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PTR27巻1号
27巻1号には、Review 1編を含む全6編の論文が掲載されています。Kurata論文は肺切除後の早期歩行介入の効果、Ishida論文は床接地時の垂直成分の姿勢推定AIによる推定、Sasanuma論文は機能共鳴分析手法を用いた急性増悪時の対応とそのモデルを構築、Nakaizumi論文は自宅退院予測モデルの開発、Kondo論文は視覚と聴覚フィードバックの効果について報告しています。Himuro論文は、小児理学療法における家族中心ケアについてまとめています。理学療法の臨床実践において役立つ情報であり、是非ご一読ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 野嶌 一平
PTR27巻1号ダウンロードはこちら【PDF: 1387KB】
27巻1号には、Review 1編を含む全6編の論文が掲載されています。Kurata論文は肺切除後の早期歩行介入の効果、Ishida論文は床接地時の垂直成分の姿勢推定AIによる推定、Sasanuma論文は機能共鳴分析手法を用いた急性増悪時の対応とそのモデルを構築、Nakaizumi論文は自宅退院予測モデルの開発、Kondo論文は視覚と聴覚フィードバックの効果について報告しています。Himuro論文は、小児理学療法における家族中心ケアについてまとめています。理学療法の臨床実践において役立つ情報であり、是非ご一読ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 野嶌 一平
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- Family-centered Care for Children with Disabilities in Japan—the Origin and Future of the “Ryouiku”
日本における障害のある子どもへの家族を中心としたケアー 「療育」の起源と未来 - 家族中心のケアは小児理学療法における最適な介入として推奨されているが、各国の文化や習慣に合わせた調整が必要である。本論文では、日本における家族中心ケアについて、「療育」という文脈から考察した。
- Effects of Isometric Quadriceps Muscle Exercise with Visual and Auditory Feedback at 1 Year after Total Knee Arthroplasty
人工膝関節全置換術後早期からの視覚および聴覚フィードバックを用いた大腿四頭筋の等尺性筋収縮運動の長期効果−術後1年のフォローアップ調査− - 人工膝関節全置換術後早期に視覚・聴覚フィードバックによる等尺性筋収縮運動を追加することで、1年後の疼痛軽減、パフォーマンスや運動耐容能、そして身体認知能力の改善を示した。
- Development and Validation of a Decision Tree Analysis Model for Predicting Home Discharge in a Convalescent Ward: A Single Institution Study
回復期リハビリテーション病棟入院患者における自宅退院予測の決定木分析モデルの作成および精度検証:単一施設における検討 - 決定木分析を使い、回復期リハビリテーション病棟入院患者の自宅退院予測モデルを作成した。従来のロジスティック回帰などを基盤としたモデルに比べ、過学習を制御した臨床上有用なモデルとなった。
- The Assessment and Response of Rehabilitation Professionals to Sudden Deterioration in Symptoms: An Analysis of the National Database in Japan
患者急変時におけるリハビリテーション専門職の評価と対応 -日本医療機能評価機構データベースの分析- - 日本医療機能評価機構データベースを使用し、リハビリテーション専門職の急変時の対応について機能共鳴分析手法により検討した。結果、5年目以下の若手が平日昼に急性増悪に遭遇し、血圧測定のサポートを行っていた。
- Estimation of Vertical Ground Reaction Force during Single-leg Landing Using Two-dimensional Video Images and Pose Estimation Artificial Intelligence
ビデオ映像と姿勢推定AIを用いた片脚着地動作時の垂直床反力推定 -
ALS損傷は着地時の床反力垂直成分が関係する。本研究では、人工知能を基盤とした姿勢推定技術を使用した評価手法を提案し、片脚着地時のピーク垂直成分の評価において臨床的に有用な方法であることが示唆された。
- Early Ambulation Following Lung Resection Surgery: Impact on Short-Term Outcomes in Patients with Lung Cancer
肺切除術後の早期歩行が短期的アウトカムに及ぼす影響: 肺癌患者における検討 - 65歳以上の高齢患者の周術期肺リハビリテーション、特に歩行介入の効果を検討した。早期歩行介入は、ドレナージの早期抜去や入院期間の短縮、運動耐容能の維持などの効果を示したが、合併症の予防効果は認められなかった。
- Early Ambulation Following Lung Resection Surgery: Impact on Short-Term Outcomes in Patients with Lung Cancer
PTR26巻3号
Physical Therapy Research 26巻3号においては、Review2編、Original Article2編、Brief Report1編が掲載されております。Uemura氏は生態学的モデルに基づいたフレイルと環境との関係について、Adhitya氏は前十字靭帯損傷による障害とその予防に関して、Miyashita氏は投球障害における肩甲骨・肩甲上腕関節の運動異常を、Sugiura氏は心臓外科手術を受けた高齢患者における心血管脳血管障害の予測因子を、Jung氏はマーカレスモーションキャプチャを用いた際の高齢者の歩行変数の基準値を、それぞれ報告しています。いずれの論文も、理学療法の臨床に有益な情報と思われますので、ぜひご覧ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 建内 宏重
PTR26巻3号ダウンロードはこちら【PDF: 2471KB】
Physical Therapy Research 26巻3号においては、Review2編、Original Article2編、Brief Report1編が掲載されております。Uemura氏は生態学的モデルに基づいたフレイルと環境との関係について、Adhitya氏は前十字靭帯損傷による障害とその予防に関して、Miyashita氏は投球障害における肩甲骨・肩甲上腕関節の運動異常を、Sugiura氏は心臓外科手術を受けた高齢患者における心血管脳血管障害の予測因子を、Jung氏はマーカレスモーションキャプチャを用いた際の高齢者の歩行変数の基準値を、それぞれ報告しています。いずれの論文も、理学療法の臨床に有益な情報と思われますので、ぜひご覧ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 建内 宏重
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- Frailty and Environmental Attributes in Older Adults: Insight from an Ecological Model
高齢者のフレイルと環境の関係:生態学的モデルの視点から - 本総説論文では、高齢者のフレイルに関わる要因について5つの階層からなる生態学的モデルに基づいて論じられています。また、フレイル予防に関して、「通いの場」と呼ばれるコミュニティへの参加を含む日本における政策レベルのアプローチについても紹介されています。
- The risk factors and preventive strategies of poor knee functions and osteoarthritis after anterior cruciate ligament reconstruction: a narrative review
- 本総説論文では、前十字靭帯損傷に対する再建術や移植腱に関する概説とともに、前十字靭帯再建術後の膝関節機能の低下や外傷後の変形性関節症に関して、それらのリスク因子や予防のための戦略について論じられています。
- Biomechanical Characteristics of Scapular and Glenohumeral Movements During Pitching Motion in Injury-Prone College Baseball Pitchers
投球障害を生じやすい投手の投球動作における肩甲骨と上腕骨の運動学的特徴 - 本論文では、大学野球選手を対象として、投球障害を生じやすい群と生じにくい群との間での投球動作を比較し、肩甲上腕関節とともに肩甲骨の動きの差を見出しています。
- Association between Hospital-Acquired Disability and Clinical Outcomes in Older Patients who Underwent Cardiac Surgery
高齢心臓外科手術患者における入院関連能力低下と予後との関連 - 本論文では、心臓外科手術を受けた高齢患者を対象として、入院に伴う機能障害と退院後2年間における主要な心血管および脳血管の有害事象発生との関連を調査し、入院に伴う機能障害が心血管および脳血管の有害事象の予測因子であることを報告しています。
- Estimation of reference values of gait spatiotemporal and kinematic parameters in the lower extremities and trunk using a markerless motion capture system for healthy older Japanese adults
健常な日本人高齢者を対象としたマーカーレスモーションキャプチャシステムによる歩行パラメータの基準値の推定 -
本論文では、マーカレスモーションキャプチャシステムを用いた際の、健常高齢者の歩行時の空間的時間的変数および体幹・下肢関節の運動学的変数の男女別の基準値を提示しています。
PTR26巻2号
Physical Therapy Research 26巻2号では、Review 2編、Scientific research article 3編が掲載されました。Khan氏は、脳卒中の動物モデルにおけるリハビリテーションを、Nakayama氏は、経頭蓋磁気刺激法を併用した理学療法の最新知見を解説しています。Kitayama氏は、心疾患患者における緊急事態宣言後の運動耐容能の1年推移の特徴を、Matsumura氏は、棘下筋に対する肩関節外旋運動の効果を、Abe氏は、脳性麻痺患者への下肢サイクリングによる痙縮の軽減効果を報告しています。どの論文も臨床に役立つ知見です。ぜひご覧ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 神津 玲
PTR26巻2号ダウンロードはこちら【PDF: 1254KB】
Physical Therapy Research 26巻2号では、Review 2編、Scientific research article 3編が掲載されました。Khan氏は、脳卒中の動物モデルにおけるリハビリテーションを、Nakayama氏は、経頭蓋磁気刺激法を併用した理学療法の最新知見を解説しています。Kitayama氏は、心疾患患者における緊急事態宣言後の運動耐容能の1年推移の特徴を、Matsumura氏は、棘下筋に対する肩関節外旋運動の効果を、Abe氏は、脳性麻痺患者への下肢サイクリングによる痙縮の軽減効果を報告しています。どの論文も臨床に役立つ知見です。ぜひご覧ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 神津 玲
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- Rehabilitation in Animal Models of Stroke
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本総説論文では、脳卒中の動物モデルにおけるリハビリテーション戦略の有効性と、人を対象とした脳卒中研究との関連性を評価しています。脳卒中患者を対象とした研究と、理学療法ならびに薬物療法によるアプローチを含む脳卒中動物のリハビリテーションの意義が強調されています。
- Physical Therapy Combined with Transcranial Magnetic Stimulation Therapy: Treatment Practice Considering the Effect of Reducing Upper Limb Spasticity on Gait
経頭蓋磁気刺激療法に併用する理学療法:上肢痙縮軽減が歩行に与える影響を考慮した治療戦略 -
維持期脳卒中片麻痺患者における麻痺側下肢の支持性を改善する目的で、反復経頭蓋磁気刺激を併用した理学療法の具体的内容について解説されています。著者らは特に、歩行は様々な要因に関連し、患者内および患者間の差が大きいため、理学療法士が定量的な評価に基づいた治療プログラムを作成することの必要性を強調しています。
- Characteristics and Related Factors of One-year Transition in Exercise Tolerance Following an Emergency Declaration due to the Coronavirus Disease 2019 Pandemic in Patients on Phase III Cardiac Rehabilitation
維持期心臓リハビリテーション患者における、COVID-19パンデミックによる緊急事態宣言後1年間の運動耐容能推移の特徴と関連因子 -
本研究では、第III相心臓リハビリテーションの実施患者を対象に、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言後の運動耐容能の推移と、その低下リスクの高い患者の特徴が検討されています。緊急事態宣言により患者の運動耐容能は低下、宣言前に複数の合併症を有する患者ではその可能性が高く、歩行速度が遅い患者では低下した運動耐容能が改善する可能性が低かったことを報告しています。
- Effect of 8-week Shoulder External Rotation Exercise with Low Intensity and Slow Movement on Infraspinatus
8週間の低負荷・低速度での肩関節外旋エクササイズにより棘下筋は肥大する -
本論文では、低強度で緩徐な肩関節の外旋運動を8週間実施することで、外旋筋力と棘下筋断面積が増加するかを検討しています。その結果、緩徐に行う棘下筋の低強度運動が筋肥大に有効であることが示され、当該患者のリハビリテーションの初期段階において過剰な負荷を回避すべき患者に有益となる可能性を示唆しています。
- Leg Cycling Leads to Improvement of Spasticity by Enhancement of Presynaptic Inhibition in Patients with Cerebral Palsy
脳性麻痺患者の下肢サイクリング運動はシナプス前抑制を増強し、痙縮を抑制する -
本研究では、下肢のサイクリング運動が、脳性麻痺患者の下肢痙縮の軽減効果とともに、シナプス前抑制の変化を惹起するかを検討しています。下肢痙縮を有する当該患者において、下肢サイクリング運動は伸張反射とH反射を抑制し、抑制回路の可塑性を引き起こすという結果が得られました。下肢の痙縮がサイクリング運動によって軽減されることを示唆しています。
PTR第26巻1号
Physical Therapy Research 26巻1号では、Review 2編、Scientific research article 3編が掲載されました。Wu氏は、心不全患者に対する理学療法の最新知見をreviewしています。Morishita氏は、がんサバイバーにおいて運動療法の重要性を示しています。Nonaka氏は、急性増悪により再入院した心不全患者の特性を検討しています。Oka氏は、高齢者に対する低値振動刺激によるバランス能力の改善効果を検証しています。Otake氏は、特発性肺線維症では運動時の酸素飽和度低下を評価することの重要性を示しています。どの論文も臨床に役立つ知見です。ぜひご覧ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 山口 智史
PTR26巻1号ダウンロードはこちら【PDF: 1439KB】
Physical Therapy Research 26巻1号では、Review 2編、Scientific research article 3編が掲載されました。Wu氏は、心不全患者に対する理学療法の最新知見をreviewしています。Morishita氏は、がんサバイバーにおいて運動療法の重要性を示しています。Nonaka氏は、急性増悪により再入院した心不全患者の特性を検討しています。Oka氏は、高齢者に対する低値振動刺激によるバランス能力の改善効果を検証しています。Otake氏は、特発性肺線維症では運動時の酸素飽和度低下を評価することの重要性を示しています。どの論文も臨床に役立つ知見です。ぜひご覧ください。
『Physical Therapy Research』編集委員 山口 智史
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- Physical Therapy for Adults with Heart Failure
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本総説論文では、心不全の最新診断、分類、治療ガイドラインについて紹介するとともに、心不全患者に対する理学療法のエビデンスを示しています。また、心血管患者はCOVID-19による症状増悪の可能性が指摘されていることから、心不全とCOVID-19の関係性についても解説しています。
- Recent Findings in Physical Exercise for Cancer Survivors
がんサバイバーに対する身体運動に関する最近の知見について -
本総説論文では、がんサバイバーに対する治療ガイドラインを紹介し、中等度または高強度の有酸素運動や筋力トレーニングの有効性を示しています。一方で、がんサバイバーが運動を継続することの難しさに触れ、外来リハビリテーションや地域支援によって、運動を促進していくことの必要性を指摘しています。
- Characteristics of Older Patients with Heart Failure Readmitted Due to Acute Exacerbations Within the Past Year
過去1年以内に急性増悪により再入院した高齢心不全患者の特性 -
本邦において、加齢に伴う心不全患者が増加しています。本論文では、過去1年以内に急性増悪により再入院した高齢心不全患者の特性について検討し、脳性ナトリウム利尿ペプチドのレベルとShort Physical Performance Batteryのスコアが再入院に関与することを報告しています。
- A Standing Low-Frequency Vibration Exercise Device for Improving Balance in Community-Dwelling Older Adults: A Single-Blind Randomized Controlled Trial
地域在住高齢者に対する低値振動刺激技術を用いた立位式運動機器によるバランス能力の改善:単盲検無作為化比較対象試験 -
本論文では、地域在住高齢者に対する低値振動刺激技術を用いた立位式運動機器によるバランス能力の改善効果を無作為化比較対象試験により検証し、歩行トレーニングと比べ、特にTUGにおいて高い効果を認めることを報告しています。
- Exertional Desaturation is More Severe in Idiopathic Pulmonary Fibrosis than in Other Interstitial Lung Diseases
特発性肺線維症における運動時の酸素飽和度低下は、他の間質性肺疾患よりも重度である -
本論文では、間質性肺疾患の1つである特発性肺線維症における6分間歩行中の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)低下が他の間質性肺疾患よりも重度であることを示しています。また安静時のSpO2が良好であっても、特発性肺線維症患者では 6分間歩行を積極的に実施して、運動中SpO2低下の早期検出が重要となる可能性を示しています。
PTR第25巻3号
PTR第25巻3号にはReview 1編、Scientific research article 7編、Brief report 1編、Case report 2編が掲載されています。
まず、Harada氏による脳卒中急性期における複雑なニーズを話題にした総説、Kawagoshi氏らによるCOPDの低強度身体活動の予測式の開発を目指す研究、Takara氏らによる、くも膜下出血後の運動療法が脳血管攣縮に与える影響を調べる研究、Uchio氏らによる脊髄性筋萎縮症患者における慢性疼痛について調べる研究など臨床に寄り添った複数の報告が掲載されています。さらに、Nakamura氏らによる機械学習を用いた研究、Hirasawa氏らによる超音波画像診断装置を用いた研究、Fukushima氏らによるスマートフォンのアプリケーションを利用した症例報告、ベルト型の神経筋電気刺激装置を用いたOkura氏らによる臨床研究とIshikawa氏らによる実験研究といった新しい評価手法や介入法を用いた報告が多数掲載されています。また、性差に着目して行われたUchida氏らの研究やKitagaki氏らの研究など、新しい視点に立った研究が含まれることも特徴です。
貴重な論文をご執筆いただきました方々、ならびに査読をお引き受けいただいた方々に深く感謝申し上げますとともに、本誌に掲載された内容が、日々の臨床場面に還元されることを願っております。
『Physical Therapy Research』編集委員 村松 憲
PTR25巻3号ダウンロードはこちら【PDF: 3.1MB】
PTR第25巻3号にはReview 1編、Scientific research article 7編、Brief report 1編、Case report 2編が掲載されています。
まず、Harada氏による脳卒中急性期における複雑なニーズを話題にした総説、Kawagoshi氏らによるCOPDの低強度身体活動の予測式の開発を目指す研究、Takara氏らによる、くも膜下出血後の運動療法が脳血管攣縮に与える影響を調べる研究、Uchio氏らによる脊髄性筋萎縮症患者における慢性疼痛について調べる研究など臨床に寄り添った複数の報告が掲載されています。さらに、Nakamura氏らによる機械学習を用いた研究、Hirasawa氏らによる超音波画像診断装置を用いた研究、Fukushima氏らによるスマートフォンのアプリケーションを利用した症例報告、ベルト型の神経筋電気刺激装置を用いたOkura氏らによる臨床研究とIshikawa氏らによる実験研究といった新しい評価手法や介入法を用いた報告が多数掲載されています。また、性差に着目して行われたUchida氏らの研究やKitagaki氏らの研究など、新しい視点に立った研究が含まれることも特徴です。
貴重な論文をご執筆いただきました方々、ならびに査読をお引き受けいただいた方々に深く感謝申し上げますとともに、本誌に掲載された内容が、日々の臨床場面に還元されることを願っております。
『Physical Therapy Research』編集委員 村松 憲
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- Medical Rehabilitation Need, Case Complexity, and Related Issues among Patients in an Acute Stroke Rehabilitation Setting
脳卒中急性期患者における医学的リハビリテーションニーズと障害像の複雑性および臨床研究課題 -
本総説は脳卒中急性期における一般的な医学的リハビリテーションのニーズと症例毎に存在する複雑なニーズについて紹介した上で、それらを加味した、より効果的な脳卒中リハビリテーションの方法を提案するものです。
- Predicting the Classification of Home Oxygen Therapy for Post-COVID-19 Rehabilitation Patients Using a Neural Network
COVID-19後のリハビリテーション患者におけるニューラルネットワークを用いた在宅酸素療法の分類予測 -
本研究はCOVID-19によって入院した患者の退院時の在宅酸素療法の可能性を分類・予測するニューラルネットワークの精度を評価することを目的としたもので、入院時の各種情報を用いてニューラルネットワークモデルを学習させた結果、高い精度のモデルが形成されたことを報告するものです。
- Sex-related Differences in Exercise Capacity Trends and Determinants after Cardiac Rehabilitation in Patients with Acute Myocardial Infarction
急性心筋梗塞患者における心臓リハビリテーション終了後の運動耐容能の推移とその規定因子の性差 -
本研究は急性心筋梗塞後に3ヶ月間心臓リハビリテーションプログラムに参加した患者の運動能力の変化に性差について調べることを目的としたもので、女性患者では心臓リハビリテーションプログラムによって向上した運動能力が維持されず、12ヶ月後には発症時のレベルまで低下することを報告するものです。
- Relationship between Echo Intensity of Vastus Lateralis and Knee Extension Strength in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
2型糖尿病患者の膝伸展筋力と外側広筋の筋輝度の関連 -
本研究は2型糖尿病患者の外側広筋の筋輝度と膝伸展筋力の関係について調べたもので、筋輝度が膝伸展筋力と関連を示すことから、筋輝度を指標とした評価が2型糖尿病患者の筋力を推定するのに有用であることを報告するものです。
- Social Network Moderates the Association between Frequency of Social Participation and Physical Function among Community-dwelling Older Adults
地域在住高齢者において、社会的つながりは身体機能と社会活動への参加頻度の関連を修飾する -
本研究は地域在住高齢者を対象に身体機能障害と社会参加の関連を調べた横断研究で、身体機能障害が社会参加の制限になることに加えて、女性においてのみ社会的ネットワークの大きさが身体機能障害に関連した社会参加頻度の制限に影響を与えることを報告するものです。
- Effect of Electrical Muscle Stimulation on Vascular Endothelial Function during Prolonged Sitting
長時間座位中の骨格筋電気刺激が血管内皮機能に及ぼす影響 -
本研究は骨格筋電気刺激による下肢筋の受動的収縮が長時間の座位行動によって生じる心血管疾患のリスクを軽減する可能性があるか調べることを目的としたもので、座位行動中の健常成人の下肢に対する骨格筋電気刺激が不動による血管内皮機能低下を予防したことを報告するものです。
- Initiating Mobilization is not Associated with Symptomatic Cerebral Vasospasm in Patients with Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: A Retrospective Multicenter Case-control Study
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血後の離床開始は症候性脳血管攣縮と関連しない:多施設共同,後ろ向き観察研究 -
本研究はくも膜下出血発症後7日以内の運動療法開始と症候性脳血管攣縮発症の関連性について調べる多施設共同の後向きケースコントロール研究で、早期の運動療法開始が脳血管攣縮を誘発しないことを報告するものです。
- Prediction of Low-intensity Physical Activity in Stable Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
安定期慢性閉塞性肺疾患患者における低強度の推定活動量 -
本研究はCOPD患者の臨床パラメーターから低強度身体活動量の予測式を開発することを目的としたもので、解析の結果、歩行速度と最大吸気口腔内圧を用いた回帰式から提供度身体活動量が予測可能であることを報告するものです。
- Pain in Spinal Muscular Atrophy: A Questionnaire Study
脊髄性筋萎縮症患者の疼痛に関するアンケート調査 -
本研究は脊髄性筋萎縮症患者における慢性疼痛の有病率と臨床的特徴を明らかにすることを目的に行われた横断研究で、慢性疼痛を有する脊髄性筋萎縮症患者の割合は約40%に達し、その部位は頸部、体幹、下肢に多いことを報告するものです。
- Early Pulmonary Rehabilitation with Neuromuscular Electrical Stimulation in a Patient with Acute Exacerbation of Rheumatoid Arthritis-associated Interstitial Lung Disease: A Case Report
関節リウマチ性間質性肺疾患患者の急性増悪期における神経筋電気刺激を併用した早期からの呼吸リハビリテーション:症例報告 -
本ケースレポートは人工呼吸管理が必要な関節リウマチ性間質性肺炎の急性増悪期にある患者に対して、神経筋電気刺激療法を併用した介入を早期から実施することによってICU後遺症である重篤な筋力低下を回避することができた経験を報告するものです。
- Improvement in the Physical Function and Quality of Life through Exercise and Physical Activity Intervention Using a Smartphone after Allogeneic Hematopoietic Cell Transplantation: A Case Report
運動療法とス マートフォンを用いた身体活動量向上介入による同種造血幹細胞移植後の身体機能とQoLの改善:症例報告 -
本ケースレポートは造血幹細胞移植後に身体能力が低下した進行性がん患者に対してスマートフォンのアプリケーションを用いて身体活動量に介入し、それが患者の身体機能とQoLの改善することに有用であった経験を報告するものです。
PTR第25巻2号
PTR第25巻2号には総説論文1編、研究論文3編、短報1編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員
PTR25巻2号ダウンロードはこちら【PDF: 2654KB】
PTR第25巻2号には総説論文1編、研究論文3編、短報1編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員
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- 統計的仮説検定による結果の解釈:適切なp値の理解
Interpreting Results from Statistical Hypothesis Testing: Understanding the Appropriate P-value -
統計解析における、帰無仮説の有意性検定の結果を適切に解釈し示す方法について紹介された総説論文である。
- 健常な地域在住前期高齢者に対する認知症予防を目的とした身体的かつ認知的運動プログラムの費用効果分析
Cost-Effectiveness Analysis of Combined Physical and Cognitive Exercises Programs Designed for Preventing Dementia among Community-Dwelling Healthy Young-old Adults -
地域在住の健康な若年成人を対象に、認知症を予防するための身体的および認知的なプログラムを組み合わせた場合の費用対効果を推計した研究である。
- 健常女性における筋の柔軟性と筋収縮の特徴との関係 ―月経周期による変化―
Relationship between Muscle Flexibility and Characteristics of Muscle Contraction in Healthy Women during Different Menstrual Phases -
月経周期に伴う筋柔軟性と筋収縮特性の関係およびその変化について検討した研究である。
- 急性期一般内科病棟における専従PT配置が与える効果:差分の差分法
Effect of Ward-dedicated Physical Therapy Staffing on Outcomes among General Medical Patients in an Acute Hospital: A Difference-in-difference Analysis -
急性胆管炎で一般病棟に入院した患者の転帰に対する理学療法専従スタッフが関わる効果について検討した研究である。
- 精神科療養病棟に入院中の患者に対する理学療法が、日常生活活動および地域への退院の可否に及ぼす影響
Outcomes of Physiotherapy on Activities of Daily Living and Discharge to the Community in Psychiatric Long-term Care Ward Patients -
理学療法が行われた精神科長期療法病棟入院中の患者の退院に、日常生活動作の獲得が関わることを明らかにした研究である。
PTR第25巻1号
PTR第25巻1号には総説論文1編、研究論文2編、短報3編、症例報告1編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員
PTR25巻1号ダウンロードはこちら【PDF: 926KB】
PTR第25巻1号には総説論文1編、研究論文2編、短報3編、症例報告1編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員
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- Recent Advances in the Neural Control of Movements: Lessons for Functional Recovery
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運動の神経制御における最近の進歩や機能回復に関する総説論文である。神経疾患のみでなく、変形性関節症を例として使用、末梢障害およびそれらのリハビリテーションに対する理論的アプローチについて解説している。
- 栄養状態の異なる血液透析患者における透析中仰臥位エルゴメータ運動の効果の検証
Effect of Intradialytic Supine Ergometer Exercise on Hemodialysis Patients with Different Nutritional Status -
血液透析患者における身体運動機能の違いと運動介入の効果を、血清アルブミンレベルに基づいて2つのグループ(高栄養グループと低栄養グループ)に分けて調べた研究である。
- 急性冠症候群後の疾病管理、運動耐容能および長期予後に対する岐阜心臓リハビリテーションネットワーク(GR-GNet)システムの実行可能性調査
The Feasibility of a Newly Developed Local Network System for Cardiac Rehabilitation (the CR-GNet) in Disease Management and Physical Fitness after Acute Coronary Syndrome -
岐阜心臓リハビリテーションネットワーク(CR-GNet)が急性冠症候群患者の疾病管理・体力獲得の支援、そして長期転帰に与える影響について、3年以上をかけて47症例を通して検討した論文である。
- 高齢者骨折患者の歩行自立と関連する栄養指標のカットオフ値:予備的研究
Cutoff Value for a Nutritional Indicator Related to Gait Independence in Elderly Fracture Patients: A Preliminary Study -
回復期のリハビリテーション病棟でリハビリテーションを受けた69人の患者を対象に、高齢者骨折患者の歩行自立と関連する栄養指標のカットオフ値を検討した予備的研究である。
- 高齢の変形性膝関節症患者は歩行の自己効力感が低下している:予備的検討
Gait-related Self-efficacy is Low in Older Adults with Knee Osteoarthritis: A Preliminary Study -
変形性膝関節症を患う高齢患者は自己効力感(Self-Efficacy)が低下しているという課題について、患っていない高齢者との間で歩行課題にて違いがあるかを調査した論文である。
- 最長発声持続時間は要支援・要介護高齢者の評価に有用である
Maximum Phonation Time is a Useful Assessment for Older Adults Requiring Long-term Care/supportt -
最長発声持続時間が要支援・要介護高齢者の評価に有用であるか、スパイロメトリーを用いて在宅理学療法における簡易呼吸評価への活用を検討した短報である。
- Action Observation Training to Improve Activities of Daily Living and Manipulation Skills in Children with Acquired Brain Injury Secondary to an Oncologic Process: A Prospective Case Series Clinical Study
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腫瘍に起因する後天性脳損傷児の治療プロセスについて、5名の患者で日常生活動作および操作スキルに対する行動観察トレーニングの効果を評価することを目的とした報告である。
PTR第24巻3号
PTR第24巻3号には総説論文2編、研究論文10編、短報1編、症例報告3編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員
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PTR第24巻3号には総説論文2編、研究論文10編、短報1編、症例報告3編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員
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- エッセンスを読む
- The Past, Present, and Future of American Cancer Rehabilitation
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米国におけるがんリハビリテーションの“過去・現在・未来”についての総説です。
- 脳卒中重度片麻痺患者に対する長下肢装具を用いた前型歩行トレーニング
A Narrative Review of Alternate Gait Training Using Knee-ankle-foot Orthosis in Stroke Patients with Severe Hemiparesis -
脳卒中重度片麻痺患者に対する、長下肢装具を用いた歩行トレーニングに関する総説です。;
- 日本における極低出生体重児の歩行獲得時期に関する検討
Walking attainment in very low birth weight infants in Japan -
極低出生体重児における歩行獲得時期に関連する因子を検討した研究です。
- Stroke patients showed improvements in balance in response to visual restriction exercise
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脳卒中者を対象に、視覚遮断条件での運動がバランス機能に及ぼす影響について検討した研究です。
- Electromyography activity of vastus medialis obliquus and vastus lateralis muscles during lower limb proprioceptive neuromuscular facilitation patterns in individuals with and without patellofemoral pain syndrome
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膝蓋大腿疼痛症候群者において、PNF時の内側広筋斜頭と外側広筋の筋電図活動について調べた研究です。
- 肝切除後の術後早期の理学療法士監視下での歩行距離は臨床的転帰に影響を与える-傾向スコア法による分析-
Effects of early physical therapist-supervised walking on clinical outcomes after liver resection:propensity score matching analysis -
肝切除後患者において、理学療法士監視下での術後早期の歩行距離が、臨床的転帰に及ぼす影響について検討した研究です。
- 人工股関節全置換術後患者における1ヶ月後の自覚的脚長差と術前股関節外転筋の弾性との関連
Relationship between perceived leg length discrepancy at one month and preoperative hip abductor muscle elasticity in patients after total hip arthroplasty -
人工股関節全置換術後患者において、脚長差知覚と股関節外転筋弾性との関連について検討した研究です。
- 事務職員の腰痛に対する腰部の運動制御に着目した介入効果:無作為化比較試験
Effect of interventions for improving lumbar motor control on low back pain in sedentary office workers: A randomized controlled trials -
腰痛を有するオフィスワーカーを対象に、腰部の運動制御に着目した介入による腰痛軽減効果を検証した研究です。
- 周術期PAD患者における6分間歩行距離の変化と関連因子の検討
Examination of changes in 6-minute walk distance and related factors in patients with perioperative peripheral arterial disease -
周術期の末梢動脈疾患患者において、6分間歩行距離に関連する因子を検討した研究です。
- 肺癌外科切除における術前の身体不活動は術後経過に影響する
Preoperative physical inactivity affects the postoperative course of surgical patients with lung cancer -
肺癌外科切除患者を対象に、術前の身体活動と術後の合併症および臨床転帰との関連性を検討した研究です。
- 片脚着地動作における下肢筋疲労、心肺疲労および脳疲労の影響
Effects of lower-limb muscle fatigue, cardiopulmonary fatigue, and brain fatigue tasks on one-legged landing motion -
下肢の筋疲労、心肺疲労、脳疲労が片脚着地動作に及ぼす影響を調べた研究です。
- 訪問リハビリテーションでの足趾把持力強化運動がバランス能力に及ぼす影響:ブロックランダム化による無作為化比較試験
The Effect of Toe-grasping Exercises on Balance Ability in Home-based Rehabilitation: A Randomized Controlled Trial by Block Randomization -
訪問リハビリ利用者において、足趾把持筋力強化運動がバランス能力向上に及ぼす影響を検討した研究です。
- 脳卒中後の身体活動における性差の影響
Sex differences in physical activity in people after stroke: A cross-sectional study -
脳卒中者を対象に、横断的に身体活動を調査し、性差の影響を検討した研究です。
- 重症COVID-19患者の急性期病院退院時における身体機能と精神状態の障害:症例報告
Impairment in physical function and mental status in a survivor of severe COVID-19 at discharge from an acute care hospital: a case report -
重度COVID-19患者について、急性期病院退院時における身体機能と精神状態をまとめた症例報告です。
- リハビリテーション栄養ケアプロセスが肺がん悪液質患者の身体機能に及ぼす影響:症例報告
Effect of Rehabilitation Nutrition Care Process on Physical Function in Lung Cancer Cachexia: A case report -
肺がん悪液質患者について、リハビリテーション栄養ケアプロセスが身体機能に及ぼす影響をまとめた症例報告です。
- Biobehavioural physiotherapy through telerehabilitation during the SARS-CoV-2 pandemic in a patient with post-polio syndrome and low back pain: a case report
-
ポリオ後遺症と腰痛を有する患者において、SARS-CoV-2パンデミック時にテレリハビリテーションを実施した症例報告です。
PTR第24巻2号
PTR第24巻2号には総説論文2編、研究論文9編、症例研究1編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員 橋立 博幸
PTR24巻2号ダウンロードはこちら【PDF:3854KB】
PTR第24巻2号には総説論文2編、研究論文9編、症例研究1編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員 橋立 博幸
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- エッセンスを読む
- 高齢者における社会参加:その概念と評価
An Overview of Social Participation in Older Adults:Concepts and Assessments -
杏林大学の橋立博幸氏らは、高齢者における社会参加の概念と主な評価についてレビューしています。社会参加の標準化された定義が未だに得られていない背景のもと、これまでに提唱されてきた社会参加の概念や代表的な評価指標について説明しています。
- 産業保健理学療法:日本とオーストラリアの比較
Occupational health physiotherapy (OHP) practice: a comparison between Japan and Australia -
南オーストラリア大学のBoucaut R氏らは、産業保健理学療法の実践に影響を与える可能性のある根本的な要因についてレビューしています。日本とオーストラリアで実践されている産業保健理学療法の特徴について国際比較され、両国間の主な類似点と相違点について述べられています。;
- 月齢18から36か月の幼児における粗大運動能力と感覚処理の関係
Relationships between Gross Motor Abilities and Sensory Processing in Children Aged 18 to 36 Months -
東北福祉大学の髙橋恵里氏らは、月齢18~36か月の幼児を対象に粗大運動能力尺度と感覚処理との関係を調査し、粗大運動能力が口腔の感覚処理と有意に関連することを示唆しています。
- 地域在住高齢者における運動と認知活動の組み合わせが認知機能に与える影響: 予備的ランダム化比較試験
Effect of a combined exercise and cognitive activity intervention on cognitive function in community-dwelling older adults: A pilot randomized controlled trial -
神戸大学大学院の村田峻輔氏らは、健康な地域在住高齢者を対象に、運動と認知活動を組み合わせた介入が認知機能に及ぼす効果について検証し、運動と認知活動を組み合わせた3か月間の介入が健康な地域在住高齢者の認知機能の維持に有用であることを報告しています。
- 血管内治療を受けた末梢動脈疾患患者に対する自宅での運動療法の効果 -臨床比較試験-
Effect of home-based exercise therapy for peripheral arterial disease patients underwent endovascular treatment: A clinical controlled design -
心臓病センター榊原病院の大塚翔太氏らは、血管内治療後の末梢動脈疾患患者に対する在宅運動療法の効果について検証しています。医療機関での血管内治療を終えた退院後に、血管内治療前の平均歩数を基準とした歩数の漸増を図ることで、歩数の増加や歩行障害の改善が得られると報告されています。
- 経カテーテル大動脈弁留置術患者の大腰筋の体積および質の低下は筋断面積よりも再入院の優れた予測因子である
Psoas muscle volume and attenuation are better predictors than muscle area for hospital readmission in older patients after transcatheter aortic valve -
榊原記念病院の作山晃裕氏らは、経カテーテル大動脈弁留置術患者を対象に大腰筋の筋量および筋面積と術後の再入院との関連について調査し、術前の大腰筋の筋量とその減衰が再入院の可能性を予測するための有益な情報になることを示しています。
- Development and Comparative Efficacy of Lagos Neuropathy Protocol for Improving Recovery of Symptom and Functional Independence Performance in Individuals with Diabetic Peripheral Sensorimotor Polyneuropathy
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ラゴス大学のGbiri CAO氏らは、糖尿病性末梢感覚運動性多発神経障害の症状と障害を管理するための、感覚/知覚、筋力/バランス、疼痛/腫れの改善を指向した運動プロトコルを開発し、その有効性を検証しています。計10項目で構成される10週間のプログラムは、安全で、臨床的に適用可能であり、感覚/知覚、バランス、痛み、機能的パフォーマンスの改善に効果的なプロトコルであると提唱されています。
- デューティー比10%の単相性パルス電流はヒト皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を促進する
Monophasic pulsed current stimulation of duty cycle 10% promotes differentiation of human dermal fibroblasts into myofibroblasts -
関西福祉科学大学の植村弥希子氏らは、電気刺激における刺激時間の割合であるデューティー比とヒト皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞の分化との関係を調査しています。デューティー比10%の電気刺激でα平滑筋アクチンおよびトランスフォーミング成長因子-β1のmRNA発現が有意に促進されたことから、デューティー比が筋線維芽細胞の分化に影響を与えることが示唆されています。
- 地域在住高齢者における社会的フレイルと睡眠の質の関連:横断研究
Association between social frailty and sleep quality among community-dwelling older adults: A cross-sectional study -
国立長寿医療研究センターの野口泰司氏らは、60歳以上の地域在住者を対象に社会的フレイルと主観的な睡眠の質との関連を調査し、社会的フレイルと睡眠の質が有意に関連したことから、豊かな社会的関係を促進することが睡眠の質の改善に重要となる可能性が示されています。
- 慢性外傷性完全胸髄損傷者の脳領域における解剖学的な増減変化
Anatomical increased/decreased changes in the brain area following individuals with chronic traumatic complete thoracic spinal cord injury -
千葉リハビリテーションセンターの村山尊司氏らは、慢性外傷性胸髄完全損傷者を対象にMRI画像解析にて脳体積が増減した領域を調査し、運動および体性感覚機能に関連する領域において体積が増加した領域と体積が減少した領域の両方が脳に存在することを報告しています。
- 外出自粛要請中における介護保険サービス利用者の健康状態の主観的変化:横断研究-
Self-rated changes of health status during stay-at-home orders among older adults using the long-term care insurance system of Japan: A cross-sectional study -
東京都立大学の小野敬済氏らは、介護保険サービス利用者を対象に、新型コロナウイルス感染症流行による外出自粛要請中における健康状態の自己評価の変化を調査し、屋外外出頻度の減少が運動機能や友人とのネットワークの悪化に関連したことを報告しています。
- 脳卒中後に発症したヘミジストニア症例の歩行障害と脳賦活の経過
The progress of the gait impairment and brain activation in a patient with post-stroke hemidystonia -
茨城県立医療大学の山本哲氏らは、脳卒中後に片側性ジストニアを呈した症例において体重免荷トレッドミルトレーニングの効果を検討しています。体重免荷トレッドミルトレーニングが、感覚運動領域の脳皮質活性化を引き起こし、片側性ジストニアの症状の改善と歩行パターンの修正をもたらす有益な介入となる可能性が示唆されています。
- 高齢者における社会参加:その概念と評価
PTR第24巻1号
PTR第24巻1号には総説論文2編、研究論文8編が掲載されています。
最新号ダウンロードはこちら【PDF:1426KB】
PTR第24巻1号には総説論文2編、研究論文8編が掲載されています。
『Physical Therapy Research』編集委員 榊間 春利
最新号ダウンロードはこちら【PDF:1426KB】
- エッセンスを読む
- 筋治癒に及ぼす物理療法の効果~動物モデルでの研究を中心に~
Effects of physical agents on muscle healing with a focus on animal model research -
骨格筋損傷に対する物理療法の目的は疼痛軽減、筋再生の促進、筋の瘢痕組織の形成などを予防することにあります。北里大学の坂本美喜氏は、動物モデルを用いた研究を中心に骨格筋損傷後の治癒過程における物理療法の効果について、寒冷、温熱、電気刺激、低強度パルス超音波療法の効果を中心にレビューしています。
- 間質性肺疾患患者における呼吸機能障害,活動制限および呼吸リハビリテーション
Respiratory Impairment, Limited Activity, and Pulmonary Rehabilitation in Patients with Interstitial Lung Disease -
運動トレーニングは呼吸リハビリテーションの重要な構成要素であり、運動耐容能、呼吸困難、健康QOLを改善する効果が期待できます。長崎大学の神津玲氏は、間質性肺疾患患者における呼吸機能障害、活動制限、呼吸リハビリテーションについてレビューしています
- 変形性膝関節症を有する高齢者の客観的評価における身体活動と両膝痛、腰痛の合併との関連
Association of objectively measured physical activity with combined bilateral knee and low-back pain in older adults with knee osteoarthritis: A cross-sectional study -
あんしん病院の岡智大氏は、変形性膝関節症を有する高齢者の身体活動と両膝痛や腰痛の関係について検討した結果、両膝痛や腰痛を有した変形性膝関節症患者は膝痛や腰痛の改善が身体活動量の向上に大きく貢献することを報告しています。
- 大腿骨近位部骨折の骨折型が下肢機能、日常生活動作能力に及ぼす影響
Effect of types of proximal femoral fractures on physical function such as lower limb function and Activities of Daily Living -
平成記念病院の唄大輔氏は大腿骨近位部骨折を頚部骨折、転子部骨折の安定型、不安定型の3つの骨折型に分類し、下肢機能や日常生活活動に及ぼす影響について検討した結果、骨折型で異なった理学療法計画を立案する必要性があることを報告しています。
- 下肢筋における興奮収縮連関時間の測定
Measurement of excitation-contraction coupling time in lower extremities -
札幌医科大学の浅田優太氏は、健常者を対象にヒラメ筋の複合筋活動電位と足部の運動誘発波形から興奮収縮連関時間(ECCT)を算出し、ヒラメ筋のECCTは容易に記録することができ、下肢筋の興奮収縮連関障害を評価するために有用であることを報告しています。
- 慢性閉塞性肺疾患患者における大腿四頭筋筋力と吸気筋力の臨床的最小変化量:コホート研究による検証
Estimation of minimal clinically important difference for quadriceps and inspiratory muscle strength in older outpatients with chronic obstructive pulmonary disease: a prospective cohort study -
秋田市立病院の岩倉正浩氏は、呼吸リハビリテーションを行なった慢性閉塞性肺疾患患者を対象に大腿四頭筋筋力と吸気筋力の臨床的最小変化量(MCID)を推定することを試み、最大等尺性膝伸展筋力と最大吸気口腔内圧のMCIDが利用可能であることを報告しています。
- 消化器癌術後患者における身体活動がQOL及び身体機能に及ぼす影響
Effects of physical activity on quality of life and physical function in postoperative patients with gastrointestinal cancer -
関門医療センターの楫野允也氏は、消化器がん患者の術後の身体機能とQOLの変化を調べ、身体活動がこれらの変数に及ぼす影響を検討した結果、重回帰分析により便秘と情動機能の項目が術後の運動量に影響することを報告しています。
- 日本の集中治療室で働く理学療法士のための臨床実践ミニマムスタンダード
Minimum standards of clinical practice for physical therapists working in intensive care units in Japan -
順天堂大学の高橋哲也氏は、日本の集中治療室で働く理学療法士の専門家としてのコンセンサスに基づく最低臨床実践基準の確立し、さらにその最低臨床実践基準の国際比較について報告しています。
- 悪性リンパ腫患者における自家末梢血幹細胞移植後の骨格筋萎縮とその要因
Risks of Muscle Atrophy in Patients with Malignant Lymphoma after Autologous Stem Cell Transplantation -
久留米大学病院の広田桂介氏は、悪性リンパ腫(ML)患者の自家幹細胞移植(ASCT)後の骨格筋量の変化と骨格筋萎縮の危険因子を調査した結果、ML患者はASCT後に骨格筋量が減少し、MCECを投与した患者とBMIの低い患者は、骨格筋量減少の要因であることを報告しています。
- 人工股関節全置換術後における術後合併症と非インプラント周囲骨折発生率 -術後10年以上の追跡調査による後ろ向きコホート研究-
Incidence of postoperative complications and non- periprosthetic fractures after total hip arthroplasty: A more than 10-year follow-up retrospective cohort study -
湘南鎌倉人工関節センターの二宮一成氏は、人工股関節全置換術(THA)後10年以上経過した患者の術後合併症とインプラント周囲以外の骨折(NPPFs)の発生率を調査した結果、THA患者はインプラントに関連する術後合併症よりもNPPFs発生が多く、特に高齢で変形性股・膝関節症を有する患者は、手術後1年以内に転倒によるNPPFs発生リスクが高いことを報告しています。
- 筋治癒に及ぼす物理療法の効果~動物モデルでの研究を中心に~
PTR第23巻
PTR第23巻2号には総説論文2編、研究論文14編、システマティックレビュー1編が掲載されています。
PTR第23巻2号には総説論文2編、研究論文14編、システマティックレビュー1編が掲載されています。
- エッセンスを読む
- 経皮的炭酸ガス吸収療法はラット関節固定後の関節拘縮を改善する
Transcutaneous application of carbon dioxide improves contractures after immobilization of rat knee joint -
神戸大学大学院の井上翔太氏らは、経皮的炭酸ガス吸収療法が関節固定後の関節拘縮に及ぼす影響について、ラットを用いて解析されました。経皮的炭酸ガス吸収療法は、関節固定により生じる筋と関節の変性を改善させることを示されています。
- 脳卒中患者における呼吸筋力の回復推移:パイロットスタディ
Recovery process of respiratory muscle strength in patients following stroke: A Pilot Study -
伊丹恒生脳神経外科病院の久保宏紀氏らは、脳卒中患者を対象に発症後3ヶ月間の呼吸筋力回復過程および呼吸筋力変化と身体機能との関連を調査し、さらに健常者と比較しました。呼吸筋力は、発症1ヶ月後に比較して3ヶ月後で増加し、最大吸気圧の変化は歩行持久性と関連しました。しかし健常者と同等には回復しないことを示しています。
- 地域に在住する日本人高齢者の姿勢アライメント,身体機能,身体パフォーマンス,自己効力感,QOLに対する背部筋強化エクササイズの効果:準ランダム化比較試験
Effects of back extensor strengthening exercises on postural alignment, physical function and performance, self-efficacy, and quality of life in Japanese community-dwelling older adults: A controlled clinical trial. -
弘前大学大学院の福田敦美氏らは、地域在住高齢者を対象に姿勢アライメントに対する背部筋強化エクササイズの6ヶ月の介入効果を調査しました。背部筋強化エクササイズ群および対照群(全身運動プログラム)ともに運動機能の改善を認めましたが、姿勢変化に与える影響は異なることを示しています。
- 人工膝関節全置換術後早期の膝屈曲可動域獲得の重要性
Importance of knee flexion range of motion during the acute phase after total knee arthroplasty -
あんしん病院の岡智大氏らは、人工膝関節置換術者を対象に、急性期(術後5日、1ヶ月)と術後12ヶ月での関節可動域の関連を調査し、早期の可動域改善の重要性を示しました。
- 筋肉量減少を伴う高齢者への固有感覚に対する局所振動刺激時の姿勢動揺
Postural Sway during Local Vibratory Stimulation for Proprioception in Elderly Individuals with Pre-Sarcopenia -
藤田医科大学の山崎一徳氏らは、高齢者を低筋量群と非低筋量群に分類し、下腿への局所振動刺激を加えた際の姿勢動揺を群別に調査しました。固有受容感覚の低下は低筋量群における姿勢不安定性の危険因子となることを示しています。
- 地域在住高齢者におけるソーシャルネットワークと身体機能との関連
Association Between Social Network and Physical Function in Community-Dwelling Older Adults in Japan -
北里大学大学院の今村慶吾氏らは、地域在住高齢者を対象にソーシャルネットワークと身体機能との関連を調査しました。ソーシャルネットワークに乏しい高齢者では身体機能が低下している可能性を示しています。
- 高齢入院患者における歩行開始時の変動は朝で高い
Initiation gait variability is higher in the morning in elderly inpatients -
シムラ病院の石井陽介氏らは、高齢入院患者を対象に時間帯が歩行変動性に及ぼす影響を調査しました。開始歩行の変動性は朝の方が高いことを示しました。
- がん患者における化学療法誘発性末梢神経障害の主観的評価と客観的評価の比較ー前向きコホート研究ー
Comparison between quantitative and subjective assessments of chemotherapy-induced peripheral neuropathy in cancer patients: A prospective cohort study -
神戸大学大学院の斎藤 貴氏らは、化学療法を受けている外来がん患者を対象に、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の主観的評価と客観的評価を比較しました。これらの一致度が低いことからCIPNの評価には主観的評価と客観的評価の両者が必要なことを示しています。
- 無菌治療室の造血器腫瘍患者に対するバランスボードゲームが身体機能と心理機能に与える効果
Efficacy of physical exercise using the balance board game on physical and psychological function in patients with hematological malignancies confined to a bioclean room -
埼玉医科大学総合医療センターの小林大祐氏らは、無菌治療室の造血器腫瘍患者を対象に、バランスボードゲームを用いた介入が身体機能と心理機能に与える効果を調査しました。バランスボードゲームを用いた介入により身体機能の改善が認められましたが、理学療法士による介入と比較して患者の心理的機能を改善する効果が低かったことを示しています。
- 精神科療養病棟入院患者における退院計画の有無とロコモティブ・シンドロームとの関係
Relationship between whether the planned discharge destination is decided and locomotive syndrome for admitted patients in psychiatric long-term care wards -
広島都市学園大学の甲田宗嗣氏らは、精神科介護病棟の入院患者を対象に退院計画の有無とロコモティブ・シンドロームとの関係を調査しました。入院期間が長く、2ステップテストの結果が低いと退院計画決定が妨げられることを示しました。
- 脳卒中患者と健常高齢者の筋厚と筋輝度の差ー年齢と性別をマッチングさせた健康高齢者との比較
Differences in muscle thickness and echo intensity between stroke survivors and age- and sex- matched healthy older adults -
神戸学院大学の門條宏宣氏らは、脳卒中患者および健常高齢者を対象に筋厚と筋輝度を調査しました。脳卒中患者の非麻痺側では代償性筋肥大がみられ、麻痺筋では量的および質的な変化の傾向があることを示しました。
- 神経筋電気刺激が健常成人男性の膝関節伸展筋におけるEMG活動およびRFDの初期に与える影響
The effect of neuromuscular electrical stimulation on muscle EMG activity and the initial phase rate of force development during tetanic contractions in the knee extensor muscles of healthy adult males -
神戸国際大学の中西亮介氏らは、健常成人男性を対象に、神経筋電気刺激が膝関節伸展筋における力発揮率に与える影響について調査しました。神経電気刺激を使用した事前収縮は、力発揮率を改善する介入である可能性を示しています。
- 人工膝関節全置換術後の関節可動域の早期回復を予測する 臨床予測ルール:前向きコホート研究
Clinical prediction rule for early recovery of knee range of motion after total knee arthroplasty: A prospective cohort study -
常葉大学の天野徹哉氏らは、人工膝関節置換術患者を対象に膝関節可動域の早期回復のための臨床予測ルールを作成しました。「杖の使用」、「膝関節伸展角度」、「膝関節屈曲角度」および「TUG」にて、膝ROMの早期回復を予測しうることを示しました。
- 脳梗塞後の早期離床と臨床的帰結の関係:一般病棟におけるコホート研究
Relationship between first mobilization following the onset of stroke and clinical outcomes in patients with ischemic stroke in the general ward of a hospital: A cohort study -
東京総合病院の北地雄氏らは、脳梗塞患者を対象に、早期離床と臨床的帰結の関係について調査しました。発症後1週間以内に離床が可能となった患者において、ADL自立度がより高く、自宅退院できる可能性が高いことを示しました。
- Bibliometric analysis of core journals which publish articles of physical therapy on aging
-
バレンシア大学のGemma Victoria Espí-López氏らは、理学療法と老化に関して発表された主要な科学雑誌、論文数の多い著者、機関および主要な雑誌のテーマを調査しました。主要な12雑誌と論文数の多い著者を示しています。
- 経皮的炭酸ガス吸収療法はラット関節固定後の関節拘縮を改善する
PTR第23巻
PTR第23巻1号には総説論文2編、研究論文10編、症例研究1編、短報1編が掲載されています。
PTR第23巻1号には総説論文2編、研究論文10編、症例研究1編、短報1編が掲載されています。
- エッセンスを読む
- 地域在住脳卒中者における日本語版 Activities-specific Balance Confidence (ABC-J) 尺度の信頼性と妥当性
Reliability and validity of the Activities-specific Balance Confidence scale-Japanese (ABC-J) in community-dwelling stroke survivors -
汐田総合病院の石毛里美氏らは、自己効力感のスケールであるABCスケールの日本語版の信頼性と妥当性を発症6 ヶ月以降の脳卒中者において調べました。日本語版ABCスケールの非常に優れた内的整合性と再検査信頼性が確認されています。
漸増負荷運動における2型糖尿病患者の外側広筋に対する近赤外線分光法
Near-infrared Spectroscopy of Vastus Lateralis Muscle during Incremental Cycling Exercise in patients with Type 2 Diabetes-
兵庫医療大学の宮本俊朗氏らは、2 型糖尿病患者における漸増運動負荷試験中の外側広筋の酸素化の変化を健常群と比較しました。2 型糖尿病患者の外側広筋では酸素抜き取りの限界が早期に出現し、酸素化ミオグロビンの解離能力が低いことが示されています。
受動的パーソナルスペースは実際の回避行動をどのように影響するか?若年者と高齢者間との比較研究
How perception of personal space influence obstacle avoidance during walking: differences between young and older adults-
札幌医科大学大学院の志水宏太郎氏らは、回避行動時におけるパーソナルスペースの形状と回避行動戦略について、若年者と高齢者での違いを検討しました。他者接近時に知覚するパーソナルスペースは必ずしも回避行動や運動軌跡を反映しないことが示され、加齢やパーソナルスペースの影響が小さいことを示しています。
人工膝関節全置換術後10日までの徒手的リンパドレナージの効果:ランダム化比較試験
Effect of manual lymph drainage for up to 10 days after total knee arthroplasty: A randomized controlled trial-
横浜市立大学附属市民総合医療センターの藤浦達氏らは、人工膝関節全置換術(TKA)後 10 日までの日本人患者の疼痛に対する手的リンパドレナージの効果を検証しました。その結果、TKA 術後 10 日までの手的リンパドレナージは疼痛に影響しないことを示しています。
地域在住高齢者における咳嗽機能の比較と運動持久力との関連
Comparison of voluntary cough function in community-dwelling elderly and its association with physical fitness-
伊丹恒生脳神経外科病院の久保宏紀氏らは、地域在住健常高齢者における加齢とcough peak flowとの関連を比較しました。咳嗽は加齢に伴って低下する傾向であり、運動持久力は咳嗽と関連する可能性を示しています。
消化器がん患者の手術1カ月後に倦怠感が生じる要因
Factors associated with fatigue one month after surgery in patients with gastrointestinal cancer-
リハビリ推進株式会社の小暮英輔氏らは、消化器がん患者 96 例を対象として手術1カ月後に倦怠感が生じる要因を検討しました。手術1カ月後に生じる倦怠感は、手術前からの倦怠感や運動耐容能が影響している可能性を示唆しています。
末梢性顔面神経麻痺に対する筋力強化介入に関する効果 :ランダム化比較試験
Effect of muscle strengthening on peripheral facial palsy: A randomized controlled trial-
豊橋市民病院の森嶋直人氏らは、ランダム化比較対照試験で末梢性顔面神経麻痺に対する筋力強化介入に関する効果を検討しました。選択的筋収縮介入によって、末梢性顔面神経麻痺患者の随意運動を改善できる可能性を示唆しています。
人工膝関節全置換術後の深部静脈血栓症予防に対する自己下腿マッサージの効果:無作為化比較試験による検討
Effect of self-calf massage on the prevention of deep vein thrombosis after total knee arthroplasty: A randomized clinical trial-
あんしん病院の岡智大氏らは、人工膝関節全置換術後の自己下腿マッサージの効果を検証し、人工膝関節全置換術後の自己下腿マッサージが深部静脈血栓症の予防に有効である可能性を示しています。
亜急性期脳卒中者におけるMini-Balance Evaluation Systems TestとBerg Balance Scaleの尺度特性および歩行速度回復との関連性の比較
Comparing the measurement properties and relationship to gait speed recovery of the Mini-Balance Evaluation Systems Test and the Berg Balance Scale in ambulatory individuals with subacute stroke-
茨城県立医療大学の宮田一弘氏らは、中高年亜急性期脳卒中者を対象にバランス評価尺度と歩行速度の回復と関連を調べました。歩行可能な中高年亜急性期脳卒中者においては、Berg Balance Scaleに比べてMini-BESTest が有用となる可能性を示しています。
人工膝関節全置換術後患者の早期自立に向けた高強度バランストレーニング効果:準無作為化比較対照試験
Effectiveness of early high-intensity balance training for early home life independence after total knee arthroplasty: a pseudo-randomized controlled trial-
東都大学の中村睦美氏らは、人工膝関節置換術の術後早期における高負荷バランストレーニングの介入効果を調べました。術後早期の高負荷バランストレーニングの明らかな効果を確認することはできず、介入条件やトレーニング内容についてのさらなる検討の必要性に言及しています。
舌がん患者の栄養不良と筋萎縮に対する周術期の理学療法と栄養療法:症例報告
Perioperative physical and nutritional therapy for tongue cancer-induced malnutrition and muscle atrophy: A case report-
大阪警察病院の田中孝平氏らは、入院後から理学療法と栄養療法を開始し、第 37 病日に舌癌に対して腫瘍切除術、頸部郭清術、および大腿遊離皮弁再建術を施行した症例を報告しました。舌癌患者に対する周術期の理学療法と栄養療法が骨格筋量の増加に有用であることを示しています。
妊娠関連腰部周囲痛を有する妊婦の運動恐怖感が産後の抑うつ傾向に与える影響
Influence of kinesiophobia with pregnancy-related lumbopelvic pain at late pregnancy on postpartum depressive symptoms-
神戸市立西神戸医療センターの海老名葵氏らは、妊娠末期に妊娠関連腰部周囲痛を有している妊婦の運動恐怖感が産後1ヶ月の心理面に与える影響について縦断的に調査しました。運動恐怖感は、抑うつの有無と関連することが示され、妊娠末期の運動恐怖感に対するアプローチが産後うつ発症のリスクを軽減させる可能性に言及しています。
- 地域在住脳卒中者における日本語版 Activities-specific Balance Confidence (ABC-J) 尺度の信頼性と妥当性
PTR第22巻
PTR第22巻2号には総説論文2編、研究論文4編が掲載されています。
PTR第22巻2号には総説論文2編、研究論文4編が掲載されています。
- エッセンスを読む
- プレコンディショニング運動が脳梗塞後にもたらす内因性の神経保護作用
Endogenous neuroprotective potential due to preconditioning exercise in stroke -
鹿児島大学の榊間春利氏は、プレコンディショニング運動(脳虚血発作以前の身体運動)により内因性の神経保護作用が高まる知見についてレビューされました。普段の予防的な身体運動は脳梗塞が発生した後の血管新生、炎症反応の緩和、グルタミン酸の過剰活性化の抑制、血液脳関門機能の保護、神経細胞死の抑制などに関与し脳の回復に好影響をもたらすメカニズムを解説されています。
アジアサルコペニアワーキンググループの診断基準を用いて特定した日本の地域在住高齢者のサルコペニアの有症率:系統的レビューとメタアナリシス
Prevalence of sarcopenia defined using the Asia Working Group for Sarcopenia criteria in Japanese community-dwelling older adults: A systematic review and meta-analysis-
鹿児島大学の牧迫飛雄馬氏らは、日本の地域在住高齢者のサルコペニアの有症率についてポピュレーション研究の成果をレビューして統合推定値を算出されました。サルコペニアの該当者は男性では9.8%、女性では10.1%であることを明らかにされ、今後の予防戦略および研究推進の重要性に言及されています。
心不全患者の運動耐容能に糖尿病の合併が及ぼす影響:心肺運動負荷試験中の自律神経活動と心拍反応に着目して
Influence of Complications of Diabetes Mellitus on Exercise Tolerance of Patients with Heart Failure: Focusing on autonomic nervous activity and heart rate response during cardiopulmonary exercise tests-
心臓病センター榊原病院の石原広大氏らは、心不全患者の運動耐容能に糖尿病の併存が及ぼす影響について、心肺運動負荷試験データを用いて検討されています。糖尿病を有する群では有しない群に比べて運動耐容能が低い水準にあり、自律神経活動の減少による心拍反応の低下である可能性を示されています。
肺炎高齢患者の起居移動実態に関する三軸加速度計データを用いた調査
Investigation into the mobility of elderly patients with pneumonia using triaxial accelerometer data-
筑波メディカルセンター病院の河村健太氏らは、肺炎で入院中の高齢患者に対して直立姿勢の時間や歩行時間の特徴をつかむため、三軸加速度計を用いて調査を実施されています。入院中の身体活動量の水準と経過を観察した結果、疾患の改善にも関わらずそれらの活動水準は向上しない可能性があることを明らかにされています。
神経筋障害患者への機械による咳介助におけるアプローチ法の違いに伴う咳嗽時最大呼気流量
Cough peak flow with different mechanically assisted coughing approaches under different conditions in patients with neuromuscular disorders-
国立病院機構あきた病院の菊地和人氏らは、神経筋疾患に対する気道クリアランス法の1つである機械による咳介助について、徒手介助を併用した時の咳嗽時最大呼気流量を比較されています。気管切開もしくは気管切開下陽圧換気療法の群では機械による咳介助で最大呼気流量は増えませんでしたが、エアスタッキング可能な群ではとりわけ下部胸郭や上部胸郭+腹部に徒手介助を併用した場合に増えたことが示されています。
小中学生の過体重、肥満、座位活動に関連する要因
Factors associated with overweight status, obesity, and sedentary behavior in elementary and junior high school students-
常葉大学の中野聡子氏らは、小中学生における過体重もしくは肥満を予防していくためには座っている時間の短縮と規則的に運動することが重要であることを言及されています。過体重率を説明する要因として、座っている時間の長さとHDLコレステロールの低さが抽出されたことが示されています。
- プレコンディショニング運動が脳梗塞後にもたらす内因性の神経保護作用
PTR第22巻
PTR第22巻1号には6編の論文が掲載されています。
PTR第22巻1号には6編の論文が掲載されています。
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- 術後心房細動は心臓弁手術後の早期リハビリテーション遅延と関連する:多施設共同研究
Postoperative atrial fibrillation is associated with delayed early rehabilitation after heart valve surgery: a multicenter study
心臓外科手術後の合併症である術後心房細動(POAF)と術後経過との関連性を、常葉大学の加藤倫卓氏らは多施設共同研究により分析し、POAFが早期リハビリテーションの遅延の臨床的予測因子であるとともに、入院中の下肢機能低下のリスクである事を解明しました。
機械的腰椎牽引による短期間の改善を示す腰椎椎間板ヘルニア患者を同定するための臨床予測規則の開発
Developing a clinical prediction rule to identify patients with lumbar disc herniation who demonstrate short-term improvement with mechanical lumbar traction
腰椎椎間板ヘルニア(LDH)患者に対する機械的腰椎牽引(MLT)の治療反応の臨床予測規則(CPR)を明らかにするため、近江整形外科の平山和哉氏らは103人のLDH患者で調査を行い治療反応群の特徴を明らかにしています。
亜急性脳卒中入院患者における歩行能力に応じた強度に基づく身体活動の特徴:横断研究
Characteristics of intensity-based physical activity according to gait ability in people hospitalized with subacute stroke: a cross-sectional study
歩行能力に応じた強度に基づく身体活動の特徴を調査するため、杏林大学の清水夏生氏らは回復期病床に入院中の脳卒中患者80人を対象に、異なった運動強度で身体活動に関連する要因を調査し、歩行速度および歩行自立度との関連性を抽出しています。
脊椎圧迫骨折患者の運動能力を評価するための2分歩行試験の有効性と信頼性:パイロット研究
Validity and Reliability of a 2-Min Walk Test to Assess the Exercise Capacity in Vertebral Compression Fracture Patients: A Pilot Study
脊椎椎体椎骨圧迫骨折(VCF)患者に対する2分歩行テスト(2MWT)による運動耐容能測定の妥当性と信頼性は検証するため、京都橘大学の合田明生氏らは回復期リハビリテーション病棟入院中の患者に対して6分間歩行ストとの比較により2MWTの妥当性を検証しています。
変形性股関節および膝関節症に対する歩行および姿勢アライメント関連の予後因子:変形性関節症の進行の予防に向けて
Gait- and postural-alignment-related prognostic factors for hip and knee osteoarthritis: Toward the prevention of osteoarthritis progression
慢性進行性疾患である変形性関節症(OA)の進行防止は理学療法における重要な課題です。京都大学の建内宏重氏は、股関節ならびに膝関節のOAにおける疾患進行の危険因子と、運動療法を進めるうえでの重要な知見を概説し、修正可能な要因に対する取り組みの臨床的有効性を調査する必要性に言及されています。
中枢神経系障害を伴う脳内の神経栄養因子を増強するための神経調節を伴う運動療法
Therapeutic exercise accompanied by neuronal modulation to enhance neurotrophic factors in the brain with central nervous system disorders
北海道大学の前島洋氏らにより、中枢神経系(CNS)に障害を有する患者の神経可塑性、神経新生、および神経保護において重要な役割を果たす「Neurotrophins」と運動療法の役割について、「抑制の抑制」の概念を用いた運動と薬理学的治療の相互作用に基づいて説明されています。
PTR第21巻
PTR第21巻2号には6編の論文が掲載されています。
PTR第21巻2号には6編の論文が掲載されています。
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- 他動運動での大脳皮質興奮性
Cortical excitability following passive movement
脳損傷後のリハビリテーションにおいては、関節可動域や移動能力の維持・改善のために他動運動を治療介入手段として用いられます。では、他動運動で脳にはどのような影響がもたらされるのでしょうか。新潟医療福祉大学の大西氏は、他動運動による脳の活動や興奮性についてレビュー論文としてまとめています。
2型糖尿病患者において加齢、身体活動、糖尿病合併症は筋力低下と関連する
Aging, physical activity, and diabetic complications related to loss of muscle strength in patients with type2 diabetes
2型糖尿病患者における筋力低下は理学療法の重点的な介入対象のひとつとなります。関西福祉科学大学の野村氏らは、2型糖尿病患者における筋力低下に関連する要因について、レビュー論文としてまとめています。特に身体活動の重要性が示されています。
頸部の外科手術後における菱形筋の横断面積と肩関節外転域との関連
Positive association between the cross-sectional area of the rhomboid muscle, and the range of shoulder abduction after neck dissection surgery
頸部術後の肩関節可動域の改善は、理学療法介入の重要な目的のひとつとなります。国際医療福祉大学三田病院の石井氏らは、頸部術後患者における術早期での肩関節外転可動域には菱形筋の横断面積が関連していたことを報告しています。
予期せぬ急激なカッティング(方向転換)動作中の下肢の運動学、運動力学、筋活動に対する神経認知機能の影響
The influence of differences in neurocognitive function on lower limb kinematics, kinetics, and muscle activity during an unanticipated cutting motion
前十字靭帯(ACL)損傷の受傷起点のひとつにカッティング(方向転換)動作が挙げられます。筑波大学の柴田氏らは、予期しない条件での急激なカッティング動作における下肢の運動学、運動力学な応答と神経認知機能の成績の関係を調べています。神経認知機能の成績が低い者では、ACL損傷を受傷しやすい筋反応パターンを示したことを報告しています。
人工股関節全置換術(THA)後10年の患者は身体パフォーマンス、身体活動
Patients 10years after total hip arthroplasty have the deficits in functional performance, physical activity, and high fall rate compared to healthy adults
THA術後の長期的な経過を調べた報告は限られます。湘南鎌倉人工関節センターの二宮氏らは、THA術後10年経過した患者の身体機能や転倒発生状況を調べています。THAの術後10年を経過した患者では、健常者に比べて術側下肢の股関節外転筋力や片脚立位時間が低下しており、転倒発生率も高かったことを示しています。
急性腎臓病患者における尿内蛋白と筋力トレーニングによる筋力変化との関連:予備的研究
A pilot study to relationship between urinary protein excretion and muscle strengthening in patients with acute onset renal disease
腎臓病患者に対して運動介入が適応されることが多くありますが、慢性腎臓病患者を対象とした報告が多い現状です。滋賀医科大学の岩井氏らは、急性腎臓病患者における5週間の筋力トレーニングでの筋力変化は尿内蛋白と負の相関関係であることを示しており、尿内での蛋白排出が促進されることは筋力向上に負の影響があるかもしれないことを報告しています。
PTR第21巻
PTR第21巻1号には3編の論文が掲載されています。
PTR第21巻1号には3編の論文が掲載されています。
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- 人工膝関節術後の膝周囲の深部温の経日変化:熱感が強いと可動性の回復も遅れがち
Alterations in deep tissue temperature around the knee after total knee arthroplasty: its association with knee motion recovery in the early phase
人工膝関節置換術後は膝の熱感が続くことがよく経験されますが、日を追う毎にどう変わっていくのかを詳細に検討した例は限られています。神戸市民病院の植山氏らは深部温モニターを使い膝関節周囲の深部温を手術前日から術後2週まで毎日計測しました。さらに、術後の深部温の上昇度と術後2週後の関節可動域の関係も調べています。その結果、術側は非術側よりも2度ほど温度の上昇が続くこと、さらに、深部温の上昇度が大きいほど、関節可動域の改善が小さかったことも示しています。
心臓リハビリテーションの運動処方としての「飛び跳ねない」ダンスの妥当性の検証
Validity of the Low-Impact Dance for exercise-based cardiac rehabilitation program
有酸素運動が体によいといっても、興味が持てない運動は長続きしません。そこで、ダンスはどうでしょう?岩槻南病院の小久保氏らは、日本人心疾患患者を対象にダンス運動中の呼気ガス分析から心肺機能を詳細に調べ、ダンス運動が安全で効果的な運動強度であることを見いだしています。
非特異的慢性腰痛に対する昔ながらの理学療法は効果がある?ない?:文献的考察
Effectiveness of classic physical therapy proposals for chronic non-specific low back pain: a literature review
痛みの原因がはっきりしない非特異的慢性腰痛に対して、徒手的な治療(マニプレーションやマッサージ)はどれだけ有効なのか、スペイン、バレンシア大学のクエンカ・マルチネス氏らは質の高い無作為化臨床試験から6つの研究報告を選び、効果を吟味しました。その結果、昔ながらの理学療法は無効なようだと結論づけています。
PTR第20巻
PTR第20巻2号には4編の論文が掲載されています。
PTR第20巻2号には4編の論文が掲載されています。
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- 脳卒中後片麻痺患者における非損傷側の皮質興奮性変化と運動機能回復の関連
Correlation between changes of contralesional cortical activity and motor function recovery in patients with hemiparetic stroke
本論文では脳卒中片麻痺患者を対象に、麻痺側上肢での課題時に一次運動野への経頭蓋磁気刺激により非麻痺側上肢筋から誘発される運動誘発電位(MEP)を測定し、上肢運動機能検査成績との関連について調べた結果、安静時MEP振幅比(MEP ratio)は入院2ヶ月後に有意な低下がみられ、このMEP ratioは入院2ヶ月後の上肢運動機能検査(Purdue Pegboard Test)成績と関連していたことを報告しています。
家族の介護者数別にみた脳卒中患者の自宅退院に必要な日常生活活動の自立度
Activities of daily living independence level for home discharge in stroke patients based on number of caregivers: an analysis of the Japan Rehabilitation Database
本論文では日本リハビリテーション・データベース協議会に登録された1442名の脳卒中患者を対象に自宅退院に必要な日常生活活動の自立度(Barthel IndexおよびFIMのスコア)のカットオフ値についてROC解析を用いて家族の介護者数別に検討した結果、家族の介護者が多い方が日常生活活動の自立度が低くても自宅復帰が可能であり、特に介護者が1人いるか否かによって、カットオフ値に大きな差が生じることを示しています。
立ち上がり動作における関節運動の協調性についてのUCM解析
The coordination of joint movements during sit-to-stand motion in old adults: the uncontrolled manifold analysis
本論文では健常高齢者および若年者を対象に立ち上がり動作時の三次元動作解析データからUCM解析を用いて身体重心(パフォーマンス変数)に対する関節角度(要素変数)の影響を調べています。立ち上がり動作のタスク達成に影響を及ぼさない「良い変動」とタスク達成に影響を及ぼす「悪い変動」から関節運動の協調性(シナジーインデックス)を算出して高齢者と若年者で比較すると、水平方向の関節運動の協調性は若年者よりも高齢者で有意に高値を示したが、鉛直方向の関節運動の協調性は高齢者のほうが有意に低値を示したことを報告しています。
腰椎固定術後1年時における健康関連QOLに影響する因子
Factors affecting health-related quality of life one year after lumbar spinal fusion
本論文では腰椎固定術後1 年以上経過した患者を対象に術後1年における健康関連QOL(SF-36 )を従属変数、術前因子を独立変数として正準相関分析を行った結果、第1 正準変量として年齢、下肢筋力が身体機能や日常役割機能(身体および精神)に影響を及ぼす因子として抽出され、第2 正準変量として職業の有無、性別、他部位の整形外科疾患の有無が全体的健康感に影響を及ぼす因子として抽出されたことから、腰椎固定術後1 年での健康関連QOL にはこれら術前因子が影響していることを示唆しています。
PTR第20巻
PTR第20巻1号には3編の論文が掲載されています。
PTR第20巻1号には3編の論文が掲載されています。
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- キネシオテープ®の疲労に伴う動的バランス低下における抑制効果:無作為割付試験
Effects of KinesioⓇ Taping on Dynamic Balance Following Fatigue: a Randomized Controlled Trial
本研究では、キネシオテーピング®(KT)の使用が疲労に伴う動的バランス低下を予防し、動的バランスを維持する効果があるかどうかが検討されています。疲労に伴い動的バランス指標(SEBT; Modified Star Excursion Balance Test)は低下しましたが、KTはSEBTの外側そして後方の要素において低下を抑制する効果がみられており、KTの使用が外側および後方の要素の疲労に伴って生じ得る怪我などのリスクを低下させられる可能性があるかもしれません。
膝伸展筋収縮中の筋疲労における性差の影響
Influence of gender on muscle fatigue during dynamic knee contractions
等運動性膝伸展収縮の際の大腿四頭筋の疲労指数および表面筋電図(周波数解析)、筋厚、およびピークトルクの変化を男性および女性で比較しています。男性は女性よりも有意に筋疲労指数とピークトルク、筋厚が大であり、外側広筋において中間周波数勾配が有意に直線的に減少していました。これらの要因に性差が関与することが明らかとなりました。
リハビリテーションが低活動の血液透析患者のADLを改善させ長期的予後をも改善させる
Rehabilitation improves prognosis and activities of daily living in hemodialysis patients with low activities of daily living
血液透析患者のADLはFIMにて明らかに低下していましたが、リハビリテーションによってFIM(特に運動項目)は改善しました。さらにFIMは、血液透析患者の3年死亡率の予測マーカーであり、リハビリによってFIMを増加させることは良好予後な結果を導きました。
PTR第19巻
PTR第19巻には8編の論文が掲載されています。
PTR第19巻には8編の論文が掲載されています。
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- 機械的血栓回収療法後の急性期脳梗塞患者における離床プロトコル時の血圧反応逸脱に関連する要因
Assessment of factors associated with prominent changes in blood pressure during an early mobilization protocol for patients with acute ischemic stroke after mechanical thrombectomy
本論文は急性期脳梗塞患者を対象に離床プロトコル時の血圧反応逸脱に関連する要因を調べた後ろ向き観察研究です。機械的血栓回収療法を施行した群は対照群と比較して離床プロトコル実施時に血圧反応逸脱が発生する割合が有意に高いこと(13.3% vs. 1.7%)、この血圧反応逸脱の発生には車椅子座位獲得までの期間が関連することが示されています。
人工股関節置換術後の歩行能力は術前の中殿筋の筋萎縮から予測できる
Preoperative gluteus medius muscle atrophy as a predictor of walking ability after total hip arthroplasty
本論文では人工股関節置換術(THA)施行患者74名を対象に術前の中殿筋・腹直筋の筋断面積、股関節外転・膝伸展筋力、TUGおよび術後6ヶ月の歩容として患側立脚期の体幹の傾きの有無を評価し、歩容を目的変数とした多変量解析を行った結果、中殿筋の筋断面積のみ抽出されたことから、術前の中殿筋の筋萎縮によって術後の歩容を予測できることを示唆しています。
我が国における未就学障害児の電動車椅子利用に関する実態調査
Current Status of the Utilization of Powered Wheelchair in Preschool Children with Locomotive Disability in Japan
本論文では全国の肢体不自由児施設を対象に未就学障害児への電動車椅子(PWC)の処方や利用状況についての質問紙調査を実施した結果、PWC支給後の未就学障害児のQOLの変化について、移動範囲の拡大(96.0%)やコミュニケーションスキルの改善(60.9%)など、多くの施設において改善がみられたことを報告しています。
幼少期の投球能力に影響を及ぼす因子
Development of Overarm Throwing Technique Reflects Throwing Ability during Childhood
本論文では小学1~6年生112名を対象として、投球能力(ソフトボール投げ距離)を従属変数、基本特性、運動能力(握力、上体起こし、反復横とび、立ち幅とび、シャトルラン等)、Robertonらの投球発達段階を独立変数とした重回帰分析を行った結果、性別、握力、シャトルラン、投球発達段階が幼少期の投球能力に影響を及ぼす因子として抽出されたことを報告しています。
脳卒中患者におけるトイレ動作の介助レベルに関連する認知機能および運動機能
Cognitive and physical functions related to the level of supervision and dependence in the toileting of stroke patients
脳卒中患者163名を対象にトイレ動作自立度をFIMによって評価し、自立監視群と介助群に分類し、MMSE、SIASの下肢機能、言語機能、視空間認知、FACT(Functional Assessment for Control of Trunk)を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った結果、下肢機能、MMSE、FACTが抽出され、トイレ動作の介助の有無には下肢機能、認知機能、体幹機能が関連していることを示しています。
人工股関節置換術後患者の機能的脚長差に対する運動療法と装具療法の効果;PROBE法を用いたランダム化比較対照試験
The Effectiveness of Specific Exercise Approach or Modifiable Heel Lift in the Treatment of Functional Leg Length Discrepancy in Early Post-surgery Inpatients after Total Hip Arthroplasty: A Randomized Controlled Trial with a PROBE design
人工股関節置換術(THA)後1週で脚長差を有する患者を①機能的脚長差に対する運動療法を併用する群(SEA群)②調整型補高装具を併用する群(MHL群)③通常の理学療法を実施する対照群の3群に無作為に割付け、2週間の介入を行った結果、対照群と比較してSEA群およびMHL群における機能的脚長差は有意に小さい値を示したことから、これらの介入が機能的脚長差の改善に対して有効であることを示唆しています。
骨盤前後傾運動における筋活動の分析
Analysis of muscle activity during active pelvic tilting in sagittal plane
健常成人を対象にワイヤー筋電図および表面筋電図を用いて立位で骨盤前傾・後傾運動をさせた時の多裂筋、脊柱起立筋、腹横筋、腹直筋、外腹斜筋、広背筋、大殿筋、半腱様筋、大腿直筋の筋活動を分析した結果、骨盤前傾時には多裂筋・脊柱起立筋、骨盤後傾時には腹横筋が高い筋活動を示したことから、骨盤前後傾運動には特に体幹ローカル筋が重要であることが述べられています。
我が国におけるPhysiotherapy Evidence Database (PEDro)の利用状況
Use of the Physiotherapy Evidence Database (PEDro) in Japan
2010年~2013年の4年間におけるPEDroの利用状況について調べた結果、アジア諸国においてPEDroの利用(人口比で算出した検索件数)が最も多かったのはオーストラリアで、日本は26カ国中10位であったことや、国内での利用状況を都道府県別に理学療法士の人数比で算出すると長野県が最も多く、都道府県によってPEDroの利用状況の差が大きいことが報告されています。