対するストレッチ方法の違いが小胸筋長および肩甲骨位置に与える影響
高校野球部員34名を対象としてdoorway stretch (DW-stretch法)とretraction30°stretch(R30-stretch法)の2種類の方法を用いて、小胸筋に対するストレッチ効果の違いについて検討した。その結果、DW-stretch法はR30-stretch法と比較して安静時の小胸筋長や肩甲骨の位置をより変化させた。
長期臥床となった高齢心疾患患者における回復期リハビリテーション病院入院での運動療法効果
回復期病院に入院し、心配運動負荷試験を実施した高齢心疾患患者を長期臥床群26名と短期臥床群21名に分類し、臥床期間が回復期病院入院中の運動耐容能の改善に与える影響を調査した。その結果、長期臥床群は入院時の運動耐容能が低いにもかかわらず、有酸素運動による改善度が高く有酸素運動の効果が期待できることが示唆された。
維持血液透析患者における心臓血管外科術後の嫌気性代謝域値強度での運動処方の検討
心臓血管外科術後の透析患者16名に対して心肺運動負荷試験を実施し、予測最大心拍数を用いたKarvonen法と安静時心拍数に定数を加算する方法(HRrest + α)を用いてAT強度の処方心拍数を求める係数を検討した。その結果、k = 0.13、α = 11の定数でAT強度を超えない範囲での処方心拍数を求めることができた。
3次元上の股関節の動きが大腰筋の伸張率に及ぼす影響―数理モデルによる解析―
数理モデルを用いて3次元上の股関節の動きと大腰筋の伸張率を検討し、股関節伸展のみと比較して股関節伸展に外転と内旋を加えたときに伸張率がより高くなることを示した。
骨盤底筋体操を取り入れた女性の健康づくり教室の成果
腹圧性尿失禁の予防啓発を目的として骨盤底筋体操を取り入れた女性の健康づくり教室を実施した。教室に参加する育児期(初産婦)と中年期の女性を対象に調査した結果、骨盤底筋の機能低下や骨盤底筋体操の実施方法についての理解が深まり、腹圧性尿失禁の予防啓発を推進できた。
【理学療法トピックス】「内部障害に対する運動療法の最前線」
慢性閉塞性肺疾患(COPD)対象者に対する運動療法の最前線
最新の知見を交えてCOPD対象者の運動療法の実際と呼吸・循環機能、筋機能、認知機能への運動療法の効果についてわかりやすく解説されています。
【理学療法トピックス】「中枢神経機能の計測と調整」
機能的磁気共鳴画像法を用いた脳機能計測方法とその応用
機能的磁気共鳴画像法を利用した脳機能計測方法について、基本的原理や具体的活用方法をわかりやすく解説されています。
理学療法学第43巻4号
第43巻4号には、研究論文(原著)4編、症例報告2編、実践報告2編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 対馬 栄輝
第43巻4号には、研究論文(原著)4編、症例報告2編、実践報告2編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 対馬 栄輝
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- 人工膝関節置換術患者における活動、参加に関与する諸要因の関係
人工膝関節置換術を行った118名における心身機能、活動、参加、主観的健康観、背景因子が活動、参加に関与する諸要因とどのように関係するかパス解析モデル構築を試みた研究です。その結果、術前では下肢筋力とTimed up and go testが「活動」と「参加」に影響を与え、術後は術前の要因に加えて膝関節疼痛が精神的健康に、精神的健康が「活動」に影響を与え、さらに、性別が「参加」に影響を与えることが示されています。
脳性麻痺児における粗大運動機能別の股関節筋解離術前後5年間の股関節脱臼の変化
粗大運動能力分類システム(GMFCS)レベルⅢ~Ⅴの脳性麻痺児33名を対象として、股関節筋解離術前・術後1年・術後3年・術後5年の股関節のレントゲン画像から、GMFCS機能別の股関節脱臼の変化を検討しています。レントゲン所見の全項目で術後有意な変化を認め、Sharp角と臼蓋外側縁傾斜角では交互作用が確認されています。GMFCSレベルⅢにて大腿骨頭の側方化の指標である骨頭―涙痕間距離は術後変化なく、Sharp角は術前と比較して術後3年・術後5年で、術後1年と比較して術後5年で有意に値が小さくなりました。
成人脳性麻痺アテトーゼ型患者における疼痛の質とTENS の効果の関係
脳性麻痺アテトーゼ型患者8名を対象として、疼痛の質的評価法(SF-MPQ-2)を用いて、疼痛の質とTENS の効果の関係を検討しています。SF-MPQ-2 の各スコアを従属変数、介入前後と介入方法を対応のある因子とした二元配置分散分析を行った結果、TENS の効果は間欠的な痛みのみで、他の項目は介入前後で変化がないか、偽TENS の効果と変わりませんでした。
慢性の非特異的腰痛患者に対するMcKenzie 法とストレッチング、その両方の介入効果 ─単盲検準ランダム化比較試験─
6ヵ月以上持続している慢性の非特異的腰痛患者に対するMcKenzie 法(M 群)とストレッチング(S 群)、その両方(M+S 群)の介入効果について検討した論文です。directional preference(DP)を認めた症例98名をM群31名、S群35名、M+S 群32名に分類し、週1 回の介入と4週間のセルフエクササイズを指導しました。3 群とも介入前後でVAS、ROM、SF-36、JOABPEQ、Oswestry Disability Index(ODI)の全項目で有意な改善を認めた。さらにROM はM+S 群>M 群・S 群、VAS(腰痛)とODI はS 群・M+S 群>M 群で有意差を認めています。
通所リハビリテーションを2年間利用した脳卒中者の歩行能力と下肢筋力の経時的変化 ─後方視的研究─
脳卒中者126 名を対象としてHousehold 群(0。4 m/s 未満)、Limited 群(0。4 m/s ~0。8 m/s)、Full群(0。8 m/s 以上)に分類しています。Household 群の歩行速度は、開始時と比較し、6ヵ月以降で有意に向上し、麻痺側筋力は利用後12、24ヵ月で有意な増加を認めています。Limited 群の歩行速度は、6 ヵ月以降で有意に向上し、麻痺側筋力は24 ヵ月で有意な増加を認め、Full 群は有意な変化を認められませんでした。
ショートステイ利用前後における要介護者のADLと介護者の介護負担の変化
ショートステイを利用する要介護者50名とその主介護者50名を対象として、要介護者のADLと介護者の介護負担を調査しています。その結果、ショートステイ利用後に要介護者のADLは有意な改善が認められ、多重ロジステイック回帰分析の結果では、介護者の介護負担の変化に関連する要因として、要介護度、介護者仕事の有無が有意な関連因子として抽出されました。自宅とショートステイ利用中の離床時間には有意な差は認められませんでした。
Stroke Care Unit における理学療法実施回数の増加がFIM の改善に与える影響について
理学療法士増員前に理学療法を実施した159 名(増員前群)と、理学療法士増員後に理学療法を実施した118 名(増員後群)の脳卒中急性期患者を対象として、理学療法開始までの期間と理学療法の平均単位数、FIM 利得の比較を行っています。その結果、理学療法開始までの期間に有意な差は認めなかったが、理学療法の平均単位数とFIM 利得は増員後群において有意な改善を認めています。
HONDA 歩行アシストの継続使用による脳卒中片麻痺者の歩行変化
回復期リハビリテーション病棟に入院しHONDA歩行アシストによる歩行練習を実施した者(実施群)20名と通常の歩行練習を実施した者(非実施群)20名を対象とし、4週間後の快適歩行速度、TUG、BBS、FIM の得点を比較した論文です。結果、実施群、非実施群ともに4週間後の快適歩行速度、TUG、BBS、FIM の得点は有意に向上した。一方、実施群と非実施群の変化量の比較では、快適歩行速度のみ実施群で有意に大きくなっています。
【理学療法トピックス】「内部障害に対する運動療法の最前線」
慢性心不全に対する運動療法の最前線 心不全の定義や病態に関する知識を整理するとともに、慢性心不全の病態、疫学から運動耐容能の制限因子と運動療法のエビデンスについて最近の知見を交えて紹介しています 。
【理学療法トピックス】「中枢神経機能の計測と調整」
拡散テンソル画像・拡散テンソルトラクトグラフィーの理学療法領域における臨床応用 核磁気共鳴画像(MRI)の撮像方法のひとつである拡散強調画像を利用した拡散テンソル画像(Diff usion Tensor Imaging)、拡散テンソルトラクトグラフィーについて基礎から紹介しています。また、脳腫瘍や動静脈奇形などの摘出全評価として活用した臨床応用について紹介しています。
理学療法学第43巻3号
第43巻3号には、原著論文3編、短報2編、システマティックレビュー1編、実践報告1編の計7編の投稿論文と、講座2編が掲載されました。
『理学療法学』編集委員 内 昌之
第43巻3号には、原著論文3編、短報2編、システマティックレビュー1編、実践報告1編の計7編の投稿論文と、講座2編が掲載されました。
『理学療法学』編集委員 内 昌之
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- 腹横筋厚変化率および骨盤傾斜角・股関節形態からみた変形性股関節症患者の特徴
二次性変形性股関節症患者21名と健常者20名を対象に、超音波診断装置で安静時腹横筋厚と腹部引き込み運動時の腹横筋厚から腹横筋厚変化率を算出し重回帰分析を加えた。その結果、変形性股関節症群は健常者群よりも腹横筋厚変化率は低値を示し、腹横筋厚変化率と骨盤前傾角と股関節形態の関連性が示唆された。
脳内出血患者における急性期病院退院時の機能予後とその要因
脳内出血患者88例について、退院時modified Rankin Scale を用い予後良好群と予後不良群に群分けし、機能予後に影響を及ぼす因子およびそのカットオフ値を検討した。Cox 比例ハザード分析の結果、退院時機能予後に影響を与える因子として年齢、入院時NIH Stroke Scaleおよび離床開始日が抽出され、カットオフ値はそれぞれ66 歳、7 点、2病日であった。
軽症脳梗塞患者における急性期病院入院中の身体活動量と身体機能との関係
院内歩行が自立している急性期脳梗塞患者25 症例、および健常成人13 例で一日あたりの総歩数を活動量計にて測定し、身体機能との関係について検討した。その結果、急性期軽症脳梗塞患者の身体活動量は減少し、その程度は10 m 歩行時間と関係が示された。
重度脳卒中患者における入院1 ヵ月時のMotor Assessment Scale と退院時FIM との関連 ─偏相関分析による検討─
入院時Functional Independent Measure(以下、FIM)が40 点未満の初発脳卒中患者25 名の入退院時FIM、入院時と1 ヵ月時のMotor Assessment Scale(以下、MAS)を評価し、偏順位相関にて、退院時FIM、FIM 利得と1 ヵ月時のMAS 各項目との相関係数を算出した。その結果、退院時ADL やADL の改善には、入院1 ヵ月時点での起居動作が関連し、特に「座位バランス」と「座位から立位」が重要であることが示唆された。
パーキンソン病の歩行障害を定量的に評価する方法
パーキンソン病の症状であるすくみ足を評価するため、16 名のパーキンソン病患者を対象に、7段階に設定した間口の通過の所要時間とステップ数を計測した。その結果、間口幅の減少に伴ってステップ数が増加、所要時間が遅延する傾向が認められ、その関係性は一次直線回帰によって近似可能であった。
非特異的慢性腰痛を有する患者に対する神経生理学に基づいた患者教育の効果 ─システマティックレビュー―
非特異的慢性腰痛を有する患者に対する痛みの神経生理学に基づいた患者教育(pain neurophysiology education;PNE)の効果について国内外の無作為化比較試験について系統的検索を行った結果、6 編の英語論文が低いバイアスのリスクを示し、PNE が他の患者教育よりも効果的であるという明確なエビデンスはなかった。また、PNE と他の介入を併用した際に効果が減弱する可能性が示唆された。
急性期病院におけるリハビリテーション専門職配置の効果 ─呼吸器内科病棟でのADL 維持向上等体制加算算定の取り組み
ADL 維持向上等体制加算の実施による効果について、理学療法士の病棟配置前、専任配置後、専従配置後における疾患別リハビリテーション実施者の在院日数の変化と、医療職へのアンケート調査結果を分析した。
【講座】「エビデンスに基づく理学療法-理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
徒手理学療法 徒手的理学療法の位置付けとエビデンスを読み解くヒントを、5 つの設問に対する解説で展開し、解りやすく解説されています。
【講座】「エビデンスに基づく理学療法-理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
糖尿病 理学療法診療ガイドライン 2 型糖尿病と合併する神経障害、足病変に対する理学療法について、モデルケースを想定して解りやすく解説されています。
理学療法学第43巻2号
第43巻では、研究論文8編、企画記事2編が掲載されております。
『理学療法学』編集委員 坂本美喜
『理学療法学』編集委員 坂本美喜
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- 高齢者における体幹加速度から得られる歩行指標と転倒との関連性
―大規模データによる検討―
本論文では、地域在住高齢者989名を対象に、転倒歴を含む基本属性に関する聴取および歩行計測をされています。歩行計測には3軸加速度計測を用いて歩行時の体幹加速度から自己相関係数とharmonic ratioを算出し、いずれの指標も加齢および転倒と関連する評価指標として有用性があることを示されました。
末梢電気刺激による求心性抑制が二連発磁気刺激による皮質内興奮性に及ぼす影響
本論文では、健常成人12名を対象に、末梢電気刺激による求心性抑制が二連発磁気刺激による皮質内の抑制性経路および興奮性経路に及ぼす影響について調査されました。その結果、長潜時求心性抑制は短間隔皮質抑制に影響は及ぼさず、皮質内促通を減弱させたことを示されました
施設および在宅での実施を想定した運動種目に対する自信の差およびセルフ・エフィカシーとの関連
要支援・要介護者114名を対象に、運動メニュー内容について、施設および在宅で実施することを仮定した場合、それぞれの環境の違いによる自信の差を明らかにし、さらに施設および在宅という環境の違いによる差の大きさの程度を評価されました。また各運動メニューを実施する自信と行動の予測因子である自己効力感との関連について明らかにされました。その結果、在宅を想定した場合の運動の自信は施設と比較し有意に低く、各運動種目すべてにおいても、同様に有意に低い結果となることを報告しています。
多臓器不全スコアはStanford A 型急性大動脈解離患者における術後早期のリハビリテーションの目標達成を予測する
本論文では、人工血管置換術を受けた180例のStanford A 型急性大動脈解離患者を対象に、術後の多臓器不全の評価(Sequential organ failure assessment; SOFAスコア)が、術後早期のリハビリテーションの目標達成を予測できるか否かを検討されています。その結果、Stanford A 型急性大動脈解離患者において、術後のSOFAスコアは術後早期のリハビリテーション目標達成を予測する指標であることを示されました。
頸椎変性疾患患者に対するMcKenzie法に基づく運動療法の効果とそれに関連する因子
本論文では、頸椎変性疾患52例に対しMcKenzie法に基づくメカニカル評価に従って、症状に改善が得られる運動方向を基にした運動療法を実施されています。その結果、治療開始1週間語より経時的に頸部に関する症状面と所見面の改善が得られ、1か月後には日常生活機能、身体的健康度の改善が得られたことを報告しています。
BESTest, Mini-BESTest, Brief-BESTestにおける得点分布の特性と転倒予測精度に関する検討
―前向きコホート研究―
本論文では、脳卒中および骨折症例57名を対象とし、退院時にBalance Evaluation System test(BESTest), Mini- BESTest, Brief- BESTest、およびBerg Balance Scaleを測定し、退院後6か月の転倒の有無を検討されました。その結果、Mini –BESTestは、その得点分布が比較的均一で、中等度の転倒予測精度を有し、動作課題も少ないことから有用性の高い評価であることを示しています。
薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者への環境調整を併用した運動療法における効果の持続性について
本論文では、精神科病院閉鎖病棟入院中の薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者24名を対象として、環境調整を併用した運動療法を4週間実施し、その効果の持続性を12週間にわたり検討されました。その結果、運動療法終了時には陰性症状および身体機能に有意な改善を認めましたが、運動療法終了後8週間で基準値の数値に戻ることを報告されています
急性期脳卒中片麻痺患者における筋厚の経時的変化
本論文では、発症後24時間以内の初発脳卒中患者10例を対象とし、麻痺側、非麻痺側の筋厚(外側広筋、前脛骨筋)と周径(大腿周径、下腿周径)を1病日から28病日まで測定されました。その結果、外側広筋および前脛骨筋の筋厚減少は、麻痺側・非麻痺側ともに2病日から28病日まで減少が継続したことを報告されています。
【講座】「エビデンスに基づく理学療法-理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
連載第14回 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)理学療法診療ガイドライン」
地域理学療法ガイドラインでは、地域理学慮法を提供する際の本邦の制度に基づく提供形態にわけて分類されており、対象は高齢者とし、一般高齢者から要介護状態の高齢者まで幅広く対象としています。本ガイドラインでは、引用データベースにはPubMed、PEDro、The Cochran Library、医学中央雑誌、メディカルオンラインを用い、Physical activity in the prevention, treatment and rehabilitation of diseases およびEvidence-based practice guideline. Exercise promotion: walking in eldersの2つのガイドラインを参考にされています。 そして、理学療法評価(指標)と理学療法介入効果について述べられています。
【講座】「エビデンスに基づく理学療法-理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
連載第15回「変形性膝関節症 理学療法診療ガイドライン」
本ガイドラインは、Osteoarthritis Research Society International (OARSI), National Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)、American Academy of Osrthopaedic Surgeous (AAOS)のガイドラインを参考に、これらの整合性をふまえたうえで、膝変形性膝関節症(特に内側型膝OA)を対象として作成されています。本稿では、膝OAの症状改善を目的とした基本的な理学療法評価・介入方法の科学的根拠について述べられ、また現状と展望について言及されています。さらに、臨床での役立て方についても解説されています。
理学療法学第43巻1号
第43巻1号には、研究論文(原著)8編、講座「エビデンスに基づく理学療法」2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 古名丈人
『理学療法学』編集委員 古名丈人
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- 超音波画像を用いた正常膝関節の持続牽引に伴う離開距離の解析
─牽引時間と牽引強度の違いが及ぼす影響について─
関節牽引の効果的に行うために、膝関節の持続牽引中(牽引力、100・150・200Nの3種)の関節裂隙の距離を牽引前・中(6か所)の時点で超音波画像により評価しています。関節牽引を用いて膝関節の結合組織の伸長を得るには、100Nより大きな牽引強度と10秒より長い牽引時間が必要であることが示唆されたと述べられています。
回復期リハビリテーション病院における心臓リハビリテーションの実態調査
─全国アンケートの結果から─
回復期リハビリテーション病院における心臓リハの実施状況とその問題点を明らかにするため、全国の回復期リハ病院に対してアンケート調査を実施しました。急性期と回復期病院間の連携システムの構築およびスタッフの教育体制が回復期リハ病院における心臓リハ施設を増加させる上で必要であると述べられています。
乳癌術後リハビリテーションにおける肩関節可動域運動の開始時期の検討
乳癌患者に対する肩関節可動域に対するリハビリテーションの開始時期を検討するため、診療録から後方視調査を実施し、介入開始時期の違いがドレーン留置期間、ドレーン排液量および入院期間に及ぼす影響を比較しました。術後5日目からの早期介入では、ドレーンの総排液量および留置期間に影響せず、入院期間が短縮されたことを報告しています。
専門職博士課程に移行したアメリカにおける理学療法教育の現状と課題
─養成課程へのアンケート調査による検討─
理学療法教育における専門職博士課程への移行を検討するために、博士課程に移行したアメリカの理学療法教育の特徴を質問紙法にて検討しています。理学療法士養成の専門職博士課程への移行は内容の充実が期待されるが、学生の経済的負担を考慮する必要があることが指摘されています。
人工股関節置換術後の機能的脚長差が健康関連QOLに及ぼす影響
─パス解析を用いた障害構造モデルの検討─
人工股関節置換術に伴う機能的脚長差がその後の健康関連QOLに与える影響についてパス解析を用い、障害構造モデルを構築することで検討しました。機能的脚長差の変化が主観的脚長差の変化を引き起こすことによって、健康関連QOLに影響を及ぼしていることが示されました。
ロコモティブシンドロームの重症度と転倒頻度,低骨密度およびサルコぺニアの関連性について
ロコモティブシンドロームの重症度が転倒頻度、骨密度、サルコペニア発生との関係性について、ロジスティック回帰分析を用いて検討しました。年齢および性別を問わず、ロコモティブシンドロームになった場合には転倒リスクがおよそ3.5倍となる事が述べられています。
高齢心不全患者における歩行自立度の予後不良な集団特性と移動能力の回復過程に関する検討
理学療法を施行した高齢心不全患者について、歩行自立度の要因と移動能力の回復過程を検討しています。歩行自立度の予後不良な集団は、高齢、認知機能低下、貧血、腎機能低下、入院前の日常生活活動が低地であり、リハ進行も遅延し、移動能力は入院1週間語の早期より低値を示すという特性が示唆されています。
糖尿病および糖尿病神経障害の合併が保存期慢性腎臓病男性患者の運動機能に与える影響
保存期慢性腎臓病の運動機能に影響を及ぼす糖尿病および糖尿病性多発神経障害について、慢性腎臓病ステージ2-5の患者193名で検討しています。非DM者121名、DM者は72名でした。保存期慢性腎臓病患者の運動機能は、病期が進行し糖尿病多発神経障害が出現していた患者で低下することが示唆されたと述べられています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)理学療法診療ガイドライン
慢性閉塞性肺疾患(COPD)理学療法診療の理学療法臨床指針について、千住氏と神津氏より、評価、介入の推奨グレード、エビデンスレベルが紹介され、臨床的かつ具体的な活用方法についての解説していただいております。
肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン
肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドラインの理学療法臨床指針について、村木氏より、評価、介入の推奨グレード、エビデンスレベルが紹介され、臨床的かつ具体的な活用方法についての解説していただいております。
理学療法学第42巻7号
42巻7号には、研究論文(原著)7編、資料1編、講座「エビデンスに基づく理学療法」2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 大西秀明
42巻7号には、研究論文(原著)7編、資料1編、講座「エビデンスに基づく理学療法」2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 大西秀明
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- MRIによる腹臥位からの体幹伸展位における脊椎および仙腸関節の可動域の解析畠論文は、健常若年女性13名を対象にして体幹伸展動作時における腰仙椎の矢状面の動きをMRIを用いて計測・解析している。その結果、軽度体幹伸展位ではTh12/L1~L3/4が主に伸展を担い、パピー姿勢ではそれにL4/5が加わることを明らかにしている。
Open Kinetic Chain Exerciseにおける呼気強度の違いが体幹筋活動に与える影響小松論文は、健常若年女性25名を対象にして異なる呼気負荷を併用したOKC運動時の体幹筋活動を計測・解析している。その結果、呼気負荷を与えることにより、OKC運動時において腹横筋や腹斜筋の活動が高まることを明らかにしている。
脳卒中治療の効果判定におけるStroke Impairment Assessment Setの有用性-NIHSS、 BI、 FIMとの比較検討熊谷論文は、Stroke Impairment Assessment Set (SIAS)の有効性を検証することを目的として、脳卒中患者244名を対象にしてSIASやBarthel index、NIHSS score、FIM 等を評価し、SIASは脳卒中治療の効果判定として有用な指標であることを報告している。
急性期脳梗塞患者における自宅退院の可否に関連する因子の検討國枝論文は、急性期脳梗塞患者の転帰先を予測するために脳梗塞患者58名を対象にして、自宅退院に関連する因子を後方視的に調査し、高次脳障害の有無と血清アルブミン値が転帰予測因子の可能性があることを明らかにしている。
短期的な観察学習効果とその基盤となりうるワーキング・メモリの影響の検討川崎論文は、健常若年者31名を対象にして短時間の運動学習による運動学習効果とワーキング・メモリ能力との関連性を検討し、運動観察による運動学習にワーキング・メモリ能力が関与していることを明らかにしている。
脊椎変化が歩行中の左右下肢間における力学的エネルギーの流れに及ぼす影響佐久間論文は、変形性脊椎症患者5名と健常者9名を対象にして、平地歩行時の力学的特性を解析し、変形性脊椎症患者は遊脚初期に遊脚側股関節を前方に引き出す動作によって力学的エネルギーを有効活用していることを明らかにしている。
2年後にフレイルから改善した都市在住高齢者の心身機能の特徴解良論文は、地域在住高齢者98名を対象にして「フレイル」状態からの改善要因を検討し、フレイル状態からの改善には身体機能を向上させる対策が必要であることを明らかにしている。
【資料】「ガイドラインの研究・評価用のチェックリストAGREEⅡによる理学療法診療ガイドライン第1版の質評価」大寺論文(資料)は、理学療法診療ガイドライン第1版をAGREEⅡによって評価し、今後の改訂では、推奨の明確な提示や臨床における適用方法、利益相反の明示に留意するべきであると提言している。
【講座】「エビデンスに基づく理学療法-理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
連載第10回 「前十字靱帯(ACL)損傷理学療法診療ガイドライン」 長妻香織 先生当ガイドライン作成者らが「前十字靱帯(ACL)損傷理学療法診療ガイドライン」をわかりやすく解説されています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法 ─理学療法診療ガイドラインを読み解く─」
連載第11回「心大血管疾患理学療法診療ガイドライン」 舟見敬成 先生心血管理学療法学会のガイドライン・用語作成を担当されている舟見先生が「心大血管疾患理学療法診療ガイドライン」をわかりやすく解説されています。
理学療法学第42巻6号
42巻6号には、研究論文7編、症例研究1編、講座2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 神先秀人
42巻6号には、研究論文7編、症例研究1編、講座2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 神先秀人
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- The grocery shelving task(GST)によるCOPD 患者の呼吸循環反応と上肢運動機能評価法としての有用性の検討佐藤論文では、COPD患者の日常生活における呼吸困難、上肢疲労および上肢活動量の評価において、負荷が小さく、短時間に測定が可能なGST(The Grocery Shelving Test)の有用性を示しています。
視覚フィードバックと聴覚フィードバックによる動的バランスの学習効果の違い長谷川論文では、動的バランス練習において、聴覚を用いた断続的なフィードバックが視覚によるフィードバックと比較して、効果の持続性の点で優れている可能性を報告しています。
高齢入院患者におけるTwo-Square Step Test とADL および歩行自立度との関連小山論文では、著者らにより,Four Square Step Testを簡易化したバランス評価ツールとして考案されたTwo Step Test の再現性、妥当性ならびに臨床的有用性について検証しています。
80 歳以上の高齢者における心大血管手術後100 m 歩行自立阻害因子の検討澁川論文は、心大血管手術を受けた80歳以上の557例を対象とした全国12施設による多施設共同研究で、80歳以上の高齢者でも7割近くが順調に歩行自立を獲得できていること、また歩行自立の遅延要因として術前からの腎機能障害が影響していることを示しました。
生活空間の短期的変化と予測因子の抽出 ─通院・通所リハビリテーションを利用する低活動高齢者を対象とした小規模多施設研究─森川論文は、5施設82名を対象とした小規模多施設研究で、通院、通所高齢者の生活空間が5ヵ月後に狭小化、または低活動から脱却できない要因として握力、自己効力感の低下を示しました。
胸部および胸腹部大動脈瘤患者における術式別のリハビリテーション経過の特徴安達論文は、全国12施設の胸部、胸腹部大動脈瘤症例204例を対象とした多施設間共同研究で、術式別の術後リハビリテーション経過の特徴とその原因について調査しています。弓部群では脳血管疾患、下行・胸腹部群では脊髄梗塞の合併により術後リハが遅延し、歩行機能再獲得困難例が多いことを報告しています。
介護予防教室参加者における運動の継続に関連する要因中野論文では、65歳以上の309名を対象として、介護予防参加者の運動継続に関わる要因を身体機能、社会参加、心理的要因等の側面から検討し、運動を生活パターンに組み込むような行動プランの提示とRe-SE(運動を再開する自信)を高めることの重要性を述べています。
重度パーキンソン病の小刻みな車いす駆動における聴覚リズム刺激の併用で駆動能力が改善した3 症例岡村論文は,重度パーキンソン病の症例を対象とした研究で、車椅子駆動能力の改善に聴覚リズム刺激を併用した駆動練習が有効であることを報告しています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法 ─理学療法診療ガイドラインを読み解く─」
連載第 6 回 脳性麻痺 理学療法診療ガイドラインを使うために 中徹 先生診療ガイドラインに基づく、臨床の場での信頼できる評価方法や目標設定、介入の選択方法等についてQ&A方式を用いてわかり易く解説されています。
【講座】シリーズ「エビデンスに基づく理学療法 ─理学療法診療ガイドラインを読み解く─」
連載第 7 回 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン 伊藤俊一 先生理学療法診療ガイドラインの解説だけではなく,ヨーロッパやアメリカの腰痛ガイドラインなど信頼のできるガイドラインも加味して,より広い視点から論述されています.
理学療法学第42巻5号
研究論文8編、企画記事3編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 野村卓生
研究論文8編、企画記事3編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 野村卓生
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- 脊柱の変形部位が静止立位姿勢制御に及ぼす影響 ‐思春期特発性側弯症のシングルカーブにおける検討‐本論文では、思春期特発性側弯症の入院患者で約4年間の期間中に研究対象となり得た100例について、脊椎の変形部位による重心動揺の差異を検討しています。姿勢動揺量について、胸椎カーブ群では年齢と負の関連、腰椎カーブ群では変形の大きさと正の関連があることを述べています。
非特異的慢性腰痛患者の体幹回線運動における筋活動量と筋活動開始時間本論文では、慢性の経過を辿る非特異的腰痛(厳密な原因が特定できない腰痛)を有する年齢25±5歳、15名の体幹回旋運動中の体幹筋活動特性を検討しています。研究対象では、同年代の対照群と比較して、非回旋側外腹斜筋の筋活動量が有意に増加し、筋活動開始時間が有意に遅延することを述べています。
足関節部の力の方向が膝関節剪断力に及ぼす影響 ‐数学シミュレーション研究‐数学シミュレーションを用いた論文であり、前十字靭帯再建術後患者のトレーニングに寄与する知見を得ることを目的としています。足関節部の力の方向が「股関節と足関節を結ぶ線」を境として変化したとき、膝関節前方剪断力に変化が認められることがシミュレーションから求められています。
足関節固定短下肢装具歩行におけるエネルギー効率からみた最適足底形状年齢24±5歳の12名を対象にして、足関節固定短下肢装具の円弧半径(R)と酸素消費量の関係の検証を試みた論文です。トレッドミル上、時速4.5km・7分間の歩行において、R15・21・27・33・39・45%の6条件では、R27%において酸素消費量が最小値を示し、歩行率と酸素消費量が正の相関を示すことを述べています。
人工股関節全置換術例における自覚的脚長差に影響を与える要因 ‐階層的重回帰分析を用いた検討‐自覚的脚長差は、人工股関節全置換術後の中長期的なアウトカム、満足度、QOLに影響を与えることが報告されています。本論文では、年齢71±8歳の67例を対象として、術後の自覚的脚長差へ術側股関節内転可動域、術後骨盤側方傾斜角が影響することを述べています。
消化器がん患者の手術前サルコペニア要因の有無が手術後経過に及ぼす影響 -手術後合併症の発症率,運動機能変化,生活の質に着目して-手術前にサルコペニアを診断された消化器がん患者は手術後合併症の発症率が高く、生存率が低いことなどが報告されています。本論文では、周術期消化器患者97例を対象として、サルコペニア要因を含む患者群では手術後合併症の発症率が有意に高く、QOLが有意に低いことを述べています。
分枝鎖アミノ酸接種を併用した通所リハビリテーションが要介護高齢者の筋力とバランス機能に与える影響BCAAを摂取することで、要介護高齢者に対する3ヵ月間の運動療法の効果が向上するか否かの検証を試みたユニークな論文です。運動開始10分前にBCAA 3gを摂取した群では、BCAAを摂取していない群と比較して、バランス機能が効果的に改善する可能性が述べられています。
基本動作能力を測定するための基本動作指標(Basic Movement Scale)第1版の開発動作の状態像をイラストで視覚化した基本動作能力のCapacityを測定する基本動作指標の作成とその信頼性を検証した論文です。基本動作の動きそのものを判定尺度としてイラストを活用して作成しているのが特徴の指標であり、今後の追加研究により、多職種や対象者との共通認識ツールとしての位置づけも期待されます。
理学療法トピックス シリーズ「超音波装置を用いた評価と臨床への応用」第4回 超音波画像診断技術の臨床への応用Ⅱ -下肢運動器疾患-
従来、運動器を構成するほとんどの組織を想像するしかなかった状況から、現在、超音波画像によって、そのほとんどが描出可能となっています。本トピックスでは、下肢障害に焦点をあて、病態把握において超音波観察が有力な情報となった症例を供覧しながら、超音波観察を実際の症例にどのように応用するかが述べられています。
【講座】シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 -理学療法診療ガイドラインを読み解く-」第6回 脊髄損傷 理学療法診療ガイドライン
脊髄損傷 理学療法診療ガイドラインは、PubMed、PEDro、医学中央雑誌を用い1990年~2010年までに発表された論文と、既発の3つのガイドラインを参考にしています。本講座では、脊髄損傷に関するガイドラインを概観した上で、Q & A形式で脊髄損傷ガイドラインの概説が行われ、本ガイドラインの課題が述べられています。
【講座】シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 -理学療法診療ガイドラインを読み解く-」本講座では、本診療ガイドライン作成者が重要と考えている項目を中心に確かなエビデンスとともにガイドラインの重要な骨格が概説されています。背部痛の理学療法評価(指標)の推奨グレード、理学療法介入の推奨グレードとエビデンスレベルが述べられ、現状と課題及び本診療ガイドラインの実際の使い方が解説されています。
理学療法学第42巻4号
埼玉県の大宮ソニックシティで開催された第49回日本理学療法士協会全国学術研修大会で講演いただきました内容を基に構成されております。大会テーマは「理学療法の専門性と可能性-10年後を見据えて-」でした。各領域の第一人者による理学療法の専門性や大会テーマに沿った課題が集約された特集号となっております。
第49回全国学術研修大会 準備委員会 橋爪麻衣子
埼玉県の大宮ソニックシティで開催された第49回日本理学療法士協会全国学術研修大会で講演いただきました内容を基に構成されております。大会テーマは「理学療法の専門性と可能性-10年後を見据えて-」でした。各領域の第一人者による理学療法の専門性や大会テーマに沿った課題が集約された特集号となっております。
第49回全国学術研修大会 準備委員会 橋爪麻衣子
理学療法学第42巻3号
研究論文8編、企画記事3編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 阿部浩明
研究論文8編、企画記事3編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 阿部浩明
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- 経頭蓋直流電流刺激の効果的な介入方法の検討 ─電極貼付部位および電流強度の影響─宮口論文では、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の電極貼付位置と電流強度の影響を検討されています。大脳皮質の興奮性を増大させることを目的としてtDCS単独で介入する際の最適な刺激条件は未だ明らかではありません。陽極電極を左一次運動野領域に貼付し、陰極を対側前額部(unilateral条件)または対側一次運動野領域(bilateral条件)に貼付し、それぞれ、1.0mAと2.0mAで刺激した場合の4条件で比較したところ、bilateral条件で2.0mAで刺激した際に、大脳皮質脳興奮性が増大したことを報告しました。
COPD 患者における低強度運動療法を主体とした在宅呼吸リハビリテーションが身体活動量に与える影響川越論文では、COPD患者に低強度の在宅リハビリテーションを実施した後の変化を報告しています。低強度の運動療法を主体とした1年間にわたる長期的な在宅中心の呼吸リハビリテーションは安定期COPD患者の歩行時間を増加させ、臥床時間を短縮させるなど、身体活動量を増加させることが期待できると報告しています。
大腿骨近位部骨折患者における立ち上がり動作の運動力学的・筋電図学的分析 ─動作時疼痛の有無による比較─上野論文では、大腿骨近位部骨折患者の立ち上がり動作の特徴が報告されています。疼痛を抱える患者群は疼痛のない群と比較して、患側股運動範囲・患側股伸展モーメントが有意に小さく、患側膝伸展モーメントは有意に大きく、筋活動量健側比は疼痛あり群の外側広筋で大きかったことを報告しています。このことから股関節の機能低下を膝関節が代償していることを推察しています。
急性期病院の内科疾患入院患者における自立歩行の関連因子と カットオフ値の検討山内論文では、内科疾患患者の歩行自立の関連因子とカットオフ値が検討されています。ロジスティック解析により抽出された項目とROC曲線から求めたカットオフ値は膝伸展筋力:0.30kgf/kg、片足立位保持時間:2.9秒、MMSE:27/28点、Total protein値:5.95g/dlと報告しています。内科疾患患者の歩行自立度に注目した貴重なデータとなることでしょう。
人工膝関節置換術後の生活機能の変化 ─活動と参加に着目して─中村論文では、人工膝関節置換術後の生活機能変化を活動及び参加の視点から調査しています。術後は活動、参加ともに術前と比較して改善しますが、参加の改善は活動に比べて遅延すること、また能力と比較して実行状況の改善は遅延することが明らかになりました。機能障害のみならず、活動や参加の改善をも視野に入れた理学療法が重要であることを示しています。
圧力計を搭載した超音波装置によるヒト筋硬度の評価藤田論文では、圧力計を搭載した超音波装置によるヒト筋硬度評価の信頼性、再現性を報告しています。ヒト骨格筋の筋硬度を精度よく定量化できるツールは幅広く臨床応用できるものと期待されます。
患者立脚肩関節評価法 Shoulder36 と客観的評価との 関連性に基づく有用性の検討中野論文では、肩関節評価法であるShoulder36の評価意義を検討し、その有効性を報告しています。これからの研究の蓄積によって、ADLと肩関節機能の関係をより詳細に評価できる可能性があるものと期待されます。
脊髄不全損傷者の歩行能力の予後予測に関する研究─リハビリテーション病院における後方視的検討─古関論文では、リハ病院入院時点の指標から、脊髄不全損傷者の屋内・屋外歩行獲得の規定因子および予測アルゴリズム作成を試みています。その結果、自立歩行獲得の可否の規定因子として、AIS・寝返り・FIM認知・WISCIが、屋外歩行獲得の可否の規定因子として受傷年齢・立位が選択されたことを報告しています。計画的な理学療法を提供する上で貴重なデータとなることでしょう。
理学療法トピックス シリーズ「超音波装置を用いた評価と臨床への応用」連載第 3 回 超音波画像診断技術の臨床への応用 I ─上肢の運動器疾患─
皆川論文では、超音波画像診断技術の臨床への応用として、上肢の運動器疾患として、五十肩、テニス肘、手腱鞘炎に対する超音波診療について解説いただきました。主観的評価を客観的なものとする、強烈なアセスメントツールとなることを示していただきました。 本論文のなかで、”超音波画像は瞬時に正確な診断を行う整形外科医のパワーアシストスーツとして普及しているが、指先の感覚で勝負してきた理学療法士にとっても、第3の目として、活用する動きが急速に広がり始めた・・・“と紹介され、”そして、理学療法士がエコーという第三の目を使いこなせば、必ず新たな世界が広がるものと確信している”と結ばれているのが印象的でした。
講座シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く―」連載第 4 回 脳卒中理学療法診療ガイドライン
脳卒中理学療法診療ガイドラインについて、吉尾氏により、評価、介入の推奨グレード、エビデンスレベルが紹介され、症例を提示して具体的な活用方法についての解説していただいております。
【講座】シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く-」連載第 5 回 下肢切断 理学療法診療ガイドライン
下肢切断理学療法診療ガイドラインについて、大峯氏により評価、介入の推奨グレード、エビデンスレベルが紹介さ入れ、症例を提示して具体的な活用方法についての解説していただいております。
理学療法学第42巻2号
「理学療法学」42巻第2号には研究論文8編、企画記事3編と研究助成報告書26件が掲載されています。盛りだくさんの内容ですが、私見による読みどころを一気にご紹介させていただきます。
『理学療法学』編集委員 佐藤春彦
「理学療法学」42巻第2号には研究論文8編、企画記事3編と研究助成報告書26件が掲載されています。盛りだくさんの内容ですが、私見による読みどころを一気にご紹介させていただきます。
『理学療法学』編集委員 佐藤春彦
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- 多施設共同研究による高齢心不全患者の退院時日常生活動作(ADL)に関連する因子の検討
「治療してよくなる」ことを期待して入院するはずなのに、入院後にADLが低下してしまうのはなぜか。逆に、入院前よりADLが改善するとしたら、何が大きく影響したのか。齊藤氏らはそのような疑問に答えるべく、高齢心不全患者585例で治療状況、栄養状態、ADL、理学療法の介入状況などを調べています。統計学的に導かれた答えの一つは、「歩行開始などの離床の遅延」でした。
脳卒中片麻痺下肢への全身振動刺激(Whole body vibration)による痙縮抑制効果-誘発電位F 波を用いた検討運動神経を電気刺激すると、順行性に筋を収縮させることができますが、逆行性に脊髄の前角細胞を経由し、再び筋を収縮することができます。筋に電極を貼って捉えた順行性の活動電位がM波、逆行性の活動電位がF波です。宮良氏らはF波を使って、全身振動刺激による痙縮抑制メカニズムに、脊髄細胞の興奮性低下が関与していることを示しています。
健常高齢者の排泄後の殿部清拭動作の分析排泄が自立できるか否かは、個人の尊厳において、また、介助者に頼らず生活できるか否かを左右する大事な問題です。長田氏らは高齢者の殿部清拭動作の分析に果敢に挑み、後方からおしりを拭くより前方から拭く方が重心の移動が少ないことを報告しています。殿部の力を計測できる独自の便座を作るなどの環境を作られておりますので、今後の展開も期待できるところです。
慢性心不全患者への理学療法士主導による在宅型運動管理の効果高瀬氏らは退院する患者さんに活動量計を持たせました。その上で、毎週電話で連絡を取り、心不全兆候の有無と1日の平均歩数の報告を受け、段階的に目標歩数を増加するという指導を行いました。そして、こうした在宅運動管理の効果をRCTにより検討しています。在宅運動管理群は、医師による診察だけのフォローを行った群と比較し、歩行速度が増すだけでなく、健康関連QOLも改善することを示しています。
腰部多裂筋の選択的活動をコンセプトとした新たなexercise の筋電図学的解析体幹筋を「収縮すると脊柱を曲げるGlobal」筋と、「収縮すると脊柱が安定するLocal」筋に分けた場合、腸肋筋はGlobal筋、多裂筋はLocal筋に分類されます。そして、腰痛への対処としては、Local筋が重要です。村尾氏らは、腰部ドローイン、バードドッグ、オリジナルの運動3種類を写真入りで紹介し、オリジナルの方法が腰部多裂筋の選択的な収縮が得られやすいことを示しています。
若年健常女性に対する閉眼片足立ち練習の効果開眼での片足立ちは120秒以上できるのに、閉眼片足立ちは40秒以下である者に対して、閉眼片足立ちの練習のみを行った場合にどうなるかを検討しています。神田氏らの着眼の妙は、片足立ちが改善するとしたら、それが①筋力や感覚などの変化によるのか、②スキルの向上によるのか、③運動学習の成立によるのか、を見極めようとした点にあります。
早期からの理学療法介入により筋力やせん妄の改善が認められた心停止後症候群の1症例心停止後という極めて重篤な状況から関わった渡辺氏らの症例報告です。心肺停止後5日目からICUにて理学療法を行った様子が詳細に述べられています。短い時間での介入を一日に複数回行うなど、リスクの高い状態の中でも慎重かつ積極的に進められています。
リハビリテーション医療におけるサービス品質と患者満足度の関連性リハビリテーションを目的に医療機関に通院する外来患者さんや入院患者さんが、満足感を覚えるのは、「スタッフの身なりがきちっとしている」ことでしょうか。「誠実な対応」でしょうか。それとも、「病状がよくなる」ことでしょうか。武田氏の調査はこのようなことに示唆を与えていますが、何より、サービス品質の評価という視点の重要性に気づかせてくれます。
平成25年度研究助成報告書本号では、26件におよぶ平成25年度研究助成報告書が掲載されております。各2ページの中に、図や表を交えて先進的な取り組みが報告されております。
【理学療法トピックス】シリーズ 「超音波装置を用いた評価と臨床への応用」
第2回 超音波診断装置を用いたストレッチング研究のトピックスストレッチの効果を見るのに、関節可動域はもう古く、超音波画像診断装置を用いて筋束長や筋腱移行部の移動量を測定する時代になったようです。筋の弾性率を測る試みも紹介されており、その有効性と課題、今後の展望について述べられています。
【講座】シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
第2回「パーキンソン病」と第3回「身体的虚弱(高齢者)」「エビデンスに基づく理学療法」の連載も一挙に2回分掲載されています。「理学療法全般(複合的運動)はパーキンソン病の機能改善に有効か?」「高齢者に対するマシンを利用した運動は筋力・運動機能向上に有効か?」といった質問に続き、推奨内容が回答として提示されるQ&A形式でガイドラインのエッセンスが紹介されています。もちろん、「複合的な運動療法は強く勧められる(グレードA)」「マシン運動は有効であり強く推奨する」といった回答だけでなく、その根拠となる論文についての解説もあります。
理学療法学第42巻 1号
研究論文7編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 齋木しゅう子
研究論文7編、実践報告1編、企画記事2編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 齋木しゅう子
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- 橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える効果-術後翌日からの早期介入-
今井論文は、橈骨遠位端骨折術後患者14名を、腱振動刺激による運動錯覚群とコントロール群に割り付け腱振動刺激による運動錯覚が、痛みや精神的要因に効果的に作用したことを示し、理学療法の阻害因子となる疼痛、特に術後の急性疼痛に対する改善効果を報告されています。
胃癌手術後における術後翌日の起立性低血圧が術後経過におよぼす影響山内論文は、胃切除術後1日目の起立性低血圧が離床経過、合併症、入院期間に与える影響について検討し、起立性低血圧が離床遅延の要因となるが、術後身体機能、合併症、在院日数に及ぼす影響は少ないことをあきらかにされています。
運動神経伝導速度の計測による地域在住高齢者の運動神経機能の推定西原論文は、運動神経機能の加齢変化について高齢者と若年者を対象に運動機能、運動神経伝導速度を計測し得られたM波の多角的分析より、運動神経伝導速度関連指標により加齢による運動神経機能の変化を評価できる可能性を示しています。
入院期高齢心不全患者に対する歩行能力を維持するための離床開始時期の検討小澤論文は、高齢心不全患者の退院時屋内歩行の可否について65歳以上の心不全による入院高齢者を対象とした前向きコホート研究から、規定因子として歩行開始病日とそのカットオフ値があきらかにされています。
脳性麻痺痙直型両麻痺患者における両股関節筋解離術後の歩行時動的尖足変化に関与する因子の検討楠本論文では、股関節筋解離術後の歩行時動的尖足の重症度変化に影響をおよぼす要因に術前のハムストリングスや腓腹筋、ヒラメ筋の伸張性の程度が関与しており理学療法ではこれらの筋の伸張性を保つことの重要性が示されています。
勤労者における抑うつ症状に関わる諸因子のパス解析モデルを用いた検討上村論文では、抑うつ症状の関連因子についてパス解析を用いモデル化し、その相互関係を検討し、筋骨格系疼痛や余暇身体活動の抑うつへの影響を示されています。
慢性期片麻痺患者における端座位での矢状面骨盤傾斜角度とその関連因子の検討春山論文では、水平・垂直・回旋の3次元での計測が可能な機器を用いて骨盤アライメントを計測し、性期片麻痺患者の基本動作能力や殿部荷重・感覚機能のスクリーニングに、矢状面骨盤傾斜角度計測が有用であるとされています。
回復期脳卒中および大腿骨頸部骨折のいわゆる「できるADL」と「しているADL」-FIM運動項目の得点差の特徴-岩井報告では、実行ADLと潜在ADLに関して回復期脳卒中と大腿骨頸部骨折患者の調査より、採点基準の差が出現しやすいADL項目の存在や部分介助レベルの採点の難しさが提言されています。
超音波画像診断装置を用いた骨格筋の量的・質的評価【理学療法トピックス】シリーズ 「超音波装置を用いた評価と臨床への応用」
新しく「理学療法トピックス」が、今号から始まりました。今回は福元氏により、先行研究とともに超音波法を用いての骨格筋の質的・量的評価の概要をわかりやすく解説しまとめていただいております。
理学療法診療ガイドライン2011の概要【講座】シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く-」
新しく「講座」として「エビデンスに基づく理学療法」が始まり、今後領域毎の内容が紹介されますが、理学療法診療ガイドライン2011作成の折、中心で作業された鈴木氏より、作成過程とともにその概要を今回は解説していただいております。
理学療法学第41巻 8号
神奈川県横浜市で開催された第49回日本理学療法学術大会で発表・講演いただきました内容を基に構成された特集号となります。大会テーマは,「あなたの生活支えますー理学療法士10万人からの提言―」でした。
第49 回日本理学療法学術大会 準備委員 中村大介
神奈川県横浜市で開催された第49回日本理学療法学術大会で発表・講演いただきました内容を基に構成された特集号となります。大会テーマは,「あなたの生活支えますー理学療法士10万人からの提言―」でした。
第49 回日本理学療法学術大会 準備委員 中村大介
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電子データはいつでもどこでもダウンロードのできる時代。大会特集号も時代のニーズに合わせ,前回の大会特集号から紙媒体での雑誌創刊ではなく,会員各自がマイページにアクセスし,ダウンロード形式で電子データとして閲覧・配布となる新たな試みとなっております。 また電子データとなったことで,従来のような掲載論文数やページ数の制約が少なくなり,多くの論文掲載が可能となりました。さらにカラーページが多く、読みやすい構成となっています。
本誌では,大会長基調講演をはじめとして,特別講演,シンポジウムなど大会特別企画として9編,旧専門領域研究部会企画として7つの研究部会から基礎理学療法8編,神経理学療法2編,運動器理学療法13編,内部障害理学療法5編,生活環境支援理学療法2編,物理療法3編,教育・管理理学療法1編の総計43編を掲載しております。
実に多くの論文掲載となり,大会テーマであった生活を支える視点について大会長基調講演をはじめとして,特別講演,シンポジウム,各旧専門領域研究部会から多くの示唆に富む論文構成となりました。
今すぐにマイページよりダウンロードをして,その内容を確認ください。今日の理学療法に要求されているニーズやディマンズを知り,大会テーマの「理学療法士からの提言」について英知を深めましょう。
理学療法学第41巻 7号
研究論文7編、臨床入門講座1編、臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 池添冬芽
研究論文7編、臨床入門講座1編、臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 池添冬芽
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- 「片麻痺患者が起立動作に失敗する運動学的・運動力学的特徴─動的バランス指標(Xcom)を用いた分析─」
長田論文「片麻痺患者が起立動作に失敗する運動学的・運動力学的特徴─動的バランス指標(Xcom)を用いた分析─」では片麻痺患者7名を対象とし、三次元動作解析装置と床反力計を用いて起立動作を解析し、起立動作が成功したときと失敗したときとの運動学的・運動力学的特徴の違いを明らかにしています。「人工膝関節置換術当日における立位保持が運動機能の改善や深部静脈血栓症の予防に与える影響─無作為化比較試験による検討─」
飛山論文「人工膝関節置換術当日における立位保持が運動機能の改善や深部静脈血栓症の予防に与える影響─無作為化比較試験による検討─」では、人工膝関節置換術(TKA)施行患者75名を術当日に立位保持、端座位、足関節運動を行う群に群分けをして比較した結果、術当日の立位保持は深部静脈血栓症発症の予防につながる可能性が示されたことを報告しています。「下肢疾患外来患者における日本語版Lower Extremity Functional Scale の信頼性・妥当性・反応性の検討」
中丸論文「下肢疾患外来患者における日本語版Lower Extremity Functional Scale の信頼性・妥当性・反応性の検討」では下肢症状を訴える外来患者112名を対象とし、下肢疾患患者における下肢の問題が日常生活に及ぼす影響を評価する「日本語版Lower Extremity Functional Scale」は高い信頼性・妥当性および反応性が認められたことを示しています。「転倒経験のある閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者の運動機能の特徴」
片岡論文「転倒経験のある閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者の運動機能の特徴」では、閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者47名を対象に運動機能を転倒群と非転倒群とで比較した結果、膝伸展筋力と足趾筋力低下が転倒と関連していたことを報告しています。「環境調整を併用した運動療法が薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者の歩行機能に及ぼす影響について―ランダム化クロスオーバー比較試験―」
四方論文「環境調整を併用した運動療法が薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者の歩行機能に及ぼす影響について―ランダム化クロスオーバー比較試験―」では、薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者18名を対象に4週間の運動療法を実施した結果、環境調整を併用した運動療法は歩行機能改善に有効であったことを報告しています。「足関節固定下における歩行パターンの選択とエネルギーコストの関係性」高橋論文「足関節固定下における歩行パターンの選択とエネルギーコストの関係性」では、健常若年男性37名を対象とし、足関節を固定して歩行させたときの4種類の歩行パターンによる違いや歩行パターンの選択について、エネルギーコストの観点から分析しています。「ロボティックデバイスによる脳梗塞症例の上肢運動失調評価とその回復過程」
青山論文「ロボティックデバイスによる脳梗塞症例の上肢運動失調評価とその回復過程」では、脳血管障害により上肢運動失調を呈した一症例を対象とし、ロボティックデバイスを用いた運動学的指標の経時的変化は、上肢運動失調の回復過程を定量的に評価する方法として有用であることを示しています。「骨粗鬆症の現状と対策」
シリーズ「ウィメンズヘルス」の連載第5 回目となる「骨粗鬆症の現状と対策」では、骨粗鬆症に関する基礎知識や骨粗鬆症予防のための運動および理学療法について、ガイドラインや研究を紹介しながら解説していただいております。「Aging in Place を見据えた高齢者に対する予防戦略」
シリーズ「Aging in Place を見据えた高齢者に対する予防戦略」の連載第4 回目となる「介護予防の街づくり」では、Aging in Placeの基盤となる心身の健康を保つための介護予防について解説されており、介護予防は高齢者の新たな価値創出の一環でなければならないと述べられています。
理学療法学 第41巻6号
研究論文5編,症例研究1編,短報1編,臨床入門講座1編,臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 神津 玲
研究論文5編,症例研究1編,短報1編,臨床入門講座1編,臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 神津 玲
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- 新しい脊柱後彎の定量的測定方法の提案
─小型ジャイロセンサを用いた測定の再現性および妥当性の検討─高齢者における在宅運動セルフ・エフィカシー尺度の開発
植田論文では,小型ジャイロセンサを用いて脊柱後弯変形の定量的測定を試み,本法による後弯角度測定は高い再現性と妥当性が得られたことを報告しています。臨床現場において簡便に実施できる円背の定量的測定方法であることが示唆されました。
有田論文は,高齢者を対象とした在宅運動の実践におけるセルフ・エフィカシー尺度を開発し,その有用性を検討したものです。対象者の運動に対する自信の程度を把握する上で信頼性と妥当性に優れた尺度であることが示されています。大腿骨近位部骨折術後例における杖歩行の可否・歩行速度を決定する可変的要因の検討
川端論文では大腿骨近位部骨折例における杖歩行の可否と歩行速度に影響を及ぼす要因について検討した臨床研究です。杖歩行の可否には患側股関節外転筋力と疼痛が,歩行速度には患側膝関節伸展筋力と年齢が決定要因となることを明らかにしています。抗力を具備した骨盤前傾を促す継手付き体幹装具が高齢者の歩行に与える影響飯島論文は抗力を具備した骨盤前傾を促す体幹装具が高齢者の歩行状態に及ぼす影響を見たものです。装具装着によって骨盤後傾姿勢を改善し,立脚期股関節外転モーメントの発揮を促して歩行速度が増大したとする結果を得ています。骨盤アライメントと随意収縮強度別の背筋群の活動特性
安彦論文は骨盤アライメントと筋随意収縮強度の相違が脊柱起立筋と腰部多裂筋の筋活動量に及ぼす影響を分析しています。骨盤中間位で低い強度で随意収縮させることで,脊柱起立筋に対し腰部多裂筋の筋活動が増大しやすいことが示されています。間質性肺炎患者の下肢筋力に影響を与える要因
─等尺性膝伸展筋力と呼吸機能,呼吸困難感,運動耐容能との関係─人工膝関節置換術後患者における術創部周囲の皮膚可動性
武市論文では間質性肺炎患者の下肢筋力を評価し,呼吸機能や呼吸困難,運動耐容能との関連性を評価し,これらの指標との有意な関連性を検討しています。呼吸困難が増悪するほど移動能力低下を招く水準にまで下肢筋力が低下する可能性を明らかにしています。
荒川論文は人工膝関節置換術後の術創部周囲組織の皮膚可動性を評価し,健常者と比較して著明に低下したものの,術後の膝関節屈曲可動域における強い制限因子とはならない事を報告しています。【臨床入門講座】乳がんに対する理学療法シリーズ「ウィメンズヘルス」の連載第4回は,「乳がんに対する理学療法」です。乳がんにおける手術療法,放射線療法,化学療法,内分泌療法,緩和ケアの概要と問題点について理学療法の視点からわかりやすくまとめていただいております。【臨床実践講座】地域在住高齢者における生活機能の捉え方
シリーズ「Aging in Place を見据えた高齢者に対する予防戦略」の連載第3回として,「地域在住高齢者における生活機能の捉え方」が掲載されています。高齢者の活動や参加のレベルに応じた生活機能の捉え方を解説していただきました。
理学療法学第41巻 5号
研究論文4編、短報2編、臨床入門講座1編、臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 榊間春利
研究論文4編、短報2編、臨床入門講座1編、臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 榊間春利
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- 高齢大動脈弁置換術後患者の心臓リハビリテーション進行と身体機能の検討
齊藤論文では、高齢大動脈弁置換術後患者139例を対象として、術後心臓リハビリテーション(心臓リハ)の進行や身体機能について検討しています。経皮的動脈弁置換術(TAVR)患者では術後心臓リハの進行が遅れ、術前・術後の身体機能が低下していたことを報告しています。筋力増強運動における運動速度と収縮様式の違いが骨格筋の微細損傷に及ぼす影響
小林論文では、健常男性を対象として、筋力増強運動における運動速度や収縮様式の違いが骨格筋の微細損傷に及ぼす影響について超音波診断装置を用いて調べています。その結果、総運動時間や総筋活動量が同じであれば、骨格筋の微細損傷の程度に運動速度や収縮様式の違いは影響しなかったと報告しています。健常者における寝返り動作の定量的類型化
三木論文では、健常男性30名の寝返り動作について三次元解析装置を用いて定量的分析を行い、体幹の動きを分析することにより寝返り動作パターンの大分類が可能であることを示しています。健常人における両脚跳躍動作の跳躍高を決定する因子の分析-体幹・下肢の姿勢と運動に着目して-超音波画像診断装置を用いた腰部多裂筋横断面積の男女差について
中俣論文では、三次元動作解析装置と床反力計を用いて健常男性19名の両脚跳躍動作を計測しています。体幹、下肢運動と跳躍高の関連性や跳躍高を決定する因子を検討した結果、胸郭と下肢の運動が跳躍高に関連していたと報告しています。
生方論文では健常若年成人63名の多裂筋横断面積を計測し、多裂筋横断面積体重比は男女差の影響が少ない筋横断面積の指標として有用であったと報告しています。意識的には認識できない小さなリズムの変化が予測に基づく反応運動に及ぼす影響
-基本間隔を延長したパターンによる検討-【臨床入門講座】腹圧性尿失禁に対する理学療法のエビデンス
高橋論文では、健常者13名を対象として、聴覚刺激を合図に素早く足関節を背屈する反応時間課題を行い、リズムが変化したと気づけないような小さなリズムの変化では反応運動は遅れないことを報告しています。
シリーズ「ウィメンズヘルス」の連載第3回目として、腹圧性尿失禁に対する理学療法について腹圧尿失禁の評価、理学療法の実際、最後に症例紹介をして頂き、わかりやすくまとめていいただいています。【臨床実践講座】地域在住高齢者における加齢に伴う生活機能の変化およびその予防の考え方
シリーズ「Aging in Place を見据えた高齢者に対する予防戦略」の連載第2回目として、地域在住高齢者の加齢に伴う生活機能の変化やその予防についてどのようにとらえたらよいかをわかりやすく解説していただいています。
理学療法学第41巻 4号
第48回全国学術研修大会で講演された大会長基調講演1編、ベーシック・スタンダード・アドバンスドセミナー講演17編、計18編が掲載されています。
第48回全国学術研修大会 企画局編集部 矢倉千昭
第48回全国学術研修大会で講演された大会長基調講演1編、ベーシック・スタンダード・アドバンスドセミナー講演17編、計18編が掲載されています。
第48回全国学術研修大会 企画局編集部 矢倉千昭
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- 大会長基調講演
理学療法の針路を問うベーシックセミナー
内田成男大会長の「理学療法の針路を問う」では、昨今の理学療法を取り巻く環境変化に対応するため、標準的な理学療法を検証しつつ、我々が進むべき針路について多角的に問題提起をしています。
中枢神経障害に対する理学療法の基礎スタンダードセミナー
大西秀明先生の「中枢神経障害に対する理学療法の基礎」では,随意運動や多動運動における一次運動野の興奮性,さらに非侵襲的な経頭蓋直流電流刺激による興奮性の変動について解説しています。
膝関節疾患における超音波診断装置の臨床応用
林典雄先生の「膝関節疾患における超音波診断装置の臨床応用」では、超音波診断装置を用いて膝関節周辺組織の画像観察から得られた知見をもとに運動療法について解説しています。
内部障害における理学療法の基礎理論
田平一行先生の「内部障害における理学療法の基礎理論」では、生体内の呼吸循環動態を生理学と物理学の理論を交えながら、内部障害の病態や理学療法のアプローチについて解説しています。
在宅リハビリテーションにおけるリスク管理
大森豊先生の「在宅リハビリテーションにおけるリスク管理」では、訪問理学療法におけるリスク管理の意識づけを中心に、症例報告も交えて解説しています。
臨床における教育方法論―効果的な臨床実習の進め方―
小林賢先生の「臨床における教育方法論―効果的な臨床実習の進め方―」では、教育方法論に注目し、理学療法教育との接点から、実践例も交えて臨床実習の進め方について解説しています。
中枢神経障害の理学療法評価と治療戦略アドバンスドセミナー
千鳥司浩先生の「中枢神経障害の理学療法評価と治療戦略」では、ヒトの運動・感覚機能とCVAによる機能破綻、痙性麻痺や感覚障害の考え方を踏まえ、CVAに対する評価と治療について解説しています。
運動発達を評価することの意義
新田收先生の「運動発達を評価することの意義」は、小児の発達における姿勢制御機構の成熟と粗大運動の発達との関係、運動プログラム形成による制御、発達性協調障害に対する評価と理学療法について解説しています。
筋を科学する―筋の基礎知識とトレーニング―
市橋則明先生の「筋を科学する―筋の基礎知識とトレーニング―」では、筋力増加のメカニズムについて筋の機能学的要因と神経学的要因に分けて説明し、さらにパワートレーニングとスロートレーニングに関する最新の文献を紹介しています。
呼吸理学療法のスタンダードと新たな展開
神津玲先生の「呼吸理学療法のスタンダードと新たな展開」では、呼吸理学療法を呼吸運動に直接的に働きかける介入手段と定義し、スタンダードな呼吸理学療法手段について解説しています。
地域で活動する理学療法士に求められているもの
森本榮先生の「地域で活動する理学療法士に求められているもの」では、現在の理学療法の状況を踏まえ、理学療法士に求めるもの、さらに地域で活動するために理学療法士が必要とするものについて解説しています。
理学療法士のための対人援助技法
堀本ゆかり先生の「理学療法士のための対人援助技法」では、理学療法士に必要なコンピテンシーやメタ認知、臨床教育におけるコミュニケーションスキルを高めるための対人援助技法について解説しています。
中枢神経に与える運動療法の効果―運動および運動学習から生じる変化を中心に―
菅原憲一先生の「中枢神経に与える運動療法の効果―運動および運動学習から生じる変化を中心に―」では、運動が中枢神経に及ぼす影響を概説し、即時的な運動学習によって変容する中枢神経の可塑性について解説しています。
身体姿勢制御ルールの解明と展望
脇元幸一先生らの「身体姿勢制御ルールの解明と展望」では、全体論的思考から運動を運動力学から捉えて解説し、慢性疼痛患者の身体力学的特徴から運動力学を反映させた評価、アプローチについて述べています。
廃用症候群に対する理学療法―リハビリテーション栄養―
久保晃先生の「廃用症候群に対する理学療法―リハビリテーション栄養―」では、高齢者における廃用症候群の生理的変化、筋量変化、筋代謝の特徴について述べ、栄養因子、体重、体組成を継続的に測定することの重要性について解説しています。
ハイリスク対象者の在宅リハビリテーション
鈴木修先生の「ハイリスク対象者の在宅リハビリテーション」では、小児領域の在宅リハビリテーションにおける成長期に合せたマネージメント、症例を通じて終末期リハビリテーションにおける理学療法士の関わりについて解説しています。
褥瘡治療への理学療法の挑戦
日髙正巳先生の「褥瘡治療への理学療法の挑戦」では、理学療法士による褥瘡発症要因の軽減、ポジショニングやシーティングなど環境整備への貢献、褥瘡治療としての物理療法の活用について解説しています。
理学療法士に求められる倫理とは―事例に基づく倫理トレーニングと徳の教育―
松田純先生の「理学療法士に求められる倫理とは―事例に基づく倫理トレーニングと徳の教育―」では、理学療法士が患者に接するときの倫理的な対応能力を高め、医療倫理の原則を照らした判断力を鍛えるためのトレーニング、専門職としての徳の形成について解説しています。
理学療法学第41巻 3号
研究論文3編と、症例研究1編、臨床入門講座1編、臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 対馬栄輝
研究論文3編と、症例研究1編、臨床入門講座1編、臨床実践講座1編が掲載されています。
『理学療法学』編集委員 対馬栄輝
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- 慢性期脳卒中者の地域における移動能力と歩行機能および身体活動の関係
田代論文「慢性期脳卒中者の地域における移動能力と歩行機能および身体活動の関係」は、地域在住の慢性期脳卒中者54名を対象とし、移動能力と歩行機能、身体活動の関係を調べ、移動能力のレベルを決定づける歩行機能について知見を得ています。末期変形性膝関節症患者における生活空間に影響を及ぼす因子の検討
飛山論文「末期変形性膝関節症患者における生活空間に影響を及ぼす因子の検討」では、末期変形性膝関節症を有する106 名を対象とし、生活空間(LSA)に対して、TUG、外出に対する自信、近隣の歩道の整備状況が影響を与える有意な因子であることを見出しています。変形性股関節症に罹患して人工股関節置換術を受けた患者の身体機能や活動に術前および術後の運動介入が及ぼす影響-ランダム化比較試験に対するシステマティックレビューおよびメタアナリシス-
梅原論文「変形性股関節症に罹患して人工股関節置換術を受けた患者の身体機能や活動に術前および術後の運動介入が及ぼす影響-ランダム化比較試験に対するシステマティックレビューおよびメタアナリシス-」では、変形性股関節症に罹患して人工股関節置換術を受けた患者に対する術前および術後の運動介入が、身体機能および活動に及ぼす影響をあきらかにするためのメタアナリシスを行い、術前の運動介入では、Harris Hip score、歩行開始日など、術後の運動介入では、股関節外転の筋力、最大酸素摂取量などに効果的であったと述べています。大腿骨顆上骨折後に生じた異所性骨化に対し超音波検査に基づき関節可動域訓練を実施した一例
平沢論文「大腿骨顆上骨折後に生じた異所性骨化に対し超音波検査に基づき関節可動域訓練を実施した一例」は、大腿骨顆上骨折と診断された60 歳代女性に対して術後、膝蓋骨上内方に認めた腫瘤に対する超音波検査を実施し、異所性骨化の発生部位と進行過程の把握が可能であり、関節可動域訓練の適否や方法を決定することが可能であったと述べています。【臨床入門講座】 妊婦に対する理学療法
シリーズ「ウィメンズヘルス」の連載第2回目として、妊娠時期による妊婦の姿勢変化、妊婦の身体的問題、理学療法士の関わりについてまとめていただきました。【臨床実践講座】 超高齢化からみた将来予想図:高齢者を取り巻く環境
シリーズ「Aging in Place を見据えた高齢者に対する予防戦略」連載第1回目として、超高齢化の現状、介護保険を取り巻く課題、75 歳以上の自立度低下についてまとめていただき、従来の治す医療から支える医療へ変遷させる必要があること、地域包括ケアシステム、そして地域完結型医療への進化が必要であることを述べていただきました。
理学療法学第41巻 2号
研究論文(原著)4編、企画記事1編、平成24年度研究助成報告書18件、Journal o Japanese Physical Therapy Association 第16巻第1号和文要旨4編を掲載させて頂きました。
『理学療法学』編集委員 内 昌之
研究論文(原著)4編、企画記事1編、平成24年度研究助成報告書18件、Journal o Japanese Physical Therapy Association 第16巻第1号和文要旨4編を掲載させて頂きました。
『理学療法学』編集委員 内 昌之
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- 振動刺激による運動錯覚時の脳内神経活動および機能的連関
兒玉論文では、振動刺激による運動錯覚が脳内神経活動に及ぼす影響を、脳波(Rolandic alpha rhythm)の解析により検証し、感覚運動領野における運動錯覚と自動運動との機能的差違を示されています。亜急性期の筋炎患者に対する運動療法効果と自覚的運動強度を用いた運動負荷量の検討
山内論文では、近年理学療法の重要性に対する認識が高まっている皮膚筋炎ならびに多発筋炎患者に対して亜急性期における安全な理学療法の実施をすすめるために、運動療法と運動負荷量の指標を検討されています。股関節屈曲・伸展角度の違いによる股関節回旋筋力の変化
小玉論文では、股関節の屈曲・伸展角度が、股関節内旋・外旋筋力屈伸角が回旋筋力に及ぼす影響について、健常者を対象に詳細に分析され、内旋と外旋とでは、異なった傾向を示す事を報告されています。頸椎症性神経根症患者における頸部伸筋群の脂肪浸潤と平衡機能との関係
光武論文では、頸椎症性神経根症患者の筋肉内脂肪浸潤をMRI画像により解析して平衡機能との関連性を調査し、頸部伸筋の脂肪浸潤と頸椎症神経根症の症状との関連性を論じられています。【平成24年度研究助成報告書】
本号では、18件におよぶ平成24年度研究助成報告書が掲載されており、各領域の先進的な取り組みが纏められておりますので、こちらも是非ご熟読ください。【特別寄稿】日本における理学療法半世紀の歩みと未来‐果てしなく夢を追い、今に生きて未来を読め‐
奈良勲先生にご寄稿を賜り、「日本における理学療法半世紀の歩みと未来」と題して、我が国における理学療法士の半世紀と奈良先生の残された貴重な足跡を綴って頂きました。Journal of the Japanese Physical Therapy Association Vol. 16(2013) No. 1和文要旨
英文誌JJPTAの和文要旨4編を掲載しています。フルテキストはJ-stageで公開されていますのでご覧ください。
理学療法学第41巻 1号
研究論文3編、短報1編、そして企画記事が2編掲載されております。
『理学療法学』編集委員 坂本美喜
研究論文3編、短報1編、そして企画記事が2編掲載されております。
『理学療法学』編集委員 坂本美喜
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- 30秒椅子立ち上がりテストでの立ち上がり回数から、慢性呼吸器疾患患者の身体活動量を推定できる可能性がある
岩井論文「慢性呼吸器疾患患者を対象とした30秒椅子立ち上がりテストによる身体活動量推定の試みー男性対象者での検討―」は、慢性呼吸器疾患患者33名を対象としています。運動耐用能の指標として用いられる30秒椅子立ち上がりテストを用いて、慢性呼吸器疾患患者の身体活動量が推定できるか検証されました。風に吹かれた変形(WD)と股関節脱臼を有する脳性麻痺児(者)に対する側臥位練習と関節可動域練習の施行は、脱臼の有無にかかわらずWDの改善が期待できる
清水論文「風に吹かれた変形と股関節脱臼を有する脳性麻痺児(者)に対する理学療法介入効果の検討」では、WDを呈する17名の症例を対象に6か月の理学療法介入(側臥位30分、関節可動域練習)を行い、WDが改善することを示されました。機能的電気刺激は、急性期脳梗塞患者の歩行パターンを変化(麻痺側立脚期の支持性向上や麻痺側立脚後期のroll-off 機能向上)させ、さらに非損傷側内側感覚運動皮質の過剰な脳活動を抑制している可能性がある
久保田論文「急性期脳梗塞患者に対する歩行中の機能的電気刺激治療が歩容および内側感覚運動皮質のヘモグロビン濃度へ及ぼす即時的効果」では、急性期脳梗塞患者8名に対し機能的電気刺激を実施し、歩容が即時的に改善し、また皮質ヘモグロビン濃度に変化が生じることを明らかにされました。急性期における効果的なリハビリテーション提供体制として、リハ専門医が主治医として関与すること、およびリハスタッフの充実が必要である可能性がある
松本論文「脳卒中患者における早期リハビリテーションの実施状況とリハビリテーション提供体制との関連性―入院曜日を考慮した分析での検討―」では、日本リハビリテーション・データベース協議会の登録患者で急性期脳卒中患者の2307名を対象とし、早期リハビリテーション実施状況とリハビリテーション提供体制との関連性を分析されました。【臨床入門講座】 「理学療法におけるウィメンズヘルスの現状」
シリーズ「ウィメンズヘルス」の連載第1回として、ウィメンズヘルスの概要や本邦における現状、問題点についてまとめていただきました。【臨床実践講座】 「嚥下と姿勢および呼吸の関係」
シリーズ「摂食・嚥下障害と栄養管理」の最終回として、嚥下と姿勢および呼吸の関係について概説いただき、さらに評価方法について呈示いただきました。
理学療法学第40巻 8号
第48回日本理学療法学術大会の特集号です。
『理学療法学』編集委員 古名丈人
第48回日本理学療法学術大会の特集号です。
『理学療法学』編集委員 古名丈人
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まず、今号は理学療法学にとってはエポックメイキングな号となることをお知らせいたします。これまで理学療法学は通常編集の号と今号の様な学会特集号から構成され、いずれもが会員のお手元に送付されてきました。今号から、学会特集号は雑誌として送付されず会員各自がマイページからダウンロードして見る形式に変更されました。
今号は、大会長基調講演をはじめとして、海外招聘講演、各種セミナー、専門部会のシンポジウムなど文字通り盛りだくさんの内容となっています。いずれもが示唆に富むものばかりで、一つ一つ興味がある記事をダウンロードしているうちに、結局は一巻丸々ダウンロードすることになっているかも知れません。大会テーマである「理学療法のグローバルスタンダード」の在り処が、本号を読むにつれ理解が深まることと確信しております。 早いもので次号は新年のお届けとなります。 来年も皆様にとって実りある一年となることを祈念しております。
理学療法学第40巻 7号
神経系論文1編、運動器系論文1編、内部障害系論文1編、Women’s Health論文1編と多彩な研究論文に加えて、臨床実践講座、臨床入門講座が各1編ずつ掲載されています。
『理学療法学』編集委員 高橋哲也
神経系論文1編、運動器系論文1編、内部障害系論文1編、Women’s Health論文1編と多彩な研究論文に加えて、臨床実践講座、臨床入門講座が各1編ずつ掲載されています。
『理学療法学』編集委員 高橋哲也
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- 体幹への促通反復療法は脳卒中片麻痺患者の体幹筋力や歩行能力の改善を促進させる。
廣川論文は、促通反復療法の脳卒中片麻痺患者の体幹への効果を検討したものです。ランダム化比較試験で検討していますが、側臥位でのアプローチによって歩行時の骨盤の操作性が向上したり、下部体幹の安定性が向上することのメカニズムについてのさらなる検討が期待されます。女性高齢者では、脊柱弯曲角度は歩行機能や転倒への不安、転倒歴と関連する。
福田論文は、女性高齢者の脊柱弯曲角度と身体諸機能・転倒歴の関連性を検討した論文です。全体傾斜角と腰椎前弯角は歩行機能や転倒への不安と関連すること,また胸椎後弯角は転倒歴と関連することを示し,脊柱弯曲角度の評価の重要性を示しています。腹膜透析患者の身体活動量は低強度の活動が中心で、低活動者が多い。
若宮論文は、腹膜透析患者の身体活動の実態を調査した論文です。腹膜透析患者の身体活動強度は低く、身体活動量は5,000歩/日未満の低活動者が有意に多いことを示しています。妊娠中に身体活動量が多いほど規則的で安定した歩行が行われている。
森野論文は、妊娠期の身体活動量と歩行の関連性を検討したものです。近年の計測技術の進歩や臨床での応用の事例として、運動を主たる治療手段とする理学療法士にの多くの示唆を与えてくれます。臨床実践講座 「高齢者の嚥下機能と理学療法士の役割」
誤嚥性肺炎についての解説と、嚥下機能のスクリーニングテスト、喀出能力の評価、嚥下トレーニング方法、事例紹介と丁寧に解説が加えられています。臨床入門講座 「腎機能障害に対する理学療法」
最近注目されている慢性腎臓病の定義、腎臓機能の評価法と治療法、運動と腎臓の関係、腎臓病患者の運動機能と理学療法戦略などが詳しく解説されています。
理学療法学40巻 6号
4編の研究論文と臨床入門講座1編、臨床実践講座1編、特別寄稿1編が掲載されています。4編の研究論文のうち、1編は内部障害系、2編は要介護高齢者の運動器系、1編は運動学習に関する神経系の研究論文です。いずれの論文も興味深いものです。
『理学療法学』編集委員 大西秀明
4編の研究論文と臨床入門講座1編、臨床実践講座1編、特別寄稿1編が掲載されています。4編の研究論文のうち、1編は内部障害系、2編は要介護高齢者の運動器系、1編は運動学習に関する神経系の研究論文です。いずれの論文も興味深いものです。
『理学療法学』編集委員 大西秀明
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- 心大血管手術後のリハビリテーションの進行(座位・起立・歩行開始病日)は、術前栄養状態(Geriatric Nutritional Risk Index; GNRI)と関連がある。
櫻田論文「術前栄養状態と心血管手術後リハビリテーション進行の関連-Geriatric Nutritional Risk Indexを用いた検証-」は479例の心大血管手術患者を対象として術前栄養状態が心大血管手術後の自立歩行に影響を及ぼすことを検証しています。通所サービスを利用している要介護高齢者は、歩行速度とADLとが強く関連する。
林論文「通所介護サービスを利用する要介護高齢者のADL低下に関連する運動機能-大規模データを用いた検討-」は2695名の要介護高齢者を対象とした大規模研究であり、歩行速度とADLとが強く関連していることを証明しています。地域在住要介護高齢者のサルコペニアに関連する主要因は栄養状態であり、加齢、認知機能は関連が少ない。
加茂論文「地域在住要支援・介護高齢者におけるサルコペニアに関連する要因の検討」は72名の要介護高齢者を対象としてサルコペニアには栄養状態が最も関連していることを証明しています。高齢者は運動学習に伴う主観的判断の正確性が低下している可能性がある。
平井論文「運動学習に対する主観的判断の正確性-若年者と高齢者の比較-」は健常者と高齢者を対象として運動学習に対する主観的判断の正確性を比較し、高齢者では運動学習に伴う主観的判断の正確性が低下している可能性を示唆しています。【臨床入門講座】 「高血圧合併症に対する理学療法」
シリーズ「代謝障害に対する理学療法のすすめかた」の連載第3回として、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の笠原酉介先生に「高血圧合併症に対する理学療法」について解説して頂いています。【臨床実践講座】 「経腸栄養法の基本:胃瘻(PEG)を中心に」
シリーズ「摂食・嚥下障害と栄養管理」の連載第2回として、NTT東日本関東病院の稲川利光先生に、「胃瘻(PEG)」について解説して頂いています。【特別寄稿】 「若い理学療法士へ-私が50年間歩いてきた地域リハの経験から-」
兵庫県立総合リハビリテーションセンター名誉院長の澤村誠志先生から「若い理学療法士へ-私が50年間歩いてきた地域リハの経験から-」と題して、若い理学療法士への期待について述べて頂いています。
理学療法学40巻 5号
研究論文、症例研究、短報、調査報告各々1編と、臨床入門講座および臨床実践講座が掲載されています。研究内容は多岐にわたっていますが、それぞれ興味深く、臨床に役立つものと思われますので、是非ご一読ください。シングルケースデザインを用いた2編の論文は、1例あるいは少数の症例を用いて介入効果を客観的に検討する上で参考になると思います。会員諸氏が臨床場面における貴重な経験をまとめ、本誌に積極的に投稿されることを強く期待しています。
『理学療法学』副編集委員長 神先秀人
研究論文、症例研究、短報、調査報告各々1編と、臨床入門講座および臨床実践講座が掲載されています。研究内容は多岐にわたっていますが、それぞれ興味深く、臨床に役立つものと思われますので、是非ご一読ください。シングルケースデザインを用いた2編の論文は、1例あるいは少数の症例を用いて介入効果を客観的に検討する上で参考になると思います。会員諸氏が臨床場面における貴重な経験をまとめ、本誌に積極的に投稿されることを強く期待しています。
『理学療法学』副編集委員長 神先秀人
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- 半月板損傷、半月板切除後に被覆部軟骨が直接荷重を強いられると局所的に大きな変形を生じる可能性がある。
飯島氏論文「半月板を介在して荷重を担う軟骨の組織学的、力学的特性 ―ブタ膝関節を用いた実験研究―」では、ブタの脛骨軟骨の力学的および組織学的評価結果から、半月板に被覆された軟骨の荷重に対する耐性が低い可能性を示唆するとともに、半月板損傷や切除後の理学療法を施行する上での留意点について言及しています。シングルケースデザインを用いたリズム刺激の有効性の検討
近藤氏論文「Binswanger病によるパーキンソニズムを呈した症例に対するバランスボールを用いたリ ズム運動の効果」では、ABAB型Single subject study を用いて、標題の症例に対するバランスボールを用いたリズム運動の有効性を検討しています。その結果、介入による即時効果として立ち上がり時間の短縮が有 意に認められ、介入期間内では効果の持続が得られたと報告しています。シングルケースデザインを用いたペダリング運動と治療的電気刺激併用の有効性の検討松永氏論文「ペダリング運動と治療的電気刺激の併用が回復期脳卒中片麻痺患者の歩行能力に及ぼす影響 ―シングルケースデザインによる検討―」では、脳卒中片麻痺患者6名を各2名ずつペダリング運動のみ、治療的電気刺激のみ、両治療の併用を行なう3群に分け、それぞれにおいて、シングルケースデザインを用いて歩行能力向上への有効性を検討しています。養成施設における現在の訪問リハの教育内容に対して75%が不十分と認識
上岡氏の調査報告「訪問リハビリテーションの教育プログラム構築に向けた調査報告 ―実践家から見た養成施 設における教育の課題―」では、訪問リハビリテーションに従事する、あるいは従事した経験を有する理学療法士に対するアンケート調査結果から、養成施設で の訪問リハビリテーション教育において強化すべき内容が提示されています。脂質異常症に対する理学療法のエビデンス
平木氏による臨床入門講座シリーズ「代謝障害に対する理学療法のすすめかた」連載第2回、「脂質異常に対する理学療法」では、動脈硬化性疾患の危険因子の1つである脂質異常症に対する運動療法のエビデンスを紹介するとともに、実践例を通して具体的な介入プロセスを解説しています。栄養ケアなくしてリハなし、栄養はリハのバイタルサインである
若林氏による臨床実践講座シリーズ「摂食・嚥下障害と栄養管理」連載第1回、「理学療法とリハビリテーション栄養管理」では、リスク管理としてだけでなく、理学療法効果を高めるための併用手段としての「リハビリテーション栄養管理」の重要性についてわかりやすく解説しています。